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  | HOME | >活動記録>>発言録2013年3月28日 衆議院予算委員会




【質問項目】

育児休業制度の拡充や無認可保育所の支援など、選択可能で柔軟な制度の実現を
待機児童対策について 

核変換実験施設の増設を
使用済み核燃料の処理について 


待機児童対策について 【戻る】

○青木委員

生活の党の青木でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
まず、待機児童の問題についてお伺いをさせていただきます。今月、二月の杉並区を発端といたしまして、足立区、大田区、また渋谷区、さいたま市、そして中野区と、次々とお母さん方の御要望が表面化をいたしております。

今月五日に本会議で安倍総理に御答弁をいただきまして、母親たちの声に私も全力で応えていきたい、待機児童の解消に向け全力で取り組むと述べられました。具体的に、いつまでにどのような形で解決をするのか、ぜひその具体的な対策をお伺いしたいと思います。



○田村国務大臣

委員も御承知のとおり、ここ何年か、かなりの数の定員数をふやしてまいってきております。昨年といいますか今年度でございますけれども、約五万四千ふやしてきたわけでありますが、来年度七万という形で、さらに定員をふやす。ただ、毎年、若干ずつは待機児童は減ってきているんですが、四月に二万五千ぐらいまで来るんですけれども、十月になるとまた五万弱までふえる。結局、ふやした分だけ、また待機児童が顕在化してくる。

そこで、問題は、まず、待機児童が本当にどれぐらいいるかということを正確につかまえる必要がある。それともう一つは、保育士がやはり足らないということでございますから、補正予算でも保育士の処遇改善でありますとか確保に予算づけしましたけれども、やはり、潜在保育士の方々も含めて、しっかりと頑張って子育てといいますか保育におつき合いをいただけるような、そういう環境をつくっていく、これが大事だと思います。
三党合意で子ども・子育て新制度が動き出すのが、まだ若干時間がございます。その間、何かできないかということを、今、総理からもいろいろと指示をいただいておりまして、何らかの方策というものを検討してまいりたいというふうに思います。


○青木委員

27年度実施と伺っておりますが、まさにその間が大事でありまして、早急な対策が必要であります。
今お話をされました七万人の対応というのは、その中に、今言われている二万五千人ほどの待機児童の対応というのは含まれているんでしょうか。



○田村国務大臣

この二万五千が、要するに、四月に出てきた数字でございますから、十月の数字がまた出てくると思います。
いずれにいたしましても、七万人は、もちろんその中に含まれるんですけれども、それ以上にまた潜在待機児童が今度は顕在化をしてまいりますから、七万人をつくっても、それで待機児童が解消できるかというと、そうはならないだろう。また顕在化してくる部分に対して、どう対応していくかということを考えていかなきゃならない。もっと言いますと、今、大体、ゼロ、一、二歳の二七%ぐらいが保育所をお使いになられていると思いますが、四四%ぐらいまでは保育、待機児童ということで準備をしていかないと、なかなか待機児童解消というものがなし得ないのではないかというような一つの予想、計画を立てております。


○青木委員

まだちょっと具体策が見えにくい部分がございます。これは厚労の調査室の方に試算をしていただいたんですが、約二万五千人の待機児童を対象として、認可保育所で対応する場合、初年度の施設整備費が四百五十億ぐらいかかるとして、その後の毎年の運営費が大体三百二十億という試算を出していただいています。一方で、育児休業制度を拡充する場合、今、給与の二分の一でございますので、平均十一万二千円として計算をいたしますと、大体三百三十四億という試算をいただいていて、ほぼ同程度の予算なんですね。これは、お母さん方が、子供を預けて仕事をするのか、あるいは小さいうちは家庭で育てたいというふうに思うのか、母親が選択できる柔軟な制度がぜひ必要なのではないかなというふうに思うんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。



○田村国務大臣

育児休業という形で、子供さんの小さい間、しっかりと御自身で子育てをしていただきながら、一定の休業補償をもらうというようなことは、これはあると思うんです。ただ、それを二万五千という数字ではじくこと自体が、そもそも、多分もっとおられるであろう。その隠れておられる潜在的な部分にどう対応していくかということに関しては、まだまだ予算がかかっていくであろうということでございますから、そこを計画的に認可保育所の整備等々で対応していく。もちろん、その一方で、育児休業ということも重要でございますから、そちらもとりやすいような環境を整えていくということになろうと思います。


○青木委員

確かに、育児休業制度を拡充していく場合に、さまざまなきめ細やかな視点が必要になってくるというふうに思っております。本当にお母さん方に安心していただける対策を早く示していただきたいという思いではあるんです。また、無認可保育所あるいは民間の参入は、どうしても、質が落ちるとか、もうけ主義に走るのではないか、そうしたイメージもあるんですね。
でも、無認可だからといって保育の質が悪いとは言い切れず、創意工夫で頑張っている無認可保育所もたくさんあるわけなんですね。なので、その辺のイメージの払拭も必要でしょうし、また、現実には、保育料が六万、八万と大変高くなっております。その辺の保育料を下げる支援を、これは無認可保育所の経営者のためにもなりますし、そうしたことも必要ではないかと思います。

最近、横浜市が大変話題になっております。全国市町村で最も待機児童が多かったにもかかわらず、二年間で九割も激減させたということであります。これは、行政の中に相談窓口を設けて、例えば、無認可保育所でもこういうところがありますよ、幼稚園の預かり保育はここでやっていますよ、そういう丁寧な対応をしているということでございます。また、土地の所有者とそれから事業者とのマッチング、これも積極的に行っているということであります。やはりこれはトップに立つ方の熱意で、やればできるというふうに思うんですよね。ですので、ぜひここは、安倍総理の本会議でのお言葉も、答弁もいただいておりますが、より具体的な対策を早急に示していただくことがお母さんの何よりの安心感につながるというふうに思うんです。

また機を捉えて私も質問させていただくんですけれども、その前に、ぜひ、政府としてこういう具体策はできたんだということを示していただくことを本当に御期待申し上げております。安倍総理に一言いただければ。



○安倍内閣総理大臣

ただいま田村大臣からも御答弁させていただきましたが、これは、財源を確保しながら、今、青木委員が指摘をされたように女性の皆さんにとって、選択できる、そういうしっかりとした支援体制をつくっていくために全力を挙げていきたいと思います。


○青木委員

ぜひ自治体にも頑張っていただいて、そして国としても支援をして、厚労省、文科省、省庁の壁を払って全力で取り組んでいただくことを重ねてお願いしておきます。

使用済み核燃料の処理について 【戻る】

続いて、原発の使用済み核燃料の放射性廃棄物の最終処分に向けた、核変換技術の研究開発の促進についてお伺いをさせていただきたいと思います。私は、科学技術については素人ではございますけれども、大変重要なことだと思いますので、きょうは質問させていただきます。

今、使用済み核燃料の処分、日本のみならず、世界じゅうの課題であることは御承知のとおりです。現在は、この高レベル放射性廃棄物を、ガラス固化をして、地中深く埋めて、数十万年単位で保管をするということになっています。この数十万年、この間、誰がこの安全を保証できるか、責任を持てるはずもないというふうに思っています。
人類の原型であるクロマニョン人が誕生したのが二十万年前でありますので、もうそれぐらいのスケール感でございます。ただ、この核変換技術が確立をされれば、核廃棄物の最終処分に数十万年以上を要するものが、百年、二百年、数百年に短縮できると研究者の方に伺っています。
この核変換技術には二種類あって、一つは加速器、そして一つは高速増殖炉、いわゆる「もんじゅ」でございますけれども、私は、研究者の方々のお話を伺うと、加速器を使って大量に中性子を発生させて長寿命核種を短寿命核種に変換させるという技術の方が安心だと思います。未臨界状態で核変換を行うために制御しやすいということが高速増殖炉との大きな違いであり、利点だというふうに思っておりまして、この方式の研究を進めるべきだと考えています。
この加速器は、東海村のJ―PARCに既に設置をされております。実は、平成二十一年に、この施設の共用促進を目的とする法案審議に私も参議院の一員としてかかわりました。大変有意義な現場の視察もさせていただいたことが記憶に残っています。
その際に、衆参で附帯決議を行っています。適切な評価を行いつつ、この核変換実験施設の建設計画の着実な推進に努めることとありますが、全会一致で実は決議されておりました。
そもそも、このJ―PARCには、核変換実験施設も計画にあったんですけれども、第二期計画とされたままで、いまだ進展されておりません。既に中性子を発生させる最先端の加速器があるわけですから、あと、核変換実験施設を併設すれば研究がスタートできるというわけでございます。
しかしながら、二十五年度予算ではたったの一億、大変小規模な予算しかついておりません。ぜひ予算を組み替える必要があると考えますけれども、安倍総理、いかがでしょうか



○下村国務大臣

きのうも御質問をいただきました。高レベル放射性廃棄物の処理処分は、原子力を利用するに当たって大きな課題であり、半減期が長く管理の難しい放射性物質を半減期の短い放射性物質に転換する核変換技術の実用化が可能であれば、これは極めて有意義であるものというふうに認識しております。

このため、御指摘がございましたが、日本原子力研究開発機構において、「もんじゅ」やJ―PARCの利用を想定した基礎的な研究を実施しているところでございます。御指摘の加速器を用いた核変換技術については、今後さらに、科学技術・学術審議会のもとの原子力科学技術委員会等において、技術成立性の評価を行うことも検討しているところでございます。文部科学省としては、引き続き、核変換技術にかかわる研究を着実に進めてまいります。


○青木委員

この核変換実験施設というのは、ずっと検討中のまま進んでいないわけでございまして、日本においては、福島の事故を経験して、この重要性が本当に現実のものとなったわけでございますが、一刻も早い取り組みが必要だというふうに思います。ぜひ、安倍総理の御見解をお伺いしたいと存じます。


○安倍内閣総理大臣

ただいま文科大臣から答弁させていただきましたが、高レベル放射性廃棄物の処理処分は、原子力を利用するに当たって大きな課題であります。半減期が長く管理が難しい放射性物質を半減期が短い放射性物質に変換する核変換技術の実用化が可能となれば、大変有意義なものであるというふうに認識をしております。
このため、日本原子力研究開発機構において、「もんじゅ」やJ―PARCの利用を想定した基礎的な研究を実施しておりまして、今後とも、引き続き、核変換技術にかかわる研究を着実に進めていきたいと考えております。


○青木委員

この二十五年度予算で一億円でございますが、研究者の方のお話ですと百億かなというふうにおっしゃっていました、実際には正確な数字を計算しなければなりませんが。
この二十五年度の予算の中で、予算を組み替える必要性を感じておられませんでしょうか。そうした御決断をいただけませんでしょうか。


○下村国務大臣

御指摘の核変換実験施設、それだけで予算が、これはJ―PARCの第二期計画の一部でございますが、約二百二十億円かかるという予算でございます。
先ほど委員から御指摘がございましたが、二〇〇九年四月の原子力委員会が取りまとめた報告書、「分離変換技術に関する研究開発の現状と今後の進め方」の中で、高速増殖炉サイクルによる技術が所定の性能目標を満足することができないと判断されたとき、あるいは、加速器を用いた核変換技術が技術的成立性や開発に係る費用対効果の点でまさっていると判断されたときには、開発対象として採用が検討される可能性があるという状況でございますが、しかし、それから五年たちましたので、今後、基礎データの充足や研究の進展等、状況を評価して判断すべきものというふうに考えております。


○青木委員

もう時間がありませんので。昨日、安倍総理は、リニアコライダー招致の研究者の国際組織のトップであるリン・エバンスさんの表敬も受けられたと伺っております。科学技術は、アベノミクスの三本の矢の三本目の成長戦略の柱にもなるでしょうし、日本が世界に貢献できる一番最大の分野であるというふうに思っておりますし、また、後世への責任を果たすことだというふうにも思っております。

ぜひ前向きなお取り組みをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

ありがとうございました。