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立憲民主党 参議院議員 青木愛 Official Website

議会議事録JOURNAL

平成29年5月25日 国土交通委員会

通訳案内士法及び旅行業法の一部を改正する法律案について




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○青木愛

 希望の会、自由党の青木愛です。
 まず、通訳案内士のお仕事は、訪日外国人観光客に対して日本を正しく紹介をして、旅行者に安全、安心、満足の日程を提供することだという認識をしております。
 まず、質問させていただきますが、有資格者であります通訳案内士が現在就業しているのは、専業で六・二%、兼業で一八・一%と伺っておりましたが、長官は先ほど二四%と述べられておりますが、就業者の年収は二百万円以下が約半数であるということであります。業務独占を廃止しますと、通訳案内士の立場は更に厳しい立場に追い込まれるというふうに予想されます。量的に不足をしているというのであれば、まずは就業していない登録数の約四分の三にも上る有資格者をどうしたら活用できるか、そこをまず考えるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。


○田村明比古 観光庁長官

 御指摘のように、平成二十五年度に観光庁が行った調査によりますと、通訳案内士の資格取得者のうち約七六%が未就業となっておりまして、就業者の中でも専業が約四%、兼業が一八%という状況になっております。また、今年の四月時点で約二万二千人の登録がなされておりますけれども、実働の通訳案内士はそのうち約五千五百人程度というふうに推定されます。
 なかなか、やはりこの受験者の中には語学力を証明するために受験したり、自己研さん、趣味のために受験するというような方もいらっしゃいます。ただ、通訳案内士の需要、季節波動が大きくて通年で安定して仕事を得ることは難しかったり、それから団体旅行や個人旅行への旅行者ニーズの変化だとか、旅行者と通訳案内士の語学のミスマッチなど、いろいろ背景にございます。
 やはり、有資格の通訳案内士の方々の利用を更に促進すること、非常に重要であるというように考えておりますので、関係者にその利用促進を呼びかけたり、知名度を上げるために訪日外国人あるいは海外の旅行会社に対してプロモーションを行っていったり、いろいろ総合的な取組を行って、これまで以上に有資格の通訳案内士の利用を促進してまいりたいというふうに考えております。



○青木愛

 せっかくの人材をどうしたら活用できるかというのは、国として積極的に今後とも考えていただきたいというふうに思います。
 今回の改正によりまして、全国通訳案内士、地域通訳案内士、有償の無資格ガイド、そしてボランティアガイドの四パターンの通訳ガイドに大別されると思いますけれども、それぞれの役割をどのように考えイメージされているのかが一点と、私は、国、自治体また公共団体等が実施をする外国人招聘事業ですとか、旅行業者やランドオペレーターが主催をする一定規模以上のツアーについては全国通訳案内士を義務付けるなどをして、全国通訳案内士の社会的身分の向上と就業機会の確保、これしっかり図るべきだというふうに考えておりますが、その点についていかがか。
 あと、もう一点お伺いしたいのですが、この改正で全国通訳案内士には新たに試験に実務の追加、また三年から五年ごとの研修が義務付けられ、負担が増すばかりで全国通訳案内士にとっては全くメリットが感じられないわけであります。そして、通訳案内士の方々は、ふだんからこの案内知識の向上のために全国各地に移動して自己研さんを行っているという状況がございます。
 このガイドの品質の確保、これはある程度国によって保証されるべきではないかというふうに考えておりまして、新設の研修を始め、あらゆる研修の機会に対しまして国による何らかのある程度の支援があってしかるべきではないかなというふうに考えております。今後の検討課題として思いますが、いかがでしょうか。
 この三点、お伺いをさせてください。


○田村明比古 観光庁長官

 今お尋ねのありましたそれぞれの主体の役割分担ということでありますけれども、全国通訳案内士は、日本全国の歴史、地理、文化等の観光に関する質の高い知識、技能を有しており、広域に周遊する訪日旅行者に帯同して行う観光案内などを担っていただく。あるいは、地域通訳案内士は、特定の地域について、その固有の歴史、地理、文化等の現地情報に精通しており、より密度の濃い観光情報を求めるリピーターや多様なニーズを有する旅行者に対する地域の観光案内を行っていただく。あるいは、ボランティアガイド等の資格を有しない方、これは、資格は有しないものの、訪日旅行者に対して観光案内を行う高い意欲を有している者でありまして、現地において気軽にガイドを頼みたい訪日旅行者に対する観光案内を担っていただくなどが考えられるというふうに思います。
 そして、今般の業務独占規制の廃止によりまして誰でも有償でのガイド行為が可能になるわけでありますけれど、資格を持った通訳案内士の方が非常に高い知識、技能を持っておられるわけでありますから、引き続き重要な役割担っていかれるというふうに考えております。利用の促進、これを図ってまいりたいというふうに考えているわけでありますけれど、例えば、我が国において訪日外国人旅行者数が最近急増していて特に通訳案内士が著しく不足する言語のような場合に、こういう方々の同行を義務付けるということは逆に通訳案内士の数が不足して団体旅行が催行できないといったボトルネックとなってしまうようなことも懸念されます。
 先生、ちょっと御提案いただきました国が実施する外国人招聘事業みたいなものについて、招聘の目的に応じ、必要な場合に通訳案内士の活用を各省庁に働きかけるようなことというのは私どもも検討をしたいというふうに考えております。
 それから、定期研修や自己研さんに対する負担軽減措置というお話でございますけれども、研修の受講期間については、三年以上五年以内において国交省令で定める期間とされているわけでありますけど、今後、受講者の負担をできる限り少なくする方法で制度設計を行ってまいりたいというふうに思います。
 それから、試験の見直しに当たっては、難問、奇問が多い等の指摘のある問題をより通訳案内の実態に即したものに見直すなど、トータルとして通訳案内士の方々や受験者の方々の負担を増やさないような配慮を図ることとしております。
 また、研修の費用につきましても、これ、過大な負担にならないように国としても働きかけを行ってまいりたいというふうに考えております。



○青木愛

 前向きな御答弁、大変ありがとうございました。
 続いて質問をさせていただきますが、この地域通訳案内士、これは研修に参加するだけで国家資格を得るということになります。就業地域についての地理、歴史、文化、また産業などに一定の見識を必要とするわけでありますけれども、この研修の修了時には合否の試験を課すべきではないかというふうに考えておりましたところ、先ほど長官の御答弁で試験も併せて行うということでありましたので、御答弁は省かせていただきたいと思います。
 続いての質問に移りますけれども、今回の法改正で、有資格者である全国通訳案内士や地域通訳案内士が違法ガイド行為を行った場合には登録の取消しですとか名称の使用禁止など処分規定があるわけですけれども、無資格ガイドが違法ガイド行為を行った場合、あるいは質の低いガイドを行った場合、無資格だけに処分の対象にはならないということなんですけれども、こうした場合にはどのような対処をしていくのか、お伺いいたします。


○田村明比古 観光庁長官

 今回の法案におきましては、無資格者に処分を科すというような規定はないところでありますけれど、悪質なガイドの手配を防止するためのランドオペレーターに対する登録制度等は別途導入することとしております。
 また、ガイドが景品表示法や医薬品医療機器等法等の個別の法律に違反した場合には、それぞれの根拠法に基づき適切に対処をすることとしておりまして、このような関係省庁の連携を強化するために、今年の四月より悪質ツアー防止に関する関係省庁連絡会議を立ち上げたところでございます。
 そのほか、免税店協会に対しまして悪質なガイドについては観光庁に一元的に情報が提供されるよう通知を発出いたしましたり、それから、法務省入国管理局と連携をして悪質ガイドについての情報を共有することにより、当該ガイドが就労資格を持たない場合は出入国管理法に基づき適切な取締りが行われるよう対処するなど、関係省庁と連携してまいりたいと考えております。



○青木愛

 ありがとうございます。
 今伺ったのは、国内での質の低い無資格ガイドについてお伺いをさせていただきましたけれども、今、御答弁重なるかもしれませんが、先ほどから、昨年三月の中国人による就労資格がない違反事例の御紹介があります。アジア地域から同行の無資格ガイドが急増しているという状況の中で、この法案の改正後に無資格というものが合法になるわけですけれども、この外国の無資格ガイド、就労ビザの取得は厳しいというふうに思っておりますけれども、観光ビザでの入国でガイド業務を行った場合、先ほどもお話出ていましたけれども、どのように取り締まるのか、実際取締りが可能なのかどうか、その辺のところを改めてお伺いをさせていただきたいと思います。


○田村明比古 観光庁長官

 今般の業務独占規制の廃止によりまして、外国人を含め、誰でも有償でのガイド行為というのが可能となりますけれども、外国において手配されたガイドでありましても、先ほどもちょっと触れましたが、景品表示法や医薬品医療機器等法等の個別の国内法に違反した場合には、それぞれの根拠法に基づき適切に対処することとなります。
 それから、外国の旅行業者が発地で手配したガイドが、観光ビザのまま就労資格を有さずに日本国内で報酬を得る行為を行うことも考えられることから、観光庁におきまして、諸外国政府や関係省庁と連携をして違法行為への取締りを強化していくこととしております。
 そのほか、これも先ほどちょっと触れましたが、免税店協会との連携、さらにはランドオペレーターや旅行業者に対しての有資格者の活用を働きかけるというようなこと等々も含めまして、悪質行為についての対応を進めてまいりたいと考えております。



○青木愛

 最後の御質問を石井大臣に御答弁お願いいたしますけれども、冒頭申し上げましたように、通訳案内士の仕事は、訪日外国人観光客に対して日本の歴史や文化を正しく紹介をして、旅行者に安全、安心、満足の日程を提供する仕事であり、国益を背負った仕事であると考えております。業務独占規定を廃止をして無資格者が増加をしますと、悪質な行為や間違った日本の紹介が行われる危険性が高まると考えます。
 石井大臣はこのような危惧をどのように払拭をされるのか、また、全国通訳案内士の存在意義と通訳案内業全体の健全な発展についてどのようにお考えになっているか、お伺いをいたします。


○石井啓一 国土交通大臣

 通訳案内士につきましては、近年の訪日客の急増や変化する旅行ニーズに対しまして質、量共に対応できていない現状があることから、今般、通訳案内士団体や旅行業界、地方自治体など各方面からいただいた御意見を踏まえ、この度の法案を提出をしたところでございます。
 今般の改正によりまして無資格でも通訳案内業務が行うことが可能となりますが、これらの無資格で通訳案内業務を行う方々に対しましても、全国通訳案内士向けの研修の受講等を促すことで、通訳案内業務を行う者の全体的な質の向上を図ってまいります。
 また、旅行取引の公正の確保にいわゆるランドオペレーターが大きく関わっていることを踏まえまして、今般、旅行業法を改正をし、これまで規制対象とされていなかったランドオペレーターに対する登録制を創設するとともに、悪質な土産物屋への連れ回し等を禁止行為として位置付け、悪質な場合には処分を行うこととしております。
 これに加え、訪日旅行者から消費者庁、JNTO及び観光庁に寄せられた悪質行為に関する情報共有、これらの情報を基に、中国を始め各国の観光当局間と連携した旅行業者に対する指導強化等の取組も進めまして、悪質事案の防止を徹底してまいりたいと考えております。
 一方、全国通訳案内士につきましては、質の高い旅行商品を企画する旅行業者や高級ホテル等におきましては、引き続き有資格者を求める声が数多くございます。このため、今回の法改正に併せて、国土交通省といたしましては、旅行業者等が一括して通訳案内士を検索できるデータベースの構築、旅行関係者に対しまして通訳案内士の有資格者を積極的に活用する呼びかけ、JNTOによる訪日外国人への通訳案内士のプロモーション等を行いまして、全国通訳案内士の活躍の機会を増やすための各種取組も進めてまいりたいと考えております。



○青木愛

 質問を終わります。ありがとうございました。





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