| HOME | >活動記録>>発言録2014年5月8日 衆議院消費者問題に関する特別委員会 |
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景品表示法改正案に関わる質疑 ○青木愛 生活の党の青木愛でございます。本日も、どうぞよろしくお願いいたします。 今回の法改正の趣旨の一つといたしまして、地域の消費者行政の強化がございます。前回に続いて、消費生活相談、特にあっせんについて本日はお伺いをさせていただきたいと存じます。 先日、総務省が消費者取引に関する政策評価を公表いたしました。その中の、消費生活センターにおけるあっせんに関する調査において、あっせんの扱いがセンターによって必ずしも同じではないという結果が報告をされています。 まず、何をしてあっせんというかについてですが、消費者庁が作成をした消費生活相談対応マニュアルでは、あっせんについて、消費生活相談員が事業者と直接電話や面談等で説得や交渉を行って問題を解決する方法と定義をしています。 一方、今回の総務省の調査では、事業者へ相談を取り次ぐことをあっせんとみなすかどうかについて、センターによって考え方が異なるということでございます。あっせんの中に、事業者への簡単な連絡や取り次ぎで解決した事案が約三割含まれていたということですので、あっせんの定義によって、あっせん解決件数がかなり上下することになるかと思います。 消費者庁は、毎年、地方消費者行政の現況調査を行っておりますが、私が前回取り上げました都道府県のあっせん率も、この調査によっております。 この調査において、消費者庁は、あっせんをどのように定義をして調査を行っているのでしょうか。調査の際に、センター等にこの定義についてお知らせ等を行っているのかどうか、まずお伺いをさせていただきます。 ○川口政府参考人 消費者庁におきましては、毎年、地方消費者行政の現況というものを取りまとめております。その中で、あっせんの定義でございますが、単なる事業者への連絡や取り次ぎではなく、事業者との間に立って、解決策を提示することなどにより解決をするということを指すものとしております。 具体的には、相談者に対し、単に情報提供や助言を行うにとどまらず、消費者から事業者への申し出と並行いたしまして、相談者の意向を事業者に取り次いで対応を促し、または必要に応じて解決策を消費者、事業者の双方に提示いたしまして解決をするということで、数字の集計をお願いをしております。 ○青木愛 ちなみに、国民生活センターでは、このあっせんについて、単に相手方に苦情を取り次ぐだけではなくて、解決に必要な情報を提供し、当事者の希望があればあっせん案を提示するということなど、積極的に取り組んで、その苦情が最終的に解決されるまで責任を持って見届けることが必要だという姿勢で取り組まれていると思います。 地方の消費生活相談員の研修に際しても、そのように教えているということを伺っておりまして、これは大変望ましい姿だと思うのですが、これについても、現在、変わりはありませんでしょうか。 ○川口政府参考人 お答え申し上げます。ただいま御指摘のありました考え方、基本的な考え方でございますが、これは、昭和四十五年五月の、経済企画庁国民生活局長通知といたしましての「地方公共団体における苦情処理体制の整備について」における、あっせんの基本的な考え方でございます。 国民生活センターでは、この基本的な考え方に基づきまして、消費生活相談員に対して、苦情解決のために必要な研修を実施してきたところでございます。 具体的には、あっせんの考え方や具体的なあっせん方法の習得に資するよう、実際の相談事例等を用いたケーススタディー等を盛り込んだ講座を実施しているところでございまして、平成二十六年度におきましても、延べ二十コースの研修において、延べ二千八百五十人の消費生活相談員等の受講を予定しているところでございます。 今後も、このあっせんの考え方に沿って苦情解決が図られるよう、国民生活センターを通じまして必要な研修を行ってまいりたいと考えております。 ○青木愛 ありがとうございます。それでは、確認でございますけれども、消費者庁の「地方消費者行政の現況」に記載されているあっせん件数について、これは、あっせんを行った件数なのか、あっせんを行った結果、解決した件数なのか、引用する人によって見方が異なるようで、混乱がございます。 例えば、今回の総務省の政策評価ですと、「「地方消費者行政の現況」における「あっせん件数」は、PIO―NETにおいて処理結果が「斡旋解決」として登録された相談の件数を用いている。」と注意書きがございます。 平成二十四年に発行されている消費者庁の消費者問題及び消費者政策に関する報告によりますと、あっせんを行った件数として現況調査の数字を引用されています。 現況調査に記載されているあっせん件数、これはどのように理解をすればよろしいでしょうか。 ○川口政府参考人 お答え申し上げます。消費者庁が実施いたします地方消費者行政の現況におけるあっせん件数でございますが、これは、消費生活センター等で受け付けた消費者からの消費生活相談に係る苦情相談件数のうち、あっせんの成立件数でございます。 すなわち、単なる事業者への連絡や取り次ぎではなく、事業者との間に立って解決策を提示することなどにより、実際に解決するということを示しております。具体的には、PIO―NETの処理結果欄であっせん解決を入力した件数ということを指しているところでございます。 なお、PIO―NETが配置されていない地方公共団体におきましても、相談カードにあっせんの記載があれば、このあっせん解決と同等の件数を指しておりまして、相談カードにあっせんの記載がなければ、把握している範囲の件数を指しているということで、準じた取り扱いをお願いしているところでございます。 ○青木愛 解決件数ということであれば、やはり、行った件数ではなくて、明確に、解決件数として表記する必要があろうかというふうに思います。 地方消費者行政の活性化に当たって最も重要なのは、住民にその必要性を理解してもらうことだと思っております。消費生活センターには、消費者への情報提供などさまざまな機能がございますが、メーンとなるのは相談者への助言やあっせんであり、消費生活センターの有効性を手っ取り早く住民にアピールできるのは、消費生活相談に対する解決率の高さだと思っております。 その指標の一つとなるのがこのあっせん件数だというふうに思いますが、現在公表されている地方消費者行政の現況の調査結果からは、あっせんが必要だった相談件数、そのうち何件が解決していて、何件が不調に終わったのかということがわかりにくくなっています。 こうしたあっせんの内訳についても、公表している自治体もございますし、消費者庁設置前であれば、取りまとめた数字も公表されておりました。 消費者庁では、現在、全国の消費生活センター等でのあっせんを行った件数、うち解決した件数とその割合など、お取りまとめをされているのかどうか、お伺いをします。もし把握をされているようでしたら、直近の数字を教えていただきたいと思います。 ○川口政府参考人 お答え申し上げます。先ほど来御説明しております地方消費者行政の現況調査におきましては、あっせんの件数は公表しておりますけれども、あっせん解決件数とあっせん不調件数、このあっせん不調件数についての取りまとめは行っていないということでございます。ですから、先ほど来申し上げておりますのは、あっせんというのは、あっせん解決件数のことと基本的に同義でございます。 ただ、別途、別な数字でございまして、PIO―NETの登録件数によるあっせん解決件数及びあっせん不調件数につきましては、国民生活センターを通じまして把握をしているところでございます。その数字でございますが、平成二十五年度の数字につきましては、あっせん解決件数は七万二千二百六件、あっせん不調件数は七千六百五十一件となっているところでございます。 なお、消費者行政、消費生活相談の見える化というのは、消費者庁としても課題だと考えておりまして、いろいろな形で検討をしているところでございますので、御指摘を踏まえてさらに検討したいと思います。 ○青木愛 ありがとうございます。続いて、このあっせん件数が六、七万件にとどまっている理由についてお伺いをしたいというふうに思います。 平成二十年に内閣府が行いました消費生活相談員に関する調査は、当時の全相談員を対象にいたしましたアンケート調査で、まず相談員の仕事の多忙さがうかがえるわけですが、この調査で、あっせん件数のうち、不調になる件数の割合について三%未満とする回答が六割を占めております。一〇%未満とする回答で八割を占めますので、相談員があっせんを行ったうち、九割方は解決をしているということになります。これは、以前、国民生活センターが公表していたあっせんの内訳の数字ともほぼ一致をいたしております。 あっせんの九割方は解決という数字、これは、大変すばらしい、誇るべき数字だというふうに思いますが、一方で、あっせんの件数を見ますと、全体の相談件数、この十年間で九十万件から百九十万件まで大きく変化をしている中で、あっせん件数は、大体六、七万件で推移をいたしております。これは、相談員の数が十分ではないために六、七万件が業務量的に上限になってしまっているのではないかというふうにも思えるのですが、消費者庁ではどのように分析をされていますでしょうか。 ○川口政府参考人 まず、PIO―NETに登録されたあっせんによる解決件数でございますが、これは平成十六年度は五万六千百九十二件、平成二十五年度は七万二千二百六件ということでございまして、これで過去十年間を比較いたしますと、二八・五%増となっております。全体に、あっせんによる解決件数は増加傾向にあるというふうに考えております。 また、消費生活相談員の数でございますけれども、これは平成十九年度までと二十年度以降とで集計方法が異なるため一概に比較できないという事情がございますけれども、平成十六年度から平成十九年度までには二百二十五人の増加、それから平成二十年度の二千七百三十四人から平成二十五年度の三千三百七十一人と、六百三十七人増加して、基本的に、消費生活相談員の数は、この十年間増加をしているということでございます。 また、あっせん率でございます。消費生活相談の総件数に対するあっせんによる解決件数の割合、これも増加傾向にございまして、平成十六年度の二・九%から平成二十五年度の七・八%と、増加をしているということでございます。 このように、あっせん率が増加をしているということの要因でございますが、これまでの地方消費者行政活性化基金を活用した研修機会の付与等により、消費生活相談員の質が向上してきたことなども考えられると思っております。 ○青木愛 このあっせん率の向上についてもう一点お伺いをさせていただきますが、消費者庁の消費生活相談対応マニュアルでは、相談者が高齢あるいは若年であったり、障害を有する場合など、相談者の自主交渉では十分な解決に至らないと考えられるときに、自主交渉では解決できなかったときあっせんを行うとされているところでありますが、総務省の調査でも、現場ではそのように対応されているところが多いという報告がございます。 消費者の自立を促しつつ、高齢者等には当初から支援するというこの規定自体は大変合理的なものだと思いますが、総務省の調査によりますと、一部のセンターでは、相談者が誰であれ原則としてあっせんを行っているとのことでありますので、消費生活センターの体制次第では必要とする全ての方にあっせんを行うことも可能ということになるのではないかというふうに考えます。 現在、七%ほどでありますこのあっせん率を向上させていくことは、消費生活センターの存在とその必要性のアピールという観点からも大変有効だというふうに存じますが、このあっせん率の向上について、消費者庁のお考えと今後の方策についてぜひお伺いさせていただきたいと思います。 ○川口政府参考人 消費者と事業者の間の情報の質及び量並びに交渉力等の格差に鑑みまして、消費者に被害が生じた場合に適切かつ迅速に救済されることが消費者の権利でございます。その権利が守られるために、消費生活センター等における消費生活相談員があっせんを積極的に実施することが重要であると考えております。 このため、消費者庁では、活性化基金を通じまして、地方自治体におきまして、相談員に対する研修あるいは研修の参加のための費用を支援する、また、弁護士を活用して専門的な消費生活相談への対応力の強化を図るための費用について支援をしているところでございます。 また、先ほど御指摘いただきましたように、昨年十二月、消費生活相談対応マニュアルを作成いたしまして、相談員に対して積極的な活用を促しているところでございます。 さらに、地方消費者行政強化作戦におきまして、消費生活センターの設立促進、相談員の確保、レベルアップなど、相談体制の質の向上を政策目標として掲げているところでございます。 これらを通じまして、相談体制の充実に係る取り組みを進めまして、引き続き、あっせん率の向上に取り組んでまいりたいと考えております。 ○青木愛 ありがとうございます。私は、先日の本委員会の一般質疑におきまして、消費生活相談やあっせんを行っている相談員の活動がどれほど消費者の被害回復に役立っているか、その貢献度を推計値として整理し、適正に公表されることを提案させていただきました。 今回の消費者安全法改正には、地域の連携強化や消費生活相談員の法的位置づけなど、地方消費者行政の体制整備のための規定が盛り込まれておりますが、これを実効性あるものにするために、消費生活センターの必要性、消費生活相談員の役割について、ぜひ住民の理解をさらに得られるようにしていかなければならないというふうに思います。 そして、消費生活センターの貢献度の指標の一つであります、あっせん実施件数やあっせん解決率などを明確に公表することによって、行政や消費者の意識を変え、各自治体による主体的な地方消費者行政の体制整備へとつなげることができるものと考えます。 そのためにも、地方消費者行政の機能している点、あるいは問題のある点なども明らかとなるよう、地方消費者行政の現況の調査、分析、公表のあり方について、ぜひ今後検討をお願いし、質問を終わらせていただきます。 ありがとうございました。 |
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