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立憲民主党 参議院議員 青木愛 Official Website

議会議事録JOURNAL

平成29年4月18日 国土交通委員会

住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律の一部を改正する法律案について
(参考人質疑)




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○青木愛

 希望の会、自由党の青木愛です。どうぞよろしくお願いいたします。
 今日は三名の参考人の先生方に大変貴重な御意見と、また今後の課題を御示唆いただきまして、ありがとうございます。まさに、この制度は地方公共団体にその多くを委ねられていると私も認識をしておりまして、先ほど中川参考人からもございました、地方公共団体がその地域の課題をしっかりと調査をして、そしてそれに対するまた解決のアイデアを持ち合わせているかどうか、ここが大変大切だと私も共感をしたところでございます。そういう意味におきましては、今後とも、この制度がしっかりと機能しますように、それぞれの研究者の先生方には、是非地方公共団体、地方に対するまた御指導を引き続きお願い申し上げたいというふうに思っております。
 そこで、まず質問でございます。三名の先生方にお伺いをさせていただきます。大都市圏と地方との差について伺いたいと思います。
 この要配慮者への対策、大都市圏と地方とでは、その財政におきましても、また課題、意識についても大変異なる部分があるのではないかなというふうに思っておりまして、今回の制度の適用において、この都市部と地方でのそれぞれの課題、そして、この制度の効果を上げるための何か注意点がありましたら、是非お聞かせをいただきたいと思います。


○中川雅之 日本大学経済学部教授

 財政状況が違ってくる、それは御指摘のとおりだと思います。ただ、住宅確保要配慮者に対する何らかの支援が必要だということにつきましては、基本的な状況につきましては、大都市も地方も私は同じ状況ではないかなと思っております。
 そこで、一点、多分違うのではないだろうかと考えているのが、例えば単身の高齢者に対する生活支援をやる場合に何が重要なのかということを考えたときに、恐らく、生産年齢人口の方がそばにいらっしゃるのか、そういう方が後方にいらっしゃったら、多分高齢者の方が分散していても生活支援サービスとか見守りというのは適切にできるんじゃないかなと思います。
 ただ、そういう生産年齢人口の方、要するに若い方がそばにいらっしゃらない場合には、単身高齢者の方が非常に分散して離散してお住まいになっているような状況では、なかなか生活支援サービスを提供することというのは困難になっていくかもしれないと。その場合には、ある程度、単身の高齢者の方については集積をしていただいた上でそういうサービスを提供するということが必要なんではないかと。そういう状況が生まれてくるのは恐らく地方部の方が私は深刻に、分散して人口密度が非常に低いような地域においてはそういう配慮が必要なんではないだろうかと。そういうことを恐らく地方公共団体の方は認識して、いろんな計画を立てていただければと思っております。


○土肥真人 東京工業大学環境・社会理工学院建築学系准教授

 都市と地方の、特に大都市圏と地方都市あるいは地方のことですけれども、これは本当に住宅マーケットはかなりそのローカルによって違いますし、あと住宅確保要配慮者ですか、この方々の状況もかなり違うので、実際にミスマッチングが起きるんではないかということは当然想定されます。
 ただし、そういう意味では、様々な自治体が様々な取組をされるというその多様性というんですか、モデルの多様性を是非それを広くサポートできる国の政策というのが必要になるんだと思います。私の考えでは、その一つがやはり居住のミックスでございまして、今、中川先生は集積と申しましたけれども、この集積も要支援者だけを集積されるということではないと思うんですね。様々な方が集まって住んで、そこで支援し支援されるという、そういう関係を、それこそ地方都市と大都市でそれぞれ別の課題になりますけれども、実現すると。そのことによって、レジリエント、回復力のある強いコミュニティーが、地域づくりが実現できる、そういうふうに思っております。
 以上です。


○塩崎賢明 立命館大学政策科学部特別招聘教授

 大都市と地方との間の問題では、一つ、空き家の存在と要支援者の存在のミスマッチがあるということが一番根本の違いかなと思うんですね。地方には結構空き家があるんだけれども要配慮者がそんなにいるわけでもない、大都会にはたくさんいるんだけれども、じゃ、地方に空いているところに行きなさいと、これはなかなか無理ですので、そこにギャップがあるということがあると思います。
 仮に、地方に要支援、配慮者の人がいるとしたら、それはそれでやらなくちゃいけないんですけれども、一方では、地方ではやっぱり地域の見守りとかコミュニティーというのがまだまだ大都市よりは存在していて、これをなくさないことが僕は非常に大事なんじゃないかなと思います。
 そこのところが、私、今、東日本大震災の被災地の大船渡というところに行っているんですけれども、ああいうところの集落を見ていますと、役所の方はほとんど把握しているんですね。どの方が生活で困っているかということがよくよく分かっていますので、その部分はやっぱり大都会よりは対応の仕方がいろいろ役所としても可能だし、お金の面では苦しいんですけれども、そこを支援すれば、大都会よりは要支援、配慮者の人たちに対する支援は行き届く可能性は高いんではないかなというふうに思っています。



○青木愛

 ありがとうございます。
 それでは、もう一点、三名の参考人にお伺いをさせていただきたいと思います。
 家賃の低廉化について毎年度の予算措置という状況になっておりまして、土肥参考人からは家賃補助制度が欧米に比べて日本は未発達だという御指摘もあり、また塩崎参考人からは法律でしっかりと明記すべきだと、また中川参考人からは実質その予算を確保すればいいのではないかということで、今後の検討課題だとは思いますけれども、いずれにしても応募者全員を受け止める予算措置にはなっておりません。
 予算が不足する場合、この優先順位というものがどのように決められていくのかということを大変懸念をいたしております。その辺をお伺いをしたいのと、あともう一点併せて伺いたいのは、今大学生が大変、大学生の約半数が奨学金を借りて、卒業後の返済に苦しんでいるという状況は皆さん御存じのとおりだと思いますけれども、地方から出てきて住居を必要とする学生、このような方々も要配慮者に含めるべきなのではないかなという課題意識も持ち合わせてはいるんですけれども、この法律においては、子育て世帯は十八歳以下ということになっていますので、その辺りも含めてお聞かせいただきたいと思いますけれども、優先順位というこの問題意識について御見解をいただければと思います。よろしくお願いいたします。


○中川雅之 日本大学経済学部教授

 済みません、きちっとしたお答えがちょっとできないかもしれませんけれども、基本的には、コアな政策として公営住宅というコアな政策がございますので、それをまずきちんと運営していくと。地方地方におきまして、公営住宅の整備状況ですとか、あるいは要配慮者の需要ですとか、それが違うので、公営住宅の補完として何が必要なのかということは地域地域で御判断いただくということが多分必要なのかなと。
 それから、奨学金のお話、若者につきましては、大学の教育者としては非常に関心があるところではございます。ただ、こういうセーフティーネットにつきまして、どれだけの財政、政策資源を投入できるのかというのはかなり大きな方向性の問題でございますので、そういう投入できる財政資金との関係でどこまでそのセーフティーネットの範囲を広げるのかということは多分別の議論が必要なんではないかなと、そのように私は考えております。


○土肥真人 東京工業大学環境・社会理工学院建築学系准教授

 優先順位に関してですけれども、本当に大変な問題ですよね。
 基本的には、一つは量の問題があると思います。少ないパイであれば、それをどういうふうに取り合うというか、分け合うかは非常に厳しくなる。けれども、やはりある程度の量をまず用意すれば、それぞれの、カテゴリーというとなんですけれども、要配慮者のグループの中で順番が付けられる。これは付けることができると思うんですね、あるいは付けざるを得ないと思うんです。ただし、ホームレスの方が子育て世帯よりも大変かどうかという、あるいは逆かどうかというのは、これは誰にも比べられないですよね。
 ですから、やはり私は、この量の問題がまず第一にあって、しかる後に、それぞれのグループの中で是非その順番を付ける客観的な方法を示されるというのが基本的にはいいんじゃないかと思います。そのしかる後に、各自治体の自主性というのは当然尊重されるべきだと。
 若者に関しては、今回ちょっと全くそのことを考えていなかったので、特に今すぐに何かアイデアがあるわけではないんですが、今回の住宅セーフティーネット法の家賃補助をするという意味では、ちょっと違うかなというふうに今は思います。ただ、将来的には、本当に国を背負うような若者が、そういう、家賃がないから東京の大学に来れない、あるいは行きたい都市の大学に行けないということであれば、それのサポート、支援施策というのは考えるべきなんだと思います。
 以上です。


○塩崎賢明 立命館大学政策科学部特別招聘教授

 優先順位については私も答えがないですが、これは予算の枠があるということに問題があって、例えば外国の家賃補助制度なんかを見ると、ほとんどは要件が満たされればみんな出すというふうにやっているわけですね。予算枠があるところは、アメリカなんかはそうなんですけれども、だから、そういう構えでやっていないところが問題なんだと思います。一つの手としてはウエーティングリストですかね、順番待ちみたいな感じの方法ぐらいしか考えられないですね。
 それから、大学生の問題については、奨学金が、私ももらっていましたけれども返さなくていい奨学金でした、当時は。だから、それが普通だと思っていたんですけれども、今はほとんど大学生ローンになっちゃっているわけですよね。これを改めるのが一番大事だと思いますが、私どもの仲間では若者について研究もしています。大学生だけじゃなくて、勤労の若者も住まいと職に困って結婚とか将来の展望が描けないという人が随分たくさんいるので、当然、この住宅確保要配慮者の範疇に入れてきちんと対策を打たないと、これは将来の我々の社会を担っていく人たちなので、おろそかにしてはいけないというふうに思っています。



○青木愛

 大変貴重な御意見をありがとうございました。








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