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立憲民主党 参議院議員 青木愛 Official Website

議会議事録JOURNAL

平成31年4月25日 国土交通委員会

ドローンの利活用や建設現場の生産性向上に向けた「i-Construction」の推進等について




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○青木愛

 おはようございます。
 本日は、これまでの委員会質疑におきまして十分な答弁を得られなかった内容ですとか、また、その後の進捗状況等について伺っていきたいと思っています。
 まず、さきの委員会、四月十一日の委員会で審議しました航空法につきまして、補充、追加の質問をさせていただきたいと思います。
 二十世紀の初頭にアメリカでT型フォードというガソリン式の自動車が大量生産されまして急速に一般大衆に普及し、車社会が到来をいたしました。それまでは馬車が砂ぼこりを立てて町中を走っていた、そうした光景が一変をしたわけであります。現在、ドローンは空の産業革命として大きく期待をされておりまして、物流、農林水産業、インフラ点検、測量、災害対応、防犯、空撮など、多方面での利活用が検討されております。自動車の普及が社会を一変させましたけれども、これからドローンの普及がこれからの社会を大きく変える可能性が現実味を帯びつつあります。
 そこでまず、前回も指摘をいたしましたけれども、ドローンの可能性がいかに大きいといいましても、その利活用に当たりましては安全性の確保が一番に重要でございます。しかし、規制が厳し過ぎますと、開発の可能性にストップが掛かります。
 現在、政府は、ドローンの飛行レベルを1から4に区分し、その可能性を検討していると伺っています。レベル1から4の内容、また現在の状況と今後の見通し及び課題について、まずお聞きをいたします。


○蝦名邦晴 航空局長

 お答えを申し上げます。
 議員御指摘の飛行レベル1から4の区分につきましては、官民で構成いたします協議会で取りまとめられております空の産業革命に向けたロードマップ二〇一八におきまして小型無人機の飛行レベルが定義されております。その定義によりますと、レベル1は目視内での操縦飛行、レベル2は目視内での自動・自律飛行、レベル3は離島、山間部等での無人地帯での補助なしでの目視外飛行、レベル4は有人地帯での目視外飛行とされております。
 現在は、レベル3におけます無人航空機を使用した荷物配送が福島県南相馬市や埼玉県秩父市などで開始をされております。今後は、二〇二〇年代前半に有人地帯での目視外飛行、いわゆるレベル4に向けまして、関係省庁及び民間事業者がそれぞれの立場から実現に向けた取組を進めているところでございます。
 レベル4の実現に当たりましては、有人地帯上空を飛行することから、無人航空機が社会的に信頼される手段として受け入れられることが必要でありまして、そのためには、無人航空機の将来的な利活用の状況を踏まえながら、無人航空機の更なる安全確保を図ることが重要と考えております。
 国土交通省といたしましては、無人航空機の発展段階に応じまして、更なる安全確保に必要となる事項を的確に制度化していく所存でございまして、関係省庁及び民間関係者と連携をいたしまして、制度の基本的方向性の検討を進めてまいりたいと考えております。


○青木愛

 ドローンが落下をいたしますと、人や建物などを直撃する危険性がございます。前回の質疑で、この落下物の重量に応じて被害の大きさが異なることを考えますと、ドローンの総重量に応じる登録制であるとか免許制など、そうした異なった規制の在り方を検討したらどうかと提案をいたしました。その際、二十五キログラム以上の場合には不具合時に自動的に着陸するなどのフェールセーフ機能等の安全性も確認しているところとの答弁にとどまっておりましたが、この重量に応じた規制の在り方については直接的な答弁がありませんでしたので、改めてお伺いをしたいと思います。
 また、ドローンのこの操縦者、オペレーターのライセンスデータを集約すれば非常時に速やかにそのドローンの活用を図れると考えておりますが、併せて御意見を改めてお伺いしたいと思います。


○蝦名邦晴 航空局長

 お答え申し上げます。
 ドローン総重量に応じての登録制や免許制などの規制を講じていくことにつきましては、先ほど御答弁申し上げましたロードマップにおきましても、機体重量が大きいものや人口密度が高い地域の上空飛行につきまして順次利活用を拡大していくこととされておりまして、技術開発の進展に合わせまして段階的に制度整備等を進めていく中で規制の在り方を検討していく必要があるものと認識をいたしております。
 先ほど御紹介のございましたように、現行の航空法におきましても、特に重量の点に着目をいたしまして、二十五キログラム以上の無人航空機を飛行させる場合には、落下した場合における地上への危険性がより高いことに鑑みまして、一層の安全を確保するために、基本的な機能及び性能に加えまして、耐久性や不具合時に自動的に着陸するなどのフェールセーフ機能等の安全性も確認しているところでございます。
 国土交通省といたしましては、ドローンの安全確保を図る観点から、機体の登録や操縦者の資格等の事項に関しまして、議員からも御指摘のありましたような総重量に応じた規制の在り方も含めまして、関係省庁及び民間関係者と連携をして制度の基本的方向性を検討してまいりたいと考えております。
 また、ドローンの操縦者等のライセンスデータの集約につきましては、個人情報保護の観点も踏まえる必要があるものと思いますけれども、各種制度の整備が進められる中で、例えば御指摘のような非常時におけるドローンの活用も含めまして、様々な政策分野においてそのニーズに応じてライセンスデータ等の情報が集約されることでドローンの利活用の幅が広がる可能性があるものと考えております。


○青木愛

 ありがとうございます。しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 ドローンは、産業利用だけではなくて災害対応におきましても極めて有効な活用が期待されているところでありますので、速やかなる検討を改めてお願いをしておきたいと思います。
 また、ドローンの、目視の範囲内で飛行することが原則とされているんですけれども、山間部等の人が立ち入る可能性の低い地域において目視外での飛行を可能とするような場合の要件を定めたという答弁が前回ございました。
 そこでお伺いするんですが、このドローンの危険性は、落下や衝突のみならず、その動力源としているリチウムイオン電池の危険性にも注目しなければならないと思います。リチウムイオン電池は、圧力や衝撃が加わりますと発火する危険性がありまして、国内でもスマホが発火したという事故が何件も報告をされている状況でございます。山間部等に人が立ち入る可能性の低い地域、人への危害がないので安全であるかのような御答弁に聞こえましたけれども、こうしたリチウム電池の危険性に対する認識、これについて改めて御答弁を求めたいと思います。


○蝦名邦晴 航空局長

 お答え申し上げます。
 無人航空機の利活用促進の観点から、安全確保を前提に目視外の飛行を認めていくことが必要と認識しております。
 そのために、平成三十年九月に飛行を承認するための審査基準を改定いたしまして、山間部等の人が立ち入る可能性の低い地域において目視外での飛行を可能とするように要件を定めたところでございます。
 今回御指摘いただいたとおり、無人航空機の動力源として一般的なリチウムイオン蓄電池の安全性確保は大変重要でございます。目視外飛行を行う場合の追加要件といたしまして、電池の電圧、容量又は温度等に異常が発生した場合に、発煙及び火災を防止する機能並びに着陸地点までに自動的に戻る機能若しくは安全な自動着陸を可能とする機能が正常に作動することを定めているところでございます。
 また、リチウムイオン蓄電池につきましては、電気用品安全法やその他の規格におきましても安全性に関する規定が設けられておりまして、無人航空機メーカーは同規定にも適合した成形を行っているものと認識しております。具体的には、蓄電池そのものに対しては、例えば、くぎを刺すなどによりまして強制的に電池内部を短絡させた場合でも発火しないことを確認しているほか、無人航空機においても、消火シートなどを外装することによりまして、仮に蓄電池内で発火が生じても外部に流出させない機能が求められることになっております。
 国土交通省といたしましては、今後も、ニーズに応じまして、安全の確保をした上で無人航空機の利活用促進に取り組んでまいりたいと考えております。


○青木愛

 ありがとうございます。
 具体的な対策を取っておられるということでありますが、決して山火事などを起こすことのないように、十分な安全対策、取組をお願いいたします。
 そして、災害時におけるドローンの活用についてでありますが、実績を踏まえて御見解をお伺いをいたしました。具体的な活用事例として、平成二十八年の熊本地震、平成二十九年七月の九州北部豪雨、また昨年七月の豪雨及び北海道胆振東部地震など、これまで十一の災害でドローンを活用したという御答弁をいただいております。
 災害時におけるドローンの有効性が確認されているわけでありますので、今後は、事前も含めて、国と地方とが共同して災害時においてドローンの活用を図るべき、また備えるべきだと考えますが、この点についていかがでしょうか。


○塚原浩一 水管理・国土保全局長

 お答えを申し上げます。
 国土交通省におきましては、災害現場で迅速に被災状況の調査等を行う手段といたしましてドローンの活用を進めているところでございます。また、地方公共団体におきましても災害時のドローンの活用が始まっておりまして、例えば東京都あきる野市では職員へのドローンの訓練を実施をしておりますし、また、茨城県におきまして民間団体とのドローン活用に関する協定の締結などの取組が進められております。
 このような取組の普及を図るために、災害調査に関するドローンを含めました様々な新技術活用の事例集を取りまとめまして、平成三十年八月に都道府県や政令市に周知したところでございます。
 また、事前というお話もございましたけれども、災害に備えまして、地方公共団体が河川の状況を把握するために国からドローンなどを貸与する、こういった取組も今後進める予定としております。
 今後、更に地方公共団体におけます災害時のドローン活用の普及を図るとともに、国と地方が連携して活用の取組を進めることが重要と考えております。そのため、地方公共団体のドローンの活用状況や、あるいは活用に関するニーズの把握に努めながら、国土交通省といたしましても、更なる連携の方策について取り組んでまいりたいと考えております。


○青木愛

 ありがとうございます。
 是非、前向きに取り組んでいただきたいと思います。
 海外では、サーファーが岸から七百メートルも流されて目視では捜し切れないところを、ドローンがサーファーを発見し、浮き輪を投下して救ったという例があります。また、山岳の遭難事故でも、ドローンに設置した赤外線サーモグラフィーで遭難者の体温を見付けて救助した例も報告をされています。自然災害のみならず、山岳や海上での救助にも役立てるよう、様々なケースを想定しての御検討をお願いしておきたいと思います。
 次に、最新のジェットや、また今後開発が進むこうしたドローンは最先端の技術が集積されており、その技術や情報の漏えいは、単に経済上の利益、あるいは民間レベルの問題にとどまることなく、軍事転用が可能な技術でもあり、国の安全保障に関わる深刻な問題であると考えております。
 この度のMRJ、またドローンに関する技術あるいは情報の漏えい防止について、安全保障の観点も踏まえて、今回は経済産業省から御答弁をお願いしたいと思います。


○飯田陽一 経済産業省貿易経済協力局貿易管理部長

 お答えをいたします。
 ただいま御指摘のありましたジェット機あるいはドローンといったものには様々な技術が組み込まれております。その一つ一つについてこの場で御説明することは差し控えたいと思いますけれども、一般論として、安全保障上重要な機微技術についての取扱いにつきまして御説明いたしたいと思います。
 経済産業省では、外国為替及び外国貿易法、いわゆる外為法、そして不正競争防止法などに基づきまして、技術流出の防止に取り組んでおります。
 外為法につきましては、対象となる技術が安全保障上の機微技術に当たる場合には、その技術を提供する取引、あるいはこうした技術を保有する企業に対する外国からの買収等の対内直接投資につきまして規制対象としておりまして、法律に基づきまして厳格な審査を行っております。二〇一七年には機微技術の管理を強化するために外為法を改正いたしまして、違法な技術取引に対する罰則を強化するとともに、投資規制については事前届出業種を拡大したところでございます。
 また、不正競争防止法につきましては、事業者の重要な技術情報がいわゆる営業秘密に該当する場合には、この不正競争防止法に基づきまして、営業秘密の不正な取得あるいは使用などに対して刑事罰が科せられるということになっております。二〇一五年にはこの法律を改正いたしまして、海外での使用を目的とした不正な取得などを更に重罰にする規定を導入しておりまして、営業秘密の保護を強化したところでございます。


○青木愛

 今回、認定事業場への民間委託ということで大分緩和をされるわけでありますけれども、やはり経産省また国交省、連携をしていただいて、国としてしっかりと安全保障の観点も踏まえて情報漏えいの防止に当たっていただきたいということを改めてお願いをいたします。
 次に、老朽化インフラの点検にドローンが活用されております。かなりの成果が上がっていると伺っています。
 河川の安全を維持管理するために日常的な状態把握が不可欠であって、そこにもドローンの活用が期待されています。この河川の増水、洪水時、また日常の点検におけるドローンの活用についてお伺いをさせてください。


○塚原浩一 水管理・国土保全局長

 お答え申し上げます。
 河川におきましては、洪水の際に地上からの調査では被害の全貌把握が困難な場合など、迅速に浸水状況や堤防等の施設の状況を把握するために、荒天時も含めまして、全天候型のドローンなども含めて活用しているところでございます。また、ダムの点検等におきましても、堤体の状態等を把握するためドローンを活用している事例もございます。
 さらに、現状の課題といたしまして、例えば、河川への土砂の堆積状況や樹木の繁茂状況を効率的に把握をして一層適切に管理を行う必要があると考えておりまして、このため、土砂の堆積量や樹木の繁茂量について、陸上とそれから水中を同時に、面的にまた定量的に計測できる陸上・水中レーザードローンを開発したところでございます。今後こういったドローンを現場への実装を進めるなど河川管理の高度化を図っていくこととしております。


○青木愛

 ありがとうございます。
 次に、港湾の構造物について伺います。
 桟橋のように人間の立入りが難しい箇所が多く、また水中にある部材も多数存在をいたしておりますが、ここにもドローンが活躍しつつあると聞いております。
 この港湾の点検に関して、ラジコンボートですとか水中ドローン、こうした開発状況と利用状況についてお伺いをさせてください。


○下司弘之 港湾局長

 お答え申し上げます。
 港湾施設の点検に際しましては、ただいま委員の御指摘にありましたように、作業員が直接確認できない箇所が多くございます。このため、遠隔操作による機材での確認が有効であるというふうに考えてございます。具体的には、民間企業が既に開発した技術をベースとしまして、国土交通省におきまして、桟橋等の港湾施設の点検に活用するための技術開発に取組を行っておるところでございます。
 今後、港湾施設の点検診断の効率化のため、開発した技術を積極的に活用してまいりたいと考えてございます。


○青木愛

 これまで建設現場は、きつい、汚い、危険の3Kと言われてきました。その後、新しいバージョンとして、きつい、給料が安い、帰れないなどとも言われ、建設従事者の高齢化が進む反面、若い人材を確保できない課題に直面しています。しかし、最近は、建設現場にICTを取り入れ、現場の生産性向上を図り、建設現場は大きく変わりつつあります。従来の3Kに変わって、給与が良い、休暇が取れる、希望が持てるといった新3Kが提唱され、さらに格好いいを追加する人もおられるようです。
 建設作業は、これまでくいや水糸の目印を複数置いていた測量作業がレーザースキャナーやドローンに置き換わる、これまで二次元だった設計図がパソコンソフトを使って三次元データで作成する。施工では、測量データと設計データの両方を建設機械に送信し、動きや角度をカーナビのように自動制御する。日々の作業量が数値化され、パソコン上で設計図と自動的に照合されるなど飛躍的な変化が見られます。
 このような建設作業にICTを導入したi―Constructionについて、その取組状況と時間の短縮、また危険性の軽減などの効果についてお伺いをさせてください。


○五道仁実 大臣官房技術審議官

 お答え申し上げます。
 国土交通省では、人口減少社会を迎えている我が国において、働き手の減少を上回る生産性の向上と担い手の確保に向けた働き方改革を進めるため、建設現場においてICTの活用や施工時期の平準化等を進める建設現場の生産性革命、i―Constructionを推進しているところでございます。
 平成二十八年度から土工においてICTの導入を始め、その後、舗装工やしゅんせつ工など、対象となる工種を拡大してきております。平成二十九年度には、年間九百十八件の直轄工事においてICT活用を実施しているところでございます。
 例えば、土工にICTを導入した現場では、延べ作業時間が約三割縮減するなどの効果が見られるほか、建設機械付近での作業が減ることによる接触リスクの軽減、急傾斜地の測量や施工管理をドローン等で実施することにより、滑落リスクの低減などの安全性が向上したとの意見が寄せられているところでございます。
 国土交通省といたしましては、i―Constructionの取組を始めて四年目に当たる本年を貫徹の年と位置付けております。ICTの活用とi―Constructionの推進にしっかりと取り組んでまいります。


○青木愛

 ありがとうございます。
 i―Constructionを導入した業者は例外なくその効果を認めています。関東地方整備局が初めてこのICT舗装工事に取り組んだ案件、それは二〇一七年八月に一般競争入札で実施された東京外郭環状道路の千葉県市川市内に設置する道の駅駐車場の舗装工事でしたが、それを落札し、実施した施工業者の所長さんは、省力化が目に見えて分かり、測量や施工の精度も向上したと、建設現場の魅力の向上にもつながるとの感想を述べておられます。
 i―Constructionの導入は、どの業者でもすぐにできるわけではありません。会社としては、初期投資及び人材育成が必要となります。民間でもCIM、土木分野、BIM、建築分野、i―Constructionの普及を助ける研究会がありますけれども、国としては、そのような民間団体への支援を含め、建設業界のこのi―Constructionの普及を今後どのように進めておられるのか、お伺いをさせてください。


○五道仁実 大臣官房技術審議官

 お答え申し上げます。
 i―Constructionの普及促進を図るためには、地方公共団体や地域企業等の取組を更に広げていくことが必要だというふうに考えてございます。
 そのため、国土交通省では、民間団体とも連携して、受注者や発注者に向けた研修等を実施するとともに、千を超える企業や地方自治体等が参加するi―Construction推進コンソーシアムにおいて情報の共有や新技術の導入に取り組んでいるところでございます。
 さらに、地方公共団体や地域企業等の取組をよりきめ細やかにサポートするため、これまで地方整備局等に十か所設置していた相談窓口を本年より各都道府県五十三のi―Constructionサポート事務所を設置し、拡大したところでございます。
 引き続き、これらの取組を推進し、i―Constructionの貫徹に向けて普及促進に努めてまいります。


○青木愛

 期待しておりますので、是非よろしくお願いをいたします。
 次に、話題を変えますが、千葉県房総半島の振興について、これまでの質疑を踏まえてお伺いをさせていただきます。
 三月十二日の委員会で、JR東日本が房総地域に展開しております、列車に自転車の持込みを可能にしましたB・B・BASEの活用について質問をいたしました。
 石井大臣からは、自転車を利用する地域の住民、またサイクリングを楽しむ地域外からの訪問者の双方にとって有用であり、鉄道の利用促進と地域観光の活性化に資するものであると評価をされておられました。また、各鉄道事業者に広く横展開を図り、その実施に向けた検討を促すほか、周遊観光ルートへの取組を検討するなど、自転車活用に係るほかの取組とも連携をしつつ、サイクルトレインの一層の普及促進に向けて取り組んでまいりたいとの前向きな御答弁をいただいたところです。
 この度、それとはまた別に、千葉県銚子市をスタートいたしまして房総半島を回り、神奈川県、静岡県、愛知県、三重県、和歌山県の太平洋沿岸の海に面したコースを走り、和歌山市をゴールとする延長何と一千四百キロメートルもの自転車道を整備するという太平洋岸自転車道構想が進んでいると伺いました。太平洋沿いの潮風を切り、四季折々の景色を楽しみ、場所場所で豊かな海産物を味わい、爽快な自転車の旅が想像されます。
 太平洋岸自転車道が提唱された経緯、そして現在の道路の整備状況についてお伺いをいたします。


○池田豊人 道路局長

 太平洋岸自転車道につきましては、昭和四十四年に当時の財団法人自転車道路協会が建設大臣に対しその建設を提案したことが出発点となっております。その後、昭和四十五年に議員立法により自転車道の整備等に関する法律が成立したことを受けまして、昭和四十八年に大規模自転車道整備事業として千葉県などで整備着手がされたところであります。その後、国や千葉県などの関係の六県及び沿線の市町が、地域の実情に応じながら自転車歩行者専用道路を造るほか、矢印形の路面標示なども活用しまして自転車通行空間の整備を行ってまいりました。
 その結果、平成三十年三月時点で、太平洋岸自転車道、総延長約千四百キロありますけれども、そのうち約六割について整備がされてきておるところでございます。


○青木愛

 ありがとうございます。
 そして、この太平洋岸自転車道、この構想で一つ注目をしたいことは、隣り合った半島を自転車道で結ぶというこの発想でございます。
 東から西へ、房総半島、三浦半島、伊豆半島、渥美半島、志摩半島、紀伊半島へと続きます。昔は、紀伊半島と房総半島は海の航路でつながれ、日本経済を発展させてきました。この度の太平洋岸自転車道は自転車道でつなぐ構想であります。各地域が共同して半島振興のイベントを企画することなども考えられます。
 太平洋岸自転車道に関しまして、国と地方は、単に道路網の整備という視点を超えて、この半島の新しい可能性を開くものとして取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか。


○池田豊人 道路局長

 委員御指摘のとおり、半島振興を含めまして地域の活性を図るために、自転車を活用したサイクルツーリズムを推進することは有効であると考えております。特に、太平洋岸自転車道の多くは半島地域にありまして、海沿いのルートが多く、景観にも優れたルートになっております。
 太平洋岸自転車道につきましては、二〇二〇年度までに、半島のルートを含めまして全線で統一感を持たせた整備を進めることを考えております。路面標示や看板の仕様なども統一的なものにできるだけするように進め、またロゴマークも決定をして、できるだけそれを普及するように努めているところであります。また、ハード整備に加えまして、サイクリストの休憩施設の充実などの受入れ環境の整備や、各県連携しました、委員御指摘のようなイベント開催なども今後企画して魅力づくりや情報発信などを進めるなど、ソフト対策にも取り組んでまいりたいと考えております。サイクリングルートの中でもほかにない半島の魅力を生かしながら、ハード、ソフト両面から世界に誇れる太平洋岸自転車道の振興を図ってまいりたいと考えております。


○青木愛

 ありがとうございます。今後の取組の中でこの半島振興の視点を是非取り入れていただきたいということをお願い申し上げます。
 この太平洋岸自転車道のルートにもなっているんですけれども、千葉県房総半島西岸の東京湾、いわゆる内房に沿って走る国道百二十七号線ですが、前回も質問いたしましたけれども、途中、幅員が狭いトンネルが多く、集落部では急な直角カーブや幅員の狭い区間も数多くございます。地元からトンネルや橋梁の危険との声もいただいており、久保トンネルと坂下トンネルについては拡幅の対策が完了したと御答弁で伺いました。
 その後のことなんですが、トンネル内を自転車で走行する際にも大変危険を感じると思います。車の擦れ違いだけでもやっとのトンネルが多い状況でありますので、他のトンネルにつきましても今後の改修の見通しについてお聞きをいたしたいと思います。


○池田豊人 道路局長

 国道百二十七号線は、館山市から木更津市に至る五十五キロの直轄国道でありますけれども、御指摘のように、二十四か所のトンネル、五十四の橋梁があります。一部で幅員が狭いなどの課題があり、自転車の通行においても同様の課題があるというふうに認識をしております。
 このうち十七のトンネルと四つの橋梁は改善の緊急性が高いということで拡幅などの対策を進めておりまして、今御指摘ありましたように、久保トンネル、坂下トンネルのトンネル対策が完了しましたけれども、今年度は南無谷トンネルと小浜トンネル、この二つのトンネルについて設計を推進し、用地買収にも着手する予定としております。
 今後も引き続き、地元の協力をいただきながら、残るトンネル及び橋梁の拡幅等も含め、促進してまいりたいと考えております。


○青木愛

 前向きに進めていただいているということで、ありがとうございます。是非、今後ともよろしくお願いいたします。
 続きまして、木更津港のクルーズ船の受入れについてもお伺いをしたいと思います。
 昨年は台風二十一号やそれに伴う関西空港の閉鎖、北海道胆振東部地震の影響を受けまして、訪日外国人観光客が一時期マイナスの影響を受けましたけれども、一年を通して三千万人を超える訪日となりました。クルーズ船で訪日する観光客は主に中国を始めとした東アジアからで、その受入れ地域は九州地方に多いと伺っています。しかし、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックの開催に向けまして、首都圏地域でのクルーズ船の受入れのための港湾整備が進められていると伺っています。
 二年前の国土交通委員会で、六月一日ですね、千葉県におけるクルーズ船の受入れ状況、また環境整備に向けた国の取組状況についてお伺いをいたしましたところ、国土交通省では、平成二十八年度からこの木更津港におきまして十六万トン級のクルーズ船の寄港に対応するための既存岸壁の防舷材や係船柱の改良を進めており、平成三十年度中の完成を目指し整備を進めているとの御答弁をいただいております。
 港湾整備は計画どおりに進んでいるのか、その進捗状況をお伺いをいたします。また、クルーズ船来港の今後の見通しについてもお聞きをいたします。あわせて、この木更津港をクルーズ船が利用促進するためのまた支援策についても併せてお伺いをさせていただきます。


○下司弘之 港湾局長

 お答え申し上げます。
 木更津港におきましては、大型クルーズ船の寄港が可能となるよう、国土交通省において既存岸壁の防舷材や係船柱の改良を平成二十八年度から実施し、平成三十年九月に完成したところでございます。
 また、寄港の誘致につきましては、平成二十八年に千葉県や木更津市を中心に、民間企業等も含めた地元関係者がみなとまち木更津プロジェクト推進協議会を組織し、取組を進めてきたところでございます。その結果、平成二十九年九月と昨年十一月にはクルーズ船ぱしふぃっくびいなす号が木更津港に寄港しており、本年九月にも同船の寄港が予定されているところでございます。更に多くのクルーズ船の寄港がなされるよう、同協議会による寄港誘致の取組が現在進められており、国土交通省としても、協議会の一員として協力するとともに、クルーズ船の誘致を希望する公共団体とクルーズ船社との商談会の開催でありますとか寄港地情報の発信等により支援をしてまいりたいと考えております。


○青木愛

 是非、初の試みでありますので、国からの様々なアドバイス、また支援についてもお願いをさせていただきます。
 あわせて、二年前に質問をいたしましたが、袖ケ浦市のLNGの基地、バンカリング構想について改めてお伺いをさせていただきます。
 二年前に、石井大臣からは、LNGバンカリング港湾の国際的なネットワーク構築を我が国が主導して加速をしている、国内では、横浜港を拠点として整備を進め、既存ストックを有効活用する観点から、袖ケ浦LNG基地を利用したシップ・ツー・シップによるLNGバンカリングを実現するとの旨の御答弁をいただいております。
 横浜港のLNGバンカリング拠点及び袖ケ浦LNG基地を活用しましたシップ・ツー・シップによるLNGバンカリング整備について、その後の進捗状況を、これは石井国土交通大臣にお伺いをいたしたいと思います。


○石井啓一 国土交通大臣

 国際海事機関によります船舶の排出ガス規制が強化される中、環境負荷の少ないLNGを燃料とする船舶の普及促進のためには、船舶へのLNG燃料の供給、すなわちLNGバンカリングの体制構築が重要と考えております。また、我が国の港湾においていち早くLNGバンカリング拠点を形成することによりまして、LNGを燃料とする船舶の寄港が促進をされ、国際競争力の強化にもつながると認識をしております。
 このため、国土交通省では、シップ・ツー・シップでのLNGバンカリングに必要な施設整備に対する補助制度を創設をいたしまして、昨年六月、伊勢湾、三河湾における事業及び東京湾における事業の二つの事業を公募により採択をいたしました。この事業によりまして、現在、横浜港におきまして、二〇二〇年度中の袖ケ浦LNG基地からの供給開始を目指しまして、LNGバンカリング船の建造及び運航の準備が進められているところであります。
 国土交通省といたしましては、引き続き、LNGバンカリング拠点の形成促進によりまして、LNG燃料船の普及促進とともに港湾の国際競争力強化を図ってまいりたいと考えております。


○青木愛

 ありがとうございます。
 その際に、あともう一点、これは資源エネルギー庁にお伺いをしておきたいと思います。
 COP21における日本は長期目標として、温室効果ガスの削減、二〇五〇年までに八〇%削減という高い目標を掲げております。こうしたことを達成するためにも、今後LNGの需要は高まっていくだろうというふうに予想されます。
 そこでなんですが、これまで、発電所には電源立地地域対策交付金、また、石油に対しましてはその貯蔵施設の立地対策等交付金などの制度があります。前回も質問いたしましたけれども、このLNGの需要拡大の流れに対応しまして、LNGに対しましても新しい枠組みでLNG基地を有する自治体に何らかの支援策を講じるべきだと考えています。自治体はこの基地の安全性及び周辺住民への安全性を確保する責任を有しており、様々な対策を既に講じております。
 この点について、資源エネルギー庁に前向きな御答弁をお願いしたいと思います。


○政村瀬佳史 資源エネルギー庁電力・ガス事業部長

 天然ガスにつきましては、議員御指摘のとおり、二〇一八年、昨年七月に閣議決定をされましたエネルギー基本計画におきましても、その役割を拡大していく重要なエネルギー源であると位置付けられているところでございます。こうした位置付けも踏まえつつ、経済産業省といたしましては、エネファームの導入ですとか高効率の天然ガスボイラー、工業炉、ガス空調の入替え等に対しましては補助金等の支援を行っているところでございます。
 LNG基地の立地自治体につきましては、御指摘のような行政サービスとの受益関係に着目いたしまして、その財源として、課税される固定資産税等の徴収をしているというように承知をしてございます。
 今御指摘ありました電源立地地域対策交付金につきましては、安定的かつ地球環境への負荷の小さい電力供給源であるということに着目いたしまして、原則、ゼロエミッションのベースロード電源を対象としているところでございます。また、石油貯蔵施設立地対策等交付金につきましては、石油の供給途絶等に備えまして国家の備蓄制度を構築しておりまして、この備蓄義務を課していることに着目いたしまして石油貯蔵施設を対象としているところでございます。
 こういったように、政策目的に応じた特別の枠組みを講じた上で支援を行っているものでございまして、この点に留意が必要であると考えてございます。


○青木愛

 まだ明確な御答弁をいただけない状況と思います。これからLNGの需要が期待される中で、このLNGの立地自治体から多分要請を受けておられると思いますけれども、私といたしましても今後ともこの点については検討を続けてお願いをしていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 これで質問を終わります。ありがとうございます。








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