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立憲民主党 参議院議員 青木愛 Official Website

議会議事録JOURNAL

令和4年5月24日 参議院環境委員会

地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案について質疑採決
(付帯決議を提案し全会一致で可決されました)


○青木愛

 立憲民主党の青木愛です。
 本日も質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
 早速質問に入りますが、先ほど新しい国債のお話と、そしてその新しい機構の財政投融資のお話がありましたので、ちょっと質問の順番を変えさせていただいて、そちらの方から質問をさせていただきたいというふうに思います。
 日本で脱炭素投資を拡大するためには、日本の企業による気候変動関連情報の開示が不可欠だと考えます。科学的なデータに基づく情報開示の徹底は投資家の投資判断を促すものであります。しかし、実際はそうなっていないという現状だというふうに思います。この情報開示が行われなければ、やはりなかなかこの民間投資呼び込むことはできないのではないかというふうに考えますけれども、その現状について、まずどのように分析されておられますでしょうか。その辺りから伺わせていただければと思います。


○山口環境大臣

 国内外でESG金融が拡大する中、我が国としてその脱炭素投資を呼び込むということも、私自身は非常に重点を置いています。その中で、企業が気候変動に関する情報を投資家等に向けて開示するということは、これはどうしても必要だというのは、おっしゃるとおりだし、ここは大事だと思います。
 そのため、環境省では、TCFD提言に沿った企業の気候関連情報開示を支援してきました。具体的には、自社のリスク機会が財務に及ぼす影響を分析するいわゆるシナリオ分析について、個別の企業に対して支援を行うとともに、実施手順や分析に必要なデータ等をまとめたガイドブックを作成、公表してきたところです。今後、企業のTCFD提言に沿った情報開示の取組を更に広げるため、ガイドブックを企業にとってより使いやすいものにするとともに、ガイドブックの内容を解説するセミナーの開催など、積極的な情報発信に取り組んでいかなければならないと思います。
 今まで企業、これ手当てしてきたところというのは、いわゆる一般的に言って割と大きな企業が多いものですから、日本の大宗を占めるやはり中小企業も含めてこういうことが共有されるように、相当環境省としては、いわゆる国内のキャパシティービルディングというのも必要だなというふうに思っています。


○青木愛

君 私も詳しくなくてよく分からない部分もあって教えていただきたいのですけれども、これは、各日本の企業が言わば脱炭素に寄与しているんだということの情報開示が必要だということだと、ざっくり言うとそういうことだと思うんですけれど、なかなかその情報開示には、賛成の企業は日本が一番多いという昨日レクでのお話でしたけれども、実際はそうなっていないという状況の中で、今回、新しい機構をつくったり、また、岸田総理がまた新しい国債を発行したりということでこれ取組を進めていくんですけれども、まずはこうした、何でしょう、民間投資を呼び込むためのその情報開示の方が先なのではないかというふうに思うんですけれども、その情報開示をするための国の支援がまず先行されなければこれはうまく進んでいかないのではないかと率直に思ったわけなんですけれども、その点はいかがでしょうか。



○小野洋 環境省地球環境局長    

 お答えいたします。
 情報開示の支援については委員のおっしゃるとおりかと思います。
 環境省では、先ほど大臣からございました様々なガイドライン、ガイドブックの作成を始めとして、情報開示の支援を既に実施いたしております。大企業はもとよりですけれども、中堅、中小に至るまで情報開示の支援を既に進めておりまして、今後も特に中堅・中小企業を中心に更に情報開示を進めていただけるように、ガイドブックとか、あるいは情報開示のその仕組み、システムですね、情報開示できるシステムの整備なども進めていきたいと考えておりますので、情報開示とその投資といったことを並行して進めていく必要があろうかと思います。


○青木愛

 済みません、ガイドラインとかガイドブックということの範囲を超えて、超えてですね、それでは、この新機構のその二百億という財政投融資を呼び水効果として考えていらっしゃるということと、今回の、岸田総理が二十兆円規模の資金をグリーントランスフォーメーション経済移行債で確保して民間資金を呼び込むとしているんですけれども、この民間資金を呼び込んで、それぞれ、何というの、規模ちょっと違うなと思うんですけれど、この民間資金を呼び込んでまずやることというのは何なんでしょうか。済みません。


○山口環境大臣

 国だけでやることというのは非常に限りがあると思います。実際に、このいろんな事業をやる、例えばどんなものがあるだろうかということでずっといろいろ考えてみると、食品バイオマスのこの肥料、燃料等への循環利用とか、プラスチックリサイクルのCO2回収、メタネーションとか、ペット・ツー・ペット、ペットボトルの水平リサイクルとか、使用済プラスチックのケミカルリサイクル、いろいろあります。これは国がやるというよりも、むしろ民間の方々がこの意欲的な脱炭素事業としてやっていただく、そのことを国が後押しさせていただくと。
 それから、企業のそのTCFD、タスクフォース・クライメートリレーテッド・フィナンシャル・ディスクロージャーという、今までのフィナンシャル・ディスクロージャーというのは言ってみればお金のことが中心だったと思いますけれども、それはやっぱりクライメートリレーテッドなデータということで、新しい観点だと思うんですね。そういう環境に配慮していなければその会社に投資したものも引き揚げると、ディスインベストメントと、そういうこともこれからどんどん起こっていくと思います。
 だから、日本的にはやっぱりそういう環境に配慮しているというところを、やっぱりこのガイドブック云々というのは非常に周知徹底させてもらうことによって物すごく使い勝手のいいものにできていると私は思います。その意味で、それをもう少し共有させてもらって、そしていわゆる企業的にこれからそれを取り組まなければその成長機会まで奪われかねないと、あるいはそれを取り込むことによって成長機会がゲットできると、そういう感覚を共有させてもらうことが非常に大事だと思いますので、二十兆というのは言ってみればシードマネーです、シードマネーで、大体これでレバレッジ効かせて、場合によっては十倍ぐらいということもあり得ます。ですから、非常に大きな効果があると思うので、私は、ここから正直日本の経済は反転攻勢掛けられるぞというぐらいに思っています。
 ですから、今おっしゃっていただいたとおり、それ国だけでやることではないので、やっぱり国、それからもちろん地方自治体、それから企業、それから国民一人一人、みんな総動員でこの脱炭素を目指す中で日本経済がぐっと行くためには、私は、そのお金が必要だろうと。で、そのお金だけでも足りないと、全体では二〇五〇年まで目指すと四百兆円以上掛かるだろうという試算もあります。
 ですから、そういう中の一部として考えていただければと思います。


○青木愛

 山口大臣、お金が足りない足りないとおっしゃるものですから、私も、何というんでしょう、環境に配慮をしている、脱炭素に貢献をしている企業でないと投資を呼び込めないという状況下の中において、今後投資、民間投資を呼び込むためには、まず企業の方が、これまでの委員会でも、鉄鋼業、自動車産業、設備を全部転換しなければならない、莫大な相当な予算が掛かるのではないかというお話もありましたけれども、まずはそういう企業の、環境に負荷を掛けない、そしていろいろな設備の転換、これをまず先にやらないと民間投資を呼び込むことができないのではないかって思うわけなんです。
 なので、この今回の二百億であったり、この岸田総理がおっしゃっているその新しい国債であったりという、このここで呼び込む民間資金というのはまずそこを整えるための資金であって、その後のESGマネー、四千兆円ある、それを更に呼び込むという、そういう順番なのかなと思ったんですけれども、その辺の整理はどういうふうに考えればよろしいでしょうか。


○山口環境大臣

 全国行脚とともに、各産業界とも対話を重ねさせていただいています。
 一番最初は鉄鋼業界でした。その後、ガス、石油、電力、自動車工業会、それから昨日は、昨日ですね、航空業界。特に一番目の鉄鋼業界については、例えばですね、例えばCO2、コークスと燃やせばCO2、要するに石炭ですね、石炭と燃やせばCO2、H2、水素と燃やせばH2O、そしたら今までの高炉を変えなければいけないわけですね。高炉を変えるのに幾ら掛かるかと、何千億円じゃなくて五兆から六兆なんですね。これ民間だけでやるというの私は無理だと思います。
 その意味では、言ってみれば、浮沈が懸かっているというふうにおっしゃるんだったら、官民一体でやるけど、そっちからも出してもらえますかと。内部にとどまっているものがあれば出してもらえますかと、かなりきつい会話をさせてもらっています。
 したがって、民間でまずやるというのは、正直私は無理だと思います。やっぱりそこは国が手を差し伸べて、イノベーションでもって鉄鋼業も、例えばCO2を出さない鉄鋼業、水だけしか出ない鉄鋼業、こういう造り方でできた鉄というのは、もう一回世界で物すごく言ってみれば売れると思います。世界に冠たる鉄鋼業界、これもう一回回復したいと思うし、自動車もそうですね、自動車も相当お金掛かると思います。今、電気自動車という話ありますけれども、この電気自動車というのが結局インフラがまだ整っていないという言い訳もありますよね、その充電のシステム。そういうことも全部含めると相当なお金掛かると。
 それから、蓄電池のシステム、申し訳ない、これ大分中国に遅れているような気がします、残念ながら。だから、ここも相当後押ししたい。大体、去年、電気自動車、日本で二万台しか売れなかったんですけど、中国、二百九十万台売っているんですね。それは、向こうは十倍大きいっていったって、百倍これ売っていますから。だから、そういう意味で、やっぱり相当日本は国が後押しをすることによって、例えば自動車工業会、五百六十万人の雇用の方がおられるので、もちろん内燃機関と電気自動車と両にらみでやっておられますけれども、やっぱりここは国が相当引っ張りながら持っていくということが大事なのかなというふうに思っています。


○青木愛

 ありがとうございます。
 それでは、質問、冒頭から進めさせていただきたいと思います。
 昨年の十一月、イギリス・グラスゴーで開催されましたCOP26、この首脳会合におきまして、岸田総理は、気候変動という人類共通の課題に日本は総力を挙げて取り組んでまいりますと決意を述べた上で、目標の達成に向けこの十年が勝負ですと、高い野心を持って共に全力を尽くしていこうではありませんかと各国に呼びかけました。
 岸田総理が二〇三〇年までの期間を勝負の十年と位置付けたことを受けまして、山口環境大臣は、今年三月三日の環境委員会で、環境省は、二〇三〇年までが人類の正念場、勝負のときとの決意でこの変革に取り組みますと所信を述べられました。
 この勝負の十年とは何なのか、どれほど深刻なものなのかということを国民に分かりやすく御説明をいただきたいと思いますが、よろしくお願い申し上げます。


○山口環境大臣

 我が国においても、既に記録的な猛暑あるいは度重なる豪雨や台風などで多くの犠牲者をもたらしている、そういう意味で、既にこういう異常気象による被害というのが感じられるところだと思います。
 先日公表された気候変動に関する政府間パネル、IPCCの報告書においては、人間活動が原因となり引き起こされた気候変動が幅広い分野で悪影響を及ぼし、それに関連した損害を引き起こしていることが示されたところです。地球温暖化の進行に伴い、このような猛暑や豪雨等のリスクが更に高まると予想されており、世界はまさに気候危機と呼ぶべき状況に直面していると思います。このような中、IPCCからは、気温上昇を一・五度ないし二度に抑えるためには、二〇三〇年までに急速かつ大幅な温室効果ガス排出削減を行わなければ後戻りできない旨報告がなされています。
 以上の科学的知見を踏まえれば、世界全体で早く大きな削減が必要であることから、二〇三〇年までの期間を勝負の十年、ディサイシブディケードと述べているところです。
 この二度と一・五度というのは、この場でもよく議論がありました。今まで二度だったものがこのグラスゴーでもって一・五度と、二度だとデスセンテンスだということを確かに南太平洋の国々の方はおっしゃっていました。そういう意味で一・五度まで何とか頑張ろうかというところを合意したわけですね。
 その中で、何でそう思うかという、この間もカーボンバジェットの話、していただきました。全体であと余力が四千ぐらいと、毎年四百ずつ出していったらあともう十年もないぐらいじゃないかと。で、それを超えると後戻りできなくなるというところがだんだん科学者の知見でもって共有されてきていると。そういうことでは、二〇三〇年までは一つの勝負の十年と、もうここでがっちりやらないともう全体で大変なことになるという危機感を我々共有しているところです。
 そういう意味では相当なアクセルを踏んでいきますので、やっぱりそれを、やっぱり企業も付いてきていただけるように、やっぱりそのことによってむしろ、このカーボンニュートラルを目指すそのプロセスの中でむしろ企業もある意味で強化されるように、それがイノベーションがどうしても必要なんで、そこは相当大きなお金が必要だろうなというふうに思います。
 先ほど私自動車の話もしましたけれども、やっぱり内燃機関が日本の一番の得意技で、もうそこは物すごくよく分かるし、ただ、内燃機関と電気自動車は取りあえず両にらみでもいいけれども、やっぱりヨーロッパ、アメリカは日本の自動車業界を出し抜くためにこの電気自動車ということをやってきている面もあると思います。
 だから、それを乗り越えながらいわゆる脱炭素の世界に向かっていく。で、そのことが日本だけでできないわけですね。日本だけで二酸化炭素を減らしたって、全部みんなで力を合わせないと意味ないんで、そういう心合わせもしながらということで、日本が、例えばJCMを通じたような格好でもってパートナーを増やしていく。
 あるいは、岸田総理が言われたのは、百四十八億ドルの適応、ミティゲーションじゃなくてこのアダプテーションですね、洪水なんかが起こったときに適応していくためのお金。ミティゲーションというのは、この二度から一・五度減らすため、あっ、失礼、抑えるためのこの二酸化炭素を減らすミティゲーションですけれども、アダプテーションというのは、そういう異常気象が起こったときにいろいろと災害が起こると、そういうことに適応していくためのお金も必要だと。もう途上国からこういうお金の要求が大きいわけですね。そのことに対しても、岸田総理、目配りしながら、百四十八億ドルということで今までの二倍にしますということをおっしゃられたりしています。
 だからもう両にらみしながら全世界でもって歩調を合わせて一・五度やりましょうというのがこの間のグラスゴーで、次のエジプトに向かっては更にそれを共有して更に強化できるかというところがこれから議論になっていくと思います。


○青木愛

 山口大臣が今答弁の中でおっしゃった後戻りできないというのは、すごくメッセージとして伝わるのではないかというふうに今拝聴いたしました。
 やはり、二〇五〇年までカーボンニュートラルを達成させるためには、この十年、相当気合を入れないとそれが達成できないということだと思います。気候の極端化が進み、また氷河の溶解、海面の、海温の上昇による海水膨張によって太平洋上の島々も水没をしていく。また、食料の危機、病原菌、また動植物の移動、様々な危険が伴うということであります。今何とかしないと、今享受しているこうした我々の生活も営めないんだ、後戻りができないんだ、取り返しが付かないんだということを、余り不安をあおるようなことではまたいけませんけれども、でも、やはり深刻な課題なんだということをやはり国民一人一人に認識していただけるように、大臣のこの発信力に期待をするところでございます。
 それで、今回の法案の中で、脱炭素先行地域を二〇二五年度まで少なくとも百か所創出をすると、二〇三〇年度まで実行するということになっています。
 今回、百二の地方公共団体から七十九件の計画提案が提出されまして、第一回目として二十六件が評価をされました。選考された提案と選考から残念ながら漏れてしまった提案、どのような相違があったのか、今後応募する自治体が参考になりますように説明をお願いしたいと思います。


○上田康治 環境省大臣官房地域脱炭素推進総括官

 お答えいたします。
 第一回の脱炭素先行地域の選定の募集は今年一月から二月にかけて実施し、御指摘のとおり、全国百二の地方公共団体から七十九件の提案をいただいたところです。これらにつきまして、学識経験者で構成する脱炭素先行地域評価委員会において、書面審査及びヒアリングを実施していただいた結果、二十六提案を脱炭素先行地域としてふさわしい提案として評価いただき、環境省において選定したところでございます。
 評価委員会においては、脱炭素先行地域にふさわしい再エネ導入量、地域課題の解決への貢献可能性、先進性、モデル性、実現可能性等が高く評価された地域の提案が選定されたところでありますが、具体的な評価ポイントとしましては、先行地域の対象範囲で取り組む意義や必要性が明確であり一定の広がりや規模が確保されていること、民生部門の電力消費に伴うCO2排出の実質ゼロを達成するための取組を確実に実施する体制がある程度明確であること、単なる再エネ設備の導入にとどまることなく地域経済の循環や地域課題の解決、住民の暮らしの質の向上につながることが意識されていることなどが評価のポイントとなったところでございます。


○青木愛

 それで、今回選考された中に、横浜市みなとみらい21地区における公民連携で挑戦する大都市脱炭素化モデルというのがございます。地域間連携は非常に重要だと思っておりまして、これが一つのいいモデルになるといいなと思うんですが、この域内での脱炭素化事業のほかに、この再エネに関する連携協定を締結した東北の十三市町村から再エネ電気を調達をすると、横浜に調達をするということなんですけれど、これどういう内容なのかということと、これは双方にメリットがある交付状況になるのかどうなのか、ちょっとその辺の詳しい話を教えてください。


○山口環境大臣

 みなとみらい21地区の六十四施設のうち三十二施設を対象とする横浜市の脱炭素先行地域の主な取組というのは、施設屋上などオンサイトにおける太陽光発電設備の導入、市内の郊外部の市営住宅や小中学校の屋上、調整、これは池ですね、調整池等の未利用スペースを活用したオフサイトにおける太陽光発電設備の導入、あるいは再エネポテンシャルの高い他市町村と連携した再エネ電力の調達等を行い、脱炭素化を図るとともにLED化などによる徹底した省エネ化を行うものです。
 本提案は、エネルギー需要は大きいものの再エネ導入ポテンシャルが限られる大都市の脱炭素化モデルの構築を目指すものであり、評価委員会では、オンサイトの取組に加え、市内の郊外部を活用したオフサイトの取組、さらには再エネポテンシャルの高い他の自治体との連携など、様々な手法を組み合わせたモデル性の高い取組として評価されました。
 なお、電力消費量が多い都市部は再エネ導入ポテンシャルが限られている場合も多いことから、再エネ導入ポテンシャルが高い地方公共団体との地域間連携は、安定的な再エネ電力供給や地域経済活性化の観点から極めて有効だと思います。
 引き続き、地域間連携を含め、地域の特性を踏まえた地域脱炭素の取組について支援をしてまいります。


○青木愛

 再エネポテンシャルの低い、だけれどもエネルギー需要の大きい都市部と、再エネポテンシャルが高い、だけれども人材や財源が限られている地方、この地域間連携、電力の融通というのは大事な視点だと私も思うんですけれども、今回のこのケースにおいて、この東北十三市町村にはその交付金が行かないというふうにレクの中で伺ったんですけれど、この東北の十三市町村、電力供給をする側のメリットをどのように考えたらよいのか、その辺を教えていただければと思います。


○上田康治 環境省大臣官房地域脱炭素推進総括官

 東北十三市町村も含めたそれぞれの自治体のメリットという御質問かと思います。お答えいたします。
 まず、今回、計画の提案において、仮に、例えば横浜市とその東北十三市町村が共同提案という形で一つのプロジェクトで提案された場合にはそれぞれの取組について支援をするということでございますが、今回はその提案については横浜市からの提案ということで、その関連する施設への支援となったところでございます。
 他方、この背景にあります東北十三市町村と横浜市の間の連携の協定と、議員の方からも御指摘ございましたけれども、そちらを見てみますと、連携協定の対象分野としては、再エネの創出に関することに加えて、それぞれの地域の、地域の活力に創出に関すること、また、再生可能エネルギーに関する相互連携した国等への政策提言に関すること、このようなことが盛り込まれていると承知しています。
 とりわけ、この中の二つ目の地域の活力の創出に関することということについては、それぞれの市区、市町村の間で関連する事業者とか住民がそれぞれ意識をして、例えば東北の特産物を横浜の方に持ってきて売ってみようとか、環境に限らず様々な連携をしながら活性化を図る、そうした取組を御検討されていくものというふうに承知をしております。


○青木愛

 双方の自治体の中でその辺を考えていくということだと思います。また、この東北の十三市町村は自らが提案者となってまた別のプロジェクトの対象ともなり得るということで確認をさせていただきました。
 あと、それで、やはりこの大都市部のみなとみらいでありますので、LEDのお話はあるんですけれども、この徹底した省エネ、どこまで省エネができるのかという、そこまで追求したモデルをできれば提示していただけると有り難いなと思うんですけれども、一部太陽光も調整池に設置をするというところではありますけれど、やはりこういう都市部だからこそのもうちょっと明確なモデルとしてのメリットを示していただけると有り難いなというふうに思いますので、引き続きよろしくその辺お願い申し上げます。
 そして、ブルーカーボンについて伺わせていただきます。
 ブルーカーボンですね。脱炭素先行地域づくりガイドラインに、脱炭素先行地域の範囲の類型として、住生活エリア、ビジネス、産業エリア、自然エリア、施設群、この四つが示されておりまして、この自然エリアの中に漁村を挙げています。
 森林がCO2を吸収することはよく知られていますけれども、海域で、特に日光が当たる海域で育つ海藻、藻類、光合成を行って大量のこのCO2削減に貢献しているということは余り知られていないかと思うんですが、この海の植物による吸収はブルーカーボンと呼ばれているわけです。
 そのことを五月の本会議で質問いたしましたところ、山口大臣の方から、ブルーカーボンは、温室効果ガスの吸収源としての役割に加えて、水質改善、生態系保全等の相乗効果も期待できるため、重要な気候変動対策の一つだと答弁をいただきました。
 そして一方で、インベントリーに計上可能であるか検討も進めているとの発言でございましたが、CO2の吸収源として大変重要だという認識をお持ちでいらっしゃるのであれば、このインベントリーの検討結果を待つまでもなく、四方を海に囲まれた日本でありますので、このブルーカーボンの活用を今から積極的に進めるべきだというように考えますけれども、その点についてはいかがでしょうか。


○山口環境大臣

 この海藻などの海洋生態系による二酸化炭素の吸収、固定のことを指すブルーカーボン、私も青木議員と認識はかなり共有しています。
 このインベントリーを環境省としては所管しているわけですね。温室効果ガスの排出・吸収量目録、いわゆるこのインベントリーを所管する立場として、吸収量の我が国のインベントリーに計上が可能であるか検討を進めていると。これ、各国との調整も必要なようですから、そういう意味で関係省庁と連携しながらブルーカーボンの活用の在り方について検討してまいりたいと思います。


○青木愛

 認識は共有させていただいていると思います。インベントリーの計上は可能かどうかということも、日本にとっては国際社会の中で大変重要だというふうに認識をいたします。ただ、CO2の吸収源という実態があるわけですので、やはりこれは早めに進めるべきだと、明確な指針を示すべきだというふうに思います。よろしくお願いいたします。
 地球が誕生したときには大気に酸素がなかったわけですけれども、二十数億年前に海底にシアノバクテリアという藻が繁殖をして、光合成によって海水中の大量の二酸化炭素を吸収して大量の酸素を海中そして大気中に放出して、そして陸上の生物が生命活動をなし得たという歴史でありますので、海中の植物をもっと評価するべきだということも申し添えておきたいと思います。
 次に、営農型太陽光発電、ソーラーシェアリングについて懸念するところをお伺いします。
 三月二十四日の環境委員会、大臣所信に対する質疑におきまして、千葉県匝瑳市の営農型太陽光発電、ソーラーシェアリングの取組を紹介をさせていただきました。二〇五〇年カーボンニュートラル、二〇三〇年度削減目標の実現に向けて、この営農型太陽光発電を全国的に普及させることは大変重要なことだと私は考えております。
 一方、平成二十八年の行政事業レビューでは、恐らく営農型太陽光発電の普及を意識することなく、FITの対象となる太陽光発電の新規出資を行わないことにしたとの記述がございます。
 営農型太陽光発電については、FIT対象であっても脱炭素化支援機構による出資対象に含めるべきだというふうに考えますけれども、いかがでしょうか。FIT対象である太陽光発電はその機構の出資対象にはならないというそんなお話が出ていますけれども、やはりこのソーラーシェアリングについては、食料の自給率、そしてエネルギーの自給率、一石二鳥の大変有効な手段だというふうに考えるんですけれども、ここは機構の、新機構の出資対象にしてもよろしいのではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。


○上田康治 環境省大臣官房地域脱炭素推進総括官  

 お答えいたします。
 営農型の太陽光発電につきましては、農業生産と再エネ導入を両立させて、地域と共生をしながら再エネを導入することができる有効な取組として認識しているところでございます。
 脱炭素化支援機構の支援対象案件は、環境大臣が定める支援基準に沿って、脱炭素投資の知見、経験等を有する脱炭素化委員会において決定することとしており、営農型太陽光発電についても、このようなプロセスにのっとって適切と認められる場合には支援されるものと考えているところでございます。


○青木愛

 済みません、FITの対象となっている太陽光発電とその下で育てる営農の部分の併設であっても、この機構、新機構の対象となり得るという御答弁でよかったでしょうか、確認させてください。


○上田康治 環境省大臣官房地域脱炭素推進総括官  

 お答えいたします。
 この支援基準に基づいて機構が判断する際に、機構がその運用を図っていく中で、関係省庁とも相談しつつ、御指摘の案件についても適切に検討してまいりたい、このように考えております。


○青木愛

 まあ検討ということなんでしょうかね、衆議院の方でも田嶋委員がこの点質疑されていると思うんですけれども。
 やはり食料の自給率、そしてこのエネルギーの自給率、これを最大限高めることはもう最重要課題だというふうに思います。特に日本は耕作放棄地がたくさんございまして、まさに一石二鳥、一石三鳥の営農型、このソーラーシェアリングだというふうに思いますので、導入が進むインセンティブが働くような形で前向きな取組を御検討といいますか、前向きに御決断をお願いをしておきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは次に、五月十九日に行われました環境委員会の参考人質疑において三人の参考人の先生方からの御意見を踏まえて質問をさせていただきたいと思います。
 参考人は、真庭市の太田昇市長、特定非営利活動法人環境エネルギー政策研究所の山下紀明主任研究員、そして特定非営利活動法人気候ネットワーク東京事務所の桃井貴子所長の三人でございました。いずれの先生方も、具体的に活動をして実績を上げられている皆様でありましたので、大変参考になりました。
 まず、その中で、真庭市についてお伺いをいたします。
 真庭市は、森林組合と提携をしてバイオマス発電を進めています。材料は間伐材で、山林の手入れを怠ると災害時には河川に流れてきて災害要因になるところを、逆に脱炭素資源として有効活用をしていらっしゃいます。
 さらに、生ごみも資源として活用しています。燃やすごみの約四割が生ごみだそうで、大量の生ごみは水分を含んでいるので、焼却に余計なエネルギーが必要となり、CO2も発生をさせます。しかし、その生ごみをふん尿関係と一緒にして混ぜて発酵をさせるとメタンガスが発生し、そのガスで発電を行っているということでした。残りかすは液肥として農家に配っています。し尿処理施設も減らすことができたとのことでした。
 これは全国展開できる一つの重要なモデルだと考えますが、この評価と横展開の可能性について御見解をお伺いをさせていただきたいと思います。


○室石泰弘 環境省環境再生・資源循環局長

 お答え申し上げます。
 生ごみや、し尿、浄化槽汚泥等の廃棄物系バイオマスの再利用、利活用については、地域へのエネルギー供給を図る観点も含めまして、気候変動対策にも資することであります。飼料化、堆肥化、燃料化、メタンを高効率に回収する施設など、地域に応じた効率的な整備を推進すべきものと評価しているところでございます。
 環境省では、地域の生ごみ等のバイオガス化施設の導入に当たっての留意点をマニュアルとして取りまとめまして、自治体のメタンガス化施設導入を支援しております。その中で、真庭市のように、生ごみと、し尿、浄化槽汚泥を一括してメタン発酵させ、バイオガスを回収し発電するとともに、生成される消化液を液肥として地域で有効利用するといった、多段階的にバイオマスを利用する好事例についても紹介しておるところでございます。
 自治体に対しましては、循環型社会形成推進交付金を通じまして生ごみのメタンガス化施設の整備を支援しておりまして、高効率で熱利用を行う施設には交付率をかさ上げするといったようなこともしております。こうした支援策を活用し、また好事例を紹介しながら、横展開をしながら、生ごみの資源化を進めていくところでございます。


○青木愛

 ありがとうございます。
 ちょっと質問を飛ばさせていただきますが、山下参考人の著作の中に再エネ導入の取組の成功事例と失敗事例は紙一重であるとの記述がありまして、御質問しましたところ、失敗を回避するため着手の段階で心掛けるべきことということで、まず再エネを考えるのはやめましょうというお話でございました。むしろ、町の未来像を最初に考えましょう、それが近道であり、王道であると思っていますとの御答弁でした。また、地域のトラブルを回避するためには信頼関係が大切だということで指摘がございました。
 この意見について御見解を伺わせていただきたいと思います。


○山口環境大臣

 二〇一八年に閣議決定された第五次環境基本計画に基づいて、環境省は、各地域の資源や活力を最大限に生かしつつ、環境、経済、社会を統合的に向上させる地域循環共生圏の実現を目指していきます。地域脱炭素ロードマップでも、この考え方に基づき各施策を実施しているところです。具体的には、地域の主体性の下に、地域内外の多様な主体と協働しながら、地域課題の同時解決につながるような事業設計を行い、地域にとって利益となる形で再エネ導入を進めていくことが重要と考えています。
 この再エネ導入と地域課題の同時解決を行った事例として、これ全国行脚しながらずっと紹介しているところなんですけど、福島県土湯温泉においては、一〇〇%地域出資により、中小水力発電と温泉バイナリー発電を行っています。この過程で発生する温水を活用してオニテナガエビの養殖を始めることで一年間で約五千人を集客したり、あるいは売電収益を活用して地元の高齢者や高校生に対してバスの定期代を支給するなど、地域活性化につながる取組を行っておられます。
 また、御指摘のとおり、再エネの導入推進のためには地域のトラブル回避も重要だと思います。このため、環境省としては、この地球温暖化対策法に基づく促進区域の仕組みを運用することなどにより、地域における合意形成を図りながら再エネ事業の導入を促進してまいりたいと思います。
 こうした考え方を全国行脚でずっと言っているわけです。そういう意味では、この土湯温泉の映像を見ていただいたり、あるいは、地域共生型再エネの重要性も含めて、地域脱炭素と町おこしを同時に実現するモデルというものを全国に展開し、また地域脱炭素のドミノを起こしていきたいと思っています。



○青木愛

 ありがとうございます。
 そして、桃井参考人からは、石炭火力発電に対して反対の意見が述べられました。
 CO2削減のため石炭火力にアンモニアを二〇%混焼したとしても、アンモニアを化石燃料から製造する過程で大量のCO2が発生する、実質四%の削減にしかならない、しかも莫大な費用が掛かるとの御指摘がございました。しかも、この大量のアンモニアは海外から輸入することになります。また、CO2を回収し地中等に閉じ込めるCCSも技術的に確立をしておりません。日本の地理的条件や経済性、環境性などの観点から実用化には程遠いという意見が述べられました。
 この点について御見解を是非お伺いをさせていただきたいと思います。


○松山泰浩 資源エネルギー庁電力・ガス事業部長 

 お答え申し上げます。経済産業省としての考え方を御説明申し上げます。
 現在、日本の電力供給を支えることとなっております石炭火力というものはCO2を排出する環境面での課題があるということはよく承知しているところでございまして、二〇五〇年のカーボンニュートラルの実現に向けては、安定供給を大前提に、いたずらに延命させず、できる限り発電比率を下げていく、二〇三〇年に向けて非効率な石炭火力のフェードアウトを着実に進めていくというのが基本的な方針でございます。
 その際、代替として用いる燃料というのを探していかなければならないわけでございまして、アンモニアというのはカーボンニュートラル時代におけるエネルギーの安定供給確保に向けて利用拡大が不可欠なフェーズになっていると考えております。
 一方で、これを現実のものにしていくためには供給力の拡大、価格の低下につなげるということが重要であり、そのためには大規模な需要を創出していく必要があるわけでございまして、この由来を問わず、このアンモニアというものの取引、市場というのをつくり出していくことが大変重要だと考えているところでございます。
 もちろん、永続的にCO2を処理していないアンモニアを使い続けるという考えはございません。インフラ整備や技術開発などの進展状況を見つつ、速やかにアンモニア全体のクリーン化というのを進めていくほか、製造方法の効率化等に向けたコストダウンにも努めていきたい。同時に、二〇%混焼にとどまることなく、混焼率の引上げ、専焼化に向けた取組、技術開発も進めていきたい考えでございます。
 また、CCSについてもお尋ねございましたけれども、こちらは、カーボンニュートラルというのを実現していくために火力発電所の脱炭素化を実現するというためには不可欠なものだと考えてございます。また、石油精製産業や素材産業等におきましても、電化や水素化では脱炭素化ということが実現できません。ですので、そう考えますと、CO2の排出が避けられないということを考えると、国内でのCCSの最大限の活用ということが不可欠だと考えます。
 こういう考え方から、経産省としては、苫小牧におきまして日本初のCCSの実証実験を実施しておりまして、二〇一九年十一月に目標の三十万トンの圧入を達成し、技術実証を終えた段階でございます。
 今後、これをいかに先に進めていくか集中的な議論を行うための検討会を本年一月から開催し、今月十一日に中間取りまとめを示したところでございまして、今後、年内に長期ロードマップを取りまとめ、引き続き議論を深めていきたいと、このように考えてございます。


○青木愛

 代替エネルギーとしてアンモニアが必要だということでございましたけれども、桃井参考人は、代替エネルギーはLNGでいいのではないかという意見も表明されていたかと思います。
 このアンモニア、海外に依存しているわけですよね。やはりもう大前提は、やはりエネルギーは自国で賄うということが本当に大事なことだと思うんですけれども、このアンモニアは、海外に依存している上に天然ガスから生成するということでありますから、わざわざ天然ガスからCO2を出して生成することはないんじゃないかなと率直に思うわけなんです。天然ガスをそのまま使うと、液化してLNGとして運んできてその天然ガスを使えば、わざわざアンモニアに変換しなくても、CO2を出さなくても、そのまま天然ガスを使った方が効率がいいというふうに思うんですけれども、この火力、石炭火力ありきで考えるからこのアンモニアの混焼を、複雑なその工程を考えなければならないというふうに捉えているんですけれど、どうでしょうか。
 まあ天然ガスも海外依存ですね、今のところは。天然ガスもアンモニアも、いずれも海外依存なんです。私は、エネルギーは自国で賄わなければなりません、ならないと思いますが、今のところ、そうですよね。その天然ガスからわざわざアンモニアをCO2を出して作る必要はなく、天然ガスをそのまま使えばいいんじゃないかと。その方が効率がいいというふうに聞いておりますので、その辺はどうでしょうか、石炭火力ありきの複雑な工程にしてしまっているのではないでしょうか。


○松山泰浩 資源エネルギー庁電力・ガス事業部長     

 お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、我が国の電力の安定供給、同時に脱炭素化というのを実現するためにはあらゆる選択肢を追求していくことが重要だと考えています。その際、アンモニアを使った石炭火力の混焼ということもございますし、同時に、LNGからつくられるガス火力、これを水素等を混焼させながら脱炭素度等を高めていくという取組も必要になってまいります。
 一方で、委員御指摘いただきましたように、国内安定供給ということも重要な要素になってまいります。できる限り国内で自立できるようなエネルギー源というものを提供していくことが重要なわけでございまして、必ずしも輸入のアンモニアに頼るということが唯一の方法ではございませんので、国内外のサプライチェーンの構築というのが重要である。同時に、それは国内の再生可能エネルギー資源等を活用したアンモニア製造の実用化をするということも大変重要な視点だと思っているところでございます。
 いずれにいたしましても、今現存しております石炭火力発電所、同時にガス火力発電所、原子力発電所、さらには水力、再生可能エネルギーの発電所、それぞれ今エネルギーのミックスの中で日本の国内の安定供給というのは維持しているところでございますが、これを現実的な形で脱炭素化したエネルギー供給に変えていくということについては、現在存在している発電供給構造ということを念頭に置きながら脱炭素化というのを徐々に実現していくという方策を、あらゆる手段を模索していかなければならないと考えております。
 そういう観点からは、アンモニア、このマーケットを広げ、現実的な脱炭素化への実現するための道筋というのは引き続きしっかりと追い求めていきたいと考えております。


○青木愛

 まあ、あらゆる選択肢と言われると、何というのかな、そうなのかなと。何というのかな、そういうふうなあらゆる選択肢、でも時には確かな指針を示すということが大事だということもあると思います。いつまでたってもやっぱり原子力をベースロードとして、そして火力発電も、石炭火力もそこに位置付けている限りはなかなか前に進まないのではないかなというふうに思っています。
 原発も一回稼働してしまうと、それを今度抑制することができなくなりますので、やっぱり調整機能は原発にはありませんですね。石炭火力もCO2を排出をするということであります。そこに、幾らそこを何とかしようと思っても、もうそうしたら、もっといい方法、いい方向にもっとかじを進めていくべきではないかなと、明確にですね、と思うんですよね。
 環境省が試算を出している再生可能エネルギーのこのポテンシャルですけれども、資料配らせていただきましたけれど、この電気需要量の約二倍のもうポテンシャルがあるんだという試算なんですよね。再生可能エネルギーだけで、だけで二倍あるんですよね。これをいかに使うか、ここにもっと注力をしてほしいんですよね。
 この二倍もある再生可能エネルギーのこのポテンシャルを、いかにこれを実現可能なものとして送電網に送っていくかということなんですけれども、天候に左右されるという課題がよく指摘をされるんですけれども、それを支える部分として蓄電池の開発、これもなかなか目覚ましい開発が、その答えがなかなか返ってこない今状況だというふうに思うんですけど、まあ進んでいる部分もあると思うんですけれども。あるいは揚水発電ですね、水力発電との併設であったりいろいろあると思うんです。グリーン水素に変換するとかいろいろあると思うんですけれど、その辺のちょっと状況を教えていただけませんでしょうか。
 蓄電池の開発状況、水素の活用、揚水発電等の状況、あとマイクログリッドの実施状況、あと広域間での電力の融通、あと五十ヘルツ、六十ヘルツの問題解決したそうですけれども、その辺ちょっとざっくりと、これだけの、二倍あるこの再エネのポテンシャル、いかに生かすかというところのその課題解決の方法を教えていただきたいと思います。


○茂木正 資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長     

 お答え申し上げます。
 まず、環境省の方でお示ししているこの二倍のポテンシャルがあると、これは一定の条件の下で試算をしますとこういう考え方もあるということでございますが、政府全体としては、こういったポテンシャルも念頭に置きながら、実際に具体的な対策としてどこまで導入していけるのかというのを最大限追い求めているというのが今の現状でございます。
 政府全体としては、まず二〇三〇年までに三六%から三八%、これを目標にして再エネを最大限導入していくという取組を進めているところです。再エネを実際に導入していくに当たって、課題は、今委員から御指摘があったような送電網の問題もございますが、まず一つは、やはり地域の御理解をいただきながらいかに適地を確保していくかと、立地させていくかというのが一つポイントになります。それからもう一つは、今御指摘あったような送電網の課題。それからもう一つは、やはり国民負担を抑制しながらこれをいかに実現していくか。こういった課題を同時に解決していく必要があるかというふうに存じます。
 それから、御質問ございました再エネを、自然変動電源でございますから、これを有効活用するためのいわゆる送電網全体の調整力ですとか、こういったものがどういう状況かということでございますが、現状、再エネが変動しますと、これを支えているのは火力発電でございます。一方、これからカーボンニュートラルを実現していくという観点からは、御指摘ありました、例えば揚水発電を有効に活用する、それから蓄電池を送電網の中に導入していく、それから水素を活用して調整力を脱炭素化していく、こういった取組に加えまして、ほかのエリアに余ったときには融通をするというような電力融通の円滑化ということを進めていくことも重要です。需給調整における揚水発電の最大限の活用、これしっかり進めていきます。
 それから、電力系統に直接接続する大規模蓄電池や水電解装置の導入支援というのも行っていますし、それから、コストを下げるための技術開発というのも現状行っておりますので、こうした取組をしっかり進めていきます。
 それから、五十ヘルツ、六十ヘルツの問題、そして送電網の指摘もございましたが、これについては、地域間連系線の増強に向けまして、現在マスタープランというのを作成しております。これを二〇二二年度中に策定しまして、これを具体化していくということでございます。
 それから、小規模な蓄電池、それから、EVもこれ蓄電池でございますので、こうした多数の分散型のリソースを組み合わせることによって調整力を確保することもできます。これ、技術としてこういうのを的確に運用するための技術開発、技術実証を現状行っているところです。
 こうした取組を通じまして、再エネの最大限の導入のため、調整力の確保に加えまして、調整力の脱炭素化、それからほかのエリアの電力融通の円滑化、分散リソースの活用などを進めてまいりたいというふうに考えています。


○青木愛

 はい。再エネのこの需要を上回る分はそれをグリーン水素として蓄積するのが私は有望策ではないかなというふうに考えます。水を電気分解すれば発生しますし、海外から輸入する必要もありません。福島で実証実験が行われています。これの全国展開を進めていただきたいというふうに思います。
 また、真庭市の太田市長からは、石炭火力よりもむしろ原発が危険だという意見も述べられました。若狭湾に面した福井県の高浜原発で事故が発生したり攻撃を受けた場合、琵琶湖が汚染され、近畿の府県は人が住めなくなる、神戸市も琵琶湖の水を使っていますと述べられていました。山口大臣にこの御見解を伺いたかったですけれども、時間がありませんので、こういうお話がありましたということをお伝えさせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。


付帯決議

○青木愛

 私は、ただいま可決されました地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・国民の声、立憲民主・社民、公明党、国民民主党・新緑風会、日本維新の会及び日本共産党の各派並びに各派に属しない議員寺田静君、橋本聖子君及び平山佐知子君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。
 一、地方公共団体による温室効果ガスの排出の量の削減等のための施策を策定及び実施するための費用への財政措置に当たっては、地方公共団体ごとの地理的条件や気象条件等の特性に応じたきめ細かな支援を行うように努めること。また、地方環境事務所の体制を充実させるとともに、専門的な人材が不足している地方公共団体への支援を強化すること。
 二、株式会社脱炭素化支援機構が我が国における脱炭素社会の実現に向けた公的な役割を担っていることに鑑み、外国資本の株式保有の比率が高いものとならないよう、政府は責任を持って監督すること。
 三、株式会社脱炭素化支援機構が、脱炭素化に資する事業への投資需要に適切かつ柔軟に応じられるよう、株式会社脱炭素化支援機構の事業資金について、引き続き所要額の確保に努めること。
 四、株式会社脱炭素化支援機構の役員等の選任に当たっては、適材適所を徹底し、公務員の新たな天下りの手段との疑念を持たれないよう、その運用に万全を期すとともに、株式会社脱炭素化支援機構が投資対象に関する専門的知見を備えたものとなるよう、投資に関する豊富な経験や知見等を有する人材を確保すること、また、人材の育成に当たって必要な措置を講じること。
 五、株式会社脱炭素化支援機構に設置される脱炭素化委員会は、支援対象事業者及び支援の内容の決定等の株式会社脱炭素化支援機構の業務に関する重要な意思決定を行うことに鑑み、同委員会の運営等において、公正性・中立性・透明性の確保が図られるよう、政府は責任を持って監督すること。
 六、事業年度ごとの業務実績評価の公表に加えて、株式会社脱炭素化支援機構に対し、出融資決定時における適切な情報開示や、実行後における当該出融資の適切な評価、情報開示を継続的に行うことを求めることを通して国民に対する説明責任を果たすように努めること。
 七、株式会社脱炭素化支援機構による資金供給が、民間資金の呼び水の役割を果たしつつ民業補完に徹するものとなるよう、脱炭素化に資する事業に係る資金の需要、資金供給の状況等の把握を的確に行うように努めるとともに、一部の官民ファンドが多額の累積損失を生じさせていることに鑑み、株式会社脱炭素化支援機構による出融資においては、全体として長期収益性を確保し、脱炭素化に有益な出資案件を見出していく規律ある運営がされるよう、政府は責任を持って監督すること。また、廃棄物関連施設への支援については、燃焼中心でなくリサイクルが進められ、過度に地方公共団体の負担増にならないよう監督し、森林関連事業の支援に当たっては、主伐を伴う場合、再造林の計画について確認すること。
 八、株式会社脱炭素化支援機構の支援対象事業の選定が国産技術の活用促進等も視野に入れて戦略的に行われるように努めるとともに、営農型太陽光発電など再生可能エネルギーの導入拡大の切り札となる事業の形成が戦略的に進むよう、地域の理解を促進するための助言などソフト面の支援の充実強化に努めること。また、脱炭素の国際的な動向を把握し、適切に対応すること。
 九、支援対象事業の選定において、収益性や政策性のみならず、地域の環境への配慮という視点も重視し、支援対象事業が原因のトラブルを発生させることがないよう、株式会社脱炭素化支援機構に対し、地域との共生を確保することを求めること。また、全国の再生可能エネルギー事業等の地域における導入に当たっての課題を十分に把握すること。さらに、地域の金融機関と積極的に情報交換を図るとともに、地域における雇用の確保など公正な移行に配慮すること。
 十、株式会社日本政策投資銀行のグリーン投資促進ファンド等が既に脱炭素分野への既存の資金供給を行っていることに鑑み、株式会社脱炭素化支援機構との相乗効果を発揮する連携が実現するように努めること。
 十一、附則第四条に定める施行後十年の見直し時期以前であっても、必要に応じて本法の施行状況について検討を行うとともに、検討の結果を踏まえ、適宜適切に見直しの措置を講ずること。
 十二、地域金融も含め、今後ともESG金融の普及拡大に必要な措置を講ずるよう努めること。また、企業による気候変動関連情報の開示の充実・促進に向け、関係省庁が連携の上、引き続き検討を進めていくこと。
 十三、温室効果ガスの吸収源としての役割に加えて、水質改善、生態系保全等の相乗効果も期待できるブルーカーボンの活用の在り方について、引き続き検討を進めていくこと。
 十四、地球温暖化対策に関する環境教育の推進に必要な施策を講ずるよう努めること。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます

青木愛事務所

国会事務所
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