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  | HOME | >活動記録>>発言録2014年5月14日(午前) 衆議院文部科学委員会


地方教育行政法関係の2法案の参考人質疑
    
参考人の方々は以下の通りです
門川大作(京都市長)    小松郁夫(常葉大学教職大学院教授)      越直美(大津市長)


○青木愛

 生活の党の青木と申します。きょうは、三名の参考人から大変貴重な御意見をいただきまして、本当にありがとうございます。
 よろしくお願いいたします。まずお伺いしたいのは、閣法におけるチェック機能についてお伺いをしたいと思います。
 新教育長の権限がかなり強化をされるという中で、やはり、住民目線での、第三者的立場からのチェック、評価というものが必要だというふうに考えております。
 今回、教育委員会を執行機関として残しましたことによって、議会のチェックとともに、さらなる何かチェック機能を持たせることが必要ではないかという問題意識を持っておりまして、先ほど小松参考人からは、先ほどの議論でもございましたが、教育監査委員会、これは事後チェックをむしろ評価しているということでございました。こういったことも含めて、ぜひ門川参考人そして小松参考人にその点についてお伺いをさせていただきたい。
 越参考人にもあわせてお伺いをしたいんですが、越参考人がおっしゃっている、責任を問われるのであれば、むしろ首長が体制づくりからかかわるべきだというそのお考え、それももっともだというふうに思うんですが、教育にはどうしても政治的な中立性というものはやはり担保しなければならないなというふうに私は考えておりまして、一般に言われている戦前の経験の反省あるいはイデオロギーの対立、こうしたものを教育には持ち込むべきではないという考えに私もおります。
 やはり首長の権限を強化すべきだというふうには思いながらも、教育委員会というものを、全国のさまざまな現場の声ですとか、これまでの参考人の皆様の声も伺う中で、総合的に考えて、なかなか、教育委員会を今なくすということは現実的にはちょっと考えられないなというのが、今の私のこの審議を経ての考えなのでございます。
 その上で、越市長にお伺いをさせていただきたいのは、今回の閣法で、総合教育会議というものを新設して、首長がそれを主宰して、教育行政全般について議論ができるようになる、そこでリーダーシップも発揮できるようなそういう機会が設けられたということと、また、教育委員会そして総合教育会議での会議録を、努力ではありますが、そこも今議論の中にありますけれども、努力義務を課すということになったということ。
 越市長さんが先ほどから、地方教育行政に対して外部のチェック、可視化させる制度改正が必要だということをおっしゃられているんですが、総合教育会議の新設、またその会議録の開示等々、この制度についての越市長の問題意識からの評価についてお伺いをさせていただきたいと思います。


○門川参考人

 ぜひとも我々がお願いしたいし、かつ留意しなければならないのは、現場を大切にする、現場が生き生きと子供中心に回っていく。したがって、私は校長先生方に言うているんですけれども、教育委員会に報告する書類ばかり書かんならぬ、文部科学省に出さんならぬ報告ばかり書かんならぬ、議会に提出する報告ばかり出さんならぬ、こういうことでは現場の教育というのは非常に厳しいことになります。
 したがいまして、徹底的に現場視点で、そして現場を励ましながら、いじめにしっかりと現場が対応できる、そしてチェックもできる。そういう意味では、新たな監査の委員会をつくって、そこに事務局を置いて、そしてそこにまた報告をしていかんならぬというよりも、皆地方は二元代表制ですので、議会がしっかりとした役割を果たす。
 それから、京都市は、行政評価条例というのを十年近く前につくりました。全国で初めてだったと思います。そして、学校評価も含めてしっかりと評価して、それを毎年議会に報告します。そうしたこと。あるいは、コミュニティースクール、これも評価委員会をつくっております。委員長は小松先生にやってもらっています。そういう一つ一つの事業を現場レベルで評価し、そしてオープンにしていく、そういうことをしていけば、新しい仕組みというのは屋上屋になるんじゃないかな、こういうように感じます。
 監査委員会もございます。そうした今ある制度を使いながら、現場視点に立った評価と、その評価は現場の改善につながる評価に、そういうことをしていきたいと思います。


○小松参考人

 事後チェックが有効に機能するためには、まず、私は、公立学校といえども、その学校の状況についてしっかりと公表していくことが大事だというふうに思っています。
 これまでは、学校と教育委員会の関係で、例えば教育課程届のようなものがもともとありましたけれども、これはプロ同士のやり方であって、保護者やこれから学校に入ろうとする方たちのために、私の学校はこういう教育方針で、こういうカリキュラムで、こんな教育活動をやっています、さらに言えば、給食の指導はこんなことまでやっていますみたいな形で、学校のまずPRといいますか、そういう点で、今全国で、校長先生がみずからの学校経営方針のようなものをきちっと出しなさいというふうに決めている教育委員会がふえてまいりました。
 その中で、今後、例えば、うちの学校ではいじめ対策はどうするんだとか、家庭学習についてはこういうふうに考えていますとか、読書についてはこういうふうにしていますみたいなことと同時に、私はやはり、いろいろな学力調査の結果とその分析、さらにはその対策も含めてしっかりと公表していくべきものだというふうに思っています。
 今、門川参考人の話がありましたが、私は実は、京都市の学校運営協議会と学校評価の第三者委員会の委員長を昨年度からやっていまして、京都市の小学校、中学校、昨年の場合は幼稚園も訪問いたしました。
 真っ先に聞いたのは、あなたの学校は子供が安心して学校に通えるような体制をとっていますか、仮にいじめが起きたらどうしているんですかというふうなことをヒアリングして、その結果をしっかりと教育委員会に報告し、私の立場からすると、必要な支援も教育委員会にぜひ、例えば、いろいろな財政事情で残念ながら施設設備等でまだ行き届かないということに関しては、市長がいらっしゃるので申し上げにくいんですけれども、教育予算をもうちょっとふやすべきではないかということも含めましてやっております。
 と同時に、一方で、独自の学級定数について、京都市は大変すばらしいことをやっております。
 中学校三年生を少人数にしたりというようなことは、全国の中でも大変珍しい施策をやっています。そういうことはもちろん評価をしようというふうな形でやっています。
 同じように、東京都教育委員会が都立学校に対して学校経営診断というのをやっておりまして、私もずっと最初からやっております。これは、東京都教育委員会が都立学校に対して進学指導重点校とかチャレンジスクールとかという形でいろいろなミッションを与えておりますので、それがそのとおりに行われているかどうかということについて第三者的に私は毎年何校か学校訪問して、その結果については各学校のホームページで発表するようになり、かつ、それに沿った指導を、あるいは支援を都教委にやっていただくというようなことを私たちは提案していくというふうな形になっています。
 ですから、まずは、私の学校はこういう学校でこんな教育をやりますということを校長先生を中心としてしっかりと議論したものを発表して、保護者、地域、さらには全国にといいますか、これはイギリスの場合にはその辺がかなりしっかりしておりますので、そこまでいかなくても、少なくとも公立学校であっても、やはりそれぞれの特色があるでしょうから、その教育方針、経営方針をしっかりと出していった上で、それについてしっかりと評価をしてもらう。
 ただ、まだまだ評価のスタッフとか手法とかが十分に成熟しておりません。いろいろな課題があると思いますけれども、私は、今後それをもう少し充実させていくのがより質の高い公立学校教育をつくっていくことになるのではないかというふうに考えております。


○越参考人

 まず、一点目のチェック機能です。
 やはり、新教育長の権限が大きくなる分、大津市で起こったような教育長の独走をどうやってとめていくかというチェック機能が非常に重要になると考えています。これは、政府案を前提とすれば、私は二点あると思っています。
 一点目は、首長による罷免を認める。罷免の要件を限定せずに、いつでも罷免することを認めることです。このことによって、実際に教育長が独走したときに罷免もできるし、また、首長がそういった権限を有することであらかじめ教育長にブレーキがかかるということもあると考えています。
 そして二点目は、こういった緊急の場合の対応について、首長の教育長に対する指示権を認めることだと思っています。
 こちらは、現在の政府案によりますと、こういった子供の生命や身体に危害が生じる場合に、国からの指示権ということが明確化されることになっています。しかし、国からの指示権というのを認めるのは理念的にも地方分権に反しますし、また、実際の問題として、本当に現場で何が起こっているか、子供に何が起こっているかというのを見て判断できるのは現場にいる者です。ですので、現場の対応をしっかり見て、そして教育長にブレーキをかけるために、教育長に対する首長の指示権を認めるべきだと考えています。
 次に、二点目の総合教育会議に対する評価であります。
 こちらは、私は、現在の教育委員会制度に問題があると考えている理由として、責任と権限の所在に加えて民意の反映ということを考えています。そして、民意の反映という観点からすれば、総合教育会議というのは、首長が教育委員さんと一緒に協議をして、より選挙で得た民意を教育行政に反映できる、こういった意味では望ましいと思います。
 しかし、一方で、これによって責任と権限の分配が明らかになったかというと、そういう観点から見ると、現在の首長と教育委員会の責任の分配は変わりませんので、こういった責任の明確化という観点からは、総合教育会議というのは特にこれによって変わるものではないと考えます。
 また、会議録について、これは公開すべきだというのは当然ですけれども、努力義務では不十分なので、やはり公開を義務づけるのが可視化に資すると考えています。
 以上でございます



○青木愛

 それぞれの参考人から大変明快な、参考になる御答弁をいただいたと思います。あと残りの質疑の中でぜひ参考にさせていただきます。
 ありがとうございました。