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  | HOME | >活動記録>>発言録2013年12月4日 衆議院文部科学委員会


東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催に関する諸課題集中審議
    

○青木愛

 おはようございます。生活の党の青木でございます。
 きょうは、オリンピック・パラリンピックの集中質疑ということで、私は政府の方に御質問をさせていただきます。
 オリンピック招致に御尽力をされた皆様には本当に心から敬意を表しますとともに、私も心から歓迎をいたすものでございます。ただ、やはり一つ確認をしておかなければならないことは、原発の収束の課題でございます。
 オリンピック招致の最終プレゼンで、安倍総理がそのスピーチの中で福島の状況を、アンダーコントロール、状況はコントロール下にある、私がその安全を保証します、状況はコントロールされています、汚染水は福島第一原発の〇・三平方キロメートルの港湾内に完全にブロックされていると発言をされました。耳を疑った国民も少なくなかったかもしれません。
 決して水を差すつもりでもなく、オリンピック招致を歓迎をいたしておりますけれども、おとといの二日にまた東京電力が、第一原発の海側周辺で地下水の放射性物質の濃度が上昇傾向を示していると公表をされました。一号機と二号機の間の海側にある観測用の井戸で採取した地下水から、ストロンチウムを含むベータ線の濃度が、これまでで最も高い一リットル当たり百十万ベクレル検出されたという発表でございました。建屋本体から漏れている可能性はことし冒頭の代表質問でも指摘をさせていただいたんですが、今、こうした公表が出てきたということでございます。
 福島の状況はコントロールされている、安全を保証しますと言ったこれは国際的な約束でありまして、国会議員全員の果たすべき責任でありますが、その中でも、特にオリンピック担当大臣を担われる下村大臣として、現在、共同責任者としての福島原発事故の収束に対するその責任ある覚悟を、大臣からもまずお聞かせをいただきたいと存じます。


○下村国務大臣

 御指摘のように、九月七日、IOC総会において安倍総理が、状況がコントロールされているというふうに発言したわけでございます。
 これは当初のプレゼンの原稿にはなかった内容だったんですが、事前に私は四日から現地に入っておりまして、会う全てのIOCのメンバーからこの汚染水問題を必ず聞かれました。それは、海外から見ていると、福島の問題は同時に東京の問題、世界地図で見たら日本は小さな島国のような状況ですから、あたかも日本全体がこの汚染水によって侵されているというような報道、イメージが先行しておりました。
 それで総理が判断をして、状況がコントロールされているということもプレゼンの中でつけ加えたわけでありますが、内容は、福島近海での放射性物質の影響は発電所の港湾内の〇・三平方キロメートルにおいて完全にブロックされている、また、外洋においても、福島県沖を含む広いエリアでしっかりモニタリングをしていて、基準値をはるかに下回る、これはWHOの水質ガイドラインの五百分の一以下であるということを質問の中でも答えられたところでございます。
 現在は、九月三日に政府が決定した汚染水問題に関する基本方針に基づいて、地下水を汚染水に近づけない、また、汚染源を取り除く、そして汚染水を漏らさない、この三つの基本方針のもと、汚染水の影響が外洋に及ばないよう国として予防的かつ重層的な対策を講じているわけでございまして、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックまでに世界の人たちから安心してもらえるような対策を、これは政府が責任を持って対応する必要があるというふうに思いますし、また、そのように取り組む覚悟でございます。



○青木愛

 下村大臣の御覚悟はよくわかりました。ただ、代表質問の答弁のときもそうであったん
 ですが、今回はタンクから漏れているのではなくて、本体そのものから漏れている可能性がもうこれは大だというふうに思っていまして、モニタリングをしているということなんですが、まさに、そのモニタリングをしている井戸から今回初めてストロンチウムを含む高濃度の汚染水が検出をされたという、新たなまた事実が発表されたというふうに思っております。外洋に出ている可能性もあるんだろうと思わざるを得ないというふうに思うんです。
 ですので、本当に事は深刻だなというふうに思っていまして、オリンピックが来るからやらなきゃいけないということではなくて、そもそも、国が一丸となって収束に向けて、本当にそれこそ命がけで取り組んでいかなければならないわけでありますが、ある意味、この安倍総理のスピーチによって日本みずからタイムリミットを設けて世界の皆様をこの国にお呼びするわけなので、やはり安全対策、安全確保というのは、本当にこれはしっかりと国内の課題としても何としてもやり遂げなければならないことでありますので、この収束の見通しがつかなければオリンピック招致ももしかしたら本当に実現できるのかというところまで考えて、本当に国を挙げて、これは国会議員の責任でもありますけれども、本当に取り組む覚悟が必要だというふうに考えております。
 そして、このオリンピック開催を、やはり東北の被災者の皆様とともに喜べるオリンピックにしなければならないというのは当然でありまして、東北の被災者の状況ですとか被災地の復興を忘れて喜ぶことはできないわけでありますが、この被災地についてどのように考えていらっしゃるか、被災地の皆さんとともに喜べるオリンピックとするために政府としてどのように今考えていらっしゃることがあるか、お聞かせをいただきたいと存じます。


○下村国務大臣
 今、青木委員から御指摘がありました。汚染水問題はいろいろな状況はあり得ると思いますが、ただ、福島県沖を含む広いエリアでモニタリングをして、そしてその結果、基準値をはるかに下回っている、WHOの基準の五百分の一以下である、これは客観的事実ですから、風評被害等によって水産物等がマイナスにならない、これはこれで安心したものを出荷しているわけですから、これはぜひ世界の方々に、国内の方々もそうですけれども、誤解を与えることがないようにしっかり取り組むべきことであるというふうに思います。
 その上で、汚染水問題については政府が責任を持って対応をこれからしていくということでございます。
 それから、被災地の方々とともに喜べるオリンピックということでありますが、単なる一過性のイベントとするのではなくて、日本社会再生のための大きなうねりとして、全国的な波及効果を及ぼしていくようなオリンピック・パラリンピックにしていくことが大切だと考えております。東京だけでなく、東日本大震災の被災地を含め日本全体が活力を取り戻す大会となるよう、東日本大震災からの復興を着実に推進することにより、復興をなし遂げた日本の姿を世界に発信していきたいと考えております。
 被災地では、これまでも日本オリンピック委員会がオリンピアンの参加によるスポーツイベントを実施してきたところであり、二〇二〇年に向けても、こうした関連イベントの実施が考えられるほか、聖火リレーや各国代表選手団の事前合宿など、さまざまな取り組みが考えられます。
 これらの取り組みは、来年二月までに設置される大会組織委員会においてしっかり検討されるよう、今、内閣府のオリンピック・パラリンピック推進室の中で既にその取り組みについて企画立案をつくっているところでありますが、これが組織委員会でも反映されるように、政府としても働きかけてまいります。



○青木愛

 ありがとうございます。
 まずは東北の状況が、やはり今回の震災の前の状況を取り戻すことは難しいかもしれませんが、少なくとも仮設ではない生活を取り戻していることですとか、仕事もないままこのオリンピックを喜んでいる場合ではないというのが実際のところだと思いますので、仕事のことですとか、あるいは、岩手県の大船渡の方からせんだって伺ったお話で、学校のグラウンドに仮設住宅が建っているために子供たちがスポーツや運動をする場所がないという御要望をいただきました。ちょっと具体的なことですが、この点についてもお聞かせをいただきたいことと、それから、先ほど下村大臣が、WHOの基準をはるかに下回っているというふうにおっしゃったことをもう一度伺いたい。
 それで、やはり今政府、国がいろいろとこうだああだと言っても、果たして本当にその情報が確かなものなのか、まだまだ何かこれから出てくるのではないかと。今回の東電の発表も、おとといの公表、初めての事実がまた明かされているというか、初めてこれは検出をされたんだと思いますけれども、やはりそこにまだまだ国民の中にも不信感といいますか、まだそういうものが根強くあるものですから、もう一度確認をさせていただきたいのです。WHOの基準をはるかに下回っているというのが、いつのことでということをもう一度お聞かせいただけますでしょうか。


○下村国務大臣

 まず、安倍総理が九月七日、ブエノスアイレスのIOC総会で発言した内容でありますが、汚染水そのものについて、もちろん、ないというふうに否定したわけでは全然ないわけですね。
 ただ、〇・三平方キロメートル以内の発電所の港湾内、発電所の中の話としては、これは現実問題として今も汚染水問題が深刻な問題としてあるということは事実であるわけですが、世界から見たら、この港湾内の問題が、同時に東京、日本全体の問題として汚染水の影響を受けているのではないかと思われるような報道が多々ありました。
 それについてのブロックという定義として、コントロールの定義として、全てがコントロールされているわけではないわけですから、少なくとも外洋とか東京とか、そういうところについては影響がない、現時点においても影響がないという具体的な事例として、これは九月七日のプレゼンの前の調査ですけれども、福島県沖を含む広いエリアでモニタリングをした。その結果、WHOの水質ガイドラインの基準値の五百分の一であったということです。この調査というのは、九月七日以前の調査ということであります。



○青木愛

 事態はまた時間とともに変化もいたしますし、きっちりとした検証とともに、また情報発信を少なくともお願いしておきたいと思います。
 東北の子供たちのグラウンドが使えないという点については、何か御所見はございますか。よろしくお願いします。


○久保政府参考人

 今、グラウンドが確かに仮設住宅が建って使えなくなって、運動不足になっているという話は聞きます。直接教育長さんからも私も聞いたことがあります。
 そこで、運動不足を解消するために、リフレッシュキャンプなどいろいろなところにお連れして、そこで運動してもらってストレスも解消していただくような手法を国としても支援しておりますし、さらに、復興庁と連携いたしまして、放課後、いろいろなところで、学校、グラウンドだけじゃなくて、外で遊びたがらないという例もありますので、場合によっては、グラウンドに屋根をかぶせてそこで運動できるようにするというような予算措置を講ずるとか、いろいろな工夫をしているところでございまして、そういう意味での、可能な限りそのような場をつくるということについて、地元のニーズも聞きながら連携していきたいと考えているところでございます。



○青木愛

 ありがとうございます。
 グラウンドに屋根をつくりながらというのもなかなかちょっと成長期の子供たちには不自然な感じもするのですが、仮設にお住まいの皆様方も早くふだんの生活を取り戻すことが大事ですし、やはり成長期の子供たちにとっても、せめて運動場は確保してあげたいなというふうに思いますので、よりよい方法をこれからも全力を尽くしていただきたいとお願いを申し上げます。
 話をかわらせていただきまして、この委員会でも視察をいたしました、北区にございますナショナルトレーニングセンターの現状、今後の課題についてお聞かせをいただきたいと思います。
 このナショナルトレーニングセンターは、スポーツ振興基本計画に基づきまして、平成二十年一月に日本のトップアスリートの国際競技力の総合的な向上を図るトレーニング施設として開所以来、多くのアスリートの皆さんが研さんを積み、優秀な成績を上げてきました。この施設等の活用で、ロンドン・オリンピックのメダルの獲得数も飛躍的にふえたというふうに聞きました。
 一方、この施設の性格上、利用対象は、JOCの強化指定選手か、中央競技団体の推薦を受けた強化選手に限られているために、その全容は地元区民もわからないことが多いのも事実でございます。
 しかし、本年九月の、ブエノスアイレスで開かれたIOC総会で開催都市に東京が選ばれたことで、同時にレスリングが実施競技に復活するという二重の喜びを受けて、このナショナルトレーニングセンターの存在がますます今地元では大きな存在となりまして、周辺の商店街を中心に、独自の応援イベントなどが盛んに行われるようになりました。
 現在、各競技のオリンピック強化指定選手がおられまして、JOCエリートアカデミーで訓練を積んでいらっしゃる選手の方々、その現状と今後について御質問させていただくのですが、現在は、レスリングと卓球とフェンシング、これらの競技を対象に、中学一年生から高校三年生までの四十四名の皆さんが、このトレーニングセンターを生活拠点として、近隣の学校に通学しながら、一貫指導システムで指導を受けているわけでございます。生徒さんたちも全国からいらっしゃいますので、転校しながら、親御さんのもとを離れて訓練また学業に励んでいるわけなんです。
 こうした生徒さんたちの生活環境というのはどのようになっているのか。精神面ですとか、生活費等々金銭面の課題ですとか、あるいは、訓練をしながらも、やはり学生でありますので、その教育的な配慮等々がなされているのか、地元自治体と国との連携等々がどうなっているのかをお聞かせいただきたいと思います。


○久保政府参考人

 今御質問ございましたエリートアカデミーに入っている子供たち、保護者のもとを離れて北区の中学校に通学しておりますので、いろいろな、学力の面ですとか生活の面ですとか、悩んだりすることもあるわけでございます。
 そこで、現在、定期的に日本オリンピック委員会と北区の教育委員会、さらに学校等が合同会議を開催するなどいたしまして連携を図りまして、アスリートの面倒見といいましょうか、生活環境が充実するような工夫をしているところでございます。
 こういった取り組みを引き続き実施することによりまして、周辺自治体とも連携して、アスリートの生活環境の整備が図られるように努めてまいりたいと考えているところでございます。



○青木愛

 ぜひよろしくお願いします。経済的な面で能力ある選手の可能性を潰すことのないように、あらゆる手段を考え、また、対策を講じていただきたいと思います。
 そして、この北区は、恐縮ですが、今、私の地元であるわけなんですが、お隣が下村大臣の御地元でございます。地元では今、やはりオリンピック招致が実現をしたことで、子供たちも大人たちも活気を取り戻しつつあるというところかというふうに思います。ただ、一方でこの北区は、東京都の中でも高齢化率が最も高い地域であります。
 地元のことを挙げて恐縮なんですけれども、報道によりますと、日本を代表するデザイン界の方々がフォーラムを設立されて、東京を、このパラリンピックにおける情報のバリアフリー化ということで、視覚、聴覚に問題を抱える人にどう情報を伝えるか、高齢化社会が進む中で、就業人口減少、また通勤者の減少から、速い交通から遅い交通を検討する機会にといった提言もあったようでございます。
 この点について、オリンピックを契機にさまざまなアイデアが集まっているわけでありますが、これが東京だけではなくて、また、全国にオリンピックの効果を波及させていく必要もあろうかと思います。こうした障害者の皆様、高齢者の方々に対するオリンピックを契機としたさまざまなアイデアについて、わかる範囲でお聞かせをいただければと思います。


○冨岡大臣政務官

 ただいまの青木委員の質問にお答えします。
 委員御指摘のように、このオリンピック・パラリンピックを契機として、新しい環境未来都市、バリアフリーの町づくりを進めていきたいと考えております。
 したがいまして、東京にオリンピックを招致した際に、環境負荷の最小化、あるいは、自然と共生する都市環境計画等を柱とした環境ガイドラインを策定したところであります。
 したがいまして、最高の環境基準を推進するさまざまな措置がこれから講じられていく、講じるのは私たちでございますけれども、取り組んでいきたいと思っております。


○青木愛

 ありがとうございます。
 ぜひ、子供から大人まで、また高齢者も、そして障害を持った皆様にとってもプラスになるオリンピックとなることを願っておりますが、今御答弁いただきましたことを受けてさらに質問をさせていただきたいと思います。
 今、環境の問題にちょっと移されましたけれども、自然との共生もこのオリンピック開催の課題であるということなんですが、一つお伺いをしたいのが、これも報道で知った限りなんですけれども、都内でも人気のレジャースポットである葛西臨海公園なんです。八十一ヘクタールにわたる広大な公園には、都内でも貴重な干潟が広がって、ウグイスなど野鳥が二百二十六種類、また、昆虫、樹木、野草など貴重な環境保全がされているというところなんです。ここにカヌーのコースが建設予定だということで、競技用の人工的な激流をつくるということでここが設定されているんだそうですけれども、やはり、貴重な干潟が破壊されてしまうかもしれないと心配する声も上がっているんです。
 環境都市宣言を目指すという中において、これについてもう一度お聞かせいただけますでしょうか。


○冨岡大臣政務官

 先ほど御質問もあったと思いますけれども、環境、それから障害者、そして、環境の中で葛西臨海公園を、干潟をしっかり保存しながらやっていきたいと思っております。
 特に、委員から今御質問のありました葛西臨海公園については、施設計画における観客席を仮設として環境に負荷のかからないようにして、大会後は撤去するなど、環境に対する影響をできるだけ少なくしてやっていくつもりでおります。
 また、地元の江戸川区や日本野鳥の会の話を伺うなどの計画もございまして、現在、検討を進めているところでございます。



○青木愛

 この課題については御認識をいただいているかと思いますので、ぜひお取り組みの方をよろしくお願いを申し上げます。
 あともう一点、先ほどの話とも関係しますが、日本は世界に先駆けた少子高齢社会であります。
 スポーツへの関心が高まるのを活用して、子供から高齢者まで、スポーツを取り入れた、健康で生きがいのある暮らしづくりを工夫すべきだと考えております。それは、当然障害者にも配慮したバリアフリー社会でもございます。先進国や中国はこれから少子高齢社会に向かいます。東京をぜひ先進モデル都市としてするべきだというふうに考えます。
 また、多くの若者、少年がスポーツに関心を高め、体を鍛えることも意義のあることで、最近は、コンピューターですとかスマホが普及しまして、また、現実とバーチャルの世界の中でその心身の健全なバランスにゆがみが来ているとの指摘もございます。
 こうした視点からも、ぜひスポーツへの関心が高まるこの機会を活用して、誰もが健康で生きがいのあるそうした暮らしづくりを目指すべきだというふうに考えますが、その点について御所見をいただければと思います。


○冨岡大臣政務官

 委員から、環境への負荷のないような、あるいは障害者に配慮したようなオリ・パラをぜひという御質問だと思います。私たちも、そういうコンセプトでいろいろ今計画を練っているところでございます。したがいまして、スポーツへの関心が高まることを機に、委員御指摘のように、子供から高齢者まで、障害者を含めて、あらゆる世代の国民がスポーツに親しみ、また、スポーツの力で、健康であり生きがいのある暮らしづくりを進めていくことを目指しております。
 委員の御意見、御質問を参考にしながら、これからも前向きに取り組んでいきたいと思っております。
 御質問ありがとうございました。



○青木愛

 ありがとうございます。
 スポーツの力を信じ、活用して、日本全体が元気を取り戻し、次の時代の展望が開けるようなオリンピック・パラリンピックとなりますように御祈念申し上げ、質問を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。