原子力問題に関する件について |
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柏崎刈羽原子力発電所での不正侵入について ○青木愛 立憲民主党・社民の青木愛です。 本日は、柏崎刈羽原子力発電所についてお伺いをいたします。 昨年の九月、他人のIDを使用して中央制御室に不正侵入をし、規制委員会は今年三月に白判定を出しました。続いて、この度は、侵入検知装置が多数の箇所で故障し、うち十か所が、侵入を検知できない状態が三十日を超えていたということが判明しております。最も重い赤判定を下したということであります。 まず、事実の概要を伺わせてください。 ○更田豊志 原子力規制委員会委員長 お答えをいたします。 事実の中になかなか詳しく申し上げられない部分がございますけれども、御質問の中にありましたように、三十日を超える長期間、これ具体的な期間も申し上げられませんけれども、三十日を超える長期間にわたって不正な侵入を検知できない可能性がある箇所が複数ありました。更に言えば、その機器が故障している間の代替措置、代わりにとるべき措置も十分な代替措置がとられていませんでした。 そこで、原子力規制委員会としましては、柏崎刈羽原子力発電所は組織的な管理機能が低下しており、防護措置の有効性を長期にわたって適切に把握しておらず、防護上重大な事態になり得る状況にあったというふうに認識をしております。このために赤判定という厳しい判定を加えたものであります。 ○青木愛 ありがとうございます。 三十日以上というのはその区分上の範囲の数字でありまして、この三十日以上というのはもう最重要度、最悪のこれも区分なんですけれども、実際は、少なくとも平成三十年の一月から令和二年三月までの間においても、核物質防護設備の機能喪失が複数箇所で発生をしていたと報告されています。また、その後の令和二年三月以降も複数箇所で機能喪失の可能性があったとありまして、要は、平成三十年一月から丸三年にわたって、こういう悪質、悪意のある第三者が侵入できる、いつテロが起きてもおかしくない、そういう状況が丸三年続いていたということであります。 そして、これ、質問には入れていないんですが、もしお答えできたらお願いいたします。 この柏崎刈羽原子力発電所の設置変更許可の申請者である東京電力が福島第一原発事故を起こした当事者であることから、原発を動かして、設置、運転するその適格性があるのかどうなのか。委員の中から、原子力委員会の委員の中から、当事者が原発を動かしていいのかという異論があって、このような適格性を有するかどうか、この確認が必要だということ、これは東電に対する確認、に与えられた確認と、東電のみに与えられた確認だと聞いておりますけれども。 この適格性の確認をして、その結果、平成二十九年十二月二十七日に、原子力規制委員会、前委員長のときでありますけれども、申請者である東京電力に、柏崎刈羽原子力発電所の運転主体としての適格性の観点から、原子炉を設置し、その運転を適確に遂行するに足りる技術的能力がないとする理由はないと判断したということなんです。 つまり、東京電力に、適格性の観点はオーケーだ、了だという判断をしたということなんですね。これが平成二十九年十二月二十七日でありますので、遡る平成三十年一月からこの核物質防護設備の機能喪失が起こっているわけなので、もう年を越えて一月もたたない、ほぼ直後ということになるんですよね。で、よろしいんでしょうか。そこをちょっとまず確認をさせてください。 ○更田豊志 原子力規制委員会委員長 お答えをいたします。 まず、柏崎刈羽原子力発電所に原子炉設置変更に対する許可を与えた段階での議論ですが、これは、委員の中から、異論というよりも、むしろ、福島第一原子力発電所事故を発生させた当事者であるだけに、重ねた確認が必要なのではないか、他の事業者の発電所と同じ審査でいいのかどうかという問題提起がありました。その上で、これは、当時の田中俊一委員長の強いイニシアティブがあって、七つの問いかけというのを東京電力に対して行いました。この七つの問いかけに対して戻ってきた東京電力の答えを、それがきちんと守られるということを前提に、技術的能力がないわけではないという判断を設置段階でしたものであります。 一方の核物質防護事案について、これがそれ以降になったのは、これ、たまたま過去の事例に遡って調べるというのの問いかけがその三十年一月になっているにすぎず、それ以前のものについての確認等も含めて、核物質防護が、許可を申請している段階から、以前からどうであったかというのは、今後の検査を含めて確認していく必要があるだろうと思っています。今の時点で確定的にいつから始まったというふうに言えるような状況ではありません。 ○青木愛 ありがとうございます。 今、更田委員長おっしゃったのは、平成三十年一月以前のお話をこれから検査でという趣旨だったと思いますけれども、私が資料等伺ったところによりますと、平成三十年一月から今日まで、もう機能喪失が複数箇所で発生していたというふうに伺っております。だから、この適格性の確認、了とした、了としたのが平成二十九年の十二月ですから、その年を明けて一月の段階で既に機能喪失が複数箇所で発生していたということなんじゃないでしょうか。 ○更田豊志 原子力規制委員会委員長 お答えをいたします。 二十九年に確認をしたのは原子炉設置変更許可で、原子炉設置変更許可は、基本的に安全に対する基本設計の確認をするものであります。一方で、その後、別途、核物質防護規定の申請というのを受けて、その認可作業をしております。 この核物質防護規定、さらには設置変更許可、それから設工認、保安規定、様々な許認可がありますが、これと、それからトラブルがあった、不適切な事案があったというのの関係というのは、核物質防護事例に関しては、それを、何といいますかね、核物質防護に関するものとして見ていたので、また核物質防護規定の確認というのは体制、仕組みを見るもので、個別の事例の確認をしているのはこれは検査で、検査の中で見るものですから、直接的にその時間の連関、関係があるわけではありません。 それから、平成三十年一月と言っているのは、ID不正利用、それからその後の機器の一部機能喪失があった時点において、規制庁が取りあえず三十年一月以降のものについてという報告を受けたものですので。 で、今回、赤という判定になって、調べなければならないのは、個々の機器の機能喪失だけではなくて、東京電力の核セキュリティー文化や組織としての管理体制の在り方ですので、当然、更に遡って検査をしていく必要があるだろうと思っていますし、また、さらに、核セキュリティー文化が安全文化の劣化に及ぶようなものであるという考えに基づくのであれば、同じく管理体制の、それこそ東京電力福島第一原子力発電所以前の東京電力のビヘイビアについても検査の中でただしていくことになるというふうに思っています。 ○青木愛 この設置許可のときに、先ほど更田委員長がおっしゃったその七つの約束、七つの項目というのを東京電力の方に回答を求めていまして、それが要は保安規定の中に位置付けられたということなので、今後、その検査をする上において、その先に私はこの保安規定の遵守義務違反も視野に入ってくるのではないかというふうに思っておりまして、この流れで今伺っておるんですけれども。 そのときの東電の回答なんですけれども、皆さん御承知なのかもしれませんが、私、初めてこれ見ましたので、本当にもう唖然とするばかりで。この七つの項目が、この約束を守られるということを前提に適格性の確認をしているわけなので、これ非常に重要だと思うんですけれども。 例えば、当社は、二度と福島第一原子力発電所のような事故を起こさないとの決意の下、原子力事業は安全性確保を大前提とすることを誓いますとか、私は、これ社長ですけれども、社長である私は、安全はこれで十分ということを絶対に思ってはいけないという最大の教訓を繰り返し全社員に強く語りかけてまいります。また、日常の運転、保守の改善や発電所の脆弱性抽出とその対策実施に対して、リスクに向き合い安全性を継続的に向上させるための取組を行ってまいります。さらには、当社は、福島第一原子力発電所の廃炉をやり遂げることと柏崎刈羽原子力発電所の終わりなき安全性向上を両立してまいります。また、最後の段落、七項目めになりますけれども、経営層を含め各層が日々迅速に情報を共有するとともに、組織横断的な課題などの情報を一元的に共有するための対策を実施してまいります。また、発電所と本社経営層の距離をなくすためのコミュニケーションの場を増やし、現場と経営トップが同じ情報を基に安全を議論できるようにしてまいります。例えば、本社の会議の運営を効率化する等により、私を始め経営層が現場に足を運び、直接現場を見て現場の話を聞く機会を増やしてまいります。ここまでの回答をして、これが保安規定に位置付けられているということなんですね。 で、今のこの現状は、とても看過し難い、もううそっぱちじゃないかという、もうほごにしているじゃないかという思いで、私はこれ読んだときにもう本当に言葉もない状況でありましたけれども、到底これは国民の理解を得られる状況にはないというふうに思うんです。これから検査をもう二千時間掛けて行っていかれるということなんですけれども、更田委員長が、そんな私が言うよりももっと、この検査する当事者としていろいろな思いをお持ちだというふうに思います。 更田委員長が、三月、これは非公開の臨時会議を開いたときに、この代替措置について、不正なのか、分かっていて意図的にやらなかったのか、あるいは知識が足らなかったのか、技術的な能力の問題なのか、それともなめているのか、この程度でいいんだと、委員会がつかみたいのはまさにそこです、今後の検査で、時間が掛かると思うが確かめると発言されています。 今後の検査の方針といいますか、この検査のポイントについてまたお聞かせいただきたいと思います。 ○更田豊志 原子力規制委員会委員長 お答えをいたします。 まず、事案は重要かつ深刻であります。したがいまして、きっちりと手順を踏んで一つ一つはっきりさせたいと思っています。 まず、これから入ろうとしている最初の段階は、事実関係をできるだけ正確に捉えることであろうと思っています。ほかにもないのか、過去はどうなのか、故障に対して現場はどう対処しようとしたのか、そして、現場にまたその故障を補うための裁量がどこまで許されていたのか、さらに、報告はどこまで上がったのか。核物質防護は一般に、原子力発電所においては所長の最大の関心事項の一つであるはずです。というのは、所長の責任において、不正の侵入がないかどうかというのは、所長の立場からすれば極めて重要な関心事項です。そういったその不具合がきちんと所長に伝わっていたのか、所長は、伝わっていたのではどういう指示を下していたのか、こういった事実関係をまずはっきりさせたいと思います。 さらに、七つの約束との関連でいえば、こういった現場が困ることに対して経営層はどう関与していくのか。自らのその社長としてのリーダーシップ、まあリーダーシップと言っていいと思いますが、リーダーシップを七つの約束の中で東京電力は回答していますので、こういった現場でのやり取りに対して経営の関与はどうであったかということによっては、七つの約束の答えに対しても判断、事案が及ぶことは当然可能性がありますし、私たちは、その保安規定の違反に関しても視野の外に置いているわけではありません。ただ、まずは、段階としては事実関係の確認をしっかり行っていきたいというふうに考えております。 ○青木愛 本当に更田委員長しかもう信頼できるところがない状態なので、本当にお願いしたいと思っております。一年ぐらい掛かるとも聞いておりますけれども、しっかりと調査をしていただきたいです。 そして、これ、核物質防護規定遵守義務違反ということで、白判定の次に赤判定ということで、もうこれ以上ない判定が下されており、今後の検査いかんによっては、さらに、先ほど申し上げた保安規定の遵守義務違反も重なってくる可能性もあろうかと思います。私は、この行政処分を拝見をしていて、保安規定だとかあるいは核物質防護規定の変更、あるいは核物質防護管理者の解任、これでは済まないだろうというふうに思っております。 今から確定的なことは断定できないとは思いますけれども、今後の検査結果次第によっては、この東京電力の原発運転主体としての適格性、これがないと判断することもあり得るのかどうか、その点をお聞かせいただきたいと思います。 ○更田豊志 原子力規制委員会委員長 お答えをいたします。 柏崎刈羽原子力発電所の設置変更許可を行う審査の中で特に留意したのは、東京電力は福島第一原子力発電所事故の当事者であるだけに、柏崎刈羽と福島第一とが切り離されることのないように、きちんと廃炉に責任を持つということと同じように、つまり、柏崎刈羽への投資を優先させるが余りに廃炉がおろそかになるようなことがないようにと、その点を非常に注意をしました。であるからこそ、そういう組織であるからこそ、社長の関与が非常に重要であろうというふうに当時認識をしたものであります。 実際、今から振り返ったら、東京電力が福島第一原子力発電所事故を一体どう捉えたのか、今後の検査の中ではそういった点も捉え直さなきゃいけないだろうと思いますし、その上で、認識に著しく欠けるところがあれば、これは結果次第では適格性のないという判断、すなわち許可の取消しも含めた判断というのは可能性として現時点で否定しているものではございません。 政府の発する「日本の原発は世界で最も厳しい基準」という表現について ○青木愛 ありがとうございます。 やはり福島第一原発のまずは事故の収束、原発の廃炉、そして廃棄物の処理、そして、今また問題になっているALPS処理水の処理のこと、この足下のことをしっかり東電にはやっていただく、全責任を懸けて、次の原発ではなくて、まずはここを全うしていただくというのが筋道ではないかなというふうに思います。 まだ時間がありますのでまたお伺いいたしますけれども、気になる点についてお伺いします。 いろいろとお伺いしたかったんですけれども、この世界最高水準の話ですね、これ、安倍前総理も、また菅総理も、日本の原発は世界で最も厳しい基準という表現をしているんです。大変危うい表現だというふうに思うんですけれども、更田委員長が三月十一日に職員訓示でこの点についてお話しされているので、改めてもう一度御確認をさせてください。 ○更田豊志 原子力規制委員会委員長 お答えをいたします。 新規制基準は、様々な自然の脅威に対する備え、シビアアクシデント対策など、既設炉に対する規制要求としては確かに世界的に余り例のないものとなっています。一方で、世界最高水準、すなわち世界で最も厳しい水準の基準という表現について言いますと、置かれている自然条件の違いや文化の違い、経験の違いなど様々な違いがある中で、基準や規制の国際比較というのは非常に難しいものです。 もとより、継続的な改善を怠るということがあってはならず、世界で最も厳しい水準の基準をクリアというせりふが新たな安全神話とならないように、この表現については十分な注意が必要だというふうに考えております。 ○青木愛 ありがとうございます。本当に注意しなければならないと思っております。 今、世界は、持続可能な開発、カーボンニュートラルに向かっております。地球環境に過大な負荷を掛けないということが求められております。そうした世界の潮流、また日本のこの足下をきちんと考えながら、原発の廃炉に向けていく取組とともに、先ほどエネ庁から、この原発を最大限活用していくというあの答弁があってちょっと驚いているんですけれども…… ○宮沢洋一会長 申合せの時間が来ております。 ○青木愛 やはり再生可能エネルギー分野への開発と普及に努めて、将来性のある新分野に電力会社も挑むべきだということを申し添えまして、質問を終わらせていただきます。 ありがとうございます。 |
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