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立憲民主党 参議院議員 青木愛 Official Website

議会議事録JOURNAL

平成31年2月7日 参議院本会議

平成三十年度第二次補正予算、一般会計及び特別会計の二案に対する反対討論




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○青木愛
 

 国民民主党・新緑風会の青木愛です。
 会派を代表しまして、ただいま議題となりました平成三十年度第二次補正予算、一般会計及び特別会計の二案に対しまして、反対の立場から討論を行います。
 まず冒頭に、昨年末に発覚をした毎月勤労統計の不正問題について厳重に抗議いたします。不正が平成十六年から行われていたとすると、十五年もの間、虚偽のデータに基づいて経済政策が立案され、実施されていたことになります。
 国会で審議をする予算案や法案は、正しいデータに基づいて作成されたものでなければなりません。その前提が崩れていることが発覚したのですから、まずはその全容を徹底的に究明することが必要です。
 ところが、安倍内閣は、不正の原因を一切究明しようとはしません。第三者委員会は完全に身内の調査であり、実情を知る幹部を更迭し、国会での参考人招致を拒否しております。
 昨年行った補正操作の結果、賃金の伸びは二十五年ぶりの高い値となり、総理はアベノミクスの成果を誇っていましたが、しかし、それは偽りであることが判明をいたしました。国民の七割が景気回復を実感していないと回答している国民の生活実感の方がアベノミクスを正確に反映しているのではないでしょうか。
 安倍内閣は不正のオンパレードです。森友学園土地取引をめぐる財務省による不当取引と公文書の改ざん、加計学園獣医学部の国家戦略特区指定をめぐる疑惑、防衛省の南スーダンPKO自衛隊日報隠し、裁量労働制をめぐるデータ隠しやデータ捏造、障害者雇用数の水増し問題、法務省による外国人技能実習生の失踪動機調査結果の捏造など、枚挙にいとまがありません。しかし、安倍総理は全く解明しようとはしません。今回も真相解明を避けております。
 このような行政の不祥事を正すことは、良識の府としての参議院の重要な役割であると考えます。政府が不正なデータに基づく予算案や法案を国会に提出をしているのですから、このような政府の行為に対して、国会は、与野党を超えて、徹底的に政府に対し真相の解明を迫らなければなりません。
 政府が不正を隠蔽することは、国会に対する冒涜であることを強く申しておきます。
 次に、本補正予算に反対する主な理由を申し述べます。

 第一は、本補正予算では、歳出追加額の四割弱に当たる一兆七百億円が防災・減災、国土強靱化関連予算であることです。
 昨年秋の第一次補正予算は、夏の甚大な自然災害への緊要な対策ですから賛成でありましたが、今回の第二次補正は、防災・減災、国土強靱化三か年対策、総事業費七兆円の一部であります。
 近年の異常気象は、かつて経験のない異常さの様相を呈しております。一千ミリを超える豪雨、巨大台風の上陸、夏は四十度を超える猛暑、冬は豪雪、いずれも毎年記録を更新しています。その影響で、日本各地は予想外の甚大な被害に見舞われております。
 昨年は、大阪や北海道が巨大地震に襲われました。首都圏直下型地震や南海トラフ地震が三十年以内に七〇%の確率で発生するとの警告が出されています。さらに、高度成長時代に整備した橋梁や上下水道などのインフラは更新時期を迎えています。
 このような状況を考えると、国民に安全、安心を保障するため、必要なインフラは着実に整備しなければなりません。これらは補正予算で手当てをするべきではなく、本予算で堂々と計上し、国会で十分に審議すべき内容であります。これは、当初予算の厳しいシーリングを逃れるため、査定が緩い補正予算への事業の付け替えであり、しかも、重要インフラの点検結果が報告されてから一か月足らずで一兆円を超える予算を積み上げておりますが、十分に精査されているか疑問が残ります。
 このように、第二次補正予算に計上された大型の公共事業は本予算で審議すべき内容であり、補正になじまない内容であります。

 第二に、今回の補正予算の中身のほとんどが財政法違反であるということです。
 財政法第二十九条によると、補正予算とは、法律上又は契約上国の義務に属する経費の不足を補うほか、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出又は債務の負担を行うため必要な予算の追加を行う場合に作成できるとあります。しかし、さきに述べました公共事業やTPP等関連経費、また防衛関係費は、条文にあるような予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出ではありません。これらは本予算で計上すべき内容であります。
 TPP等関連経費については、平成二十七年十一月に総合的なTPP関連政策大綱が策定されて以降、累次にわたって予算が措置され、その累計額は、本補正予算及び三十一年度当初予算を合わせると、二・一兆円に達します。
 政府は、毎回、農林水産業の活力発揮、輸出促進などを掲げていますけれども、政策効果の詳細な検証が全くないままに補正予算で対策が上積みをされております。
 防衛関係費については、本補正予算において四千億円が追加され、当初予算と合わせると、過去最高の五・六兆円に達します。本補正予算に盛り込まれるF35A戦闘機の整備等、大部分が毎年度継続して調達する装備の経費負担で、これも財政法二十九条違反に当たります。当初予算に収まらない部分を補正に切り出したものと評価せざるを得ません。有識者からは、当初予算と補正予算をセットで編成することは防衛費の全体像を見えにくくするとの批判も上がっております。

 第三は、幼児教育、保育の無償に係る立ち上げ経費支援等を含んでいることです。
 消費税の一〇%への増税に伴い、三歳から五歳の幼児教育無償化が実施される予定です。しかし、希望しても全てのお子さんが入園できるわけではありません。いわゆる待機児童を抱えた御家庭には無償化の恩恵が全くありません。このままでは国民の間に不公平感を増長させます。
 また、国は無償化を打ち上げますけれども、その財源や事務は今後地方自治体も負うことになり、自治体からは無償化の継続について懸念する声が届いております。
 総理は、これまで二度、消費税を延期いたしました。三度目の延期の可能性も否定できません。その場合、増税を前提にした幼児教育無償化は、その財源を失うことになり、先行きが不透明です。いずれにしても、今回安倍内閣が行おうとする消費税増税は、複数税率、ポイント還元、プレミアム商品券など愚策極まりない対策を伴っており、決して賛成できるものではありません。
 以上、補正予算に反対する主な理由を申し述べました。
 これまでも、裁量労働制の拡大や外国人労働者の受入れといった重要政策をめぐって統計の誤りが判明するなど、安倍内閣の客観データをないがしろにする姿勢は目に余るものがありました。今般、基幹統計までゆがめられていたことが明らかとなり、その影響は本補正予算を含め予算全般にも波及しかねず、そもそも議論の土台が失われています。
 的確な政策には、偏見やそんたくを排した正確な現状把握が不可欠です。私たちは、客観的事実に基づいた透明で公正な政治を取り戻すため、安倍内閣と対峙をしていくことを申し上げ、私の反対討論を終わらせていただきます。(拍手)








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