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  | HOME | >活動記録>>発言録2014年4月18日 衆議院文部科学委員会


地方教育行政法関係の政府案と民主・維新案の2法案の質疑
    

○青木愛

 生活の党の青木でございます。よろしくお願いいたします。
 繰り返しになりますが、生活の党といたしましては、教師を国家公務員として身分保障することを主眼に、義務教育の最終責任は国が負うようにするべきだという考えがございます。そして、教育内容等については、教育の地方分権化方針を一層進めるべきだというふうに考えております。
 まず、確認の意味でお伺いをいたしますが、義務教育の最終責任は、誰が、どこが負うべきと考えておられるか、それぞれ、下村大臣と衆法提出者にまず確認をさせていただきます。


○下村国務大臣

 義務教育については、教育基本法第五条の規定に基づき、「国及び地方公共団体は、義務教育の機会を保障し、その水準を確保するため、適切な役割分担及び相互の協力の下、その実施に責任を負う。」とされております。
 このため、国は、学校教育法や地方教育行政制度など基本的な制度の枠組みの制定や、学習指導要領等の全国的な基準の制定、地方の教育条件整備に対する財源確保を担う役割と責任を担うものである一方、地方自治体は、地域の実情に応じて学校を設置管理するなど、実際に教育を実施する役割と責任を担うべきものでありまして、こうした国と地方の適切な役割分担と相互のもと、教育行政を行うことが必要と考えます。
 なお、地方教育行政において、法令違反や事後の怠りによって、教育を受ける権利や児童生徒等の生命、身体が脅かされるような事態が生じた場合には、指導助言や是正改善の指示等により、国が最終的な責任を果たすことが必要であると考えます。


○鈴木(望)議員

 教育基本法五条三項には、今、文科大臣が言われましたように、「国及び地方公共団体は、義務教育の機会を保障し、その水準を確保するため、適切な役割分担及び相互の協力の下、その実施に責任を負う。」とあります。
 また、この法律案の三条には、基本理念としまして、「地方公共団体における教育行政は、教育基本法の趣旨にのっとり、教育の機会均等、教育水準の維持向上及び地域の実情に応じた教育の振興が図られるよう、国との適切な役割分担及び相互の協力の下、その責任体制を明確にした上で教育の中立性を確保しつつ、公正かつ適正に行われなければならない。」と規定をしております。
 このように、国と地方公共団体が適切な役割分担と相互協力のもと、義務教育の責任を負うべきものでありますが、我々が考える義務教育のあるべき姿としましては、国が教育水準の維持、機会均等、予算確保等について最終的な責任を持つことを前提に、原則として学校現場が主体的に管理運営を行い、各学校が子供たちの個性を大切にし、地域の実情に合わせた、特色ある学校づくりを目指すことのできる環境整備が進められていくことであると考えているところでございます。



○青木愛

 明確な、ずばりどこに最終責任があるのかということをお伺いをしたかったのですが、何かこうした事件等々が起きた場合の最終責任は、大臣がおっしゃるのは、国が責任を持つということでよろしいのでしょうか。
 今回の法改正の中では教育長なのか教育委員会なのかちょっとわかりにくい部分があったのでお伺いしたんですけれども、こうした案件の対応については、国が責任を持つということでよろしいのでしょうか。


○下村国務大臣

 地教行法第二十一条に規定する、教育に関する事務の管理、執行については教育委員会が最終責任者であり、教育に関する予算の編成、執行等については首長が最終責任者であると考えますが、合議体としての教育委員会が決定した方針に基づき、具体的な事務の執行については、教育長が第一義的な責任者であるということが法律のたてつけでございます。
 私が申し上げたのは、この地方教育行政において、法令違反とか事後の怠りによって児童生徒の生命とか身体が脅かされるような事態が生じて、そして、指導助言、是正改善の指示によって国が最終的な責任を果たすということはありますが、地方教育行政における最終的な責任は、これは教育長が責任者ということであります。



○青木愛

 ありがとうございます。それでは次の質問に移らせていただきます。
 午前中の参考人質疑の中でも若干出ておりましたが、県費負担教職員の人事権、給与負担のあり方についてお伺いをさせていただきます。
 現在、公立小中学校の教職員につきましては、身分は市町村の公務員でありますけれども、給与は都道府県が負担をする県費負担教職員制度となっております。
 本来は市町村が市町村立の学校の教職員の給与費を負担するべきところを、今、都道府県がそれにかわって負担をしているということでありまして、平成十八年度に国庫負担率が二分の一から三分の一に引き下げが行われ、今、国庫の負担は三分の一でありますので、残りの三分の二が都道府県の負担ということであります。実質は国からの交付税で賄われているということでございます。
 この制度については、平成十七年の中教審の答申を踏まえて、中核市等の一定規模の市などからは、地域の実情に応じた教育の展開、地域に根差した人材の育成という観点から、指定都市と同様の人事権を早期に移譲することを求めています。
 そして、一方で、離島、中山間地域など、人員の不足などで広域人事がやはり必要だという状況もあって、町村単独で人事を行うことは困難であるという御意見、小規模の自治体で採用試験の業務は困難ではないかという御意見等、人事異動はできるだけ広域性が必要であるという一方での意見がございます。
 生活の党といたしまして、国が教員の身分を保障するという方針のもとでは、こうした地域の事情、考え方に差異がある中でそれぞれの課題を解決する方向につながるのではないかと考えるわけではございますが、一方で、きょうの参考人の議論の中で、より一層、地方分権あるいは学校単位の分権化を進めるべきだという参考人の御意見もございました。
 そういう方向性の中で、実際、今、小中学校の設置者である市町村において、全額費用負担をして常勤の教員を独自に任用している市町村もございます。千四百八十六名、平成二十五年現在ということであります。全体から見ればまだまだ少ない人数ではありますけれども、きょうの大森参考人のお話の中にも、大阪で百校のモデル校を選んで、校長による教員の募集、教員が手を挙げる形で学校が教員採用するという試みをしているということがございました。校長に人事権限がないから学校のマネジメントができないのだということでそういう試みをしているんだというお話も伺ったばかりでございます。
 こうした流れといいますか、実際のいろいろと試みがある中でこの点についてお伺いをしますが、まず、衆法の附則の四条にございます。このまま読まさせていただきます。「政府は、この法律の施行後三年を目途として、県費負担教職員の任命権に関し、市町村長に属することとすることに向けて検討を加えるとともに、義務教育費国庫負担法第二条第一号に規定する教職員の給与及び報酬等に要する経費に係る国の負担の在り方を含む県費負担教職員に係る人件費の負担の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」という規定がございます。今後どのような方向での検討を想定されているのか、まず、衆法の提出者にお伺いをさせていただきます。


○鈴木(望)議員

 私どもの法律案では、教育委員会制度を廃止し、首長が地方教育行政の最終責任者となる新制度に移行することとしているところでございます。したがいまして、学校の教員の人事権については、教育委員会から首長に移ることとなります。
 一方、現行制度ではいわゆる県費負担制度が採用されておりまして、市町村が設置する学校の教員については、都道府県がその給与を負担するとともに、都道府県の教育委員会が人事を行っております。
 私どもの法律案におきましては、当面の結論としていわゆる県費負担制度を維持することとしているため、市町村が設置する学校の教員、県費負担職員の人事については、都道府県知事が行うこととなります。
 我々としましては、学校の設置に関する権限と教職員の人事に関する権限が異なる主体に属することは、地方教育行政の運営のあり方としては望ましくなく、市町村が設置する学校の教職員の人事権につきましては、都道府県から、義務教育の実施主体である市町村に移譲する方向が望ましいと考えております。
 そこで、施行後三年を目途として、県費負担教職員の任命権者を市町村長とすることに向けまして検討を加え、必要な措置を講ずる旨の規定を置くこととしたものでございます。



○青木愛

 大変よくわかりました。
 この件について下村大臣にもぜひお伺いをさせていただきたいと思います。やはり原点は教師ということで、その教員の身分保障ということについてお考えをお聞かせいただければと思います。


○下村国務大臣

 これはおっしゃるとおり、設置主体が学校は市町村ですから、ところが、学校の先生は県費負担ということで、いろいろな構造上の問題点もあるわけです。
 ですから、設置主体に沿った人事ができるような方向性をとることは望ましいことでありまして、文部科学省でも、中核市や一定規模以上の市町村に移譲する方向で検討する必要があるとして、累次にわたり、中教審答申等にも記載されているところでございます。
 ただ、青木委員もおっしゃっていましたが、一方で離島とか中間地域では、管理職の不足など広域人事が必要となる状況があり、町村単独で人事を行うことが困難であるということで、特に離島等を抱えている都道府県等からは、逆に、いい先生が中心だけ集まって周辺に来なくなるという都道府県からの主張もあって、それはそのとおりの部分がありますので、地域事情に応じた、いい先生がうまく配在されるような、そういうことは考えていかなければならないと思いますが、基本的には、設置主体に合わせた教職員の採用ができる方向に行くというのは、これは望ましい方向だと思います。



○青木愛

 ありがとうございます。この点については、下村大臣のお考えとまた衆法提出者のお考えは、同じ方向を向いているんだということは確認をさせていただきました。
 それでは時間ですので終わらせていただきますが、アンケート調査の結果も踏まえてもう一点お伺いをしたかったのですが、また次回にさせていただきます。
 どうもありがとうございました。