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立憲民主党 参議院議員 青木愛 Official Website

議会議事録JOURNAL

平成30年4月10日 国土交通委員会

建築基準法の一部を改正する法律案について
・密集市街地の防火安全対策について、省エネ効果や耐火性が期待される木製サッシ普及の必要性について等を質問




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○青木愛

 希望の会、自由党の青木愛です。
 早速質問に入らせていただきます。
 この度の建築基準法改正で、二つの矛盾する内容が存在していると感じています。
 一つは、昨年、一昨年の密集市街地火災と、あと倉庫火災などに対処するための建築物の安全基準を強化をするというものです。
 もう一つは、増加をする空き家の活用と木材の建築材料としての活用の促進のため、建築基準を緩和する方向で見直すというものでございます。
 一方では基準を強化をし、同時に、他方で基準を緩和をする、一見矛盾をしているように思われるのですが、この点の説明を含めまして、今回の改正の趣旨について御説明をお願いしたいと思います。


○石井啓一国土交通大臣

 今般の建築基準法に基づく規制内容に関しましては、第一に、事故、災害等を踏まえ、同様の被害を防止するための見直し、第二に、技術の進歩に対応した基準の合理化等による社会のニーズへの対応を行っているところでありまして、これまでも同様の規制内容の改正を行ってきたところであります。
 今回の改正法案では、第一の点につきましては、最近の大規模な倉庫火災や市街地火災を踏まえまして、防火設備の適切な維持管理や密集市街地等の整備改善を推進するための見直しを行うこととしております。
 第二の点につきましては、最近の研究開発で得られた知見によりまして、安全性を確保しつつ、性能規定化の一環として防火関係の規制の合理化を行うものであります。この合理化の効果といたしまして、増加する空き家等の有効活用や木造建築ニーズへの対応が実現するものと考えております。
 今回の改正は、このように、いずれも必要な安全性を確保した上で、社会のニーズに対応した基準の合理化を進めようとするものであります。



○青木愛

 できれば別々に扱っていただいた方がより分かりやすかったかなというふうに感じております。
 それでは、まず一点お伺いをいたします。
 今回の法律改正の背景に、一昨年の糸魚川市密集市街地での百四十七棟が延焼した火災がございます。まだ、東京の下町を始めとしまして、全国各地に密集市街地が多く存在をしております。これまでの取組とこの法律改正によって、密集市街地における防火安全対策、どのように進んでいくのか、よろしくお願いいたします。


○伊藤明子住宅局長

 お答え申し上げます。
 密集市街地の整備改善を進め、安全性を確保することは重要な課題というふうに考えております。
 密集市街地の中でも特に大火の危険性が高い地震時等に著しく危険な密集市街地は、平成二十八年度末時点で約四千ヘクタール存在しておりまして、住生活基本計画において、これらの地区について平成三十二年度末までにおおむね解消するとの目標を定めております。
 このような密集市街地を整備改善するためには、延焼を抑制し避難路等となる道路の整備、避難場所となる公園、空地等の整備、老朽化した建築物の除却や共同建て替えの促進、建築物の不燃化等の取組を推進することが必要でありまして、これまで防災・安全交付金等を活用して地方公共団体の取組を支援してきたところであります。そうした中で、地方公共団体等より、民間の力による個別の住宅の建て替えを促進することによる地域の延焼防止性能の向上の推進について要望を受けているところであります。
 こうしたことから、今回の改正法案におきまして、準防火地域内において、より延焼防止性能の高い耐火建築物、準耐火建築物等に対する建蔽率の緩和ですとか、壁面線を指定した場合の建蔽率の緩和などの措置を講ずることとしたものであります。
 従来の取組と併せ、今回の改正法案による不燃化促進に向けた建て替えが進むことによって密集市街地の解消ペースを加速することになるのではないかというふうに期待しております。



○青木愛

 大変御丁寧な御答弁ありがとうございます。是非、密集市街地に対する万全の対策をお願いを申し上げます。
 次に、木造建築の推進についてお伺いをいたします。
 省エネ住宅という観点からの質問になります。
 一般的な住宅において、窓などの開口部を通して夏は冷房の約七〇%、冬は暖房の約六〇%も熱が移動いたします。その分、冷房や暖房を強くしなければなりません。実は、多層ガラスの木製のサッシは断熱性に大変優れております。結露も防ぎ、防音性にも優れております。欧米諸国では主流となっています。
 しかし、日本では窓の約九割がアルミ製サッシを使用しております。しかし、アルミは木材に比べて熱伝導率が一千二百倍も高いために、アルミサッシでは冷暖房に大量のエネルギーを浪費しております。環境負荷も高いために、ドイツでは二三%、フランスでは三四%の普及にとどまっています。アメリカに至っては、五十あるうち二十四の州、約半数の州でアルミサッシの使用が禁止をされています。
 この窓の断熱性能を示す指標として、U値というのがございます。値が小さいほど断熱性が高いという指標でございますが、フィンランドでは一・〇、ドイツでは一・三、イギリスでは一・八、フランスは二・一、この値を下回るようにとの義務基準が定められています。韓国でも二・七、中国でも二・五でありますが、日本ではこの義務基準が定められておらず、四・六五も通用している現状にございます。
 熱の六割から七割が窓を通して出入りをすることを考えますと、窓のU値、この義務基準の設定、これは日本においても必要だというふうに考えますが、これから高性能の省エネ住宅の普及を促進をしていく上において、この点についてどのようにお考えか、国交省のお考えをお聞かせください。


○伊藤明子住宅局長

 お答え申し上げます。
 断熱性の高い木製サッシの使用など、省エネ性能の高い住宅の推進は、環境負荷低減等の観点で大変に重要な課題というふうに考えております。
 国土交通省におきましては、個別の窓とかそれぞれの部材だけではなくて、建物全体の省エネ性能に対しての規制ということをやっておりまして、今、地球温暖化対策計画等において、規制の必要性や程度、バランス等を十分に勘案しながら、二〇二〇年までに新築住宅、建築物について段階的に省エネ基準への適合を義務化するというふうにしているところでございます。
 このため、この検討を進めるに当たり、まず、昨年九月より、学識者や業界団体の方々をメンバーとする住宅・建築物のエネルギー消費性能の実態等に関する研究会を立ち上げ、住宅、建築物の省エネ性能の実態把握、検証や省エネ基準への適合率の更なる向上等に関する課題の整理を行い、本年三月末に取りまとめを公表したところであります。今後は、審議会等において、本研究会の検討結果も踏まえ、具体的な制度設計について検討を進めていくこととしております。
 また、御指摘ありました木製サッシの活用など住宅の省エネ性能の向上に向けまして、ゼロエネルギー住宅など省エネ性能の高い住宅、建築物の新築や、改修に対する補助、税制、融資による支援、省エネ住宅の施工技術向上のための中小大工、工務店に対する講習会の実施、住宅、建築物の省エネ性能に関する分かりやすい表示の普及促進等の施策を講じております。なお、この講習会の中で、断熱性能の高い木製サッシの情報も含めて周知を図っているところでございます。
 引き続き、これらの施策を推進し、関係省庁と連携しつつ、木製サッシの使用促進などを含めて住宅の省エネ性能の向上に取り組んでまいりたいと考えております。



○青木愛

 ありがとうございます。
 窓は省エネの大きなポイントだというふうに考えています。今は断熱性についてお伺いをいたしましたが、続いて耐火性についても質問をさせていただきたいと思います。
 窓枠、このサッシの耐火性能でございますが、最近は木材加工の技術も大変進歩をしておりまして、アルミサッシよりもむしろ木製サッシの方が耐火、防火に優れているという、そうした実験ビデオも拝見をいたしました。火災を想定しまして、標準加熱曲線に沿って温度を高めていって、その強度が六〇%に落ちるまでに、木材だと十五分以上も掛かるのに対し、鉄は僅か四分ほど、アルミニウムでは三分ほどしか掛からない。つまり、木材の方が強度が高い、火に対するもちが長いということを示した実験でございました。
 また、熱伝導率の高いアルミや鉄と熱伝導率の低いガラスを組み合わせますと、温度上昇とともにゆがみが生じてガラスが割れます。それに対して、熱伝導率の低い同士のガラスと木材との組合せでは、そのようなゆがみが少ないために割れる可能性が低くなります。
 最近は、木材加工の技術の向上によって、従来の常識を覆す製品が誕生しております。これまでアルミサッシが当たり前のように使用されてきたと思いますが、今後はこの木製サッシの推進を検討すべきだと考えますが、国土交通省の御見解をお聞かせください。


○伊藤明子住宅局長

 お答え申し上げます。
 建築基準法においては、木製サッシの窓を隣地境界線等に近い延焼のおそれのある部分に使用する場合、防火設備に関する基準に適合させる必要があります。この基準における一般的な告示仕様には鉄製サッシの窓のみが規定されているため、木製サッシについては個別に大臣認定を受ける必要があります。
 現在、木製サッシの窓に関する大臣認定につきましては既に百四十七件の実績があり、さらに、今後のニーズを見据え、標準的な仕様を大臣認定を受けずに使用できるよう、告示仕様に位置付けるための実験や技術的検討を進めているところでございます。昨年度末までに得られた実験や技術的検討の結果を踏まえ、速やかに告示化の作業に取り組みたいというふうに考えております。
 今後とも、こうした取組を通じて木製サッシの普及に努めてまいりたいと思っております。



○青木愛

 前向きな御答弁ありがとうございます。期待をしております。
 最後の質問になります。
 木材加工に関しまして、CLTの技術の進歩、すばらしいものがございます。強度や耐火性、目覚ましく向上しており、人間の健康や快適性、また環境負荷などを考えましても、木造建築物は大いに推進すべきだというふうに考えております。
 ところが、この法律案の第二十一条第一項及び第二十三項に「木材、プラスチックその他の可燃材料」という表現が残っております。その表現では木材イコール可燃材料というイメージを助長して、改正案の趣旨の一つである木造建造物の促進に歯止めを掛けるのではないかという懸念が残ります。私は、木材だけを殊更にここで取り上げて記すのは適当ではなく、むしろ木材という文字の削除を提案をしておきたいというふうに思います。
 最後に大臣にお伺いをいたしますけれども、この木造建築物の推進の意義及び省エネ住宅に資する、あるいは耐火性の高い木製窓サッシの重要性についても併せて、最後、石井大臣の御所見をお伺いをさせていただきたいと思います。


○石井啓一国土交通大臣

 我が国におきましては、木材が内外装材や躯体などに活用されている木造建築に親しみを感じる国民も多く、木材を目に見える形で活用した建築に対する根強いニーズがあると認識をしております。
 今回の改正法案におきましては、防火環境の規制の合理化を図ることによりまして、高さが十三メートルを超える中層建築物の柱やはりなどについて、木材がそのまま見える現しで使いやすくなる、防火地域、準防火地域の建築物の内部の柱やはりなどについて木材を現しで使いやすくなる、防火地域、準防火地域の建築物に附属する二メートルを超える門、塀を木材で造りやすくなるなどの効果を想定をしております。
 このような合理化により、建築物において木の良さを実感できる形での木材利用が進む結果として、地域における木材関連産業の振興や循環型社会の形成などにも貢献するものと考えております。
 なお、法第二十一条や二十三条における表現は、コンクリート等の不燃材料との対比で可燃材料としているものでありまして、燃えやすいとのイメージを助長する意図はございません。
 また、断熱性能の高い木製サッシの使用など、住宅の省エネ性能の向上は環境負荷低減等の観点で大変重要な課題と考えており、引き続きその推進に取り組んでまいりたいと考えております。



○青木愛

 ありがとうございます。
 国土の七〇%が森林ということでございます。木造建築物の推進、その際に、省エネまた耐火の点からも木製サッシの普及というのは大変有意義だということを御提案申し上げて、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございます。





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