| HOME | >活動記録>>発言録2013年10月30日 衆議院消費者問題に関する特別委員会 |
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集団消費者被害回復法案審議:参考人に対する質疑 一般社団法人 全国消費者団体連絡会 河野康子事務局長 独立行政法人 国民生活センター前理事長 野々山 宏弁護士 一般社団法人 経済団体連合会経済基盤本部 阿部泰久本部長 適格消費者団体・消費者支援機構関西理事 西島秀向事務局長 ○青木愛 生活の党の青木です。きょうは、参考人の皆様には、大変貴重な御意見を拝聴させていただきまして、まことにありがとうございました。 私は、さまざま省庁はございますけれども、特に、この消費者庁が扱う法案につきましては、しっかりと消費者の立場あるいは生活者の立場に立ったものであってほしい、またそうあらねばならないと思っています。消費者庁の立ち上がった経緯を踏まえても、そう考えるわけでありますが。まずはこの制度をスタートする見込みとなっているわけでありますけれども、今後の残された検討課題について、先ほどの陳述の中でも御指摘ございましたけれども、改めて、この制度をより実効性のあるものにするための今後の検討課題を四名の参考人の皆様からそれぞれのお立場でお聞かせをいただければと思います。 ○河野参考人 ありがとうございます。まず第一は、制度をつくっていただくことでございますけれども、本当に制度がしっかりと消費者のためになるということで申し上げますと、まずは、その制度の訴訟を担ってくださる特定適格消費者団体への情報面、財政面での支援というのをお願いしたいと思います。 さらに、本当に、特定適格消費者団体と申しましても、私自身は、やっと最近、その現状が、こういうふうなことをしてくださっている団体だというふうにわかっておりますけれども、ほかの消費者団体と混同してしまっていたり、国民の間にしっかりと、この特定適格消費者団体の認知度が上がっていないやもしれません。ですから、この制度ができました暁には、しっかり、こういうふうな形で、少数の被害が泣き寝入りせずに回復できる仕組みが国で整ったんだよということを、ぜひ広く国民に周知していただきたいというふうに思っています。 その後は、しっかりと、制度の中のルールにのっとって、まず一つ目の事案が本当にこの法律が意図したように動いていくこと、そのことが、事業者の皆さんにとっても、それから私たち消費者にとっても、一つの大事な道しるべとなって、今後、よりよい市場が確保され、安心して暮らせる、購買行動といいましょうか、買い物ができる環境が整えばというふうに感じております。 ○野々山参考人 まず、施行まで、あるいは今回遡及制限ということが起こったことに対しての対応というのが必要だというふうに思っております。 それは、一つは国民生活センターのADR(※1)の拡充であります。それから、対象から外れる方に対する周知、広報をきちっとするということ、これがまず一点であります。 それから二つ目には、実際に施行をされた後、この制度がワークしていく、いわゆる実効化していくためのものといたしまして、一つは、やはりこれも同じく、二段階目の皆さんに対してきちんと周知していく制度を具体的に設けていく。適格消費者団体が周知をするわけでありますけれども、それを補充する制度がやはり要るというふうに考えております。 それからもう一つは、先ほど何回も出てきておりますけれども、主体である団体に対する支援であります。これは情報面、PIO―NET(※2)等の端末の設置等の情報面のもの、それから各自治体との連携があります。それからもう一つは費用面の問題。これは通知、公告制度の費用負担や仮差し押さえの担保金に対する是正策ですね。そういうものを拡充していくということが必要かというふうに思っています。 それから次には、将来の見直しということですね。この制度の施行を見て、検討することになるかと思いますけれども、一点は、やはり私は通知、公告費用というのは、もう結論が出ているもの、本来、事業者の皆さんが自主的にやるべきものを団体がやっていくというたてつけでありますので、その通知、公告費用は事業者の方が本来、負担すべきだというふうに私は考えております。こういうことをもう一度検討していただきたいというふうに思います。 それからもう一つは、通知、公告をする際には、消費者の方の、被害者の方の住所、氏名がはっきりしていないとわからない、特別の通知ができないわけですね。それを把握しているのは事業者の皆さんであります。その情報公開の制度、これは今回の法律の中にあります。ありますが、もしそれを拒否した場合、嫌だと言った場合のサンクションが低過ぎるんですね。三十万円の過料だけであります。命令がありまして、それを、命令違反にしても三十万円の過料であります。三十万円の負担でそれを出さなくてよいというのは余りに低いサンクションではないかというふうに考えております。これも検討していただきたい。 それから、四つ目は、やはり対象事案の拡大であります。現在、先ほども出ておりますけれども、直接の当事者であり、しかも、いわゆる身体型のもの、あるいは拡大型のものについては対象ではない。いわゆる代金だけを売り主から請求できる、これだけしかできません。ですので、やはり対象範囲が狭いというふうに考えておりますので、そこを拡充することを考える必要があるということであります。 あとは、意見陳述で述べましたけれども、簡易確定決定というものがありますが、それを裁判所がした。それに対して、一定、この金額を払ってください、払いなさいという決定をするわけでありますが、その異議を出したときに、事業者が異議を出しても、その費用、追加の訴訟費用は消費者団体あるいは消費者が負担しなくちゃいけないという制度設計になっております。これも改善すべきだ、将来的にはぜひ改善を検討していただきたいというふうに考えております。以上です。 ○阿部参考人 まず、野々山参考人御指摘の、法律案第二十八条の事業者の情報開示義務でございます。 相手方、すなわち事業者は、対象消費者の氏名及び住所または連絡先が記載された文書を所持する場合においてとございますが、先ほど申しましたとおり、今、個人情報保護法の関係で、このような大事な情報を事業者は持ちにくい状況になっております。 そういう意味では、個人情報保護法の改正になるのか、あるいは解釈を明らかにすることになるのかわかりませんが、事業者が当然このようなユーザー情報を保持できるということを明らかにしていただきたいと思います。 その上で、検討事項として二点申し上げますが、一点は、法律成立後、施行までに政省令、あるいは監督指針、さらには裁判所規則がしっかりとつくられることを期待いたしております。特に、政省令、監督指針につきましては、パブリックコメント等を通じまして、事業者からも意見を述べさせていただきたいと思います。 もう一つ、最初にも申し上げましたが、実は悪徳商法等に対しては、意外とこのような仕組みは無力でございます。むしろ行政制裁でありますとか、財産の差し押さえでございます、あるいは刑事司法の積極的な活用等が必要でございますので、本当に悪徳商法等を根絶するためには別の方策をもっと幅広く、しかもなるべく早急に検討していただきたいと思います。以上でございます。 ○西島参考人 まず、特定適格消費者団体に対するやはり情報面、費用面の支援というのが必要だろうというようなことです。情報面のところでは、先ほど申し上げましたように、PIO―NETの情報をしっかり得られるようにするということだとか、あるいは、費用面のところでは、仮差し押さえの担保の件だとか、あるいは通知、公告費用、これがどうしても前払いで特定適格消費者団体が負担というような形になっておりますので、こういったところをしっかり支援していただくということがこの制度をしっかり運用できるということになるのかと思います。 また、もちろん、こういった制度がこのようにあります、それを使ってくださいというような、そういった周知というものがきちんとできていくというようなことが必要だろうというふうに考えます。 ※1:ADR(裁判外紛争解決手続) ※2:PIO-NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)国民生活センターと全国の消費生活センターをネットワークで結び、消費者から消費生活センターに寄せられる消費生活に関する苦情相談情報(消費生活相談情報)の収集を行っているシステム。 ○青木愛 大変参考になる御意見をいただいたと思っております。ありがとうございます。 今のお話の中にもありましたが、やはりせっかくこうした制度をつくっても、国民が知らなければ本当に活用ができないわけでありまして、まず、この制度があるという周知、また、二段階目の通知、公告の部分で、これは実際、どうやって消費者、国民に伝えていくかという、具体的な何かアイデアがもしございましたらお教えいただけますでしょうか。 補充的なものが必要だということではあるんですけれども、実際、具体的にどういったことが考えられるか。今の時点で、わかる範囲でもしお聞かせいただければ助かります。四名の参考人の皆様にお願いします。 ○河野参考人 一つは、時間がかかることではございますけれども、学校教育等を含めて、さまざまな教育現場で、消費者にはこういう権利があるんだということをしっかりと伝えていくことが大事だと思います。 それから、行政の窓口、消費生活センター、そういったところで、まずは、消費者との間に立ってくださるその一番最前線のところで、この制度に関する理解を深めていただいて、もしかしたらこれで救われるかもしれないよというふうな形で伝えていただくこと。 第二段階目のその公告に関しましては、先ほども御質問いただきましたけれども、本当にいい方法がないだろうかと。期間は短いですし、もしかしたら、救える方も、気づかないままに見逃されてしまうかもしれない。せっかく第一段階目で勝訴して第二段階目に進んだとしても、そこで見逃してしまうということは、そもそも制度上は非常に残念な結果になってしまいますので、そこは何とか、事業者の方の情報開示ですとかいろいろ含めまして、お知恵をいただければというふうに思っております。 それで、先ほど、第一番目の質問でちょっと言い漏らしたことがございます。簡単にちょっとつけ加えさせてください。 この制度はきちんと働いていただきたいというふうに思います。しかし、先ほど阿部参考人もおっしゃられていたように、救えないものもあると思います。それは本当に、悪徳なというか悪質な事業者から受けた損害というのはなかなか本制度では助けてもらえないというふうに思っておりますので、この制度の成立と同時並行的に、仮差し押さえでも対応困難な、本当に悪質な事業者による財産の隠匿ですとか散逸に対応するために、ぜひ、行政機関による財産保全策について具体的に検討していただきたい。というのは、この制度がワークし、さらに救えない人たちも助けるという意味でのセーフティーネットになってくれると思いますので、そこもお願いしたいと思っております。 ○野々山参考人 私は、最大の宣伝は、実際にこの制度が動くことだというふうに思っております。 実際にこの制度によって消費者の何人かの方が利益を得た、そういうことがあって初めて周知がされていくだろうというふうに思います。その意味では、できるだけ早い施行というのが重要だというふうに考えております。 ただ、それ以前にも、もちろんさまざまな周知方、広報はしなくちゃいけないと思います。これは、出前講座というものがありまして、各センター、それからあと国民生活センターも一部支援をしているわけでありますけれども、そういうものについて、そこで具体的に、起こり得る事例を挙げて、出前講座できちっと知らせていくということ。 それと、先ほど河野参考人も申し上げたように、学校教育とかそうところにうまく組み込んで、そのことを、まだ日はあるわけですから、その間にいろいろなところで知ってもらうということですね。やはり、身近な消費生活センターから発信をしてもらうということが重要じゃないかというふうに考えております。 その際には、難しい話ではなくて、こういうふうになるんだという、実際の事件を使ったシミュレーションを設けて、そこでわかりやすく説明していくことが大事じゃないかなと。できれば、放送媒体等で例とか出したり、あるいは何らかの番組でやってもらったら、それは一番いいことかなというふうに思っております。 ○阿部参考人 事業者に対する広報という立場から申し上げますが、特に中小企業等にどうやってこの仕組みを知らせるかにつきましては、やはり、中小企業団体、全国各地にございます商工会議所、商工会、その他の中小企業団体にまず知ってもらわなければならないと思います。それは、中小企業庁と消費者庁で御連携の上でぜひとも取り組んでいただきたいと思います。 以上でございます。 ○西島参考人 私どもは、やはり、適格消費者団体としての立場から申し上げますと、これまでに、差しとめ訴訟に至るまでに既に一定の改善を得ているというのが例えば六十六件私どもであるわけですから、こういった事例について、国民の方、もちろん事業者の方も含めて十分御理解いただくというようなことが一番実際的な周知ということになるのではないかなというふうに思っております。 ○青木愛 大変ありがとうございました。時間になりましたので終了いたしますが、大変貴重な御意見をいただきましたので、それを踏まえまして、また、一人でも多くの被害者を救えるように頑張ってまいりますので、今後ともどうぞ御指導よろしくお願いいたします。 |
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