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立憲民主党 参議院議員 青木愛 Official Website

議会議事録JOURNAL

平成30年3月29日 国土交通委員会

道路法等の一部を改正する法律案および外国人観光旅客の旅行の容易化等の促進による国際観光の振興に関する法律の一部を改正する法律案について

各地の半島の道路整備および橋梁等の老朽インフラの更新の重要性について、政府の見解を質しました。




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○青木愛

 希望の会、自由党の青木愛です。
 日本では、戦後、国土の均衡ある発展を目指し、地域と地域を結ぶ幹線道路網、そして地域内の道路網、その双方を整備充実しながら国を発展させ、国民生活を豊かにしてきました。また、災害時には、道路は被災地に物資を届け、復旧復興に大きく貢献しております。
 本日は、防災、災害時の対応という観点から質問をいたします。
 この度、重要物流道路制度、これには災害時の対応も含むということでありますが、既に緊急輸送道路がある中で新しく取り組むことになったその意義についてお伺いをいたします。
 また、法案提出理由の中で、道路の機能強化により物流生産性の向上を図ることが喫緊の課題だと、大臣、説明されておられました。どれだけの喫緊の状況なのかも併せて御説明をお願いいたします。


○石井啓一国土交通大臣

 電子商取引の拡大等によりまして物流需要が増加する一方で、深刻なドライバー不足が進行するなど、物流の危機的な状況が顕在化しておりまして、車両の大型化への対応など、物流の生産性を高めるための取組を強化していく必要がございます。また、近年、災害の頻発化や激甚化が進んでおり、災害発生時における救助救援活動の支援や緊急支援物資などの安定的な輸送を速やかに確保する必要がございます。
 これを踏まえまして、平常時、災害時を問わない安定的な輸送を確保するため、国土交通大臣が物流上重要な道路輸送網を重要物流道路として指定する制度を創設するものであります。
 また、あわせて、トラックの大型化に対応いたしました道路構造の強化や災害時における道路啓開、復旧の迅速化等の機能強化や重点支援を実施することとしております。
 なお、重要物流道路は、既に緊急輸送道路として指定されております高規格幹線道路、直轄国道など緊急輸送道路の枢要となるネットワークを担う予定であります。これによりまして、既存の緊急輸送道路が持つ機能に重要物流道路の新たな機能が加わり、地域の物流生産性の向上や災害時の対応強化に大きく貢献するものと考えております。



○青木愛

 その災害対応の際にどのような今度の制度改正でメリットがあるのかなというところなんですけれども、これまで比較的規模の大きな災害の場合、例えば平成十六年の新潟県中越地震、また平成二十三年の東日本大震災、また平成二十八年の熊本地震、こうした災害時には、その地方の管理をする道路について国による災害復旧等の代行が行われております。
 既に代行が行われている状況にございますが、この度の法律改正でこの代行制度については何が新しくできるようになるのか、そこのところを具体的に説明をお願いしたいと思っております。


○石川雄一道路局長

 お答えいたします。
 近年、自然災害が頻発、激甚化する中で、被災した道路を迅速に復旧することは被災地の復旧復興に欠かせないものでございます。しかしながら、被災した地方公共団体が行う災害復旧工事や道路啓開の多くは時間を要しておりまして、迅速に行うのは難しい状況でございます。
 現在、災害復旧工事を都道府県や市町村に代わって国が行う代行制度はございます。具体的には、都道府県が管理する国道につきまして、道路法に基づき、損傷の規模が大きく、高度な機械力、技術力が必要な場合、災害復旧工事を代行できる制度がございます。また、都道府県道、市町村道につきまして、大規模災害復興法によって非常災害として政令指定がなされた場合、災害復旧工事を代行する制度がございます。
 また、道路啓開につきましては、災害対策基本法によりまして、自治体の行政機能が喪失するほどの大規模災害の場合に限り、国が都道府県や市町村に代わって代行できる制度となっております。
 このように、代行が可能な対象といたしましては、大規模な工事や災害に限定されているところでございます。
 このため、今般の法案におきましては、物流上重要なネットワークである重要物流道路及びその代替・補完路を対象として、災害の規模によらず、地方公共団体からの要請を受け、道路の災害復旧を国が代行できる制度を創設することとしたものでございます。
 国土交通省といたしましては、代行制度の一層の機動的、迅速な活用を図ることを通じて、被災した地方公共団体の災害復旧活動を支援し、早急な交通の確保に努めてまいります。



○青木愛

 ありがとうございます。
 今回の制度によって、災害の大小にかかわらず、より小さな災害であっても国が代行をできるようになるというふうな理解でよろしいかというふうに思います。それは大変結構なことだとは思うんですけれども、問題は、この重要物流道路の指定でございます。コンテナの荷降ろしをする空港ですとか港湾ですとか、これは重要な拠点となり、これらを結ぶ道路は指定されるであろう、また、高速道路についてもこの重要物流道路の指定の対象になるであろうと言われております。
 私が、一点というか、懸念をいたしますのは、半島の道路の啓開、災害復旧がどうなるのか、そこのところを大変憂慮しております。
 半島は、被害によっては島のように全く孤立をしてしまうということで、災害の復旧が遅れることが懸念をされております。全国各地の半島におきましては、コンテナを荷降ろしするような大きな港が余り存在をしておりません。また、南海トラフ地震の津波の襲来が予想される、また房総沖の地震も予想されておりますけれども、房総半島の特に太平洋側、また、神奈川県の三浦半島、愛知県の渥美半島、知多半島、三重県の志摩半島、鹿児島県の大隅半島や薩摩半島などでも高速道路がほとんど計画がされておりません。また、静岡県の伊豆半島、伊豆縦貫自動車道の建設は予定されておりますけれども、まだ進んでいないという状況と聞いております。
 しかしながら、こうした太平洋側の半島は、歴史的に見ましても、巨大地震による津波の襲来を何度も経験をしてきました。もしも災害時に重要物流道路を優先的に啓開、復旧するということになりますと、重要物流道路となるべき高速道路がほとんどないこうした半島の道路啓開あるいは災害復旧、これが後回しになるのではないかということが懸念される点でございます。この点について、是非、どのようにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。


○石川雄一道路局長

 お答えいたします。
 重要物流道路は、平常時、災害時を問わない安定的な輸送を確保するため、物流において基幹的な役割を担っている高規格幹線道路や地域高規格道路、直轄国道をベースとして、主要な物流拠点を連絡するネットワークを基本に検討することとしております。
 具体的には、半島地域を含め、各地域におきましても、道路管理者による協議会等を活用し、有識者の意見や地域の特性、実情を十分踏まえながら、物流に関する課題や今後の方向性を整理した上で、沿道の土地利用状況や災害時の対応等を考慮した効果的なネットワークとなるよう検討をしてまいります。
 なお、仮に重要物流道路に指定されない緊急輸送道路につきましても、現在、被災後速やかに機能を回復させることを目指した橋梁の耐震補強を推進するなど、災害時における機能強化を図っているところでございまして、また、重要物流道路と相互の連携を高めながら地域の災害時の対応の強化も図ってまいります。



○青木愛

 半島におきましては、被害がひどいと島のように孤立してしまう。救援が届かず、更に災害による被害が深刻化し、長引くおそれがございます。
 先ほど大臣の御答弁で、一年程度を掛けてこの指定の取組を行っていくということでございますが、この半島地域の特殊性というものも是非御配慮いただいて、まずは、重要物流道路あるいは代替・補完路のまた指定の際には、是非地元の意見も聞いていただきまして取り組んでいただきたいということを切にお願いをしたいというふうに思います。まずは、この半島の孤立解消という部分を最優先に考えていただきたいと思いますけれども、よろしくお願いいたします。


○石川雄一道路局長

 お答えいたします。
 先ほども申し上げましたように、この具体の指定に当たりましては、有識者等の意見や地域の特性、実情を踏まえながら検討ということでございますので、その災害対応の観点も考慮して検討されるものと理解をしております。



○青木愛

 是非地元の声をきちんと聞いていただきまして、この半島という特殊性について格別の御配慮をいただきたいということを重ねてお願いをさせていただきます。
 次に、災害が生じた後の対策ももちろん大事なんですけれども、やはり事前の備えが大切だというふうに考えております。先ほども御答弁の中にも多少ございましたけれども、橋梁、橋が破壊されますと、やはり地域が分断をされます。この橋梁等の耐震対策について、今の現状の、どのように進められているか、御答弁をお願いいたします。


○石川雄一道路局長

 お答えいたします。
 首都直下地震や南海トラフ地震等の大規模地震時においては、救急救命活動や復旧活動を支える幹線道路等の果たす役割は重要であると認識しております。
 特に、災害時のネットワーク機能を確保するためには、委員御指摘のとおり、橋梁の耐震補強が重要となっております。例えば、平成二十八年に発生いたしました熊本地震におきましても、橋梁の被災によりまして、災害復旧や救援物資等の緊急輸送に支障を及ぼしたところでございます。
 このため、高速道路や直轄国道をまたぐ地方公共団体が管理する橋梁につきましては、少なくとも落橋、倒壊の防止を満たすための耐震化を平成三十三年度までに完了することを目標に、防災・安全交付金によって優先的な支援を行っているところでございます。
 さらに、高速道路や国道、主要地方道から成る緊急輸送道路の橋梁の耐震化につきましては、これまで落橋、倒壊の防止対策はほぼ完了しております。現在、被災をしても速やかに機能を回復させることを目指した耐震補強を推進しておりまして、約七七%の進捗となっているところでございます。
 このうち、高速道路と直轄国道についての橋梁につきましては、特に大規模地震の発生確率が高い地域におきまして、平成三十三年度までに完了することを目標に耐震補強を行っております。また、高速道路の橋梁の耐震補強を加速化するために、平成三十年度の財政投融資計画において所要額を計上しているところでございます。
 引き続き、関係機関とも連携しながら、来るべき大規模地震に備えまして、幹線道路等について必要な対策を進めてまいります。



○青木愛

 また、高度成長期に急速に整備をしたこのインフラが今一斉に更新時期を迎えております。人手不足、また財源不足の地方におきまして、こうしたインフラの点検、また修繕というものがしっかりと行えるよう国からの支援が必要だと思いますが、その点について最後お聞かせください。


○石川雄一道路局長

 お答えいたします。
 道路の老朽化対策としては、特に橋梁、トンネルへの対応が重要でございます。橋梁、トンネルの点検につきましては、国土交通省において平成二十五年度に必要な法改正を行い、二十六年七月より、国が定める統一的な基準に基づきまして、市町村が管理する橋梁やトンネルにつきましても、五年に一回の頻度で近接目視による点検を行っているところでございます。
 国土交通省としては、市町村が計画的に老朽化対策を進めていただけますよう、自治体に対する交付金や個別補助の実施、都道府県等による市町村の点検業務の一括発注、地方公共団体向けの研修、国や研究所による技術的に難易度の高い橋梁等の診断、国による技術的に難易度の高い修繕工事の代行などの支援を実施しているところでございます。
 引き続き、財政面、技術面で特に市町村を支援をしてまいりたいと考えております。



○青木愛

 しっかりとした支援をよろしくお願いいたします。
 質問を終わります。ありがとうございました。




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