| HOME | >活動記録>>発言録2014年10月29日 衆議院文部科学委員会 |
|
一般質疑 ○青木愛 生活の党の青木愛でございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。 まず私からも、このたびの三十五人学級の見直しについて大臣の御所見を伺いたいというふうに思います。 財務省は、公立小学校の一年生で導入されている三十五人学級を見直し、一学級四十人体制に見直す見直し案を二十七日の財政審で取り上げました。四十人学級に戻せば、必要な教職員数が約四千人減り、人件費の国庫負担分を年間約八十六億円削減できるとの試算を提示しております。 また、全国約三万校あります公立小中学校、全て標準的な規模、一校当たり十二学級以上に統合すると、必要な教員数は小学校だけで今よりも約一万八千人少なくなるという試算をもとに、来年度の予算で、教員の定員削減と、そして人件費の抑制を文科省に求めております。 この件について下村大臣の御所見と、これからどのように財務省に対して押し返していくのか、その点についてお伺いさせていただきます。 ○下村国務大臣 学校を取り巻く環境が複雑化、困難化し、教員に求められる役割も拡大する中、教員が授業など子供への指導により専念できる環境をつくるべきときに四十人学級に戻すとの主張は、文部科学省の考え方や学校現場、保護者の声とは相入れないものであり、また、先ほど財政審からのいろいろな見直しがありましたが、いずれも全て認められるものではありません。 特に、全国的に定着した小学校一年生の三十五人以下学級については、子供たち一人一人に目が行き届くきめ細やかな指導や、思考を深める授業づくりが一層と可能となる、教員と児童との関係が緊密化するとともに家庭との緊密な連携が可能となるといった調査結果から、子供たちの学習意欲の向上やきめ細やかな指導による学力の向上にとって効果があるものと考えており、少人数学級の推進は望ましいと考えております。 一方、授業の質向上に対する多様な取り組みや極めて厳しい財政状況等を総合的に考慮し、自治体の創意工夫を踏まえつつ、柔軟で効果的な定数改善を早急に進めていくことも必要であります。 これら全体を踏まえ、本年八月に策定した教職員定数改善計画におきまして、アクティブラーニングの推進について、義務標準法の改正により基礎定数の拡充を図ることとしており、その実施に当たっては、少人数学級、チームティーチング、習熟度別指導など、学校の実情を踏まえ、自治体の創意工夫により少人数教育を柔軟に行えるものとしております。 文科省としては、計画的な指導体制の整備を図ることができるよう、各方面の理解を得つつ、財政当局と折衝し、教職員定数改善計画の実現に向けて最大限の努力をしてまいります。 ○青木愛 ありがとうございます。 下村大臣の政治家の力といいますか、文科省とともに、政治主導というものはこういうものだというものをぜひ見せつけていただきたいと御期待を申し上げておきたいというふうに思います。 この点に関連しまして、これは下村大臣のインタビュー記事が掲載されておりました東洋経済に取り上げられていたことでございますが、日本標準教育研究所が教師を対象としたアンケート調査を行っておりまして、教師の平均勤務時間が十一時間十八分ということで、教育委員会への報告や研修、また会議などに忙殺され、肝心の児童の教育に思うように時間を割けないという教師の悩みが浮き彫りになっております。また、教師の仕事に対する満足度の低さもあわせて問題になっています。 下村大臣が日ごろからおっしゃっているように、今の時代、学校を取り巻く環境は大変複雑化をしておりまして、教師の役割も大変多様化しているというふうに認識をいたしております。教師が本来のやりがいを持って働ける環境を整備することがまず大切だというふうに思っておりますし、また、世界の趨勢はやはり少人数化でございまして、安倍政権として世界に伍するグローバル人材の育成を目指すということであれば、やはり公的支出をOECD並みに引き上げるとともに、こうした学級編制につきましても、世界のスタンダードをぜひ日本にも取り入れるべきではないかというふうに考えております。 もう一つの観点からは、今、国の方針でまち・ひと・しごと創生法案が提出されておりまして、地方創生に力を入れているということでございます。 やはり地方に若い方々が定着をするためには、子育てや教育のインフラが整っているかどうか、これは重要な要件だというふうに思っておりまして、また、学校は、子供たちのためだけではなくて、地域の拠点としても大きな役割を担っていることというふうに思います。こうした学校の統廃合を数値のみで推し進めることによって、ますます地域の疲弊に拍車がかかるというふうに思っております。 こうした地方創生という観点からも、今回の財務省の方針は安倍政権の政府の方針と逆行するのではないかというふうにも考えるのですが、これらの観点から、改めまして大臣の御所見を伺わせていただければというふうに思います。 ○下村国務大臣 おっしゃるとおり、児童生徒の社会性の育成や切磋琢磨をする機会の確保の観点から、ある程度の学校規模があることが望ましいと考えておりますが、小中学校の規模や配置のあり方については、地域の実情を踏まえ、設置者である各市町村が教育的な視点から判断すべきものであると思います。 また、学校が地域コミュニティーの核としての役割を果たしていることや、離島、山間部など、地理的な要因等により統合が困難なため、小規模校のデメリットの克服を図りつつ学校の存続を選択する場合もあると考え、また、それ自体がおっしゃったように地方創生の核になるということもあるわけでありまして、市町村の選択をそういう視点から尊重すべきものであるというふうに考えます。 もとより、学校規模の標準は、学校教育法施行規則において、特別な事情がある場合にはこの限りでないとされている弾力的なものであり、文科省としては、標準を下回る場合に一律に学校統合を推進するということではなく、学校規模の適正化や小規模校の課題の解決策を含め、地域の核となる魅力ある学校づくりを各設置者が主体的に検討できるよう、支援をしてまいりたいと考えております。 ○青木愛 ありがとうございます。ぜひ御期待いたしております。 次に、高等学校の就学支援金制度についてお伺いをいたします。 昨年の今ごろ審議をいたしておりました。公立高校の授業料の無償化が高等学校就学支援金に制度が変わりまして、年収九百十万円の所得制限が導入され、受給するには、申請をしなければ、対象であっても無償にはならない制度に変わったと認識をいたしております。 新制度が導入されてから現場ではさまざまな問題点が指摘をされています。とりわけ、受給対象者であるにもかかわらず支援金を受け取れないでいる生徒がやはりおります。 理由は申請方法にございますが、申請には課税証明の提出を義務づけておりまして、前回、フリースクールの質問でも触れましたが、多種多様な生活環境の中で子供たちの就学形態が左右されております。 所得申告を親がしていないがために課税証明書がとれない場合や、自営業で、親権者が申告しておらず、課税証明書がとれない。さらには、養育放棄の状態で申請ができない。また、一人親の場合は、一人親になった理由が必要で、その理由が答えづらいために申請を諦めているなど、全て心が痛む事案でございます。 そこで伺いますが、今の新制度のもとで、支援金の申請者数、辞退者数、未提出者数について把握をしている状況を教えていただきたいのと、辞退者また未提出者の理由を教えていただきたいと思います。 ○小松政府参考人 お答えをいたします。高等学校等の就学支援金制度の申請者数等のお尋ねでございますが、現時点で把握している状況といたしましては、これは本年四月からの開始で現在つかんでいるところですが、新制度の対象でございます第一学年の生徒数全体約百二十一万人中約九十二万人、七六%が就学支援金を受給しております。 就学支援金の辞退者数、申請書の未提出者数というところにつきましては、これがいわゆる申請主義でございますので、母数が確定していて、その中の何%というふうな計算ができないということがございますので、その数自体を申し上げるということは難しいわけでございますが、ただいま御指摘のありましたその実例としては、存在していることは把握しております。 御指摘のありました理由で申しますと、所得制限の基準額を超えているというために辞退をしたというのもございますし、課税証明書の取得、提出に困難があった、手間の面とか、そういうものを実際に出すことができなかったというような事情によって申請書を提出しなかったというようなことが理由になっているということは、確かに都道府県等から報告をされております。 私どもの把握としては、そういった形で今理由をそのように把握しているところでございます。 ○青木愛 まさにこの申請主義ということが大きな問題をはらんでいて、実際、この手当が行き届かなければならないところに行き届いていないという現状があるということであります。 今、辞退者数また未提出者数については把握をされていないということでございました。理由については幾つか挙げられていましたけれども、下村大臣にぜひお聞かせをいただきたいと思いますが、この新制度の柱は、公私間格差の是正と、そして低所得者への無償の給付、これを柱としていたと思います。しかしながら、今の現状は、残念ながらそういう状況にはなっていないケースがございます。 一年前までは支給を受けていた低所得者のところに実際に実害が出てきているというこの現状を認識しておられるのかどうか。認識しておられるとすれば、早急なさらなる実態調査をして、事情は本当に個々によって全く異なりますので、プライベートを本当につまびらかにすることであります。それぞれの事情をきちんと調査をしていただいて、そして今からでも申請を促すように、文科省として、また大臣としても取り組んでいただきたいというふうに思うのですが、いかがでしょうか。 ○下村国務大臣 今回の新制度が、ことしが初年度ということもありまして、申請の際に生徒の家庭状況の確認等で問題が生じたケースもあったということは承知をしておりますが、文部科学省としては、課税証明書の提出が期限におくれるような場合には、期限を猶予して、可能な限り受け付けを行うよう、都道府県に対し要請をしてきたところであります。 学校現場の先生方が一番生徒のそのような状況について把握できる立場でもあるのではないかと思いますし、また、フリースクールやあるいは不登校の子供たちに対しても、周りの方々がそのような促しをしていただけるようなことを含め、文部科学省としても、新たな新制度が始まって、このような制度だということをより多くの国民の皆様方に知っていただくようなことも含めて、確実に、新制度によって御指摘のようなことがないような対策について努力をしてまいりたいと思います。 ○青木愛 各都道府県に可能な限り対応するよう、そのような取り組みを進めているということではありますが、何点か細かい点についてお伺いをさせていただきたいと思います。 例えば年度途中から申請をする場合、遡及できるかどうかということについてお伺いをしたいのですが、要領を見ますと、四月に申請できなかった理由が、被災や病気による長欠か保護者の海外出張、こうした理由であれば、途中の申請であっても四月に遡及して受給できるというふうになっているかと思いますが、その点についてと、その他の理由だとどうなるのかということをお聞かせいただきたいというふうに思います。 ○小松政府参考人 お答え申し上げます。まず前半の部分、やむを得ない理由によって申請ができなかったという場合に、その後で申請を行えば就学支援金を遡及して支給できるかというお話でございますが、これは、遡及して支給することが可能でございます。 それから次に、そのやむを得ない理由に何が当たるかということでございます。処理要領には、例示として災害への被災等が今御指摘のとおり掲げてあるわけですけれども、これを例示といたしまして、本人の責めに帰さない場合というのは前提となっております。 したがいまして、いわゆるその他に当たるところで申しますと、例えば、先ほどちょっと出しておられました養育放棄であるとか、あるいは家庭内の問題で出すということが現実的でないとか、そういったものについては、やむを得ない理由として含めて処理をするということができるという解釈でございます。 ○青木愛 ありがとうございます。養育放棄を初め、それぞれの家庭のさまざまな事情に対応していただけるということでよろしいんですね。わかりました。 そうしましたら、今回出された第一版の要領がございますけれども、来年度はぜひその辺も含めた形で解釈できるようにお願いできればと思いますけれども、いかがでしょうか。 ○小松政府参考人 処理要領自体もそうですけれども、さまざまな機会を捉えて、積み重なってまいります多様な例にできるだけ対応できるように、丁寧に説明していきたいと思っております。 例えば、ほかの理由でも、課税証明書の取得がなかなか困難であるとか、親権者二人の方の合計の所得を見なければいけないけれども一人は難しいとか、幾つかいろいろな例が出てきております。それらの御相談に乗るように私どもいたしておりますが、より広く、そういった多様なケースについて対応できるように、説明を広げていきたいというふうに考えます。 ○青木愛 あわせて、課税証明書についてもやはりやむを得ない理由という記載がございまして、これについては、やむを得ない理由として、DVや児童虐待のため、接触することにより危害が考えられる場合や失踪により接触することができない場合など当該事情を明らかにした上で、本人の所得のみにより判断することもできるというふうにございます。 先ほどの、申請のときのやむを得ない理由とともに、こちらについても、養育放棄を初め、幅広くこのやむを得ない理由というものを捉えるべきではないかというふうに思いますが、先ほど局長さんの御答弁にありましたとおり、申請時と同様に、この課税証明書提出のためのやむを得ない理由というのも同様に考えていてよろしいでしょうか。 ○小松政府参考人 そのとおりでございます。 ○青木愛 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。 もう一点、お伺いをいたします。家計急変の対応についてでございますが、九百十万円以上の所得があることによってこの受給が不認定となった後に、例えば解雇や賃金の引き下げや倒産などによって受給認定基準になった場合、どのような対応がとられておりますでしょうか。 ○小松政府参考人 いわゆる家計急変によりまして収入が激減した場合は、緊急に対応する必要が出てまいります。 そこで、支援の対象となったものが発動するまでの間、その緊急支援については、都道府県等において支援が行われるわけでございますけれども、これを支える意味から、国の方でも二分の一を補助する制度を平成二十六年度に導入したところでございます。 家計急変への支援を含む授業料減免そのものにつきましては、各地方自治体ごとに制度設計されておりますのでさまざまな形態がございますけれども、それを踏まえた上で、国もこれを支えていくというような制度になっているところでございます。 ○青木愛 これは授業料免除制度で対応しているということですね。各都道府県の授業料免除制度で対応しているということで、今お話にありましたように、授業料免除の対象者の収入基準とか家族構成によってもその基準というのは異なってくるのではないかというふうに思いますけれども、その点についてはいかがでしょうか。 ○小松政府参考人 その基準につきましては、各地方自治体ごとに制度設計をされておりますことから、一律のものではございませんで、異なっております。 ごく簡単に例だけ申し上げますと、その要件といたしまして、例えば失職、倒産、災害、そういうのをどこまでの範囲にするか、あるいは、収入ということで生活保護や市町村民税の所得割額見込みなど、それはそれぞれの地方自治体の諸制度とのバランスも含めて決められているという意味で、それぞれ異なっている面がございます。 ○青木愛 そうしますと、各県で収入基準が異なるということは、収入基準から九百十万円までの間の方々というのは、本来のこの新制度であれば受給できる対象であるにもかかわらず、各都道府県に任せているために、それに相当する額が受け取れないということは考えられるというふうに思うんですね。その辺についてはいかがでしょうか。 ○小松政府参考人 就学支援金の収入そのものは、国としてどのように支援するかというのは一定のものが決まっておりますので、その点については漏れ落ちがないと思います。 問題は、一回認定があって、そのときには九百十万円を超えていたものが途中で超えなくなったために、次の支給が始まるまでの間をどうつなぐかという点では、そこは確かに都道府県によって差異があると思いますけれども、そこはそれぞれの地域の実情に応じて支援をしていただくということと相まって、国としてはそれを支えて立ち行くようにするという制度になっているところでございます。 ○青木愛 私は、やはり高等学校等就学支援金のこの新しい制度、新制度の枠の中で取り扱うべき事柄ではないかなというふうに思うんです。 この授業料免除制度は、本来、生活保護家庭に対する制度だというふうに認識をしておりまして、今御答弁にあったとおり、国と県がそれぞれ二分の一ずつの支出で賄われているものでありますが、この対象となる子供はこの新制度の中の本来は対象でありますから、これは、やはり国が責任を持ってこの新制度の枠の中で対応をするべきではないかというふうに考えるんですが、下村大臣、いかがでしょうか。 ○小松政府参考人 家計急変につきまして緊急の対応をするということで申し上げますと、一定の期間はどうしても不定期に生じてまいりますので、その部分について一番実情を把握できている、あるいは、さまざまな生活回りの制度を持っております地方公共団体において支援の手を差し伸べていただき、それと相まって、国も一緒に手を差し伸べるということで支えるということでまいりたいと思っておりますけれども、ただ、確かに各地方自治体の取り組み状況を伺うと、初年度ということもございまして、考え方も、非常によく情報、意見交換がされていて整備されているかということをいいますと、そこは、情報の収集、提供等については、むしろ、国の方でどういう方法が一番いいかということを提供して一緒に考えていくという余地があると思っております。 そういった機会をつくりまして、まずはそこがきちっと支えられるような仕組みの充実を全国的に普及していくような、そういう努力をしていきたいというふうに思っております。 ○青木愛 家計急変については、やはり直近の収入状況をもって速やかに受給認定をして支給が可能となるよう、制度改正を求めたいというふうに思います。その間だけ都道府県の力を、財源を二分の一ずつ借りてというのでは、この新制度のそれは不備、欠陥だとやはり指摘をせざるを得ないというふうに思います。 ぜひ、今御答弁にありましたとおり、都道府県ともう一度さまざま情報交換、話し合いをしながら、知恵と工夫でもって制度改正をしていただけるよう、お願いをしておきます。 さまざま質問をさせていただきましたけれども、この新制度、評価できる点、考えられているなという点は、生徒本人の申請であるという点が唯一救いかなというふうには思うところもございます。ただ、この制度を、後に返金をしなければならない制度と誤認をしている例も見られております。入学時にパンフレットを配って簡単に説明をするだけではなくて、やはりもっと周知を徹底することが必要だというふうに考えております。 その点と、先ほども指摘をいたしました、早急にこの辞退者数、未提出者数について、またその理由についても把握をしていただいて、四月にさかのぼって受給できることも含めて制度の改善をしていただきたいということ、そして三点目として、先ほどの、申請時と、それから課税証明書が提出できないやむを得ない理由を幅広く次の要領に盛り込んでいただきたい、こうした点をお願いしたいというふうに思いますが、大臣、御所見を一点いただければというふうに思います。 ○下村国務大臣 ことしの四月から新制度がスタートいたしました。日々改善、努力、工夫をすることによって、よりよいものを目指してまいりたいと思います。 ○青木愛 いずれにしましてもこの新制度は、本人の申請となっているものの、実際には保護者の意向で申請したりしなかったりという恣意的な現状がございまして、生徒にとっては不平等であるばかりではなく、不幸な状況だというふうにも考えます。 私たちは、全ての受給対象者が受け取れるようにこの新制度の改善が図られない場合は、やはりこの問題の多い新制度を廃止いたしまして、高校の授業料の無償化も視野に入れ、求めていきたいというふうにも考えておりますので、ぜひ前向きな姿勢で取り組んでいただきたいということを申し上げて、質問を終わります。 ありがとうございました。 |
|