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自由党 参議院議員 青木愛 Official Website

議会議事録JOURNAL

平成28年11月10日 国土交通委員会

午前
独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法の一部を改正する法律案について
参考人 杉山武彦一橋大学名誉教授、正司健一神戸大学大学院経営学研究科教授、川村晃生慶應義塾大学名誉教授から意見を聴いた後、各参考人に対し質疑を行った。
午後
独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法の一部を改正する法律案について
石井国土交通大臣、末松国土交通副大臣、大野国土交通大臣政務官、比嘉環境大臣政務官、務台内閣府大臣政務官及び政府参考人に対し質疑を行い、討論の後、可決した。なお附帯決議を行った。



参考人質疑  質疑  反対討論
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参考人質疑

○青木愛

 希望の会(自由・社民)の青木愛と申します。
 本日は、三名の参考人の先生方に貴重な御意見と、また貴重な資料をいただきまして、誠にありがとうございます。
 それでは、質問をさせていただきます。
 そもそものこのリニア計画の是非の判断ということで質問させていただきますけれども、今回JR東海が進めていますリニア中央新幹線は今のところ低温超電導のリニアと聞いておりまして、実はこのリニア技術というのが一九六〇年代の古い技術だというふうに聞いております。かつてはアメリカが二年間ほど技術研究をしておりますけれども、物にならないという判断で早々に断念をしております。また、リニアに前向きで日本と同じように実験線まで建設をしたドイツにおきましても、確実な需要が見込めない、ほかの路線とのネットワーク性がないという理由で、二〇〇〇年にベルリン―ハンブルク間の計画を国会が中止をしたという事実もございます。
 日本においては、今「もんじゅ」の見直しにようやく着手をしたという状況もある中で、今政府が予測している経済効果につきましても疑問を抱いているところでございます。人口減少もございますし、あるいは他のIT技術などの飛躍的な発展などもあって、立体テレビやバーチャルリアリティー技術の発展なども目覚ましいものがございます。平成四十九年ですか、予定ですと大阪開業ということですが、予定どおりにいくとは思いませんけれども、その間に様々な科学技術の別の分野の発展もあって、この経済効果が政府あるいはJR東海が予測しているとおりにはならないのではないかというふうに思っております。
 先ほど川村先生から様々な視点からのリスクについてはお伺いをしたところでございますので、杉山先生、そして正司先生に、この計画、事業の成功の可能性は何%ぐらいとお考えか、まあ物差しは様々あろうかとは思いますけれども、その可能性をできればお伺いしたいのと、そして、あえてリスクについて、杉山先生とそして正司先生にリスク面をお伺いをさせていただきたいと思います。
 そして、川村先生には、今も地震対策についてのお話もいただきましたけれども、先ほど杉山先生からクエンチ現象も大分改善されているということではあるんですけれども、やはり五百キロという高速でありますので、一たび事故が起きますと大惨事になるのではないかという懸念がございます。こうした事故は皆無とは言えないというふうに私は考えているんですけれども、こうした事故対策、事故の可能性ですね、地震あるいは火災、南アルプスの上の方で事故が起きたときの避難について先ほどもお話がございましたけれども、こういう人間に対する安全性の観点からもう一つ踏み込んで具体的なお話をいただければというふうに思います。よろしくお願いいたします。



○杉山武彦一橋大学名誉教授

 ありがとうございます。
 私は、今、リニア中央新幹線の技術評価委員会というのの一人の委員なんですけれども、私は、そもそもそこになぜ私が加わったのかというのがよく分からないような形で、今までともかく勉強だけはさせていただいて、一人だけ全く文系の人間で、そこで飛び交っている言葉は私には正直言って外国語でありまして、ほとんど本当に細かいことは私は分からない。だけれども、そこに全部その領域の専門の先生が集まられて、そして極めて安全ということに関して二重三重四重という形で準備を考えなければいけないという議論をされているということは私は分かるわけです。ですから、そういう意味で、技術的なことについては、私は専門の方々から話を言われたらそれをもう信じるというスタンスで行かざるを得ないことであります。
 安全に関しては、私が言えるのはもうそれだけのことでありまして、しかし、それを真摯にやらなければいけない、進めていくということを前提にしている。それを今まで、技術が一応その技術評価委員会で実用的な技術としてはお墨付きが与えられたというプロセスがありますから、したがって、それは、私は所与として話をいたしております。
 その上で、本当にこのプロジェクトが成功する可能性ということをおっしゃいましたけれども、パーセンテージでとかそういうことになるととてもそれは言えることではないわけですけど、しかし、逆に、今まで交通政策審議会の小委員会が出した一定の結論、そういうものは、これはゴーサインを出したわけですから成立し得るという判断になっているものだというふうに私は考えておりますし、少なくとも、いろいろな置かれた相互に承認し合っている前提に基づいて言えば、一定の成立が見込まれているからこそここまで来た、こういうふうな考えであります。
 あと、そのリスクの問題ですけれども、それこそ先ほどのお話になっておりました大きな地震というような、そういう大きな話になりますと、再び同じことを申し上げて恐縮ですけれども、これは専門の方の意見を尊重せざるを得ない。しかし、一定の知見に基づいてできるだけのことを全て考え、それはフェールセーフの考え方に従って用意をするということについては、今それが現実に進行されつつある、こういうふうに考えております。
 以上であります。


○正司健一神戸大学大学院経営学研究科教授

 御質問ありがとうございます。簡潔に、感想めいたお答えになってちょっと恐縮ですけど、お答えさせていただきます。
 まず、成功の確率と数字で言えるほどのデータを持ち合わせているわけではないし、おっしゃられるとおり、成功の基準を何で取るのかによって全然違うんだと思います。ただ、一つの基準として、利用者がいるのかどうかというのは一つ大きな基準だと思うんですね。造っても全然利用されなかったらやっぱりもったいないシステムと。これは国が直接するわけじゃないので企業の判断で失敗しただけやねと言えば終わりかも分かりませんけど、ただ、このシステムに関しては、それがちゃんと額面どおり、実際の運転時分は、プラットホームまで降りる時間が入っていませんので、もう少し掛かるので需要量が少しぐらいは落ちるかなとは思うんですけど、やはり利用されないということはなかなか想定できないので、それなりに皆さんが利用をするシステムになるという意味では、日本の社会にとってプラスの作用をする交通インフラになる可能性は高いのではないかなというふうに思っております。それが一点でございます。
 あと、技術面の話。これも私の聞きかじりの知識ですので恐縮なんですけど、ドイツは常電導こちらは超電導という話もありますが、家から、何というか、例えば車が空を飛ぶようになっても最後は駐車しないといけないのでビルの近くで必ず渋滞するというふうに、やっぱり技術で解決できるところとできないところってあるんだと思います。やっぱり、移動していろいろな商談をするというシステムは本当になくなるのか。どこでもドアができればなくなると思うんですけれども、それができるまでは、やはりそれは、大切な話というのはやはりこういう形で皆さんで議論するというのは、そうそうは消えないんではないか。もちろんバーチャルリアリティーで代替はできても、それはあくまで代替、それは行くコストが高いから代替するという考えではないかなというふうに思っています。
 リスク面は、やはり気になるのは先生と一緒で地震でございます。南海トラフの話もよくされていますが、正司自身は、一番気にしているのは首都圏直下であります。首都圏直下が本当に阪神大震災のような形で起きると、建設どころではなく、日本経済自体が大変になるんではないかという、それが一番心配なリスクでございます。
 以上です。


○川村晃生慶應義塾大学名誉教授

 クエンチは宮崎の実験線で十四回起こっております。山梨の実験線ではヘリウムの漏れという形で一回起こっています。技術的にはかなり改良されているというふうに聞いておりますけれども、ともかく今四十二・八キロでやっているだけでありまして、編成を多くして、それから二百八十六キロでやったときにこれが大丈夫かどうかという点については、今後、私は長い長い時間を掛けての試験が必要であろうと思います。
 それから、地震についてですけれども、これはJR東海の説明会で、私が地震は大丈夫なのかというふうにJR東海に質問をしましたところ、JR東海は、非常に不誠実な答え方ですけれども、リニアは浮いているから大丈夫ですという答えでした。こういう答えをするから信用されないんです。大地震が起これば軌道もそれから側壁も壊れるわけですから、幾ら浮いていたって、浮いているがゆえに制御できなくなるということがあるわけですね。こういうふうな説明の仕方でその都度切り抜けているということ自体にJR東海の問題があるだろうと思います。
 多重性防護とおっしゃいますけれども、実は原発は多重性防護をしていたわけですね。それが爆発したわけです。人間が考える多重性防護というものがいかに手薄なものかということは、その一事をもっても知ることができると思います。
 以上です。


○青木愛

 ありがとうございました。貴重な御意見を本当にありがとうございます。午後の質疑につなげさせていただきます。
 ありがとうございました。




質疑

○青木愛

 希望の会(自由・社民)の青木愛です。
 早速質問に入らせていただきます。
 政府は、このリニア中央新幹線に関しまして、三大都市圏が一時間で結ばれ、人口七千万人のスーパーメガリージョンが誕生し、国際競争力の向上、その経済成長は全国に波及すると、まさにバラ色の将来像を宣伝しています。しかし、実際には政府の説明どおりにはいかないのではないかと考えております。そのことにつきまして、以下質問をさせていただきます。
 まず、利便性、快適性についてお尋ねをいたします。
 品川―名古屋間が途中の駅をノンストップで最速約四十分ということでございます。そのことだけを取り上げますと速いとも感じますけれども、品川駅、名古屋駅は地下三十メートルから四十メートルのとても深いところにございます。乗り継ぎや地上に出るためにはエレベーターやエスカレーターを使うことになりますが、一機で一千人を輸送するために、利用者があれば、到着時あるいは出発時、相当の混雑が予想されます。
 また、八六%がトンネルで、時速五百キロメートルでございます。万が一にも事故や事件があった場合、大惨事になることが予想されます。テロあるいは火災を防ぐためには、航空機並みの手荷物検査、こうしたことも必要だと考えられます。そうすると、更に時間が掛かります。本数も多くなく、実は決して利便性が高いとは言えないと考えております。
 また、快適性についてでございますが、資料を用意をさせていただきましたけれども、これは縦横、距離の比率、長さの比率はそのとおりではありませんけれども、分かりやすいので御用意をさせていただきました。
 リニアは、水平の移動だけではなく、上下にも移動をいたします。トンネルの上の土の重さに耐え得る現在の技術のぎりぎりの高さにレールを設置しなければならないため、海抜約二百五十メートルの仮称山梨県駅を過ぎると急勾配を駆け上がり、西に四十キロメートル、そして南アルプスのトンネルの中に設けられます海抜一千二百九メートルを目指します。その後、急降下をいたします。このような上下移動が全体で四回ほどございます。
 車体を航空機並みの気密構造にするといたしましても、乗客は耳鳴りあるいは体の不調など、気圧変動の影響を受けることが考えられます。しかも、ほとんどがトンネル内移動となりますので、大変閉鎖的な空間の中であり、外の風景を楽しむこともできません。
 このように、リニア新幹線は、実は宣伝以上に時間も掛かりますし、乗り心地も決して良くはないと思います。このようなリニアの利便性また快適性に関しまして、大臣の率直な御意見をお聞かせください。



○石井国土交通大臣

 リニア中央新幹線の品川駅や名古屋駅におけます地下ホームから地上までのエレベーターやエスカレーターなどの移動設備の詳細につきましては、現時点においては定まっておりませんが、JR東海によりますと、想定される利用者数に対応した適切な移動設備を整備し、円滑な移動を確保する予定であると聞いております。
 この点に関しましては、交通政策審議会中央新幹線小委員会におけます需要予測の前提といたしまして、名古屋駅における東海道新幹線への乗換時間はおおむね三分から九分で可能であり、余裕分を含めて十五分の乗換時間があれば乗換え可能であると想定をしております。
 また、リニア車両の快適性につきましては、私も、先ほど申し上げたとおり、昨年の十一月に山梨リニア実験線において試乗いたしましたが、時速五百キロでの浮上走行は、超高速でありながら大変静かな車内であり、快適な走行でございました。
 このリニア中央新幹線の縦断勾配は最大四〇パーミル、パーセントでいいますと四%でありまして、新幹線とほぼ変わりございません。ちなみに新幹線は最大三五パーミル、三・五%でございます。
 いずれにしましても、高低差による気圧変化に伴ういわゆる耳がつんとする現象への対策などについては、現在、標高差が約四百メートルある山梨リニア実験線における試験を通じてより一層の快適性の向上に向け検討されていると聞いております。ちなみに、私が昨年試乗したときには、四百メーターもの標高差は全く感じなかったところであります。
 こうした取組によりまして、超電導リニアの利便性や快適性をより一層向上していくことが重要であると考えております。


○青木愛

 御指摘は御指摘として受け止めさせていただきますが、やはり想像以上に時間が掛かるのではないかというふうに考えられることと、また、感覚的なものは人それぞれでありますし、通常の新幹線ともまた異なるだろうというふうにも私は考えております。
 次に、安全性についてお尋ねをさせていただきます。
 科学技術の振興という面については私は肯定的に捉えてはおりますけれども、科学技術の過信は禁物だというふうにも思っております。絶対に安全と言い聞かされてきた原子力発電所が、この度、津波とそして地震、津波の影響で制御不可能となりまして、メルトダウンという大惨事を起こしております。リニア新幹線に関しましても、絶対に安全と断定することはできません。
 ここで三つの危険性を指摘し、大臣の御答弁を求めたいと存じます。
 まず第一点目はテロでございます。そして、余り考えたくありませんが、自殺者などによる火災あるいは爆発事件でございます。これを防ぐためには、先ほども申し上げましたが、航空機と同様に手荷物の検査が絶対に必要だというふうに考えております。
 そして、第二点目といたしまして、これは午前中の参考人質疑から指摘もあったところでございますけれども、超電導のクエンチ現象です。何らかの故障でクエンチ現象が起こりますと、超電導状態は直ちに消え去って、リニア新幹線は浮上することができず、側壁にぶつかったり、故障した車両は時速五百キロメートルの状態で地面にたたきつけられるということが予想されます。大火災あるいは想像を超える大惨事になることも考えられますが、この点について大臣の御認識をお伺いさせていただきます。
 三点目は大地震の影響でございます。新潟から静岡まで南北にフォッサマグナが走っております。西の縁にございます糸魚川―静岡構造線上では、マグニチュード七規模の地震が繰り返し発生しています。南アルプスには、そして南北に並走する七本の構造線があります。中央新幹線はそこをぶち抜いてトンネルを掘っていきます。工事の難航も予想されます。さらに、この地域には南に南海トラフが接しており、活断層の存在も事前には分かっておりません。
 一九三〇年、折しも東海道本線の丹那トンネル掘削中に伊豆半島北部でマグニチュード七・三の地震が発生し、トンネルの地層が上下に二・四メートル、南北に二・七メートル移動しております。トンネルは地震の揺れに比較的強いという説もございますけれども、このような複雑な地層であり、トンネル自体が活断層を横切っている場合は決してそうではないと思っております。
 以上三点について、果たして大丈夫と言い切れるのかどうか、大臣の御所見をお聞かせください。



○石井国土交通大臣

 まず、一点目のテロに対する安全対策につきましてですが、万全を期す必要があると考えております。一方で、高速鉄道としての特性上、利用者の利便性の確保についても考慮する必要がございます。
 いずれにいたしましても、手荷物検査の導入の可否につきましては、海外における高速鉄道等における手荷物検査の実施状況も参考としつつ、鉄道事業者や関係省庁とともに今後検討してまいりたいと考えております。
 二点目の超電導磁石特有のクエンチ現象、これは振動等により超電導コイルが発熱し、極低温状態を維持できなくなることによって超電導磁石としての機能が失われる現象がクエンチ現象でございますが、これにつきましては、これまでの技術開発の過程において様々な改良がなされ、実際に山梨リニア実験線で走行試験を開始してからはクエンチ現象は一切発生していないなど、現時点ではクエンチ現象に関する問題は解決されたものと承知をしております。
 ただ、万が一何らかの理由でクエンチ現象が発生いたしたとしましても、リニア車両の左右、それから車両の下部、下の部分のストッパーの車輪でガイドウエーとの直接衝突を防止する構造になっておりますので、車両自体がガイドウエーやあるいは下の床板等に激突するということはない、車両自体の安全性は確保されているものと承知をしております。
 三点目の地震時のトンネルの安全性についてでございますが、鉄道構造物の整備に当たりましては、従来より、阪神・淡路大震災や中越地震等における被災状況等を踏まえて新たな対策を講じ、さらに、その効果を検証しながら地震対策に関する知見を深める取組を積み重ねてまいりました。それらの知見は、鉄道構造物の設計施工の際に用いられる鉄道構造物等設計標準・同解説に反映されておりまして、リニア中央新幹線の工事に当たってもJR東海はこれに基づき活断層部分におけるトンネルを含め地震に対する安全対策を講じることとしております。
 さらに、活断層と交差する箇所の具体的な構造につきましては、先進ボーリングなどによりまして更なる地質の調査を行った上で、必要により専門家による検討委員会の助言を踏まえるなど、JR東海において慎重に検討がなされるものと承知をしております。
 JR東海に対しましては、リニアの安全確保に向けて、想定される事象ごとに万全の対策を行うよう、引き続き指導監督してまいりたいと存じます。


○青木愛

 やはりまだまだ分からないことが多過ぎて、全てが想像以上のことなものですから、こうした事故が全く起こらないということは言い切れないだろうなというふうに思いますし、そのことは指摘をしておきたいと思います。
 最後に、経済面についてお伺いをしたいと存じます。
 このリニアの利用は、やはり一分一秒を争うビジネス利用に主たる利用があるのではないかというふうに考えております。しかし、このビジネス利用につきましても、今後のIT技術の発展、例えば三次元立体テレビ、バーチャルリアリティー技術など、こうした飛躍的な進歩を考えますと、空間的距離を超えたビジネス様式というものが実現する可能性があると思います。
 今、医師が国境を越えて遠隔操作で手術ができる時代となっております。物理的に人間が移動しなければならない必然性がなくなると考えております。そうなったときに、このリニアは採算が合わないどころか、負の遺産になる可能性も否定できないと考えています。
 トンネル工事の難航のため、工事期間が長引き、建設費が九兆円で収まらないことも当然あり得ます。この度の補正予算で三兆円の財投貸付けを決定いたしましたけれども、返済可能性の根拠はどこにあるのか。楽観的予測が外れた場合、リニアが抱える負債をまたもや国民の税金で補填することになるのでしょうか。それとも、運賃の大幅な値上げにつながるのでしょうか。
 リニア建設の前提が全額自己負担となっておりましたけれども、この度の財投貸付けによりまして、低利長期返済など優遇策を講じることになります。二〇一四年度の税制改正では、開通に要する用地取得に使用される登録免許税三十三億円及び不動産取得税百五十一億円、これらを非課税にする優遇措置も決定しております。これらは建設の前提であります全額自己負担を既に崩しております。
 これら経済面に関しまして、国土交通大臣の見解をお聞かせください。



○石井国土交通大臣

 交通政策審議会におきましてJR東海の財務的事業遂行能力の検証が行われまして、この中で、リニア中央新幹線への投資による債務は、大阪開業後のリニア中央新幹線及び東海道新幹線による営業収益で着実に返済できることが確認をされております。この結果、JR東海が収益力の高い東海道新幹線と一体的に経営を行うことで、経営の安定性を維持しながら事業を遂行することが可能であるとの答申を得たところでございます。この点につきましては、今回の措置によって変わるものではなく、貸し付けた財投資金は確実に償還されるものと考えております。
 さらに、今般の貸付けに際しましては、貸付主体となる鉄道・運輸機構におきましても、償還確実性に関する審査を行い、貸付け後も定期的に会社の財務状況の確認等を行うこととしております。
 なお、工事費が今後増大するのではないかという御指摘でありますが、建設費の増大の可能性を全て否定することは難しいと考えておりますけれども、JR東海は、いずれにいたしましても、中央新幹線の工事全体について一層のコストダウンに取り組むとともに、毎年の経営努力を積み重ねることで会社全体として事業を遂行していくということを聞いてございます。
 また、人口が減少するのではないかという御指摘でありますが、その人口減少を織り込みましてこのリニア中央新幹線の需要予測をしているところでございます。


○青木愛

 ありがとうございます。
 やはり人間は夢に引き付けられます。しかしながら、政府が正しい根拠に基づかない夢を提示したときに、国民をミスリードしたときに、失望するだけではなくて大きな負担を国民が背負うことになります。夢が悪夢にもなり得るかもしれない、そうした可能性を否定できない現状では、このリニアの計画そのものの見直しも期待を申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。




反対討論

○青木愛

 私は、希望の会(自由・社民)を代表しまして、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行います。
 リニア中央新幹線は、バラ色の未来を約束するものではなく、負の遺産となることを懸念しております。その理由を説明いたします。
 第一は、利便性、快適性の問題です。大深度のホームと地上との移動時間が、万が一の事件、事故防止のための手荷物検査の導入を考慮しますと予想外に時間が掛かり、利便性を損ないます。また、八六%のトンネル内移動や高低差一千メートルの気圧の変化は、乗客にとって快適な移動とは言えません。
 第二は、安全性の問題です。テロや自殺者が乗客を巻き込む事件が発生すると、大惨事になります。超電導に何らかの不具合が起これば、故障車両は時速五百キロメートルで走行したまま側壁にぶつかったり地面にたたきつけられます。南海トラフで大地震が起こった場合、南北に並走する構造線を直撃し、トンネルを破壊する可能性は絶対ないとは言えません。
 第三は、環境適応性の問題です。地下水への影響、大量の発掘残土の処理、生態系への影響などを無視できません。リニアは住民の暮らしと環境を犠牲にしたプロジェクトです。
 第四は、経済性の問題です。工事の難航などで建設期間が遅れる可能性があり、建設費が九兆三百億円を上回ることが予想されます。開通しても、今後、人口が激減することを考えますと、リニアの赤字は更に拡大いたします。
 利便性、快適性、危険性を考えますと、リニアを利用する乗客は一分一秒を競うビジネスマンと予想されます。しかし、最近のIT技術の飛躍的な発展、例えば医師が遠隔操作で手術ができたり、8Kテレビや立体テレビ、バーチャルリアリティー技術の発展により空間的距離を超えたビジネス様式が出現する可能性があります。そうしますと、リニアはペイしないどころか不採算部門として経営を圧迫いたします。
 この度の三兆円財投貸付けは、リニア建設の全額自己負担という前提を崩すものです。また、リニアによる経営の圧迫が、楽観的な返済計画を成り立たなくいたします。
 以上、リニアの計画そのものの見直しも含め、本法律案に対する反対討論といたします。



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