| HOME | >活動記録>>発言録2014年5月14日(午後) 衆議院文部科学委員会 |
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地方教育行政法関係の政府案と民主・維新案の2法案の質疑 ○青木愛 生活の党の青木でございます。本日も、どうぞよろしくお願いいたします。 何度も重ねて大変恐縮なんですけれども、本日も、教職員の県費負担制度について質問させていただきますので、どうぞよろしくお願いします。 今回の地教行政法の中では、この点について、その改正点として特に変更があるわけではないのですけれども、生活の党として大変問題意識を持っている点でありますので、本日も質問を続けさせていただきます。 公立の小中学校の教職員につきましては、身分は市町村の公務員であるが、給与は都道府県が負担をする県費負担教職員制度となっておりまして、指定都市を除いて、給与負担をする都道府県が人事を行うこととされています。 午前中の参考人質疑の中で、大津市長の越市長からも、今回のいじめ自殺事件を受けて、市民の皆さんから校長の処分を迫られたんだけれども、そこは権限は県にありまして、市長としてその処分をすることはできなかったという、制度上のそごについての指摘がございました。これまでも、さまざまな論点からこの制度については議論が重ねられているところでございます。 四月の二十五日に衆議院を通過しました、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案の、文部科学省関係で、市町村立学校教職員給与負担法と義務教育国庫負担法のそれぞれの一部改正によりまして、都道府県から指定都市に個人住民税所得割二%の税源移譲が行われることによって、この改正案が参議院で可決、成立すればでございますけれども、政令指定都市については、これまでの任命権とともに、市町村立小中学校に係る県費負担教職員の給与等の負担、そして定数の決定、学級編制の基準の決定の権限が都道府県から指定都市に移譲されることになります。 政令指定都市は全国で二十カ所ということでありますので、これからは人事権とそして給与負担と合わせた形で権限が移譲されるということになります。 次は、中核市を対象にした議論が続くかというふうに思いますが、中核市は人口三十万人以上の市でございまして、ことしの四月一日に枚方市が中核市となりましたことによって全国で四十三カ所ということでございますが、今後、この中核市について、文科省としてどのような見通しを持っておられるかをぜひお伺いさせていただきたいと思います。 ○前川政府参考人 公立小中学校の教職員は市町村の職員でございますが、その任命権は都道府県の教育委員会が持っているという異例の制度になっているわけでございます。 その小中学校教職員の人事権を都道府県から市町村に移譲するということにつきましては、平成十七年十月の中央教育審議会答申、「新しい時代の義務教育を創造する」というタイトルの答申でございますが、その中で提言されて以来、引き続き検討課題になっております。 その間に、平成十九年には地教行法の改正がございまして、同一市町村内における転任につきましては実質的に市町村の権限とする、また、市町村をまたぐ転任につきましては一定の基準のもとで行う場合に限り都道府県の権限とする、そういう旨の制度改正が行われたわけでございますが、実態としては余り大きく変わってはおりません。 また、平成二十四年には、大阪府の豊能地区三市二町におきまして、現行制度にございます事務処理特例制度を活用いたしまして、人事権の移譲が行われたところでございます。しかしながら、中核市等に対しまして、従来の指定都市と同様に、採用でありますとか懲戒も含む人事権を制度上包括的に移譲するということについては、いまだ実現を見ていないところでございます。 平成二十五年の三月に、義務づけ・枠づけの第四次見直しの閣議決定がございまして、その中におきましては、中核市への人事権の移譲につきまして、「教育行政の在り方についての検討状況や、」「事務処理特例制度の運用状況を踏まえつつ、広域での人事調整の仕組みにも配慮した上で、中核市に権限を移譲する方向で検討を行い、小規模市町村を含めた関係者の理解を得て、平成二十五年度以降、結論が得られたものから順次実施する。」ということとされております。 市町村への人事権の移譲につきましては、引き続きこの閣議決定に従いまして検討してまいりたいと考えているところでございます。 ○青木愛 ありがとうございます。指定都市と同様に、人事権を早期に移譲することを求めているというふうに伺っています。特に、教職員の研修を義務づけられている中核市からは、研修した教職員が都道府県の人事異動で市外へ移動させられるという不都合が生じるということから、人事権の移譲を求める声が大きいというふうに伺っておりますが、中核市についても順次検討が進められるという御答弁だったというふうに思います。 一方で、離島、中山間地域等、管理職の不足などで広域人事が必要となる状況がありまして、町村単独で人事を行うことは困難であるという意見もございます。小規模の自治体で採用試験の業務が困難ではないかという御意見、人事異動は教職員の一番の研修の機会であるために、人事異動はできるだけ広域性が必要であるなどの意見もございます。 せんだっての教科書の広域採択とリンクできるかどうかはわかりませんけれども、そのような形で、やはり広域的な人事異動ということも今後、離島あるいは小さな町村では考えていかなければならないのではないかというふうにも思いますけれども、離島、中山間地域、小さな自治体についての取り組みについて、今現状をどのように把握をされて、今後どのように進めていくお考えか、具体的な方針をぜひお聞かせいただきたいと思います。 ○前川政府参考人 県費負担教職員の人事権の市町村への移譲につきましては、中央教育審議会における議論におきましても、離島、中山間地域では管理職の不足など広域人事が必要となる状況があり、町村単独で人事を行うことは困難であるという意見、あるいは小規模の自治体で採用試験の業務は困難ではないかなどの意見があったわけでございます。 先ほど申し上げました平成二十五年三月の義務づけ、枠づけの見直しにつきましての閣議決定におきましても、広域での人事調整の仕組みにも配慮した上で、中核市に権限を移譲する方向で検討を行い、小規模市町村を含めた関係者の理解を得て順次実施、こういう趣旨になっているわけでございまして、この点につきましてもあわせて検討しなければならないと考えているところでございます。 ○青木愛 ありがとうございます。前回の下村大臣の御答弁で、制度を全国一律にすることのマイナス点も出てきていますから、それぞれの地域地域に応じながら、できるだけ学校現場に近い形に裁量権を持たせるような仕組みに考えていくことが教育現場の活性化につながっていくと思うという趣旨のことをおっしゃっておられまして、私も、教職員の任命権に関しましては、やはり地域の事情に配慮しながら、できる限り現場に近いところに移譲していくことが肝要だというふうに考えております。 御答弁はいただいているので、次の質問に移らせていただきますが、一方で、教職員の給与のあり方についてでございますが、前回の質疑でも触れさせていただきましたが、大臣の御答弁の中で、義務教育国庫負担一〇〇%ということについては相当これはハードルが高い、地方分権との考え方との整合性をどうするのか、この整理が必要である、ただ、国の責務として、義務教育ですから国が一〇〇%責任を持つということは、あるべき姿としては望ましいと思っている、地方自治法との整合性、ほかの省庁との関係の中で体系的に議論を深めていきたいという御答弁をいただいたところでございます。 現行の県費負担制度においても、国庫負担は三分の一でありますが、残りの三分の二も地方交付税として国から県に交付をいたしております。交付税は地方の自主財源ではありますが、その根拠どおりに予算化をされていれば、実質、国から一〇〇%手当てをしているということだというふうに考えられます。 前回もこの点についてお伺いをしたのですが、ダイレクトな御答弁をいただいていなかったので、この点について大臣の御所見をいただければと思います。 ○下村国務大臣 教員にすぐれた人材を確保し、もって教育の機会均等、学校教育の水準の維持向上を図ることは重要であります。 このため、公立義務教育諸学校の教職員の給与は都道府県の負担とし、その三分の一を国が負担することとされており、三分の二の都道府県負担分については、地方交付税措置が御指摘のようにされているわけであります。 しかし、厳しい財政状況のもとで教職員給与費が抑制されているため、義務教育費国庫負担金の限度額まで使っていない県も残念ながらございます。 文科省としては、全国的な教育の機会均等とその水準の維持向上を図るため、引き続き、義務教育費国庫負担金による措置を適切に講じていくこととしておりまして、各地方公共団体には、教育環境の整備について一層の配慮を期待したいと思います。 ○青木愛 ありがとうございます。 ちょっと話はずれますけれども、問題を認識する点は共通をしているので引用させていただくんですが、古い記事の中ではございますけれども、学校図書館の充実のために、二〇〇七年度に、国が全国の市町村などに交付税として財政措置した図書購入費約二百億円のうち、実際に自治体が本の購入に予算化したのは七八%にとどまって、二〇%超に当たる約四十四億円がほかの目的に使われていたということが当時の東京新聞で報じられておりました。 そして、二〇一三年の学校図書館整備施策の実施状況の悉皆調査というのが行われておりますけれども、全国一千七百三十九の市区町村教育委員会に調査を行ったところ、回収率が六八・五%ということでございますが、平成二十五年度の学校図書館図書整備五カ年計画に基づく図書の予算化状況について、学校図書館図書整備五カ年計画による地方財政措置に基づき当初予算化をしたという市区町村が二一・七%で二百五十九市区町村であります。地方財政措置に関係なく独自に図書費を予算化しているという市区町村が七百七十六ありまして六五・二%。合計して八六・九%が今予算化をしたということなんですが、本来であれば、一〇〇%そうあるべきだというふうに私は考えております。 あわせて、学校の司書、学校司書配置状況についても調査を行っておりますけれども、その配置の予算化をしたところが三百六十八市区町村で三〇・九%、予算化をしていないのが八百一市区町村で、六七・三%が予算措置をしていないということであります。 二〇一二年度より開始された五カ年計画では、引き続き、総額約一千億円を五年間にわたって計上しているほか、学校図書館への新聞配備にも約十五億円、そして学校司書の配置に百五十億円が財政措置をされております。 この図書整備費も地方交付税で措置をされていますので、地方交付税は使途が制限されず、どう使うかは各自治体の裁量に任されておりますので、必ずしも図書費になるとは限らないということでありますけれども、この点について、まず、どう評価をされているか、お伺いをさせていただきたいと思います。 ○前川政府参考人 文部科学省で行いました調査によりますと、全国の学校図書館図書整備の総額が約百五十三億円、これは平成二十四年度でございますが、百五十三億円でございまして、基準財政需要額に対する、これが二百億円でございますが、これに対する予算化された割合、措置率が約七七%となっているところでございます。 この基準財政需要額への算入という措置、いわゆる交付税措置でございますが、これは交付税として財源措置されておりますので、そもそも使途を特定しない一般財源として措置されているというものでございます。したがって、これが実際に図書の購入費に充てられるためには、各市町村でそれぞれに予算化されることが必要であるということでございます。 文部科学省におきましては、この地方財政措置を通じまして、学校図書館図書整備五カ年計画をつくっているところでございますけれども、これを踏まえて、各市町村において必要な予算が確保されることを期待しているわけでございまして、そのために、パンフレットの配付でありますとか、都道府県の学校図書担当指導主事等を集めた会議での説明等を通じまして、学校図書館に対する理解の増進を図り、各市町村における図書整備あるいは学校司書の配置などにつきまして促しているところでございます。 ○青木愛 ありがとうございます。教職員の給与のあり方に話を戻しますが、平成二十一年の四月の文部科学委員会で、これは馳委員の質問なんですけれども、国庫補助の部分が全部使い切れないで国庫に返納されている、地方負担の三分の二の部分、これは地方交付税措置になっていて一般財源化されていることで、この三分の二はどうなっているのか、使われないで国庫に返納されている十六の道府県があるわけですが、そこはどうなっているのかという質問に対して、当時の金森政府参考人が、国庫負担以外の部分については、一般財源でございますので、返納はされていないということなんです。 さらに、馳委員の方から、その実態はおかしいということで、義務教育国庫負担金、これは、教員給与一人当たりの、義務標準法等を掛け合わせた上で各都道府県に配っている、これが使われずに、国庫補助負担の分が国庫に返納され、残りの三分の二は、地方交付税として渡っているにもかかわらず、返納もされていないということなんですね。この三分の二の部分というのは何に使われているのかということを聞いたところ、どのように使われているのか必ずしもつまびらかではないところであるという御答弁なんです。 今現在、この三分の二についてどのように使われているのか、そういう調査というのは行っているのでしょうか。 ○前川政府参考人 義務教育費国庫負担金は、義務教育諸学校の教職員の給与費という特定の目的に使うために、都道府県に交付しているものでございます。これが、その負担率が三分の一であるということでございます。これを限度まで使っていないという都道府県が、御指摘の数字は平成二十二年度だと思いますけれども、十六県あったということでございます。 これは、平成十八年度以降、三位一体改革によりまして、負担率が二分の一から三分の一に下がったわけでございますけれども、残りの三分の二が、現在、都道府県の負担になっているということで、その三分の二につきましては、地方交付税の基準財政需要額に盛り込まれているということでございます。 御指摘のとおり、国庫負担金を限度まで使わなかった場合、それに見合って、地方交付税措置されております三分の二の部分につきましては、財源がいわば余るということになるわけでございますが、この財源が何に使われているかということは、これはそもそも特定できません。これは一般財源でございますので、全ての経費の中に紛れ込んでいるということでございまして、何に使われているかということを、もともとトレースすることが制度上できないというものでございます。 ○青木愛 何に使われているか特定できないということで、やはりこれは私としても大変問題だなというふうに思うんです。 前回も取り上げました、平成二十六年度予算案におきましても、少人数教育の推進等のために定数改善を図りたいということでしたけれども、財務省の理解も得られず、初めて教職員定数が減少しているという状況、また、多様な課題を抱える今の学校現場において、効果の上がる教員配置の拡充、この必要性は大臣もおっしゃっている部分であります。 やはり、文科省としては、これは、自主財源とはいえ、義務教育にかかわることで、ましてや教師の人件費でありまして、義務教育の根幹でありますので、これが何に使われているのかというのはやはり調査をし、チェックをして、しっかりと地方に義務教育の予算化をしてもらうという、これが義務教育に対して責任を持つ国の役割ではないかというふうに思うわけでございます。 言葉のイメージは悪いんですけれども、いわゆるひもつき的な、これは教育に使うんだということの、これは教育費でありますので、ぜひこれは、義務教育国庫負担を一〇〇%に引き上げていくということが、やはり方向性として大事ではないかというふうに考えました。 生活の党といたしましては、今申し上げたとおり、教職員の任命権については、地域の事情に配慮しつつ、できる限り現場に近いところに移していく、その一方で、教職員の給与負担、身分保障は、全国的な教育の機会均等と教育水準の維持向上を図るために国が責任を持つという考えのもとで、地教行法の教職員県費負担制度について今後検討が図られるように主張させていただきまして、時間でありますので、質問を終了させていただきます。 どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。 |
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