▲TOPへ戻る

  | HOME | >活動記録>>発言録2013年10月31日 衆議院消費者問題に関する特別委員会


集団消費者被害回復法案審議:森担当大臣はじめ消費者庁への質疑(2日目)
     

○青木愛

 生活の党の青木です。昨日に引き続き、どうぞよろしくお願いをいたします。
 まず、本制度とフランスのグループ訴訟制度との比較でお伺いをさせていただきます。
 大臣の記者会見の中で、森消費者担当大臣が、平成二十五年、ことしの九月一日から五日まで、フランス・パリとインドネシア共和国に出張をしたという御報告を伺いました。
 フランスではOECD科学技術産業局長と消費者担当大臣との会談が行われ、消費者行政組織のあり方や、行政機関が消費者にかわって事業者の不払い収益の返還を求める訴訟制度にかかわる加盟国の状況ですとか、フランスで提案されているグループ訴訟制度等について説明を受け、意見交換を行ってきたと伺いました。
 まず、OECD理事会の勧告においては、各国の事情に応じて、消費者に紛争解決及び救済の枠組みを提供するように努力をすることが求められているところでありますが、加盟国の動向について、具体的にどのような状況報告がありましたか。
森大臣にお伺いをさせていただきます。


○森国務大臣

 九月にフランスに行ってまいりまして、OECD、それからフランスの消費者担当大臣と面談をさせていただきました。
 フランスで検討されているグループ訴訟制度は、日本の制度と大変類似をしておりまして、二段階型のオプトインの制度をとっております。認可された消費者団体だけが提起できるというふうに、入り口のところを限定しているところも同じですね。そして、その際に個々の消費者からの授権も不要であります。そして、対象事案ですけれども、こちらも、同一の事業者による法律または契約上の義務違反等に限定をされているということで、事案を限定して、またさらに入り口を限定している、財産的損害に限っているというところも非常によく似ております。
 向こうの大臣と面談をしたときには、うちの方でも国会にかかっているよとフランスの消費者大臣が言いまして、それで、うちも、この間、通常国会でかけて、継続審議になっていますということで、お互いどっちが先に成立するか競争しよう、一緒に成立して双子法案になるといいねということで誓い合ったわけでございますけれども、この二つの制度は、OECDの担当者によると、やはり、今までのほかの制度、クラスアクションの制度などと比較しますと、クラスアクションで指摘をされている副作用の部分、つまり濫訴などの部分を防止するということで工夫をされておりますので、被害救済の実効性を確保しつつ、経済界にも配慮して、濫訴等を防止するということを考えてあるので、大変OECDとしても注目をしているということでございました。
 本法案成立に向けての御協力をまた改めてお願いするところでございます。



○青木愛

 フランスとも、ある意味、足並みをそろえた形で、成立に向けてお互いに努力をするということでありましたけれども、認定された団体だけであったり、対象事案が大変限定されているということでありましたので、私はフランスから何か学び取るものがあるのかなというふうには思ったんですが、酷似しているということでしょうかね。フランスから逆に日本が学ぶようなことはありませんでしたでしょうか。


○森国務大臣

 現在、双方審議中でありますので、先に向こうが施行されていれば、その施行後の状況等から学ぶところもあると思うんですけれども、私は、向こうの大臣と話したのは、消費者団体それから業界団体、双方からいろいろな御意見が来ておりますけれども、フランスはどうですかと言いましたら、やはり双方から、もうちょっと頑張ってという議論が来ていると。この委員会での審議でも同じですけれども、消費者団体の方は、実効性の方でもう本当に大丈夫なのかというような御意見、それから、業界団体の方からは、やはりいろいろな御懸念があるという中で、その中で、双方に一生懸命説明しながら、双方のバランスをとってこの法案を提出し、そして審議をしているところだということで、その辺も同じような状況でございました。



○青木愛

 今御指摘にありましたように、この法案の審議においても、日本経済への影響ですとか濫訴の懸念が議論をされているところでありますけれども、フランスにおいては、このような議論の有無といいますか、あるんでしょうか、フランスでも。


○森国務大臣

あるというふうにおっしゃっておりました。



○青木愛

 実際、議論といいますか、濫訴というものがあるのかどうか、その場合、そういう課題について配慮規定等を何か設けられているというか、これから設けるというか、何かそんな方向性もやはりあるんでしょうか。


○森国務大臣

 まだフランスもこの法案は成立しておりませんので、グループ訴訟制度による濫訴というものが起こったということはございませんけれども、経済界からは、そういった不当な目的による訴訟提起が起きたときにどうするのかというような御懸念がアモン大臣の方にも寄せられている。アモン大臣としては、それに対して、いや、この制度は、今までの制度に比べて入り口を大変限定しておるということ、それから、その主体に対してもしっかり指導していくというようなことで、もう経済界の御理解も得ましたというようなお話でした。



○青木愛

 ありがとうございます。
 入り口を限定しているというところがちょっと気になるのではありますけれども、フランスより先にまず日本がこの制度が成立するということで、逆にフランスに対してまたアドバイスできる部分もあるのかなというふうにも思いますけれども、できるだけよいところをお互いに取り入れていったらいいんじゃないかなと、せっかく伺っていただいたので、そう思うものですから、御質問させていただきました。ありがとうございました。
続きまして、支配性の要件について伺わせていただきます。
 一段階目の訴訟要件において、「共通義務確認の訴えに係る請求を認容する判決をしたとしても、事案の性質、当該判決を前提とする簡易確定手続において予想される主張及び立証の内容その他の事情を考慮して、当該簡易確定手続において対象債権の存否及び内容を適切かつ迅速に判断することが困難であると認めるときは、共通義務確認の訴えの全部又は一部を却下することができる。」と第三条四項に記されております。支配性の要件が定められています。
 この規定について、第百八十三回国会の本法案委員会審議の中で、消費者庁は、二段階目の手続において判断すべき個別の事情については、審理を適切かつ迅速に進めることが困難となるような個別事情がある場合には、本制度による適切な判断あるいは速やかな被害回復を図ることが難しいということになる。また、時間がかかるということになると、消費者は手続追行の負担から二段階目への手続の加入をためらいかねないということも考えられる。そういう背景の中で、指摘のような、簡易確定手続において対象債権の存否及び内容を適切かつ迅速に判断することが困難であると認められるときには、訴えの全部または一部を却下することができることを定めたものである。ちょっと長くなりますが、具体的には、例えば二段階目の手続において、個々の消費者の損害や損失、因果関係の有無等を判断するのに、個々の消費者ごとに相当程度の審理を要する場合がこれに当たると考えられる。例えば、ある商品のふぐあいが瑕疵に当たるということを確認したとしても、個々の顧客の購入した商品に当該ふぐあいがあるかどうか、この認定、判断が困難な場合などが挙げられると答弁をされています。
 この規定及びその解釈、余りにも抽象的ではないか、大変わかりづらいなというのが率直な感想でございます。これでは、中小企業を含めた事業者も、そして被害消費者、そして特定適格消費者団体にとって予測可能性を欠くこととなり、本制度の実効性を欠くことになるのではないかと大変危惧をしているところでございます。
 さらに、この抽象的な条文によって、この解釈範囲が安易に狭められることも、逆に広げることも可能となり、まさに争点となる可能性もあり得ます。これでは、二段階目の審理を迅速に進めることは逆に困難になるのではないかと思われますが、御見解を伺わせていただきたいと思います。


○川口政府参考人

 支配性の要件についての考え方は、今委員から御紹介いただいた前に行った答弁のとおりでございますが、支配性の考え方そのものは、二段階型にしたこの制度設計そのものの考え方に由来するものでございます。
 大きく言いますと、一段階目の手続で共通義務をしっかり確認するということでございまして、一旦、この共通義務、金銭の支払い義務でございます、多数の消費者に対する、ある事業者の共通義務の確認がなされたとすれば、その判決がなされ、あるいは和解がなされたとすれば、二段階目の手続である簡易確定手続、ここでは、個別の消費者の債権確定手続、誰にどの消費者が幾らもらえるか、事業者から見れば、誰に幾ら支払うかということを決めるわけですが、ここでは、具体の、長期間かからないということが制度設計の基本でございます。
 仮に、ここで長期間、個々の消費者が時間がかかるといたしますと、多くの消費者ができるだけ簡易迅速に救済を受けられるという制度設計そのものを害することになりますので、基本は、第一段階、ここは案件のぐあいに、論点に応じまして時間がかかる場合がありますが、二段階目は時間がかからない、そういうことを前提につくってございます。
 その上で、対象となる請求の列挙、それから対象外の損害、この具体の列挙の仕方においてもこの支配性の考え方を貫いておりまして、例えば、製造物責任は入りませんということで御答弁しておりますが、拡大損害が入らない、あるいは人身損害が入らない、慰謝料が入らないということも、この支配性の考え方が背景にあるわけでございます。
 ただ、類型的に対象外の損害を決めたといたしましても、個別の案件を全部網羅することができませんので、最後に支配性の原則を条文につけて、個別の事案で、個々の請求、個々の対象外の損害という類型的なところはクリアしたとしても、個別の案件において支配性を欠くという場合があり得るだろうということで、条文をつけ、支配性の要件を欠く場合には却下ということにしたところでございます。
 具体の例については先ほど御紹介いただいたところでございますが、その他、つけ加えさせていただきますと、損害保険金不払いの事案というのがございますけれども、保険事故が生じているかどうかの認定判断が困難な場合、それが金銭支払いにどうつながっていくかわからないというような場合には、支配性の要件を欠くと評価される場合があろうかと思います。
 また、過払い金返還請求におきましても、みなし弁済が成立していないことを確認した、ここを共通義務で確認したとしても、個々の消費者ごとの貸し借りの内容や、どの範囲の取引を一体のものと見て充足計算するかなど、個別の過払い金返還請求訴訟には多数の論点、個別の論点がございます。そうした場合に、一段階目の論点だけで判断しては、二段階目の、個別の消費者が、誰が幾らもらえるかということがわからないという場合がありますので、事案によっては、この支配性の要件に基づきまして却下をする、これは裁判所の方で判断をして却下をするということを認めたものでございます。



○青木愛

 裁判所の方で判断をするということですよね。困難であると認めるときというのは、今御説明をいただいているのですけれども、困難であると認めるときというのをもう少し簡潔に教えていただけますでしょうか。


○川口政府参考人

 条文でございますが、条文では三条の四項ということでございますが、考慮要素という、裁判所が判断をしますから、究極的には裁判所が考えて、第二段階目で相当さまざまな、まず、第一段階目の共通義務確認に係る請求を認容するとしたとしても、事案の性格上、事案の性質、当該判決を前提とする簡易確定手続において予想される主張、簡易確定手続というのは二段階目の手続でございますが、ここでどのような主張が事業者からなされるか、予想される主張、及び立証の内容その他、こういうことを考慮いたしまして、二段階目の当該簡易確定手続において、対象債権の存否及び内容、具体的には、固有名詞のどの消費者が幾ら返してもらえるか、事業者から見ると、どの消費者に幾ら払わなくてはいけないかということについて、簡易に決めることができない、難しいということを裁判所が判断をしたという場合には、この三条の四項を使って却下をするということを定めたものでございます。



○青木愛

 この困難であると認めるときというのがどういうときなのかというのがちょっとまだ今のままでは曖昧なものですから、事案が却下されてしまうのではないかと大変危惧をするものですから、質問させていただきました。
 ある程度の解釈を明確化して、具体的事案を示すような検討が必要ではないかというふうに思いますので、いろいろガイドラインの議論も出されておりますけれども、中小企業を含めた事業者の立場もありながらも、やはり特定適格消費者団体のためにも、もっとわかりやすいガイドラインといいますか、方針、基準を示す必要があるのではないかということを申し上げておきたいと思います。
 続きまして、対象となる請求権の見直しについてお伺いをさせていただきます。
 昨日の参考人、野々山参考人からも、やはり対象範囲が狭いと考えている、そこを拡充することを今後考える必要があるという御指摘をいただきました。
 本制度は、製造物責任被害事案や食中毒などといった拡大損害、また人身損害、例えばカネボウの白斑被害のような人身損害において、慰謝料も求められるような事案は、個別性が高く複雑な事案として二段階目の簡易迅速な手続になじまないとして、現在は対象外とされています。
 しかしながら、こうした事案においても、個別争点において一定の類型化を行えば適用対象として十分対応が可能になるのではないかとも考えております。対象事案を拡大することはそもそものこの法案の趣旨でありますので、多くの被害消費者を救済するということに資すると思っております。
 対象請求権の拡大について、今後検討を行うお考えがあるかどうか、伺わせていただきます。


○福岡大臣政務官

 委員御承知のとおり、この法律案におきましては、施行後五年を経過した場合において、この法律の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとしておりまして、その検討課題は、本法律の五年間の施行状況を踏まえて設定をすることになるというふうに考えております。
 今おっしゃったような対象となる請求や損害の範囲につきましては、きのうの参考人質疑でも出たということでありますが、平成二十三年八月の消費者委員会集団的消費者被害専門調査会報告書においても、引き続き調査すべき事項であるというふうに報告された事項がございまして、そういったことも踏まえて、今後検討してまいりたいというふうに思っております。


○青木愛

 ぜひ検討していただきたいと思います。できるだけ対象を拡大していくという方向での努力とともに、やはりこれも参考人質疑で述べられておりましたけれども、悪徳商法等に対してはこの仕組みは無力であります。むしろ行政制裁ですとか、財産の差し押さえはもちろん、刑事司法の積極的活用、悪徳商法を根絶するための別の方策もあわせて考えていかなければならないと思っています。
 方向性として、できるだけ門戸を開く、対象を拡大する、そして悪徳商法の対応をどうしていくのか、この二つの方向をぜひ今後検討していただきたいと思いますが、森大臣の御見解をいただけませんでしょうか。


○森国務大臣

 悪徳商法に対して無力だとは思っておりません。悪徳商法こそ、この法案の対象なんです。良質な企業は対象にしていないんです。
ただ、悪徳商法の根絶がこの法案だけでできるとも思っておりません。大変困難だと思っております。
 私自身、悪徳商法と二十年余りずっと戦ってきた弁護士としては、悪徳商法と戦うための一つのツールにすぎないと思っておりますが、現在の法制度では、訴訟を提起するまでの時間が大変長くかかりました。それから、財産の散逸を防ぐための仮差し押さえなどの制度も、財産的にも、そして証拠的にも、それから被害者をたくさん集めなければいけないということでも困難が非常に大きかった。その一つ一つを簡素化し、より迅速にしている制度だと思っております。
 ただし、課題もございますので、それはしっかりと検討をしてまいりたいと思っております。



○青木愛

 この制度で悪徳商法を全てではないにしても対象にできるということでありました。その辺も、これから周知をしていく中で、国民にわかりやすく、個別具体例を挙げながら示していただければ大変助かります。
 最後に、周知について御質問させていただきます。
 今お話にありましたとおり、この制度でどの程度の被害がカバーできるのか。対象となるのか、あるいは対象とならないのか。対象とならない場合はどういう道が開けているのか。また、本当に悪質な被害についてはどう対応したらいいのか。
 法律の説明よりも、個々の事案、事例をもとに、わかりやすく、こうした内容を含む周知にしていただきたいなというふうに思っています。
 被害者は決して専門的知識があるわけではありませんので、この範囲ではありませんよとばさっと切られてしまっても大変意味がないものですから、ぜひ、消費者やまた高齢者の目線に立った丁寧なわかりやすい周知内容にしていただきたいというふうに思っています。
 最後に、森大臣に、この周知を含めてお願いをさせていただきたいと思います。
 昨日も参考人の皆様にいろいろお尋ねをして、本当に示唆に富んだアイデアをいただいたというふうに考えております。中で、経団連の阿部参考人からは、事業者への事前周知活動として、特に中小企業等にどうやってこの仕組みを知らせてやるか、やはり全国各地の商工会議所あるいは商工会、そのほか中小企業団体にまず知ってもらわなければならないというふうにおっしゃってもおられました。
 こうした事業者側の歩み寄りといいますか積極的な取り組み、また知恵をいただくことも大変有益であろうかと思いまして、また、それにより、よりよい市場を確保して、本当に安心して暮らせるような、そういう環境整備が必要だというふうに思っています。
 その中で、中小企業庁と消費者庁との連携でぜひとも取り組んでほしいという御発言もございました。
 また、たしか河野参考人だったと思いますが、学校現場の方で、消費者問題、消費者保護制度などの教育をする機会を設けてほしい、それに加えて、自治体の窓口や消費生活センターといった消費者と接する最前線の人たちにまずこの制度をしっかりと理解をさせて、広報を充実したものにしていくことが大事だと。
 また、別の参考人の方からは、出前講座や、あるいは行政書士会、税理士会などでも取り組みをされているというようなお話もあったかと思います。
 また、民主党の泉委員からは、事業者に会見を開いていただくのがいいのではないかという御意見もありました。私も大変有用だと思いました。
 そして、地元の消費者センターも、消費者庁の方で何か広報物を考えていただいているのではないかというふうに期待をしておりました。私たち国会議員も、ぜひ地元のいろいろな集会などで、パンフレット等をお預けいただければ、どんどんお配りもしたいというふうにも思っております。
 ぜひ消費者庁におかれましては、消費者庁の設置法によりますと、各省庁に勧告等もできるということになっているはずですし、今後、経産省や中小企業庁、総務省、あるいは文科省等々への強力な働きかけを、ぜひ森大臣を先頭にお願いをしたいというふうに思いますし、閣議の議題に上げていただきまして、関係閣僚の皆さんの御確認をいただければというふうに思っております。
 また、るる指摘がございましたとおり、施行に向けた財源の確保、そして情報がしっかりと提供できる仕組み、この点についても御尽力をお願いしたいというふうに思います。
 最後に森大臣の御答弁をお願いいたしまして、質問を終わらせていただきたいと思います。


○森国務大臣

 中小企業のことを言っていただいて、ありがとうございます。
 アベノミクスでデフレ脱却、経済成長していく上で、安倍内閣では、過去の反省にも基づきまして、経済成長したときのその果実は、地域に、地方に、中小企業に、そして額に汗して働く方々の手に行き渡るような仕組みをあわせてつくっていかなければならないというふうに思っています。
その一つがこの法案である制度であり、そこでセーフティーネットを張っていく。つまり、デフレ脱却、経済成長の陰で、弱者が泣いてしまう、泣き寝入りをしてしまうというようなことはなくしていこう、そういう精神で頑張っておるところでございますので、中小企業の皆様を初めとした企業団体の皆様にもしっかりと周知をして、またその御意見もしっかり聞いてまいりたいと思います。
 やはり今までは、消費者と企業が敵になって戦っていて、企業側は消費者をみんなクレーマーだと思っている、消費者側は企業を全部悪玉企業と思っている、そのような、相手は悪玉、自分は善玉という妄想の中で戦っていたんですが、これはウイン・ウインを目指していかなきゃいけない。
どちらの世界にも善玉も悪玉もあって、一人の人間が、家にいるときには家庭人であり消費者、そして、会社に働きに行けば生産者の一人であるということを自覚していくという中で、先ほど出た消費者教育、これは、推進法ができ上がりましたので、私のもとで教育推進会議を設置いたしまして、これが動き出したところでございまして、学校教育の中にも、そして社会人教育の中にも、しっかりと自分の足で立って、自分の身は自分で守れるような知識を持った消費者を教育するということをしておりますので、その中でも、この法制度についても徹底をしてまいりたいと思います。
 そして、報道が、やはり、一つ不祥事が起きますと、非常に過大な反応をすることで企業が自浄作用を発揮できなくなる。つまり、何か不祥事がありましたということを自分のところで認めて発表した場合には、それは一定程度評価をして、自浄作用を応援するような形にしないと、隠蔽工作がやはりまかり通っていって、ばれなければいいだろう、ばれないようにしようというような風潮が進んでしまうと思います。
 基金という話がほかの委員でありましたけれども、実は、民間の基金はファンドがございまして、私もそこに少し寄附したことがあるんですが、消費者団体の組織を運営するための基金でございます。こういったところに、例えば、不祥事を自分で発見した企業が、そこに、ごめんなさいということで少し民間のファンドに寄附をするようなことが慣習として広まっていけば、企業の自浄作用と、それから消費者団体の活動というものが正常に動いていくようになるのではないかと思いまして、そういった周知、広報についてもしっかりと努めてまいりたいと思います。
ありがとうございます。


○青木愛

 ありがとうございます。
 ぜひ、森大臣の御専門でもありますし、また、さまざまな経験をもとに、閣内でも旗振り役として各省庁に強力に働きかけをしていただいて、消費者が安心して暮らせるように今後ともよろしくお願いを申し上げます。
 ありがとうございました。