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立憲民主党 参議院議員 青木愛 Official Website

議会議事録JOURNAL

平成29年5月18日 国土交通委員会

道路運送車両法の一部を改正する法律案について




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○青木愛

 希望の会、自由党の青木愛です。
 平成二十八年四月に三菱自動車工業とスズキによる型式指定審査における燃費の不正事案が相次いで発覚をしました。それを受けての今回の法律改正であると認識をいたしております。
 まず御質問させていただきますが、この不正な手段によって型式の指定を受けた場合、型式の指定を取り消すことができると、この法案はできる規定になっております。法案施行後に昨年のような三菱自動車工業あるいはスズキと同様の事案が発生した場合、それぞれどのような判断が下されるのか、また、三菱自動車工業の場合は極めて悪質だというふうに思いますけれども、こうした場合、型式指定を取り消すのかどうか、お伺いをいたします。


○藤井直樹 自動車局長

 お答えいたします。
 今後、三菱自動車工業やスズキと同様の事案が発生した場合に取消し対象になるかという点でございますけれども、これにつきましては、あくまで仮定のケースということになりますので、お答えすることは差し控えたいと考えております。
 その上で、一般的に申し上げますと、今回の法改正に伴いまして、不正な手段に基づく取消し、これにつきましては、事業者の不正行為についての悪意の有無、さらには法令に違反する方法による申請が燃費等の自動車の諸元値に影響を及ぼしているかどうか、さらには不正事案の社会的な影響の度合い、こういったものを総合的に判断をして取消しの必要性について判断を行っていくということになるものと考えているところでございます。



○青木愛

 今回の法案の改正は特にこの三菱自動車工業の不正事案を受けての改正だというふうに思いますので、余りそういう曖昧な言い方ではなく、そうした場合は取り消すとはっきり言った方がその抑止力につながるのではないかというふうに思うのですけれども、国交大臣のそのときの判断ということで、その取消しの根拠が少し曖昧かなというふうに感じております。
   〔理事長浜博行君退席、委員長着席〕
 また、国交省は、この事案に対して、三菱自動車工業の方に燃費を修正しなさいという申入れをしております。そして、三菱自動車工業も一時販売の自粛を、軽自動車四車種とそして普通自動車八車種を二か月間、販売自粛を行ったということですが、その後、その数値を修正して販売が続けられるということでありました。修正したとはいえ、悪質性の高い、その意識の下で製造された車がその後販売をされているということについては私自身は違和感を抱いたものでありまして、いずれにしても、対応が甘くなって抑止力が利かなくなることを私は懸念をしているということを申し上げておきたいというふうに思います。
 次に質問をさせていただきますが、この法案改正で罰則が強化をされるということであります。法人に対しての罰金が二億円以下ということでありますけれども、この自動車メーカーは大企業でありますので、資金力が潤沢なメーカーにとってこちらも抑止効果につながるのかどうかというところをお伺いをしたいのと、消費者庁の方で、三菱自動車工業に対しまして、不当景品類及び不当表示防止法に基づいた課徴金として売上げの百分の三、四・八億円を課しております。
 不正な手段で型式指定を受け、不正な利益を得たわけでありますので、型式指定を取り消すだけではなく、販売が認められるということであるのであれば、その販売額に応じた課徴金を課すことを国交省としても考える必要があるのではないかと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。


○藤井直樹 自動車局長    

 お答えをいたします。
 今回の法改正案におきましては、型式の指定を受けた者に対する報告徴収等において虚偽の報告等を行った者に対する罰則を、個人に対しては一年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金又はこれらの併科、法人に対しては二億円以下の罰金にそれぞれ引き上げることとしております。
 改正案における罰金額は、現行の道路運送車両法における罰金の最高額であり、自動車メーカーによるリコール命令違反等に対するものと同等の額としたところでございます。また、他の輸送モードに関する法律における罰金額と比べて高額なものとなっており、罰則の強化の額としては適正な額であると考えているところでございます。
 なお、今回の改正案におきましては、不正の手段により自動車等の型式の指定を受けたときには当該指定を取り消すことができるとしているところでございまして、この取消しをされた場合には、自動車メーカーは実質的に大量生産、販売を行うことができなくなります。これは、経済的な効果としてはこの罰金額と比べてもはるかに大きな経済的な制裁が掛かるということになると考えておりまして、こういった点でこういった不正行為の抑止効果を総合的に図っていきたいと考えているところでございます。
 あと、委員の御指摘がありました課徴金につきましてでございますけれども、これにつきましては、今回の不正事案を踏まえて、必要な対策を検討するために有識者を交えて国交省内に設置をしたタスクフォースにおきましても今後の課題として取り上げられているところでございます。
 今申し上げてまいりましたような抑止のための措置、こういった対策の効果を検証した上で、その必要性について今後検討してまいりたいと考えているところでございます。



○青木愛

 次の質問に移らせていただきます。
 当然のことながら、この自動車税、重量税、またエコカー減税など、車に関する諸税の納付不足分というものは三菱自動車の方で支払っているということであります。ただ、ユーザーは、その後のガソリン代の増加ですとか、欠陥車を買わされたという事実、さらにはその後の中古の販売価格にも影響があるなど相当の被害を受けるわけでありますけれども、その賠償額が最高でも十万円というのは少ないように私は感じておりますけれども、この算定基準、また算定価格について国は適当と判断をしているのかどうかということをお伺いをいたしたいと思います。
 あわせて、ドイツのフォルクスワーゲンが不正ソフトによって排ガス不正をしたと。その車が日本に八十台輸入をされているんですけれども、こちらについては、個人が並行輸入したものであるので日本では罰金が取れないということなんですけれども、アメリカではこのフォルクスワーゲンの不正ソフト使用による排ガス不正事案に対して、罰金、また制裁金四十三億ドル、約四千八百億円を引き出しているという状況があり、法律体系も違いますし、状況も異なる部分がありますから安易に比較はできないのですけれども、余りにも日本の場合ユーザーに厳しい状況だなというのが率直に感じる部分であります。
 先ほどの質問に対して、まず御答弁をお願いしたいと思います。


○藤井直樹 自動車局長

 お答えをいたします。
 三菱自動車工業は、燃費不正のありました対象車種のユーザーに対して一台当たり最大十万円の損害賠償を行っているところでございます。この支払金額の考え方につきましては、一つは新届出燃費値と旧届出燃費値の差による燃料代の差額、もう一つは今後の車検時などに想定される自動車関連諸税の増額分、こういったものであるということが三菱自動車工業のホームページで公表されているところでございます。
 国土交通省としましては、ユーザーへの補償の内容は三菱自動車工業が自ら検討し判断すべきであると、そういった前提の上で、同社に対しまして、今回の不正行為はユーザーの信頼を大きく損なうものであり、ユーザーに対して誠実に対応するように指導を行っていたところでございます。



○青木愛

 是非、国交省としては、ユーザーの、消費者の立場に立った前向きな対策をお願いをしたいなというふうに思っております。
 石井大臣にお伺いをいたします。
 平成十二年、十六年とリコール隠しがありました。その後、外部有識者を交えた企業倫理委員会の設立なども行われたと聞いておりますが、昨年、再度不正が起きたということであります。
 国交省として、これまで三菱自動車工業に対して的確な監査を実施してきたのかどうか、自動車技術総合機構、こちらが機能していないということも課題ということも考え合わせながら、国交省として、また石井国交大臣としてその責任をどのように認識をされているか、また、今後同様の不正を防止できるのかどうか、お伺いをさせてください。


○石井啓一 国土交通大臣

 三菱自動車工業につきましては、これまでもリコール隠し等の不正行為が指摘をされ、コンプライアンスの確立のための対策を講じてきたにもかかわらず、今回再び同様の不正事案を起こしたことは極めて遺憾であり、三菱自動車工業の責任は誠に大きいと考えております。
 その上で、型式指定の審査において、自動車技術総合機構が自動車メーカーから提出されたデータを特段のチェックなく使用していたことが今回の不正事案の温床になった点につきましては、国として率直に反省をしなければいけないと考えているところでございます。
 今後、同様の不正を防止するために、自動車メーカーのデータの測定現場における抜き打ちでのチェックや、メーカーが提出したデータと機構が自ら計測したデータの突き合わせを昨年六月より開始をしております。その他、不正を行ったメーカーに対する審査の厳格化を行い、さらに、今般の法案によりまして型式指定の取消しと罰則の大幅な強化を図ること等によりまして、自動車メーカーの不正行為を実効性を持って抑止することとしているところでございます。
 さらに、国土交通省といたしましては、三菱自動車工業に対しましては、二度とこのような不正事案を起こすことのないよう、再発防止のための具体的な取組について提出を求めた上で、その進捗状況について定期的に厳しくチェックを行っているところでございます。



○青木愛

 是非、このような事案が二度と起きないよう、しっかりと大臣の判断とそして対策をお願いをしたいと思います。
 最後の質問になりますけれども、私からも質問させていただきますが、燃費試験方法について、国連の方でWLTCモード方式が策定されました。日本でも導入されて、この夏以降に走行環境に応じた燃費表示の導入が行われると伺っております。ユーザーの立場から、今までのJC〇八モードからWLTCモード方式に変わることによってどのようなメリットがあるのかお伺いをしたいのと、このWLTCモード方式策定に当たって日本がどのような役割を果たしてきたのか、その二点についてお伺いをいたします。


○藤井直樹 自動車局長

 お答えいたします。
 燃費試験法につきましては、本年夏より、従来の日本独自基準であるJC〇八モードに変えてWLTCモード法が順次導入されることになっております。
 このWLTCモード法につきまして、我が国は、二〇〇八年の国連の場での審議開始以降、二〇一四年の策定に至るまで、作業部会で副議長を務めるなど審議の円滑な進行をリードするとともに、数多くの走行データの提供や具体的な試験法の提案等を行い、積極的に貢献を行ってきたところです。
 現在のJC〇八モードでのカタログ燃費表示は、実際の燃費との乖離が最大四割程度に達するという指摘があるところでございますけれども、今回、WLTCモードにおきましては、走行環境ごとの燃費を別々に算定し表示することが可能となること、さらに、試験時の車両重量が増加をし、より実際の使用実態を反映したものとなること、こういったことから、カタログ燃費表示と実際の燃費表示の乖離が縮小するという効果が見込まれております。
 さらには、この表示を走行モードごとに示すことによりまして、いわゆる市街地あるいは通常道路、さらには高速道路、そういったところで、それぞれ車がどのそういった道路環境で燃費が良いかということが相対的な比較ができるようになりますので、それぞれの方々の自動車の使い方によって最もふさわしい車というのを選ぶことがより容易になるというメリットがユーザーには生ずることを大いに期待をしているところでございます。



○青木愛

 ありがとうございます。
 今後、型式の指定の取消しといった事態にならない、不正が行われないということが最も大切なことでありますので、あくまでも消費者の立場に立っていただき、しっかりと抑止力が働くように今後の取組をお願いをして、質問を終わります。
 ありがとうございました。






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