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  | HOME | >活動記録>>発言録2014年4月16日 衆議院文部科学委員会


地方教育行政法関係の政府案と民主・維新案の2法案の質疑
    

○青木愛

 生活の党の青木でございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
 まず、昨日も、安倍総理に今回の提出された閣法についての評価と意欲についてお伺いをしたのですが、下村大臣にもお伺いをしたいというふうに思います。
 政府の教育再生実行会議の第二次提言において、教育長を教育行政の責任者と位置づけた上で、首長に任免権を付与すると求めたとございました。
 その後、中教審においては、首長を教育行政の責任者として教育長の任免権を付与するとともに、教育委員会の性格を執行機関から首長の附属機関に改めるという、いわゆるA案が提案されたと思います。まさにこれが抜本的な改革案ということで提示をされたというふうに思います。その後、教育の継続性、安定性、特に政治的中立性という議論がなされ、最終的に、修正案が最終案となって閣法として提出をされております。
 何十年ぶりの抜本的な大改革だというふれ込み的な部分もあり、果たして本当にそうなのかという思いがございます。
 この法案改正の端緒である大津あるいは桜宮のこうした事件を二度と起こさないんだ、そうした決意のもとで、あくまでも、地方教育行政、地教行法の改正で当たるんだということなのか、安倍総理や下村大臣が以前から主張しておられるかと思うんですけれども、戦後の教育行政を抜本的に変えようとされているのか、我が党としても、賛否を含めてそこのスタンスをまず明確にしていただかないと、どういうふうに、どういう立場で臨んでいいのか大変苦慮しておりますので、まずそこの整理をさせていただきたいと思いまして、大臣のこの閣法に対する受けとめとお姿勢について、まず冒頭、お伺いをさせていただきたいと思います。


○下村国務大臣

 今回の改正案は、地方教育行政における責任の明確化、迅速な危機管理体制の構築、首長との連携の強化を図るというものでございます。 
 そういう観点から、御指摘がありましたように、首長により権限を持たせるということにしたわけでありますが、ただ、その場合は、やはり教育の政治的中立性、継続性、安定性の確保、そういうものは担保しなければならないという部分から、教育委員会については執行機関として残す。
 しかし、今までのような教育委員会ではなくて、教育長が、教育委員会の中で教育委員長と教育長、二つ分けられていたわけでありますが、一本化をして明確化する。それで、その教育長に対しては首長が任命をすることができる。
 しかし、大綱的なものを含めたものは、総合教育会議を設けて、首長が主宰をし、教育委員のメンバーにそこに入っていただいて協議、調整を行うということで、トータル的な形で、公正公平な部分、政治における中立性、それから継続性、安定性を担保しながら、しかし首長の意向が反映できる、そういう制度設計をしたところでございまして、トータル的なバランスとしては最も適したものになったというふうに考えて、今国会に提出したものであります。



○青木愛

 ありがとうございます。下村大臣としては、納得をして、一番バランスのとれた形で提出ができたということだというふうに捉えさせていただきます。
 理念の一つである継続性、安定性、特に政治的中立性というこの理念も変えずに教育委員会のその存在も認めた、今後も認めて教育委員会のその中身をもっと充実させていくんだという方針だということでよろしいんでしょうか。


○下村国務大臣

 おっしゃるとおり、教育委員会の中を整理して、しかし執行機関としてはそれを存続させる。一方で、総合教育会議を設けて、首長がより権限、責任を持ってその地方自治体における教育についてかかわり合いが持てるような、そういう制度設計にしたということであります。



○青木愛

 ありがとうございます。あわせまして、この点について、民主、維新案、衆法の提出者にもお伺いをさせていただきます。
 生活の党といたしますと、かねてから、義務教育の責任は国が負うべきだというふうに考えてまいりまして、その意図するところは、教育のかなめである教育者の身分保証というところに主眼を置いているわけなんですが、地方の教育行政については、民主党の中でいろいろ政策をつくってまいりましたので、実は民主党案と近いのであります。
 ただ、全体的なこの今の国政の流れを鑑みたときに、このタイミングで教育委員会を廃止してしまうということが本当に現実的なのかというのは、私個人としては考えるところでございます。ようやく十四日に提出をされたというばかりですので、これからまた理解も深めていきたいとは思っておるところではございますが、まず、政治的中立性というこの点について、実は閣法以上に、教育委員会を廃止して首長の権限を明確にするということでありますので、政治的中立性という地方教育行政制度のこの理念についてはどのようにお考えになっているのか、お伺いをさせていただきます。


○鈴木(望)議員

 教育の政治的中立性について申し上げますと、これは、当然、教育基本法十四条二項に、「法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。」こういうふうに定められているところでございます。学校が一党一派に偏した立場に利用されたり、あるいは、学校の教育活動自体が一党一派に偏したものであってはならないことは、ある意味では当然のことでございます。
 その上で、私どもは、首長に権限と責任を一元化するという維新、民主の法案を提出させていただいたわけでございます。
 ただ、地方教育行政の責任を首長に一元化するに当たりまして、仮に首長が暴走することへの御懸念にも十分配慮しなければ、当然でありますけれども、なりません。
 この法律案では、教育行政に対する評価、監視機能を確保するため、教育監査委員会を設置し、また、首長による教育の振興に関する総合的な施策の方針の策定に議会の議決を経なければならないものとしているわけでありまして、いわば、二重のチェック体制で教育の中立性を私どもは確保しているというふうに思っております。
 また、教育行政は、安定的、継続的に行われるのが重要である一方、場合によっては、子供の将来に資するように柔軟に運営されることも必要でございます。現行の体制では責任体制が不明確であるため、時代に応じた教育行政を行うことが不十分でございます。
 また、いじめ問題等の重大事案において適切に対応できなかったことは、これは明らかであるというふうに考えているところでありまして、そういう意味で、この法律案のもと、首長がみずからの責任で民意を酌み取り、教育行政を二重のチェック体制のもとで運営していくことが子供の将来に資することとなると考えているところでございます。



○青木愛

 そうしますと、この政治的中立性という理念は変えないということでよろしいんでしょうか。


○鈴木(望)議員

 当然でございます。



○青木愛

 そうしましたら、その教育監査委員会については後ほどお伺いをさせていただきますが、民主案と維新案を統合するに当たって、ある程度の時間を要したと思うんですけれども、最終的に両党をすり合わせるときに、どこをそれぞれが譲歩され、どこの調整で難航されていたのか、そのポイントをぜひお伺いをさせていただきたいと思います。


○鈴木(望)議員

 民主党、日本維新の会の案では、教育委員会を廃止し、地方教育行政における責任の所在を明確化するという点で、これはもともと一致をしていたところであるというふうに両方認識しておりました。
 また、地方教育行政の適正を確保するためのチェック機能を設けることでも一致をしておりまして、民主党案の教育監査委員会制度、維新の会案の、首長があらかじめ議会の議決を経て総合的な施策の方針を定める仕組みを取り入れたわけでありまして、そういう意味で、民主党、日本維新の会の両案の調整の結果、首長に対する二重のチェック体制を取り入れたところでございます。その上で責任の明確化を図ったという御理解をいただければと思います。
 さらに、地域住民の意向を学校現場に反映する仕組みとして、学校運営協議会の活用を盛り込み、学校の管理運営が主体的に行われ、緊急事態においても首長が適切に対処する旨の配慮規定を盛り込んだところでございます。



○青木愛

 そのチェック機能という部分で、維新案では、首長のもと、議会の議決を経てということがございました。そして、民主案が教育監査委員会がチェック機能を担うということの御答弁だったというふうに思いますけれども、先ほどの政治的中立性という観点からすると、果たしてこの理念がきちんとした形で担保されるのかというのがますますちょっと疑問に思う部分もあるのですが、議会の議決であり、そして教育監査委員会も、条文を見ますと、監査委員が、議会において選挙された委員から成るとあるんです。いずれにしても、より政党色が強まるのではないかというふうに思われるんですけれども、この点については、中立性という観点からどのように……。


○吉田議員

 何点か御質問があったとは思いますが、まず、教育監査委員会の役割と内容について申し上げたいと思います。
 我々の民主、維新案の肝といいますか、肝心なところは、教育の責任と権限を首長に一元化するということですから、首長が適切な事務執行を行うということがもちろん最重要なことでございます。
 ただ、それを今度はチェックせねばいかぬ、チェック機関ももちろん必要だということで、教育監査委員会、これは独立行政委員会ですが、こういう機関を置いて、教育の中立性も含めてチェックを行う、こういうことにしたわけでございます。
 具体的には、これは三十二条一項に書いてありますけれども、首長が処理する学校教育等に関する事務の実施状況に関し必要な評価及び監視を行う。そして、その結果に基づいて必要な勧告をする、さらには、首長の事務にかかわって苦情の申し出があった場合は必要なあっせんを行う。その他法令に基づいて事務を行う。
 以上でございます。



○青木愛

 その教育監査委員会の委員が議会において選挙された委員ということなので、やはり政党色という部分がどうしても残ってしまうのではないかという懸念をまず指摘をさせていただいたわけでございます。
 そして、この教育監査委員会というものが、事後に起こったことに対する評価、判断ということでありますので、やはり何よりも大切なのは事件を起こさないということでありますから、未然の防止につながる制度ではないというふうに認識をするわけですけれども、この未然に防ぐというここの機能はどこが持つんでしょうか。


○吉田議員

 我々の案では、首長と教育長というのが一体になって教育行政に責任を持ってやるということになっておりますから、未然防止についても、両者一体で行うということでございます。
 そして、さらには議会というのがありますが、御懸念の、将来に起こりそうな問題について未然防止をするためには、首長が教育振興に関する施策の方針というものを新たにつくって、これで議会の同意を得るということも織り込みました。
 さらには、特にいじめの問題、これは、学校教育、学校の現場で起こる問題については、原則的には学校の校長先生の責任のもとで対処すべきである。つまり、学校の日常的な管理運営においては、学校長の責任を明確にする観点から、学校においてその管理運営が主体的に行われるように配慮するという、その六十三条の配慮規定も置いたところでございます。



○青木愛

 そのまさに学校の校長先生という部分は、私も現場の声を聞くと、理解をするところではございます。ただ、もう少し内容を詰めていかないと、まだ今のところちょっと懸念が残るものでございます。
 もう一点お伺いをさせていただきますが、今、教育長と首長が一体となって事に当たるということでございますが、条文を見ますと、第七条の第一項で、「教育長の任期は、四年とする。」とございます。ただし書きで、「地方公共団体の長は、任期中においてもこれを解職することができる。」こととなっております。
 これでは教育長の立場が大変不安定ではないかというふうに思うんです。現場を見るよりも、常に首長の、上の顔色をうかがって仕事をしなきゃならないようなそういった状態も予想されるわけなんですけれども、この点についてはいかがでしょうか。


○鈴木(望)議員

 まず最初に、ぜひ御認識いただきたいんですけれども、事前の防止ということで、首長がそんなに暴走するようなことは事実上はないんじゃないかなと思いますけれども、首長が仮に仮に暴走をするというようなもののチェック機能としまして、事前のものとしましては、教育の振興に関する総合的な施策の方針の策定を義務づけておりまして、それを議会に承認してもらう、議決を経なければいけないということにしております。ですから、その枠を一つ事前にははめているということをぜひ御理解いただければ、それで、事後的には教育監査委員会できちんと評価をする、勧告を行うという体制にしているところであります。
 次に、教育長の任命と解任について、教育長の立場が不安定になるんじゃないのか、教育長が常に首長を見ているんじゃないかというような御指摘でございましたけれども、私どもの法律案では、教育長は首長の補助機関でございまして、首長の指揮監督のもとで教育に関する事務をつかさどる者として、首長がこれを任命する一つの仕組みとしているところでございます。
 そして教育長は、首長の補助機関として、首長の意向に沿って一定の成果を出すことが期待されるものでありますので、成果を出せなければ解職もあり得ることとする必要がございます。首長は、その意味で、任期中であっても教育長を解職することができる一つの仕組みとしているわけでありますけれども、一方で首長は、議会の議決を受けた方針及び教育監査委員会の監査という二重のチェックを受けておりまして、その中で、非常に適正に職務を遂行している教育長を恣意的に解職するということは、事実上これはあり得ないんじゃないのかなというふうに思っております。
 また、一方で制度の仕組みとしましては、首長が教育長を解職できないとすれば、仮に首長の指示に教育長が従わなくなったような場合に、教育行政に最終責任者たる首長の意向を反映できなくなってしまうということがございます。そういう意味では、かえって教育行政の責任を果たせなくなるということになります。
 したがいまして、このような制度設計にさせていただいたことを御理解いただきたいと思います。


○青木愛

 議会の議決というふうにおっしゃるわけですが、まさにその議会が、地域にもよるでしょうけれども、まさにその政党色が色濃くある部分でありますので、その議会の議決という部分においても中立性の担保が果たしてできるのかどうかというところを指摘をさせていただきました。
 そして、また事実上といいますか、やはり想定外のことというのはいつでも起こるというふうに思って事に当たらなきゃいけないというふうに思いますが、これでは、何かあったときにその教育長の首を切って解職させて、また新たな教育長を就任させてということが繰り返されるのではないかというふうに思うのですが、このただし書きの部分で、もう少し制限を加えた形で書きぶりを改めたらいいのではないかなというふうに思いました。
 それでは閣法の方に移らせていただきます。
 今回、教育委員会を残したということでございます。私も、この教育委員会そのもののその内部の機能の充実を図るべきではないかというふうに考えています。一足飛びに首長の権限を強めるというだけではなくて、教育委員会そのものの内部の活性化を図るべきではないかというふうに考えております。
 具体的には、教育委員会の現状に関する調査、平成二十四年度のものがございます。これをもとに調査室が作成をした資料を拝見いたしますと、教育委員会会議で学校や事務局に寄せられた意見、これを紹介していない教育委員会の割合が、都道府県指定都市で何と八三・三%あります。市町村でも六二・三%ということであります。また、保護者あるいは地域住民、より身近なこうした意見を聴取して、意見交換を実際実施していない教育委員会の割合が、都道府県指定都市で四八・五%、市町村では六九・四%ということで、約半分、また半分以上の教育委員会が、こういうさまざまな意見を聴取したり意見交換をしたりということを行っていないというデータがございます。
 ですから、まずこういう点を改善して、首長の権限を強めるということとともに、それより先に、まずやっていないもの、まだまだできることから、十分にその活性化に向けてその充実を図ることの方がむしろ先決ではないのかなというふうに思うわけですけれども、その点についてはいかがでしょうか。


○前川政府参考人

 私どもも、教育委員会会議や学校で、事務局に寄せられたさまざまな意見を紹介するということでありますとか、保護者や地域住民の意見を聴取し、意見交換をする機会を設けるといったことは、教育委員会を活性化させる非常に有効な手段であるというふうに考えておりまして、このような調査をしておるわけでございますけれども、まだまだこの実施状況は低調であるという現状であるというふうに認識しておりますので、今後とも、さまざまな形でこういった形の活性化を促してまいりたいと考えております。



○青木愛

 ぜひその点に関しては期待をいたしておりますので、調査にとどまらず、現場で実施されるように、よろしくお願い申し上げます。
 最後の質問とさせていただきますが、閣法におきまして、新教育長が教育委員会の代表となることで、権限が集約をされて強化をされます。ほかの委員の方々との力のバランスで、権限が大きくなり過ぎるのではないかという懸念がございます。
 そのために、教育委員会の会議は教育長が招集することとなってはおりますが、教育長が、「委員の定数の三分の一以上の委員から会議に付議すべき事件を示して会議の招集を請求された場合には、」「これを招集しなければならない。」ということが第十四条の関係で書かれています。また、「教育長は、教育委員会規則で定めるところにより、」「委任された事務又は臨時に代理した事務の管理及び執行の状況を教育委員会に報告しなければならない。」ということが第二十五条の第三項に書かれてはおるんですけれども、果たしてこれだけで十分かどうか。
 教育長の任免に教育委員会が関与するということも、今回、首長が任命するということではっきり明示をされているわけなんですけれども、そこも懸念が残るところでございまして、教育委員会内部の新教育長とほかの委員の方との力のバランス、この点についてはどのようにお考え、そしてまた対処しようと考えていらっしゃいますでしょうか。


○前川政府参考人

 新教育長は、現行の教育委員長と教育長の職をあわせ持つ形になるわけでございますけれども、教育委員会の会議の中におきましては、この会議を主宰するという立場、現行の委員長と同様の立場には立つわけでございますが、議決をする場合には全体の中で一票を持つという立場でございまして、その点につきましては他の教育委員と対等でございます。
 教育長としての事務を執行する際には、合議体としての教育委員会の意思決定に基づき事務を執行するわけでございまして、その合議体である教育委員会の意思決定に沿わない事務執行をすることはできないということでございますので、あくまでも、合議体、教育委員会の意思のもとで仕事をするということになるわけでございます。
 御指摘のとおり、会議の招集でありますとか、あるいは委任した事務についての報告といった規定がございますので、こういったことを使いまして、他の教育委員による教育長に対するチェック機能というものは果たすことができるというふうに考えておりますが、また、教育委員の中にも、これは首長の判断によりまして、さまざまな専門知識や知見を持つ方に入っていただく、特に教育に関して高度な知見を持つ方に入ってもらって、教育長との間で十分な議論が行えるようにするというようなことも一つの方策ではないかというふうに考えております。



○青木愛

 質問を終了させていただきますが、今回の質疑の中で、下村大臣の法案改正に対する考え方も確認をさせていただいたと思っておりますし、民主、維新案についてもまたこれから理解も深めていきたいというふうに思いまして、また次の質疑、よろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。