特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律の改正案について質疑 |
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ヒアリ対策について ○青木愛 立憲民主党の青木愛です。 特定外来生物による生態系等に係る被害防止に関する法律の一部を改正する法律案について質問をいたします。 今回の外来生物法の改正には三つの改正点があると説明されています。一つはヒアリ対策、二つにはアメリカザリガニとアカミミガメの対策、三つ目には国と地方公共団体による防除の円滑化、この三点が改正点であります。 まず、ヒアリ対策についてお伺いをしたいと存じます。 ヒアリは、南米原産の体長二・五ミリメートルから六・〇ミリメートルのアリで、刺されると、やけどのような激しい痛みが生じます。攻撃性が強く、毒針で刺されると、アレルギー反応により死に至ることもあります。人間への直接的な健康被害だけではなく、農作物をかじったり家畜を襲ったりすることでの農業被害、また信号機や空調機など侵入をして配線をショートさせるということで電気設備の被害、また在来の昆虫や小動物を駆逐するということなどの生態系への被害、こうしたことも確認されているところです。 既にヒアリが定着しているアメリカでは、この被害額が年間六千から七千億円に上るとの試算がございます。ヒアリの防除対策費が年間七千八百億円ということでございます。 我が国では、平成二十九年六月、初めてヒアリが確認されて以降、令和四年三月末現在におきまして、十八都道府県で八十四の事例が報告をされているところです。また、三年連続で港湾において大規模なヒアリの集団が確認されております。 そこで、質問をさせていただきます。 近年、ヒアリが国内に侵入する事例が増加をしており、専門家からは定着しそうなぎりぎりの段階との警鐘が鳴らされております。対策の強化が急務となっておりますが、環境省は、ヒアリの定着の定義について本年四月の衆議院の環境委員会で、その種類が日本国内において世代交代を繰り返す、次々に子孫が残って次の世代が日本の中でまた子供をつくっていく、そういったような状況のことを定着と言うことができると思いますとの答弁でございました。 国内では女王アリも多数発見されております。世代交代が繰り返されている可能性が高いと思いますが、この定着しているか否かの判断は具体的にどのように行われているのでしょうか。定着しそうなぎりぎりの段階と判断するその根拠は何なのか、この点をまずお聞かせいただきたいと思います。 ○奥田直久 自然環境局長 お答えいたします。 委員御指摘のとおり、一般に、定着というのをごく今の短い言葉で言えば、世代交代を繰り返して生息ですとか、植物でしたら生育をし続けると、こういうことかというふうに思いますけれども、ヒアリに関しての定着というのは、私どもの書かせていただいている指針等で、総合的に見て同一由来のヒアリの集団の発達、これを抑えることができなくなった状態、これを定着した状態というふうに判断すると、このように書かせていただいております。 具体的には、例えば、発達した集団というものが確認をされると、そしてさらに、これは複数年にわたってその特定のその集団から由来した次の集団というのが形成されるという場合、若しくは輸送等の人為によって持ち込まれることが考えにくい場所で急に発達した集団というのが確認されると、自然の形で発生したんではないかと、そういった場合などを想定しているということでございます。 定着のぎりぎりという御指摘の言葉でございますけれども、検討会での有識者の発言の中で、こういった言葉を用いて評価をいただいたところでございます。この発言は、同一由来、一つの集団、同じ集団からヒアリの集団における世代交代というのはまだこの専門家の先生も確認はされていないということでおっしゃっていただいているんですけれども、実際には繁殖能力を有する、委員も言及なされた羽アリを含む規模の大きなヒアリの集団が発見されているという、こういった現状を踏まえて定着ぎりぎりという表現を用いられたんではないかなというふうに承知しているところでございます。 なお、ヒアリについては、繁殖能力を有する、羽の付いた羽アリが繁殖能力を有しているわけでございますけれども、それを含む集団が発見された場合には、現在、その集団の駆除を行うということと、その周辺の半径二キロメーターの範囲において発見されたシーズンを含む三シーズンにわたって生息調査を行っております。この結果として、ヒアリの定着、要するに、継続して同じところで同様の集団が発見されるということは出てきておりませんので、私どもとしては定着は確認されていないというふうに認識しているところでございます。 ○青木愛 御丁寧な説明ありがとうございます。二キロ範囲内を三シーズンにわたって継続して調査をした結果、まだ定着には至っていないと、それをぎりぎりの段階だというふうにおっしゃっているということで、よく分かりました。 このヒアリなんですけれども、国内へ持ち込まれる膨大な数の国際コンテナ、これに混入して侵入するわけですけれど、国際空港、また港湾などでは徹底した対策が取られているというふうに思います。ですので、空港、港湾施設ではその侵入が数多く発見されているところだと承知をしています。しかし、この国際コンテナに混入したヒアリに気付くことがなく、全国津々浦々の末端荷主へ運搬されているものがあるのではないかというふうにも思うわけであります。 国際コンテナが集中する空港、港湾における水際対策の徹底はもちろんでありますけれども、そこを通過してしまった後の、その後の侵入リスクについても効果的に対処できるよう体制の整備が求められると思いますけれども、その点についてはいかがでしょうか。 ○奥田直久 自然環境局長 お答えいたします。 御指摘の空港、港湾を通過した後の侵入リスク、これにつきましては、現在、事業者や若しくは一般の方々からの通報、さらにはヒアリ発見事例の追跡調査、こういったものの結果を受けて、関係者の任意の協力をいただきながら実際に現場の調査を行ったり駆除を行うということを、そういう形で対処をさせていただいているところでございます。 今回の改正法案によって、ヒアリ類の指定を想定している要緊急対処特定外来生物、このカテゴリーにつきましては、その被害の防止措置に関する指針となる対処指針というものを策定する予定としております。その中で、通報体制の整備等を事業者に促すことを想定しているところでございます。さらに、要緊急対処特定外来生物が付着等している蓋然性が高い物品等に対しても調査を行えるようにします。また、その疑いのある生物というものが付着等している物品等の移動の制限若しくは禁止を命じたり、要緊急対処特定外来生物が確認された場合にはその物品等の消毒若しくは廃棄を命ずる、そういったこともできるようにするものでございます。 これら改正法案の規定によって、空港や港湾を通過してしまったヒアリへの対策も強化させていただいて、ヒアリの定着というのを何としても阻止してまいりたいと考えております。 ○青木愛 空港、港湾等のその後の追跡については、これまでの任意の協力では限界があるということでこの改正に至っているというふうに思います。この本法律案によりまして、ヒアリの発見次第、緊急の対処が特に必要な特定外来生物を要緊急対処特定外来生物と更に指定を強化をして、より強い権限が掛かる枠組みを創設をするということだと認識をさせていただきました。 この要緊急対処特定外来生物にはこのヒアリ類が指定されるわけですけれども、これまでの、ちょっと御答弁重なるかもしれませんけれども、これまでのその任意での協力と、このより強い要緊急対処特定外来生物、指定したことによるその権限の異なる点ですね、もう一度御答弁いただけますでしょうか。先ほども若干触れてはいただいているのですけれども、これまでの任意の協力と今回の要緊急としたことによるこの対処の違いですね、そこをもう一度明確に教えていただけますでしょうか。 ○奥田直久 自然環境局長 今御指摘の要緊急対処特定外来生物というのは、特定外来生物の中でも、著しく重大な生態系等への被害を及ぼしたり、若しくは国民生活上の支障をもたらしたりするおそれがあって、その拡散を防止するための措置を緊急に行う必要のあるものというのを指定、選定することとしているわけでございます。 このため、先ほど申し上げたように、実際に付着している蓋然性が高い物品等に対して調査を行えるようにすると、若しくは疑いのある生物が付着している物品等の移動の制限とか禁止を命じたりすると、さらには、その確認が、その要緊急対処特定外来生物が確認された場合には、その物品等を消毒、廃棄もできると、それを命ずることができるという規定を設けているので、これまでの特定外来生物の規定とは、そこの規制の強度の差を設けさせていただいているところでございます。 ○青木愛 ありがとうございます。 付着が決定的でないとしても、付着しているかもしれない段階から強い規制を掛けることができるということと理解をさせていただきました。 この要緊急対処特定外来生物、これを指定する際の客観的な判断基準というのを教えていただきたいと思うのですけれども、今回ヒアリがその対象になっておりますが、そのほかにも何か想定されているようなものはあるのでしょうか。 ○奥田直久 自然環境局長 お答えいたします。 先ほど申し上げたとおり、著しく重大な生態系への被害を及ぼすとか国民生活への支障をもたらしたりするおそれがあると、こういったことを具体的に個々の種の特性ですとかその被害の状況に応じて検討をさせていただきたいというふうに考えております。これにつきましては、基本指針の中で具体的に、さらにこの法の成立後にその具体的な指定の要件、基準というのは定めていくことにしております。 それで、御質問のありました、具体的に、じゃ、どういった生物を指定するのかという点につきましては、ヒアリだけでなくてヒアリを含むトフシアリ属、同じような属なんですけれども、この四種、若しくはその四種の間で交雑した種類、こういったものについて四種群、トフシアリ属を正確な生物学的な用語で四種群というふうに申しておるんですけれども、その中で交雑をしたものも含めて指定というのを考えております。 ただし、現段階での私どもの知見の中では、それ以外の種の指定というのは、この要緊急対処特定外来生物として指定しなければいけないというものは想定しているものはございません。 ○青木愛 ありがとうございます。 今御答弁にありましたように、この現行法では、特定外来生物が付着していることが確認された場合は、当該特定外来生物の運搬が禁止をされます。一方、特定外来生物の付着等のおそれの段階では、運搬の禁止に係る規制がなくて、特定外来生物かどうかの特定作業の間は事業者に対して付着のおそれの高い物品の移動の停止などを依頼して、任意の協力に基づき対応してきたのがこれまでだということであります。 これまで、こうした移動の停止などに協力した事業者に対して国からの補償があったのかどうか、また補償がない場合、その理由は何なのか、お伺いをさせていただきたいと思います。 ○奥田直久 自然環境局長 今回のその要緊急対処特定外来生物につきましては、先ほど申し上げたとおり、まさに著しく重大な生態系等への影響というのが想定されるものであるということで、例えば死亡や重篤など人に重大な危害が与えられるとか、生態系が破壊されることのほか、農林水産業に対する非常に大きな被害というものも想定されております。そうしますと、やはりこういったものの指定というのは、著しい被害から国民の生命、身体の保護等を目的とした措置であると、このように考えております。 こうした公共の安全ですとか秩序の維持という目的に当たる制限につきましてはやむを得ない制限であって、一般国民の受忍の範囲内であるというふうに解釈されていますので、補償不要との見解が実際に最高裁判所での判例の中でも示されているところでございます。 また、ヒアリ類を含めた特定外来生物の付着した物品というのは、それ自体を運搬することで特定外来生物そのものを移動させてしまうと、拡散させてしまうということになるので、現行法においてもそれ自体の移動というのは禁止されているものでございますので、そうした行為に対して実際、移動禁止命令ですとか消毒廃棄命令というふうに掛けたとしても、それに係る費用というのはやはり原因となる者が負担する必要があるというふうに考えております。 このため、改正法案においては、国による損失補償や損害賠償の規定というのは設けてはございません。ただし、損失についてやはり事業者の方々の不安もあろうかと思いますので、本法案の成立後、施行に向けては、どのような場合に移動禁止命令を掛けるか、そういった基準ですとか、ヒアリ類の付着、混入のリスクを低減させる方法、こういったものを提示させていただいて、関係者の理解が得られるように努めていきたいというふうに考えております。 ○青木愛 今の御答弁ですと、国による補償は考えていないということで、今御答弁にありました、その補償を行うのは原因となる者だというふうに今御答弁されましたけれども、原因となる者というのはどの段階、どの方を指すんでしょうか。具体的にお願いします。 ○奥田直久 自然環境局長 原因となる者というのは、まさにその特定外来生物であった、要緊急の対処特定外来生物そのものを、ここにいるのが分かっているのにそれを移動させたとか、その蓋然性が高くて、可能性が高いのにそれを移動してしまう、若しくは、そういったことを行うこと、というのをすることがまさに原因を発生させる者であるというふうに考えております。それから、もちろん、意図的に持ち込む、持ち込んだ人というのも当然原因者として考えられるというふうに思っております。 ○青木愛 懸念しますのは、この法律案でその要緊急対処特定外来生物、その付着等のおそれの段階で輸入品等の移動制限が可能となります。貨物や運送業者にとっては、この規制の強化によりまして、この要緊急対処特定外来生物を発見した旨の通報で物流が止められてしまうということを懸念して通報を控えることもあるのではないかというふうにも考えるわけなんですけれども、その点の御心配はされていないでしょうか。 ○奥田直久 自然環境局長 先ほど申し上げたように、この施行に当たっては、事前に様々な形で関係者との間での協議をさせていただきながら、また御説明をさせていただきながら進めていきたいというふうに考えております。 具体的には、例えば、事業者がとるべき措置に関する指針、先ほど申し上げましたけれども、対処指針等を定めることになっております。ですから、この制度の具体的な詳細の設計段階において関係事業者の御意見も伺いながら、今委員御指摘のような不安ですとか懸念というものをお聞きして、そういった機会を通じて、実際にそういった問題がないように制度を設計して、さらに、逆に事業者の方々にもヒアリの危険性ですとか制度の内容というものを丁寧に説明をさせていただいて、御理解をいただきたいと思っています。 それで、今申し上げた対処方針においては、関係事業者等に対してヒアリに関する講習会の受講をお願いしたいというふうに考えております。このような場でも実際にヒアリに関しての知識や制度について御理解をいただく、若しくは事前に対処すればそういった意味で事業者の方々に対する損失というのも事前に回避できるんではないかというふうに考えておりますので、こういった継続的な周知を図ることでこの制度というのの実効性というのを高めてまいりたいと、そのように考えております。 ○青木愛 丁寧な対応をお願いしておきたいと思います。 あともう一点、この特定外来生物なんですけれども、まだ日本には入ってきていない段階から、環境省として今後日本に入るおそれのあるそうした生物というのは事前にもう予見をして対応されているのかどうか、また、逆に日本のものが海外に行って何かそういうマイナスの働きをしてしまっているような、そういう生物がいるのかどうかお伺いすることは可能でしょうか。 ○奥田直久 自然環境局長 この外来生物法に関しては、日本にまだ侵入ですとか定着していない外来生物であっても、ヒアリのように、海外において生態系等に係る被害やそのおそれが確認されていて、それでまさに国内に入ってくればその被害が生じるおそれがあるという外来生物については指定をさせていただいているところでございます。実際、ヒアリそのものも日本に入ってくるずっと以前の平成十七年に指定をさせていただいております。 また、こういった意味で、様々な、既に日本にまだ入っていないものも幾つか指定されている例が、例えば南米の方の原産のイトグモ属といったものですとかそういったものもありますので、そういった情報は幅広に収集をしながら、必要に応じてまだ入っていないものについても対応をしていきたいというふうに考えております。 日本由来の対外外来生物について ○青木愛 日本由来の、外国に行って、何というのかしら、何かワカメと葛がって伺ったんですけど、その点について一応伺っておいてもよろしいですか。 ○奥田直久 自然環境局長 今御指摘のようなワカメに関しては、バラスト水で船に積んだ水の中にそのワカメが入っていて、それが、その相手国においてそれを捨てたときに繁殖しているということで承知しているところでございます。これに関しましては、国際的な条約でそれに対する、対処する取決めというのができているというふうに承知しておるところでございます。 一方、葛のような、これは園芸植物として北米に持ち込まれたものが向こうでかなり悪さをしていると。それで、かなり、日本においても様々なそういう外来植物で被害を受けているところございますけれども、それは大きな被害を与えているというように承知しております。ただ、これに関しては今のところ何か具体的な国際的な枠組みというものはできておりませんので、我々としても、そこは注意をしながら、関係国との間での様々な、例えば生物多様性条約の会議の場ですとかそういったところでの議論の中で協力関係を構築していきたいと、このように考えております。 アメリカザリガニとアカミミガメについて ○青木愛 ありがとうございました。 それでは、この改正案の二点目に移らせていただきます。 アメリカザリガニとアカミミガメについてお聞きしていきたいと思います。 アメリカザリガニは食用ウシガエルの餌として、アカミミガメは安価に入手できるペット等として輸入をされました。その後、逃げ出したり放流されたりして、全国各地の池や田んぼなどで繁殖をしてきました。農業被害や在来種の減少など、生態系への悪影響が報告をされているところです。 アメリカザリガニは約六十五万世帯で約五百四十万個体、アカミミガメは約百十万世帯で約百六十万個体が飼養されているとされています。アメリカザリガニやアカミミガメは、どちらも国民になじみの深い外来種であり、既に広く飼育されています。そのため、両種とも対策の緊急性が高く、積極的に防除を行う必要性が最も高い緊急対策外来種に選定されています。にもかかわらず、飼育が禁止された場合、飼い主が許可を取るという煩わしさを嫌って野外に放出してしまうというおそれもあり、そのために、許可のない飼育、また野外放出などを禁じているこの特定外来生物への指定は見送られてきた経緯がございます。 本法律案では、新たに指定する特定外来生物の一部について、飼養等の状況に鑑み、当分の間、一部の規制を適用除外することができるとしています。アメリカザリガニやアカミミガメの指定がその適用除外になるというふうに想定されているわけですけれども、本法律案のように一部の規制を適用除外として特定外来生物に指定する内容であるのであれば、もっと早くから法律を改正し、対策を講じることもできたのではないかとも考えるわけです。この対策の遅れにより、分布範囲が拡大をいたしました。今回の法律改正に至ったこれまでの経緯をお聞かせいただきたいと思います。 ○奥田直久 自然環境局長 お答えいたします。 アメリカザリガニ、アカミミガメにつきましては、委員の今御指摘いただいたように、まさに規制を掛ける、一律に掛けることで、既に飼われている個体が大量に遺棄されて、かえって生態系への影響を、被害を及ぼすと、こういったことが懸念されていたものですから、平成十七年にこの法律ができたときに、専門家会合などでも、その時点で、現時点ではまだ規制すべきではないといった御意見がいただいていたところでございます。 一方で、近年、最近は、アメリカザリガニ等における生態系等に係る被害についても科学的知見というのが充実してまいりました。あわせて、NPOさんたちが積極的に防除というのを進めていただいたり、環境省でも、モデル事業をしながら、実際どうやればいいのか、どういった問題があるのかということを検証させていただいて、それに基づいて防除マニュアル等も整備をさせていただいてきております。 そういった防除に関する知見というのが集積してまいりましたので、今回、規制だけじゃなくて野外の防除も推進できるということを踏まえて、今般の外来生物法の施行状況の検討において、有識者の先生方からも、まさに新たな規制の枠組みを検討すべき、今こそ検討すべきだという御指摘もいただきましたので、今回の改正法案でそれを対応するということの経緯でございます。 ○青木愛 今回のこの規制の一部適用除外ですけれど、アメリカザリガニやアカミミガメ、この二種について特定外来生物としての指定を行うわけですけれども、その中で一部を適用除外とするんですが、どのような規制を適用除外と考えているのか、示していただければと思います。 ○奥田直久 自然環境局長 まず、お答えの前にまず一つ申し上げておきたいのは、とにかく規制の内容で、まず、広く飼育されたアメリカザリガニやアカミミガメを野外に放出されないようにすると、これを第一、最優先に考えて今回の規制を考えたということでございます。このため、まずは輸入、放出並びに販売ですとか、若しくは頒布を目的とした飼養等並びに販売又は頒布を目的とした譲渡し、これについても規制をするという一方で、委員の御質問の具体的に何を規制しないのかということに関しては、販売若しくは頒布を目的としない飼養、まあ飼うことだけですね、若しくはそういった個人間での譲渡し等、これについては規制の対象としないと、こういった規制を想定しているところでございます。 ○青木愛 個人で飼う分にはいいということですね。 それでは、この個人の販売目的ではない飼育ということですけれど、これが規制の適用除外とする方向でありますが、この販売目的ではない繁殖についてはどのように考えればよいでしょうか。防除対象の特定外来生物でありますから、この繁殖を認めるということは、個人の飼育であっても法の趣旨に反するのではないかと思うわけですけれども、その点についてはどう考えればよろしいでしょうか。 ○奥田直久 自然環境局長 お答えいたします。 アメリカザリガニですとかアカミミガメというものは、その飼い方によると思うんですけれども、実際繁殖して増やすということは必ずしも簡単にできるものでもないというふうに承知しているところでございます。また、繁殖を規制するために具体的にこういった形でやらなきゃいけないというような制限を掛けることで、先ほど来議論になっております、かえってそれを野外に放してしまうと、それだったらもう放してしまおうというような、そういう遺棄が誘発される可能性があるというふうに考えております。 ですから、現時点で法律に基づいて繁殖を禁止することまでは考えておりませんけれども、先ほど申し上げたとおり、まさにこれらの生物がまだ侵入していない地域に、その生態系を守るということが最も重要なので、まずは野外への放出を防ぐことというのは最優先にしながら、当分の間は個人の飼養、これはそこでたまたま繁殖してしまうということも含まれますけれども、それについては規制をしないで、輸入、販売、放出を禁ずる、こういったことを想定しているところでございます。 様々な適切な飼育方法などを周知することによって普及啓発を図って、無責任な飼育というものはやめていただくように、環境省としても積極的に普及啓発をしていきたいというふうに考えております。 ○青木愛 この個人で飼う分にはよいという適用除外の措置、これについては当分の間というふうに規定されていますけれども、この当分の間というのは大体亀が生きている間と考えてよろしいんでしょうか。どの程度の期間を想定されているんでしょうか。 ○奥田直久 自然環境局長 お答えいたします。 適用除外とする期間につきまして、現時点では具体的な期間というのは想定をしておりません。仮に、数年後、何年というのを期限を切って、具体的に飼育を全面的に規制すると、こういった方針を世の中に示した場合には、これまでのように飼えなくなるんだというところに注目が集まってしまって、先ほど来申し上げているような野外への放出ということがまた促進されてしまうのではないかという懸念がございます。 このため、今回は、法改正の意義に関する普及啓発を図って、飼育者に対してアンケート調査等を行いながら、規制等の内容に関する理解の状況、その辺をよく見ながら、規制を段階的に強化していくタイミング、これはそういった調査の中で判断をしていきたいというふうに考えております。 ○青木愛 野外の放出は、個人で飼うに当たっても野外の放出はしてはいけないということなんですけれども、この野外に放出をするということに対する罰則があると思うんですけれども、これはどのように決められておりますでしょうか。 ○奥田直久 自然環境局長 お答えいたします。 野外の放出に対する罰則というのは、ほかの通常の特定外来生物と同様に掛かるということでございます。そこに差を設ける予定にはしておりません。具体的には、最大で三年間の懲役若しくは、三年以内の懲役若しくは三百万円の罰金という、この通常の罰則規定というのが適用されるというふうに考えております。 ○青木愛 ありがとうございます。 かなり厳しい罰則が掛かってくると思うんですね。個人で飼っていながらも、故意にではなくても野外に放出してしまう場合もあるかもしれませんし、通常、ペットとして飼っていらっしゃる方は、かわいくて一緒に暮らしているというか、飼っているという、それを望む方もいらっしゃると思うんですけれども、この特定外来生物に指定されたことによって、野外放出してしまった場合に三年間、三年以内の懲役又は三百万の罰則が掛かるという、そのプレッシャーの中で家の中でその亀を飼っているというその緊張感というか、日常のプレッシャーというのは相当なものではないかなって思ったりもするんですけれども、その辺はどのようなアンケート調査をされていますでしょうか。 ○奥田直久 自然環境局長 お答えいたします。 具体的に、ちょっと手元にアンケート調査の実態の中身がないので、そこの内容については、申し訳ございません、お答えしかねるんですけれども、やはり飼育者の視点に立って、何が心配で何が問題だということは、逆にそういったアンケート調査を行うことによって規制の内容を理解していただくということも含めて、お互い、双方向でそこの感覚というのをそろえながら、やはり野外に放出するのは駄目なんだと、これはやってはいけないということをきちっと周知をしながら、それが理解が進めば飼育についてもどのように対応していくかというのは見えてくると思いますので、そういった中で考えていきたいというふうに考えております。 ○青木愛 今おっしゃられたように、飼育者の視点で様々な選択肢を選べるように丁寧に対応していくべきではないかなと、そんなふうに考えています。 終生飼養が原則ということでありますけれど、アカミミガメの寿命は二十年から四十年と長く、また飼えなくなるケースも一方では出てくるということも想定されています。 環境省が作成したアカミミガメの防除の手引では、アカミミガメの取引先がない場合は殺処理をすることになり、その方法として冷凍処理が挙げられています。しかし、一般の方々が殺処理を行うには心理的な負担も大きくて、野外に放出してしまうケースも出てくるということも想定されます。 そのために、引取りや殺処理などについて相談できる体制の整備が必要だというふうに考えますけれども、この点についてはどのような方針を定めておられますでしょうか。 ○奥田直久 自然環境局長 お答えいたします。 御指摘の、やはり飼育している方々がこれはどうなんだということの不安というのはあろうかと思います。 これ、都道府県等でそういった相談を受ける場合もあろうかと思いますので、その辺は、まず環境省の方に相談窓口等を設けさせていただきながら、地方自治体とも協力をして、そういった不安に思ったり疑問に思われている方たちが相談できるような窓口の体制というのはできる限り整備をしていきたいというふうに考えております。 ○青木愛 やはり国民への効果的な広報ということが今後必要になろうかと思います。 今回の改正でアメリカザリガニとアカミミガメは特定外来生物に指定されることになります。同じ特定外来生物の中に、従来どおり飼育が厳しく禁止される特定外来生物もいれば、飼育ができる外来種も混雑する状況になります。国民の間に混乱が生じることが予想されます。 国民に対して、本法律案の趣旨、また規制内容等を正確かつ具体的に周知するためには効果的な広報等が重要と考えますが、国民に対する周知、また広報の具体策について、これは大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。 ○山口環境大臣 このアメリカザリガニあるいはアカミミガメ、我々がもう本当に親しく接していたものですから、小さいとき、よくザリガニ捕っていたりしたものですね。それが今回、このアメリカザリガニがいたり、今まで豊かだった湖とか、それがえらく殺風景になってしまうと。そういうようなこともあって、今回こういう改正お願いさせていただくわけですけれども、これをやっぱりみんな国民の方々に適切に取り扱っていただくためには、今回の規制の背景あるいは目的、あるいは規制内容について効果的な周知あるいは広報を行っていくということが重要であるというふうに思っています。 このため、我々の環境省のウエブサイトやSNS等、あるいは多様なメディアで発信を行うことも大事だし、あるいは動物園等の団体、あるいは文部科学省を始めとする各省庁とも相談しながら、様々な場所や機会を通じた普及啓発を行っていかなければいけないと思います。 その際に、改正に伴う正確な規制内容、それだけでなく、我が国本来の自然環境の価値や、そこに外来生物がもたらす影響、あるいは外来生物の適切な取扱いに関する情報などを発信して、外来生物問題についての国民の理解の増進も図ってまいりたいと思います。 地方公共団体との役割分担について ○青木愛 是非丁寧に、よろしくお願いを申し上げます。 それでは、改正の三点目であります国と地方公共団体による防除の円滑化、役割分担についてお聞きをします。 本法律案では、主務大臣等の他人の土地への立入り権限を拡充し、防除に加え、特定外来生物の生息、生育の状況、生態系等への被害の状況、特定外来生物の防除の必要性の判断等に必要となる情報等の収集をするための調査を行う場合にも他人の土地等に立ち入ることができるということになります。 特定外来生物の防除は、その定着が進むにつれて対策に係る費用や労力等のコストが大きくなり、対応が困難になります。そのため、侵入早期での発見、防除を行うため、特定外来生物の生息、生育の現況と動向、その影響等に関する情報を積極的に収集し、分析することが必要であります。防除の円滑化に向けた調査の促進策についてお伺いをさせてください。 ○奥田直久 自然環境局長 お答えいたします。 効果的な防除を進めるためには、やはり特定外来生物の分布状況ですとか被害状況等を正確に把握する、委員御指摘のとおり、そういった調査というのが重要かと思います。そういった状況の把握を踏まえて計画的に防除を進めると、これが重要であるというふうに考えております。 このため、例えば、特にアライグマなど本当に侵略性の高い特定外来生物については、地方公共団体が様々な形で調査を行っていただいております。その分布に関する情報というのを環境省としても収集しながら整理して、例えば分布地域、分布が拡大していくその先端地域というところで駆除を行うと、防除を行うというのが、やはりその分布を止める、拡大を止めるというので非常に効果的というふうに理解しておりますので、そういった地方自治体がどこでやったらいいかというのを、参考になるような、地方公共団体にとっても有益な形で情報の提供というのをさせていただきたいというふうに考えております。 さらに、各地方環境事務所が環境省もございます。そこでの体制を強化しながら、地域公共団体の連携体制と、これを更に一層強化していくことを考えておりまして、これらの取組を通じて特定外来生物の早期発見と早期防除、そのための必要な調査というものが実現するように更に取組を強化してまいりたいというふうに考えております。 ○青木愛 そして、現行法では、特定外来生物の防除について、国が防除の目標や方法などを定めて公示した上で防除を実施するとされています。 一方、本法律案では、防除について、国は未定着又は局地的に分布している特定外来生物の防除を行い、都道府県は定着した特定外来生物の防除を行うことが新たに規定をされています。 しかし、特定外来生物の定着などについての定義が明確ではないことと、このために、防除を行う主体が規定されたものの、定着の捉え方の相違により国と都道府県の間でどちらが防除を行うか判断が付かず、防除が遅れる事態にならないかと懸念をするところです。 特定外来生物の定着か否かの判断、防除主体について国と都道府県との整理等はどのように行うのか、お伺いをしておきたいと思います。 ○奥田直久 自然環境局長 委員御指摘のとおり、国と都道府県で役割分担をしていくということでございますけれども、一つはその分布が局地的である特定外来生物の蔓延の防止、これについては国が行うということになっています。これについて具体的にどういう定義かということでございますけれども、これは、単に分布が局地的であるということだけでなくて、非意図的に拡散していくということなど急速に全国に蔓延していくおそれがあると、こういった場合は国が特に対策を行うということを想定しているところでございます。 また、その定着ということに対して様々な理解の違いがあるんじゃないかという御指摘でございますけれども、先ほど申し上げたように、一般的には、世代交代を繰り返して生息、生育し続けることということでございますけれども、やはりこれは、実はその種の生態や確認の状況などに即して総合的に判断をせざるを得ないというのが現状でございます。 ですから、個々の特定外来生物の定着の有無や分布状況というのは、まさに国が、その特定外来生物の種の指定、それを指定する際に具体的にその辺を確認をしながら、例えば繁殖ですとか拡散の状況を踏まえてきちっと整理をして地方公共団体に情報提供を行うと、こういったことをこれまでもやらせていただいてきたところでございます。その上で、逆に指定後に新たにその定着、先ほど申し上げた、世代を繰り返してそこに定着したというものが判明した場合ですとか分布が更に拡大しているということが確認できた場合には、その都度地方公共団体にも情報提供を行っていきたいというふうに考えております。 こうした取組を通じて、今回の改正を踏まえた役割分担が実際現場で混乱を起こすことなく速やかになされて、そして防除というものが迅速かつ円滑に進むように、地方公共団体とも連携をしながら取り組んでまいりたいというふうに考えております。 ブラックバスについて ○青木愛 ありがとうございます。 ここで私が心配いたしますのは、未定着で局地的な部分は国が、そして定着したその後は都道府県がということになりますので、むしろ定着した都道府県の方が対応が大変になるのではないかって率直に思うわけであります。ですので、まだ局地的の段階、未定着の段階で国がしっかりと、その防除を行っていただくということをしっかりやっていただきたいなという思いであります。よろしくお願いします。 時間が意外となくなってきまして、ブラックバスについて最後お伺いをさせてください。これ、ちょっと陳情いただきましたものですから、取上げをさせていただきます。 このブラックバスと呼ばれる魚として、我が国にはオオクチバスとコクチバスの二種が持ち込まれています。共に外来生物法施行時に特定外来生物に指定されました。にもかかわらず、指定後十八年たった今日でも対策が進んでおりません。 実際に、オオクチバスについては絶滅危惧種を保護している現場にも放流されていることが報告されており、コクチバスについては河川水辺の国勢調査で確認される河川地、河川数、河川敷かな、河川数、地点数共に右肩上がりで増えております。このような状況は意図的な放流行為によるものと考えるほかなく、明確に外来生物法に違反する行為に当たると考えます。 これら外来生物法の違反行為の撲滅に向けてどのような対策を取っていくのか説明を求めたいと思いますし、このオオクチバスは、特定外来生物に指定される以前から、芦ノ湖、河口湖、西湖、山中湖という四つの湖において第五種共同漁業権の対象魚種として指定されてきました。漁業権免許を受けるには養殖が義務付けられているために、漁業協同組合が釣り人から遊漁料を得るにはその魚を増やさなければならない義務が発生しております。このため、特定外来生物に指定された後、現在に至るまで、オオクチバスの稚魚が台湾から輸入され、国内の施設で養殖され放流されていると伺っています。 このオオクチバスが生態系への被害防止求められる特定外来生物に指定され、その後も漁業権が維持更新され続けていることについて、水産庁はどのようにお考えなのか。山梨県においては、オオクチバスの漁業権は本来好ましいものではないと位置付けたというふうに伺っています。 次回の漁業権の更新は二〇二三年度とのことです。間近に迫りましたこの漁業権の更新時期を前に、第五種共同漁業権を免許とする立場の神奈川県芦ノ湖と山梨県の河口湖、西湖、山中湖に対して国としてどのように指導していくのか、まとめて最後お伺いをさせていただきたいと思います。 ○藤田仁司 水産庁資源管理部長 まず、ブラックバスの、オオクチバスのその漁業権の関係についてお答え申し上げます。 委員今御説明がございましたように、山梨県の西湖、河口湖、山中湖、神奈川県の芦ノ湖の四つのこの湖、この湖につきましては、その特定外来生物として指定される以前から、オオクチバスが内水面におけるその第五種共同漁業権の対象とされておりました。このため、生業の維持を目的とするものとして飼養等が許可されるとともに、湖全体が特定飼養等施設の特例として認められまして、両県知事による漁業権の免許が行われてきているということでございます。 特に、山梨県におきましては、その現行の漁業権を免許するに当たりまして、そのオオクチバスに頼らない漁場管理を進めていく方針というものが示されておりまして、漁業権者の方は放流量の削減ですとか代替魚種の育成、これに取り組んでおられるという状況でございます。 今委員からもお話ございましたように、来年、両県の漁業権とも免許が切替えの時期に当たっておりまして、このようなその取組の実施状況ですとか特定外来生物の適切な管理の必要性を踏まえまして、両県の漁業権の基となる内水面漁場計画や増殖指針が検討されるものと承知をしてございます。 この漁業権の免許につきましては都道府県の自治事務ではございますけれども、水産庁といたしましても、本法の趣旨を踏まえまして、特定外来生物の適切な管理の観点から、放流量の削減や代替魚種の育成などオオクチバスに頼らない生業の在り方について検討が進められるように必要な指導助言を行ってまいりたいと考えております。 ○徳永エリ委員長 山口環境大臣、時間が来ておりますので、簡潔にお願い申し上げます。 ○山口環境大臣 はい。 今水産庁の方からも見解示していただきましたし、山梨県の方でもこのオオクチバスに頼らない漁業、漁場管理の変更ということを考えていただいているようなので、平仄を合わせてやっていきたいと思います。 ○青木愛 質問終わります。ありがとうございます。よろしくお願いします。 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