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立憲民主党 参議院議員 青木愛 Official Website

議会議事録JOURNAL

令和3年2月17日 資源エネルギーに関する調査会

「原子力問題に関する件」のうち、原子力規制委員会の活動状況について
○青木愛

 立憲民主・社民の青木愛です。
 今、岸委員からも若干触れられましたけれども、私は、柏崎刈羽原子力発電所の原子炉を操作している中央制御室に、東電の社員とはいえ、不正入室があったという、その事案について質問をさせていただきたいと思います。
 まず、この中央制御室に至るまでに何重ものミスが重なっているということが分かりました。不正入室した、まず、仮にAさんとしますが、この不正入室した東電社員のAは、まず、このIDカード、御自身のカードをなくした時点で届出をしなければならなかった。そして、このIDカードを使用されてしまった同業者の社員B、この方はロッカーに鍵を掛けていなかった。ですので、ロッカーを開けてこの社員Aは他人のIDカードを使って、原子炉、心臓部ですよね、原発の、そこに不正入室をしたという大変なこれは事案であります。
 この中央制御室に至るまでの間に二か所のチェックポイントがあります。警備員が立っていますが、まず一か所目のこの警備員、これは委託の警備員ですが、ちょっと違和感を感じたと。IDカードにある顔写真とやっぱり違うので違和感を感じたんだけれども、この社員AはこのIDカードの持ち主である社員Bだと名のって、そこをスルーしてしまったということなんです。
 そして、二か所目のチェックポイント、そこは警備員が東電の社員だということでありますが、そこは識別情報であります指紋なのか目なのか、そこはセキュリティー上明らかにされておりません、分かりませんけれども、識別情報で機械の方はおかしいと異常を示したんですね。機械が本人ではないと異常を示したにもかかわらず、そこに立っていた東電の警備員は、IDカードの認証コードを変えて、それは権力を越え、権限を越えた行為でありますけれども、認証コードを変えてその社員Aを制御室の中に入れてしまったという、もう何重にもこのミスが重なってしまったという状況であります。
 安全管理どうなっているのかと、これ東電社員だったからまだと言えるかどうかも分かりませんが、テロ等も懸念されている中でこういう不正入室を行ってしまった、これは大変重要な、これ看過できない事案だというふうに考えております。
 今日は、文挾東電副社長にお忙しい中おいでいただき、大変ありがとうございます。この件につきましては、まずは東電の説明を求めたいというふうに思います。


○文挾誠一 東京電力ホールディングス株式会社代表執行役副社長

 御質問ありがとうございます。
 東京電力ホールディングスの文挾です。よろしくお願いいたします。
 先生、今御説明のとおり、この事案の発生に至ります経緯についてはそのとおりでございます。
 東京電力におきましては、柏崎刈羽原子力発電所のID不正使用と、もう一つ、その安全対策工事が終わったということを公表してございましたが、その後、工事が未完了ということも見付かってございます。そういうことが、事案が度重なる、度重なって発生してございますので、地元の方々を始め広く社会の皆様に御心配をお掛けしていることに対しまして、この場で改めておわびを申し上げたいというふうに思います。
 この両事案とも、安全に対する姿勢とかあるいは地域の皆様との信頼に対しまして言い訳できない重大な事案と考えてございまして、会社としても大変重く受け止めてございます。
 以上でございます。


○青木愛

 東電副社長から事実であるということと、さらに、不正、工事が済んでいないのに済んでいたという報告をしたということも自ら説明をしていただいたと思います。
 これ、更に問題があります。この事案が発生したのが九月、昨年の九月の二十日です。翌日、このIDカードを使用されてしまった東電の社員が、今度は自分の勤務のタイミングで翌日入ろうとしたら入れなかったということで、そのIDカードの認証コードを変えてしまった警備員が、昨日のことですから、あっ、じゃ、そのときのあれかということで、それでこの事件というか事案が発覚したというふうに聞いています。
 それをもって、東電は、九月二十一日、その事案が発覚したその日のうちに東電は報告はしているんです、原子力規制庁に。翌日しているんですが、これで問題なのは、原子力規制庁のその後に取った対応なんだと私は思っています。
 九月の二十三日、それから二日後でありますけれども、実は、更田委員長の下で原子力規制委員会が実は開かれています。このときの議題は、この不正入室を許してしまった柏崎刈羽原子力発電所の再稼働を認める最終の保安規定、保安規定の認可、これを許可をするという最終の、再稼働に向けての最終のこの議題が諮られている。その委員会が二日後の九月二十三日に開かれていた。
 これ、認可決定されているんですけれども、なぜこの委員会の中で原子力規制庁は、東電から報告を受けているにもかかわらず、こういう事案があったんだ、東電から報告が来たということをなぜその委員会で皆さんにお伝えしなかったのか、ここをまず原子力規制庁にお伺いします。


○山田知穂 原子力規制委員会原子力規制庁長官官房核物質・放射線総括審議

 東京電力から本事案が報告された時点で委員長及び委員に報告することまで思いが至らなかったことは判断が甘かったと言わざるを得ず、反省しているところでございます。
 当初、幹部が担当部門から報告を受けた時点では、入域したのが中央制御室に入域する資格を有する社員であったこともあり、直ちに核物質防護上の重要な事案として報告すべき対象とは考えていなかったところでございました。
 本年二月十日に開催した第五十六回原子力規制委員会において、原子力規制検査全般について、検査における指摘事項に該当する可能性のある事案や判断に迷う場合は速やかに委員長及び委員へ報告を行うように運用を改善することとし、この運用については検査の規定類で明確化することを報告し、了承されたところでございます。
 今後は、この方針に基づき、委員長及び委員への報告を適切に行ってまいります。


○青木愛

 この九月二十三日の原子力規制委員会にはどなたが出席をされていたんでしょうか。東電の方は出席されていたんでしょうか、どうなんでしょうか。規制庁の出席はあったんでしょうか。


○山田知穂 原子力規制委員会原子力規制庁長官官房核物質・放射線総括審議

 通常の原子力規制委員会では、委員とそれから規制庁の職員が出席をしております。


○青木愛

 その開催主宰である更田委員長には報告がなされていなかったということですね。


○山田知穂 原子力規制委員会原子力規制庁長官官房核物質・放射線総括審議官

 はい、その時点では報告をいたしておりませんでした


○青木愛

 もし報告をしていれば、同じ柏崎刈羽原子力でのことですからね、議案もこの柏崎刈羽の再稼働に向けての認可の、それを議題としている。その同じ柏崎刈羽原発所で不正入室が二日、三日前に起こったばっかりなんですよ。そこで報告をしていれば、その場の委員会でこの保安規定の許可、これを決定するとは到底考えられないんです。
 ですので、私は、故意にこれを委員長に報告しなかったのではないか、そのように受け止めざるを得ないんですけれども、規制庁、いかがでしょうか。


○山田知穂 原子力規制委員会原子力規制庁長官官房核物質・放射線総括審議

 先ほど申し上げましたとおり、委員長に報告すべき案件と認識をしていなかったということでございました。


○青木愛

 この事案がこのまま世間にさらされることなく再稼働に進んでいっていたら、もうどうなっていたかと思います。
 これ、更田委員長にもお伺いしなければなりません。後からこの事態を知り、これをどのように受け止められたのか、更田委員長の御見解をお願いいたします。


○更田豊志 原子力規制委員会委員長

 まず、本事案につきまして、原子力規制庁の担当部門から報告を聞いたのは本年の一月十九日でございました。したがいまして、事案の発生から約四か月、私を含めた原子力規制委員会は本件について報告を受けておりませんでした。
 報告を受けた直後といいますか、もう報告を受けた時点で、このような案件については速やかに報告を受けておくべきであるというふうに考えました。
 その後、原子力規制委員会、臨時会も含めまして、原子力規制委員会におきまして、原子力規制庁に対して、先ほども説明がありましたけれども、核物質防護に関わるもの、これいわゆるセキュリティー情報ですので、発電所や原子力施設の脆弱性を悪意ある第三者に知られてはならないという観点から情報の取扱いには極めて慎重な配慮が必要ではあるとはいうものの、同じ組織の中ではありますので、こういった核物質防護に係る事案についても規制委員会に対して速やかに報告するようにというふうに指示をしたところであります。
 原子力規制委員会としては、今後、個別の事案について迅速に把握した上で、検査の枠組みの中でしっかりとこれに対応していきたいというふうに考えております。


○青木愛

 更田委員長からは、本年に入ってからの報告を受けたということであります。極めて問題だと思います。
 やはり、その九月の段階での委員会の持ち方、私は、先ほどだましたとかという言葉についてのあれもありましたけれども、本当にある意味、規制委員会の更田委員長始め委員のメンバーの方々、本当にだまされていたのではないかというふうに思います。
 この再稼働、柏崎刈羽原発所の再稼働を優先して進めたいがために、更田委員長始め委員には内密にして、そして、原子力規制庁と東電がどういうふうなそれまでの間相談があったのか分かりませんが、想像で申し上げて申し訳ありませんけれども、その原子力規制庁がどういう判断で、委員長にも言わず、委員にもそれを伝えず、その再稼働の最終認可を、それを優先して決めてしまったのか。本当にこれは問題だというふうに思います。大丈夫でしょうか、本当にこの原発の安全管理、任せていて大丈夫かなというふうに思います。
 更田委員長、先ほどからいろいろと御答弁を伺っていると、本当に慎重に誠実に御対応をしたい、対応したいんだなというその思いがすごく伝わってくるんですけれども、いかんせん組織でありますから、そこはどうなっているのか、政府との関係、東電との関係、原子力規制庁、そして委員会とのそこのコミュニケーション、本当にこれで原発の再稼働、これを任せて、判断を任せていいのかというのが率直な国民の一人としての思いであります。
 私は、この九月の二十三日、この議事内容について少なくとも白紙にすべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。


○更田豊志 原子力規制委員会委員長

 お答えをいたします。
 いわゆる原子力発電所の再稼働に至るまでには、これ再稼働そのものは原子力規制委員会が決める立場にございませんけれども、その再稼働に至るまでの規制上のハードルというのは四つございます。一つは、いわゆる新規制基準に適合するという設置許可を受けること。それから、工事に関して、設工認と呼びますが、設置及び工事の認可というものについて認可を受けること。残り二つが、保安規定を申請して認可を受けることと核物質防護規定を申請して認可を受けることであります。
 保安規定は、これはいわゆるセーフティー、安全設備に関する規定でありますので、公開で議論も行いますし、また、その認可のプロセスも公開で行っております。
 一方、核物質防護規定の方は、これはいわゆるセキュリティー情報が関わりますので、審査のプロセスも非公開ですし、また、核物質防護規定の認可に至る判断もこれは非公開で行っております。また、核物質防護規定そのものが公開できないという形になっています。
 そういった意味で、再稼働に至るハードルの四つのハードルのうち、公開で行っている三つに非常に高い関心が集まりますけれども、これは致し方のないところと思いますが、今回のIDカード不正事案というのは、非公開で議論を行い、審査を行い、認可をしている核物質防護規定に係るものであります。
 まずは、この事案の内容を検査を通じてしっかり把握すること、そして、その核物質防護の、東京電力が行う防護が十分なものであるのかどうかを改めて確認すること、そしてさらに、核物質防護規定が妥当なものであるのかという形でこれから審査を進めてまいります。
 それから、お尋ねの御懸念といいますか御不安はもっともなところだろうと思います。どうしても何か問題が起きると、担当するところには、事案が大きくなってほしくないという、これは一般的なバイアスが働くことを私たちは恐れています。
 したがいまして、透明性は、社会の中でのバイアスが局所に掛かったとしても、それをチェックする機能を働かせるために透明性があるわけですけれども、核物質防護に関しては、この社会に対する透明性をどうしても保ちにくいところがあります。であるからこそ、原子力規制委員会、規制庁の中での情報の共有というものがますます重要になるのであろうというふうに考えております。


○青木愛

 セキュリティー上、そのプロセスの開示について難しいところは十分に理解をいたしますが、今回の事案に関しましては、私といたしますと、やはり九月二十三日の会議に立ち戻ってやることが、まあ私は再稼働にも反対の立場ではありますけれども、少なくとも、そこに立ち戻るべきだということを指摘をしておきたいと思います。
 最後に、ちょっと異なる質問になりますけれども、先ほど岸委員からも原発のごみ処理の問題がありました。
 もうこれは、人類が核を利用してきてしまったがために我々に課せられた本当に深刻な課題であります。現状では、数十万年地中に埋めるということが世界の主流になっているわけでありますけれども、私も何度か衆参委員会を通じて取り上げさせてもらったのが加速器を用いた核変換技術というものであります。長寿命核種を短寿命核種に、安定核種に変換できるというもので、半減期が数十万年掛かるものを数百年に縮めることが可能であるという技術であります。
 これについて、今日は文科省来ていただいていると思います。これまでもいろいろと予算付け等を行ってこられたと思うんですが、やはり、何というのかしら、もう一段ステップアップした研究にするには、特に東海村のJ―PARCにはその施設を建設するための土地の予定地などももう確保しているわけなんですが、今は基礎研究の段階ということの文科省の判断だと思います。ただ、いろいろとメンテナンス等も掛かり、研究費になかなか回らないという事情もあるようです。
 これは、人類としてやはり後世に伝えていかなければならない知見だというふうに思っております。また、世界にも日本が貢献できる分野でありますから、ここをもっと文科省としても推進をしていただきたい、そのように思うことがまず一点と、現場から上がっている声が、研究者はもう純粋に研究をしておりますから、放射性物質もいろいろな種類があります。それに関わる状況もいろいろあります。一律にこの規制を設定するのではなくて、そのリスクに応じた規制ですね、何というんでしょうか、何でもかんでも厳しいということでは逆になくて、研究者にとってはやはり自由に研究ができる、そういう基準、そういう規制であってほしいということが現場から声が上がっております。
 うまく通じたでしょうか。その点について、ちょっと時間のない中でございますので端的に御答弁いただければと思いますけれども、よろしくお願いします。


○堀内義規 文部科学省大臣官房審議官

 お答えいたします。
 エネルギー基本計画におきましては、使用済燃料の対策に関する将来の幅広い選択肢を確保するという観点から、放射性廃棄物の減容化、それから有害度の低減ということのために技術開発を実施するということとされております。
 文科省では、加速器を用いまして高レベル放射性廃棄物に含まれる長寿命の核種を短寿命の核種やそれから安定な核種に変換する技術であります加速器駆動核変換技術、私どもはADSと呼んでおりますけれども、に関する研究開発を推進しております。
 平成三年度予算案におきましては、ビーム照射や腐食に強い材料の開発など、このADSの実現に向けて必要な要素技術を開発をしていくということとともに、この長寿命の核種であるマイナーアクチノイドを分離するという技術についても開発を併せて取り組んでおりまして、約九億円の予算を計上させていただいております。
 文科省としましては、この技術重要だというふうに認識しておりまして、引き続き必要な予算を確保し、これの研究開発に着実に取り組んでまいりたいと思っております。


○更田豊志 原子力規制委員会委員長

 お答えをいたします。
 先生の御指摘の中にもありましたとおり、試験研究炉、千差万別であります。潜在的なリスクが極めて小さなものも含まれます。したがいまして、原子力規制委員会としては、こういったリスクの大きさに応じた弾力的な規制を心掛けたいというふうに考えております。
 ADS、加速器駆動未臨界炉のようなスイッチを切ればすぐ止まるような炉もあれば、様々な炉があります。施設の特徴を捉えた規制に努めてまいりたいというふうに考えております。


○青木愛

 ありがとうございます。しっかり受け止めていただいたと思います。研究者の声をまた伝えていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 ありがとうございました。


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