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立憲民主党 参議院議員 青木愛 Official Website

議会議事録JOURNAL

平成30年11月29日 国土交通委員会

海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律案について




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○青木愛

 希望の会、自由党の青木愛です。午前中の質問と重なる部分もかなりありますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、この再生可能エネルギーの導入につきまして、二〇一四年の第四次エネルギー基本計画におきましては最大限加速するという表現でありましたけれども、今年七月に閣議決定されました第五次エネルギー基本計画では初めてこの再生可能エネルギーを主力電源化に向けて取り組むという表現に変わりまして、今後の普及促進に向けての強い意欲が明確に示されたと、そのように理解をしております。
 そこで、まずお伺いいたしますのは、この二〇三〇年におけます電力需要全体に占める再生可能エネルギーの割合目標、二二から二四%という数値が示されておりますが、その数値の根拠と、そしてこれは上限なのか、まず伺いたいと思います。


○松山泰浩 資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長

 お答え申し上げます。
 エネルギーミックスにおきましては、二〇三〇年度の再生エネルギーの電力に占める比率を二二から二四%という見通しを示しているところでございます。この策定に当たりましては、再エネの比率は安全性の確保を大前提に、三つのE、すなわち経済性のエコノミックエフィシェンシー、気候変動、エンバイロンメントへの配慮、エネルギー供給の安定性、エネルギーセキュリティーというもののバランスの下で、国民負担を抑制しつつ再生可能エネルギーの最大限の導入に取り組んでいくという視点から策定したものでございます。
 委員の御質問にございましたこの比率の意味でございますが、これはキャップではございません。上限をはめているものでもございません。ミックスの水準を超える導入を追求していくこととしたいと思っております。
 しかしながら、それに関する課題も多いところでございまして、このミックスの目標に向けて、まずは様々な課題の克服に取り組んでまいりたいと考えてございます。



○青木愛

 この数値は上限でないということを確認をさせていただきました。
 再生可能エネルギーの普及が進んでおりますヨーロッパ、中でもドイツにおきましては、二〇一七年の時点で、水力を除いて三〇・五%、またイギリスでは二七・九%、スペインでも二五・五%、イタリアでは二三・三%と、その後も更に高い目標値を定めております。現在、今、日本が示している二〇三〇年の目標値より既に高い値となっている現状にございまして、十年遅れているというふうな指摘もあるところであります。
 そして、太陽光やこうした風力という再生可能エネルギーは、環境負荷が少ない反面、気象などの影響を受け、出力が一定でないというところが課題となっております。
 再生可能エネルギーの普及率の高いこれらの国々におきまして、出力変動だとか需給バランス、こうした調整をどのような仕組みで行っているのか、まずお伺いをさせてください。


○松山泰浩 資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長

 お答え申し上げます。
 委員御指摘のように、再生可能エネルギーというのは天候によりまして出力変動が生じるものでございまして、電力の安定供給のためにはこの需給のバランスが非常に重要になってまいります。再生可能エネルギー導入の拡大に向けましては、電力系統及び電力市場の在り方がより広域に、かつ調整力が相互に供給し合うような形で形成されていくことが極めて重要でございます。
 そういう観点から申し上げますと、欧州は、再生可能エネルギーという問題の前から、域内のエネルギー市場の統合を進めることとしておりまして、戦後、累次のEU電力指令等によってこうした取組を進めてきた歴史的な経緯があるというふうに承知してございます。
 例えばでございますが、再エネの変動等を調整するためには、火力発電や揚水等の調整力が必要となるわけでございますが、こうした調整力を広域的に調整、運用する取組、いわゆる需給調整市場の広域化といったものが順次進めてきておるところでございます。また、再エネ電源が有する調整機能、これは周波数調整機能というものでございますが、を有効に活用するために、ヨーロッパ全体で再エネ電源が系統に連系する際の要件、これをグリッドコードと呼びますけれども、これを定めて、より再エネが導入しやすくしているところでございます。
 日本とヨーロッパでは系統の形も違いますし、再エネの状況も大きく違うところではございますけれども、こういったことも参考に、日本で再エネを導入拡大していくために取り組んでまいりたいと考えてございます。



○青木愛

 ありがとうございます。
 海外の事例で参考になる点もあれば、やはり国の事情の違いによりまして日本独自に仕組みを考えていかなければならない点もあろうかと思います。北海道と九州も、系統ではやり取りの連系はできるというふうに伺っていますけれども、なかなか、日本の場合は国内だけでの調整になりますので、そこはヨーロッパとは違う事情があるのかなというふうに認識をいたしました。
 この再エネ、再生可能エネルギーを進めていく上においては、同時並行でこの調整機能を進めていかなければならないという課題があるわけですけれども、今一端を述べていただきましたが、この需給調整のために、今後系統の広域協力の向上ももちろんありますし、御発言ありました、昼夜の需給調整に資する揚水発電の活用ですとか、あるいは大規模、高効率の蓄電池の開発ですとか、また余剰電力を水素に転換をして蓄えておく、そうした革新的な技術の開発が今後求められてくるというふうに思っておりますけれども、現状での取組状況についてお伺いをしたいと思います。


○小澤典明 資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官

 お答えいたします。
 日本におきましても、先ほど松山部長の方から申し上げましたように、欧州の事例を参考にしながら再生可能エネルギーの導入拡大の取組を行ってございます。例えば、系統制約の克服に向けましては、まずは既存系統を最大限活用すべく、一定の条件の下で系統への電源の接続を認める仕組みでございます日本版コネクト・アンド・マネージ、これの具体化を進めていくとともに、北海道などの地域間連系線の増強にも取り組んでございます。また、調整力を広域的に調達、運用することを可能とします需給調整市場、この詳細な検討を進めてございます。
 加えまして、調整力として期待されます蓄電池につきましては、揚水発電並みのコストの実現、あるいは電力系統での安定した運用のために技術開発や実証事業を進めてきているところでございます。
 さらに、将来的な調整力といたしまして、委員御指摘のように、電気を水素に転換して貯蔵、利用いたしますパワー・ツー・ガス技術など、水素の活用を進めてまいりたいというように考えてございます。具体的には、電気分解による水素製造の高効率化等の研究開発、あるいは現在行っております福島県浪江町での世界最大級の再生可能エネルギー由来の水素製造実証、こういったものを進めてございます。
 なお、世界でも欧州を中心に数多くの大規模パワー・ツー・ガス技術実証が進んでございます。先月、東京で開催いたしました国際的な水素閣僚会議におきましても、こうした技術の社会実装について活発な議論が行われているというところでございます。
 以上でございます。



○青木愛

 丁寧な御答弁、ありがとうございます。
 このように、再生可能エネルギーを課題を克服しながら大幅に増やすことができれば、当然のことながら、今ベースロード電源として位置付けられています原発の割合を下げることができると期待をするわけであります。
 この度の第五次エネルギー計画の中で、原子力への依存度を可能な限り低減するとございますが、これに対する御見解をお聞かせください。


○小澤典明 資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官

 委員御指摘の原発依存度の低減につきましてでございます。
 先ほど申し上げました再生可能エネルギーとの関係ございますけれども、例えば太陽光や風力といった再生可能エネルギーは、委員御指摘のように、天候あるいは気象状況によって変動する一方で、原子力といったベースロードとなる電源、これは持続的、安定的な電力供給が可能であるなど、それぞれ特性がございますので、単純に一対一の関係では必ずしもないという点は御理解いただければと思います。
 いずれにいたしましても、原発依存度については可能な限り低減するという、こういう考え方の下で、再生可能エネルギーにつきまして、コスト面の課題、あるいは系統制約や調整力確保といった課題、あるいは高効率な蓄電池の開発などの課題、こういったものを克服しながら、最大限の導入を進めてまいりたいというふうに考えてございます。



○青木愛

 午前中、野田先生からも御指摘がございましたが、今年の十月に九州電力のエリアで再生可能エネルギーの出力制御が何度か実施をされています。このニュースを耳にした国民の多くからは、電力会社が再生可能エネルギーを拒否をしているという、そういう印象を持っていると思うんですが、この事の真相と今後の対策についてお聞かせをいただきたいと思います。


○松山泰浩 資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長

 お答え申し上げます。
 委員御指摘のように、今年の九月末段階で、九州電力管内では八百十二万キロワットの太陽光発電が系統に接続されているところでございます。今年のゴールデンウイークのタイミングで申し上げますと、再エネの発電量が需要の九三%に達するというほど、太陽光発電、再エネが電力の中で非常に大きな位置付けを占めているという状況になってございます。
 一方で、再生可能エネルギー、特に太陽光、風力といった変動する電源について言いますと、日が照っているときはいいんですけれども、これが照らなくなった場合、これを補うためには、火力発電若しくは揚水によって対応するといったようなことが必要になってまいります。電力としての安定供給をしていくためには、需要量をオーバーした供給がなされた場合に一定程度の出力を制御することは、これは電力安定供給に必要不可欠なものだと認識してございます。
 再生可能エネルギーの制御につきましては、あらかじめルールが定められてございます。まずは、短時間での調整が可能な、こういう事態になった場合にですね、短時間での調整可能な火力発電の抑制、そして揚水発電の最大活用、これをまず行い、その次に地域間連系線を活用した他地域への送電を行い、それでもなお回避できない場合に再生可能エネルギーについての出力制御を行うというような措置をとってございます。
 このことは、仮に出力制御を行わないとなりますと、全く出力制御を行わないレベルの需要量に応じたものしか変動制の再エネを受け入れることができないということになってまいります。今私どもが考えておる、これはヨーロッパも同じでございますけれども、系統への接続を最大限認めた上で必要なときに制御をしていくということは、量としての再生可能エネルギーを最大限導入、活用するためには必要不可欠なものだと考えてございます。
 一方で、その出力制御量を減らしていくためには、先ほど小澤調整官から御答弁申し上げましたけれども、蓄電池や水素等の貯蔵及び調整力など様々な措置を講ずることが重要であり、出力制御を活用しながら、かつその回避措置を講じながら再生エネの最大導入に努めてまいりたいと考えてございます。



○青木愛

 つまり、九州電力エリアでは、この十月に起きた出力制御というのは、電気需要よりも高い発電ができてしまったということと認識をいたします。
 
九州では、今でもお話がございましたけれども、日照条件が大変良くて、日によっては電力需要の約八割を太陽光発電で賄い、ほかのものともミックスしながら約九割を再エネで賄えるというふうに伺っております。今後、今おっしゃったような出力の変動ですとか需給のバランスですとか、そういうことを調整できる仕組みの向上をしていくことによって、今現在九州で稼働しています川内原発、これを安心して止められる状況をつくることができるのではないかと考えているわけであります。
 宮腰担当大臣に御決意をお伺いをさせていただきたいと思いますけれども、このような再エネのデメリットを今後克服しながら、再エネの主力電源化を促進する中におきまして、四方を海に囲まれたこの日本においては、洋上風力発電、再生可能エネルギーの有力な電源になると期待をしておりますけれども、大臣の御決意を最後にお聞かせください。


○宮腰光寛 海洋政策担当大臣

 洋上風力につきましては、既に欧州におきまして急速な価格低下と本格普及が実現をしておりまして、四方を海に囲まれた我が国におきましても、今ほどの御指摘の系統制約や需給調整といった経済性や信頼性の観点からの課題を解決して実用化できれば、極めて有望なエネルギーであると考えております。
 本法案は、海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に関し、関係者との調整の枠組みを定め、また長期占用を可能とするなどのルールを定めているものであります。
 系統制約につきましては、経済産業省において既存系統を最大限活用するための措置を検討しており、また需給調整につきましても、経済産業省において蓄電池のコスト低減に向けた実証実験を実施しているところであります。
 こうした取組を通じ、政府一丸となって洋上風力発電の普及による海域の利用を進めてまいりたいというふうに考えております。



○青木愛

 質問を終わります。ありがとうございます。






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