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  | HOME | >活動記録>>発言録2014年4月15日 衆議院消費者問題に関する特別委員会


景品表示法・消費者安全法改正案に関わる参考人質疑
    
参考人の方々は以下の通りです
久保田政一 (一般社団法人日本経済団体連合会専務理事)    中村啓一 (公益財団法人食の安全・安心財団理事・事務局長)
根岸哲 (甲南大学法科大学院教授・神戸大学名誉教授)      増田悦子 (公益社団法人全国消費生活相談員協会専務理事)


○青木愛

 生活の党の青木です。きょうは、参考人の皆様から貴重な御意見をいただきまして、まことにありがとうございました。
 早速質問に入らせていただきます。まず、消費者庁長官の権限委任について各参考人にお伺いをさせていただきます。
 今回の改正案におきまして、政令で定める事情があるときということではございますが、消費者庁の調査権限をほかの省庁に委任できるということになっています。人手不足が指摘される消費者庁にとりまして、この規定がうまく機能すれば効率的に監視体制が整備されるということになろうかと思いますけれども、この権限委任の規定について、より実効性のある制度とするために、制度面あるいは運用面で留意する点、あるいはお立場によっては御懸念の点もあろうかと思いますので、それぞれのお立場での率直な御意見をまず伺わせていただきたいと思います。


○久保田参考人

 今回の法改正の中で、行政の監視指導体制の強化というのは非常に重要なものだというふうに我々は考えております。基本的には、地域における表示に関する監視指導体制を充実させて迅速な対応を可能にするということについては、私ども賛成でございます。
 ただ、経済界としましては、都道府県ごとにばらばらな運用になるということを非常に懸念しておりまして、仮にそういったことが起きますと、予測可能性あるいは公平性を著しく損なって、法令を遵守している健全な事業者に萎縮効果が生じかねないというふうに思っております。例えば、ある県では問題ない表示が別の県では不当表示というようなことになれば、ルールを守ろうとする事業者に萎縮効果が生じかねないということでございます。そういった意味で、基準を統一して、わかりやすくしていただきたいというふうに思っております。
 また、消費者庁あるいは各都道府県には、監視だけではなくて、常日ごろから適正な表示のあり方について事業者とコミュニケーションをとれるような体制をぜひ整えていただきたいというふうに思っております。
 以上です。


○中村参考人

 お答えいたします。今回のメニュー表示も、大変な数の事業者がみずから公表されたということでございます。多分、消費者庁はこの調査に大変混乱したのではないかというふうに考えております。もしこの事態に、例えば食品表示Gメン、全国一千名を超える人間を使えるということであれば、全国の一斉調査が可能であったのではないかなというふうにも考えております。そういう意味で、他の全国組織を持つ省庁、全国のネットワークを活用するということは極めて有効であるというふうに考えてございます。
 ただ、その場合に、これまでも申し上げましたが、やはり統一した基準で同じ仕事ができないと問題が発生するということになりますので、そのための判断基準、同じ物差しを持たせる、それから指揮命令系統、これも明確にするというようなことが大切だろうというふうに考えております。都道府県に対する権限移譲も同じ状況だというふうに考えております。
 以上です。


○根岸参考人

 不当表示というのはあらゆる産業分野が対象ですので、消費者庁だけでこれに対応することは不可能だと思います。したがって、各省庁に調査権限を委任するというのは当然のことだし、不可欠だと思います。これがないと、この不当表示自体、それだけとっても、その執行体制を確保することはとてもできないと思います。
 同じように都道府県にも地域ごとのそういう問題がございますので、同じような権限を委任するということは、これまた不当表示、景品表示法の執行体制にとって不可欠だというふうに考えています。


○増田参考人

 私も同様に思います。例えば、通信事業者であれば総務省、金融事業者であれば金融庁の方に、恐らく顔は向いているというふうに思いますので、消費者庁の言うことを聞かないというわけではないと思いますけれども、やはり、省庁に権限を委任、渡して、そこで調査をする、既存のネットワークを使うということは、非常に速やかな調査ができるのではないかというふうに期待しております。



○青木愛

 ありがとうございます。昨年のその後の調査の反省も踏まえて、各省庁とのネットワークづくりは不可欠だという参考人からの御意見だったというふうに捉えさせていただきました。
 中村参考人にお伺いをさせていただきたいと思います。
 農水省の食品表示Gメンは、恐らく専門性もおありで、ノウハウも既にお持ちだと思いますので、機動力はあろうかというふうに思うんですけれども、これからあらゆる産業分野を対象とする中で、今お話があった総務省であったり金融庁であったりという連携の中で、果たして速やかな対応ができるのかなという懸念も一方で持っておるんです。
 実際、そのGメンとして現場で活動された中での率直な何か課題、問題意識ですとか、大変なことですとか、国に足りないことですとか、その辺のことをざっくばらんに教えていただけますでしょうか。


○中村参考人

 農水省の食品表示Gメンと申しますのは、JAS法を改正して、かつて雪印食品という大きな事件がございました、その後の反省から、旧食糧事務所、これを廃止いたしまして、消費安全部門に人を持ってきて発足させた組織です。ですから、実は、ある日突然、二千名という職員が、これまでの業務と全く違う表示監視というところについたわけです。ですから、立ち上がりは非常に大変でございました。ただ、その後、さまざまな経験をする中で、今日の姿になってきているわけでございます。
 実は、景表法等でも連携は必要だと私は申し上げておりますけれども、課題が幾つかあります。JAS法というのは、非常にきめ細かなルールが決められておりまして、現場で職員が動きますけれども、ある意味、現場の職員の裁量はほとんど排除しております。そのルールに従って対応するということになっております。片や、景表法と申しますのは、裁量は、非常に、一つ一つを個別に判断するということで、なかなか難しい部分があります。
 ですから、現場の職員に対してどこまで権限を任せるのか、いわゆる調査のみ、それ以上の判断は上級庁でやるという体制を整えるか、その辺のきめ細かな仕組みというのが必要になってくるかなというふうに考えてございます。



○青木愛

 大変貴重な御意見、ありがとうございました。
 続きまして、都道府県知事への措置命令権限の付与について、各参考人にお伺いをさせていただきます。
 今回の改正案によりまして、都道府県に措置命
令権限が付与されることとなっておりますが、この規定が生かされるためには、何といっても都道府県にやる気になっていただかなければなりません。国と地方の情報、ノウハウの共有、あるいは連携強化、幾つか整理すべき点があろうかと思いますけれども、この点についても、何か問題点も 含めて御意見をいただければ助かります。


○久保田参考人

大体、先ほど申し上げたとおりでございまして、連携をよくとってやっていただければというふうに思っております。


○中村参考人

同じでございます。これまで述べたように、連携は不可欠というふうに考えてございます。



○根岸参考人

 私は、前にこの場に寄せていただいたときも同じことを言ったんですけれども、確かに、都道府県知事に強い権限を与えるということは、一見したらよいんですけれども、しかし、もらったことによって、かえって運用が難しくなるというおそれを常に私は持っています。
 それは、そもそもその体制がないところで強い権限をもらっても、結局、動かない。現行法は、指示をして、そして問題があれば、消費者庁に、やってください、こういうわけですから、それなりに、安易にと言うと怒られますけれども、比較的簡易に事案を処理できたところを、自分たちが最終的にその権限を持つということになると、非常に慎重になってしまうのではないかと。わかりませんけれども。
 したがいまして、現在のところ、多くの自治体ではそんな実力は十分ない。なので、その実力を持っていただくためにどうするかということが一番重要で、やはりそれは、人的、財政的な体制というか、バックアップが不可欠であるというふうに思います。


○増田参考人

 私も同じように考えます。
 やはり人的なところでの研修が必要だと思いますし、先ほど申し上げたように、窓口の充実、国の方の窓口の充実をしていただきたい。国と、それから自治体との人的交流という形で、人を育てるというようなことをしていっていただきたいなというふうに思います。



○青木愛

 ありがとうございます。
 それでは、景表法の摘発例の中で、先ほど増田参考人からもお話がございました、健康食品の事案が多いということでございますが、消費者庁では、アメリカのダイエタリーサプリメント制度、これを参考に制度設計を検討しているというふうに伺っているのですが、果たして日本の見本となるのかどうか。メリット、デメリットについて、これは増田参考人にお伺いできますか。この点について、もし、お伺いできる点は、参考人の皆さんの中でおありでしょうか。
 おありでなければ、では、質問をかえさせていただきまして、また改めて御指導いただきたいと思いますけれども、今回消費税が増税となりまして、質問でも取り上げたんですが、内容量を減らしたにもかかわらず、価格据え置きと表示する場合ですとか、二重の価格表示とか、こういう問題意識を指摘させていただいたんですが、現在、消費者の方から何かこれに関するさまざまな声は上がっておりますでしょうか。


○増田参考人

現状、急にこの件について相談がたくさん寄せられているという状況にはありません。



○青木愛

 ありがとうございます。
 それでは、これも質疑の中でちょっと御要望を申し上げた点なんですけれども、適格消費者団体、これから実績を積んでいただくわけなんですけれども、スーパーコンプレイン制度ですとか、立証責任軽減規定というようなものは行政措置であることは承知はいたしておるんですけれども、この適格消費者団体に、財政面あるいはさまざまな支援とともにこの制度設計での導入の検討ということというのは余り考えられないことなんでしょうか。増田参考人にお伺いさせていただきます。


○増田参考人

 済みません、ちょっと詳しくわからないものですから、お答えはきょうは。また情報を提供させていただきたいと思います。



○青木愛

 はい、わかりました。ありがとうございます。
 それでは、用意してきた質問は以上でございますので、次の質疑に参考にさせていただきます。
 大変ありがとうございました。