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立憲民主党 参議院議員 青木愛 Official Website

議会議事録JOURNAL

平成29年4月4日 国土交通委員会

小口資金による空き家・空き店舗等の再生を通じた地方創生の推進、観光等の成長分野における良質な不動産ストックの形成の促進を図るための「不動産特定共同事業法の一部を改正する法律案」について




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○青木愛

 希望の会、自由党の青木愛です。
 まず、小規模不動産特定共同事業に関してお伺いをいたします。
 一号事業者の資本金要件が一億円以上から一千万円以上に下げられたこと、また、許可制から届出制に緩和されたことによりまして地方の業者なども参加をしやすいということでありますけれども、今回の改正によって資本金一億円未満の業者がこの事業にどの程度参加をする見通しを持っておられるか、まずお伺いをいたします。


○谷脇暁土地・建設産業局長

 お答えいたします。
 本法案により創設されます小規模不動産特定共同事業につきましては、今御指摘ございました、資本金が一千万円以上の宅地建物取引業者が参入することを想定してございます。この中には、新しく宅建業の免許を取るという方もいらっしゃるとは思いますけれども、宅建業者が参入をするということでございます。
 参入の見通しでございますけれども、この資本金が一千万円から一億円の宅地建物取引業者のうち、五年間で八百社程度が参入するという見通し、目標を立ててございます。
 また、小規模不動産特定共同事業としての新たな投資といたしまして、五年間でおおむね五百億円程度の出資が行われることを目標、見通しとしているところでございます。



○青木愛

 ありがとうございます。
 その際、懸念されますことは、大手ではない不動産会社などでは、投資家から出資を募ったり、またその収益を投資家に配当するといった経験とかノウハウとかがないというふうに想像できるのですが、この制度の普及や指導に関してどのように考えておられますでしょうか。


○谷脇暁土地・建設産業局長

 本法案によって創設されますこの小規模不動産特定共同事業につきましては、御指摘ございましたように、地方の不動産事業者にとってなじみが少ないものでございますので、その制度がどのようなものであるかということにつきまして、まずその普及啓発が重要と考えております。このため、地方における事業の担い手となる事業者の育成を進めることが重要でございまして、知識、ノウハウの普及啓発、人材ネットワークの構築、優良事例の形成、横展開などを行うこととしております。
 また、事業者への指導という点でございますけれども、事業者が不動産特定共同事業制度の内容、趣旨の理解を深めることが重要でございます。例えば、事業者の連携組織を形成するといったようなことを通じまして、事業が円滑に行われるような助言、指導というものに努めていきたいと考えております。



○青木愛

 ありがとうございます。
 ここで、私の地元であります東京の北区の不動産会社の声を御紹介をさせていただきたいと思います。
 今後、この法律を私たちも皆さんにお知らせをしていかなければならないんだろうと思いますけれども、現在、この法律自体を全く知らないという方が多くございました。法律自体を知らない、別の不動産会社さんも、法律自体を知らない、また、法律自体を聞いたことはあるが内容は知らない、空き家はなかなか商品にするには難しい、持ち主を国は特定できるが我々には特定できない空き家が多い。
 また、別の不動産会社さんですが、この法律を立ち上げるに当たって国土交通の専門委員として参加をしていたので詳しく知っている、この法律は町おこしをする人たちが利用するべきだ、実は北区もこの法律を利用して委員会を立ち上げようとしているが公共的なものに限定しようとしている、例えば保育園とかであるが限定しない方がいい、いろんな角度から最も有効活用でき、あらゆる人たちが利用できるようにするべきである。
 また、別の不動産会社さんですが、この法律に関しては全く聞いたことがない、いつも何年かしてから利用状況が見えてくる、不動産業の現在の仕事でも忙しい。
 また、別の方ですが、この制度が広まれば大きく活性化をする、しかしながら、事業が失敗した場合の投資家に対する補償をどうするか検討し、安心して投資できるようにしなければならない、一般の不動産業者は二足のわらじを履くことになるので参入しないのではないか、誰かが空き家を利用して事業を起こし、そこに入居者を入れるのが不動産業者の本来の仕事だからである、また、投資者に対しては弁護士を入れて安全対策を講じることが大切ではないかなどなど、こうした声をいただいたので、是非今後の参考にしていただきたいというふうに思いました。
 いずれ今後、成長が著しい大都市ではこの事業の成功率は高く、また投資家に対する配当、売却益の還元を期待できると思うんですけれども、地方では事業者また投資家がたとえ志が高く意欲があったとしても、この事業を軌道に乗せるということがなかなか容易ではないということは想像できます。
 今ふるさと納税制度が地方の自治体にプラスの効果を発揮しているのは、利用者への動機付けがあるからだと考えます。是非、地方の宅建業者また投資家が参入したくなるような動機付け、また支援策などがあってしかるべきではないかと思いますけれども、地方創生事業との関わりの中で、今後このようなことについて何か検討されておられますでしょうか。


○石井啓一国土交通大臣

 今回の改正案は、地域の不動産会社等による不動産特定共同事業を活用することによりまして、全国で増加をしております空き家、空き店舗等の再生の取組を加速し、地方創生の実現に貢献することを主たる目的としたものでございます。このような取組を推進するに当たりましては、地方創生に向けた地域のまちづくりのビジョンに沿った形で地方創生を推進する事業に小規模不動産特定共同事業が活用されることが重要になります。
 地方創生を推進する事業に対する支援といたしましては、地方創生推進交付金や都市再生事業に対する各種補助金制度がございまして、小規模不動産特定共同事業を行う場合もこれらの補助金による支援を活用することが可能でございます。また、税制の特例措置といたしまして、本法案の成立を前提といたしまして、小規模不動産特定共同事業者が不動産を取得する場合の登録免許税などの不動産流通税の軽減を措置をしてございます。
 このような各種制度を活用いたしまして、土地、不動産の再生のための投資やその流通が促進をされ、地域の稼ぐ力が高められ、地域の資金を活用した個性ある地域づくりにつながるよう、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。



○青木愛

 丁寧な御答弁、誠にありがとうございます。
 是非、地方においてこそ、この法律の効果が発揮されるよう、十分な後押しをお願いを申し上げます。
 次に、この参入要件が大幅に緩和されたことによって、問題業者あるいは悪質業者の参入も格段に容易になったと考えられます。かつてもいろいろな悪徳商法があり、被害者の多くは高齢者で、老後の資金が狙われたりもしております。現在でも投資マンションの悪質な勧誘に関する苦情が生活相談センターに寄せられ、年々増加をしていると聞き及んでおります。是非、この一般投資家、特に高齢者が被害に遭わないよう、こちらからも徹底した対策をお願いをさせていただきます。
 続いて、クラウドファンディングについてお伺いをいたします。
 何点か端的にお伺いいたします。一定期間中、目標額が集まらない場合、プロジェクトは成立せず投資金は返還されるという認識でよいのか、また、一定の出資金が集まり事業が開始されたとしても失敗に終わった場合、保証あるいは担保という制度はないと聞きましたけれども、投資家は自己責任で被害を被るという認識でよいのか、またプロジェクトに投資した金額は一種の金融商品だと考えますが、それは途中での売買が可能なのかどうか、この点についてお聞きいたします。


○谷脇暁土地・建設産業局長

 三点ございました。
 まず一点目でございます。投資金の返還についてでございます。不動産特定共同事業におきましては、一定期間内に目標額が集まらない場合には原則として投資家の出資金は投資家に返還されるということとなります。
 二点目でございます。事業の失敗の場合ということでございます。不動産特定共同事業への出資は、投資という性格上、万が一その事業が計画どおりとならず失敗したような場合には出資の範囲で投資家が責任を負うということになります。さらに、その保証、担保といった点でございますけれども、不動産特定共同事業法におきましては金融商品取引法を準用しておりまして、同じ考え方になってございまして、事業者は投資家に対し損失補填を行うことが禁止をされてございます。そういう意味で、そういうものはないということでございます。
 三点目、期中での売買でございます。不動産特定共同事業は、事業者と投資家の間で不動産特定共同事業契約を締結して実施するものでございまして、契約の相手方である事業者の承諾を得た場合に限りまして投資家としての地位を他の者に譲渡することが可能となる、こういった制度となってございます。



○青木愛

 ありがとうございます。
 最後の質問になりますけれども、プロ投資家向け事業の規制緩和についてお伺いをいたします。
 これによりまして、大企業による巨大プロジェクトの効率が上がることは期待をできるわけなんですが、また、その弊害もあるのではないかと懸念をしております。例えば、一部の大都市圏でその土地に限定したバブルを誘発しないかどうか、また、そのあおりを受けて周辺の地価が上昇し通常の開発を妨げる事態を起こすのではないか、またあるいは、大都市中心部の開発地域に資金が集中することによってその周辺の開発が置いてきぼりになって、大都市圏内でも開発の格差が拡大をするという事態を招くことにはならないかどうか、このような懸念を持っておりますけれども、いかがでしょうか。


○谷脇暁土地・建設産業局長

 不動産特定共同事業、実物の不動産を対象といたしまして、さらに主として賃料収入を投資家に分配する事業ということでございます。実体経済を反映した商品でございますので、不動産特定共同事業の発展によって不動産バブルを誘発するという、そういう性格のものではないというふうに考えております。ただ、不動産投資市場の状況につきましては、関係行政機関とともに常にその動向を注視していきたいと考えております。


○青木愛

 ありがとうございます。
 今回の改正案は三本柱から成っておりますけれども、この改正案の基になりました不動産投資市場政策懇談会、この報告書を見ますと、出発点は成長戦略の一環として提案されたものと思います。懇談会の委員は、三菱地所、不動産証券化協会、野村証券、東京証券取引所、東京建物不動産投資顧問など巨大プロジェクトに関係する人たちと、そして大学教授三名、そして弁護士一名の九名から構成をされています。地方創生の観点からすると、当然、地方の首長さんなど加わってもしかるべきではないかなというふうにも思いました。
 先ほどの石井大臣の御発言、力強い御答弁もありましたように、是非、この改正が大手の企業、また都市部の開発だけに有利になるのではなくて、地方においてこそこの法律の効果が発揮されますことを強くお願いをいたしまして、質問を終わります。
 ありがとうございます。








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