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立憲民主党 参議院議員 青木愛 Official Website

議会議事録JOURNAL

平成29年6月1日 国土交通委員会

港湾法の一部を改正する法律案について




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○青木愛

 希望の会、自由党の青木愛です。
 今般、中国を始めとして東アジアにおけるクルーズ需要が拡大をしておりまして、急増するこの需要を我が国へも受け入れるために港の整備が課題となっているというふうに認識をしております。
 まず、お伺いをいたしますけれども、今回の港湾法改正の背景と、そして既に六港が内定をしておりますけれども、その六港が決まった経緯、そしてまた、旅客施設などの基準等についてはこれから省令で定めるということになっておりますけれども、その概要と時期の見通しについてお聞かせをいただきたいと思います。


○菊地身智雄 港湾局長

 お答えいたします。
 二〇一六年の訪日クルーズ旅客数は百九十九万人と、対前年比七八%増の大きな伸びを示したところであります。東アジアのクルーズ人口の増加傾向であるとか、あるいはクルーズ船社のクルーズ船投入計画を踏まえますと、今後も引き続き増加が見込まれることから、我が国の港湾におきまして受入れ環境の整備を加速する必要がございます。
 一方で、魅力的な観光資源に富む我が国の港湾におきましては、岸壁の優先的な利用等の受入れ環境が整えば、旅客ターミナルビルへの投資をし寄港を増やしたいという意向を持つクルーズ船社も現れています。このような需要を取り込み、官民連携により短期間で効果的に国際クルーズ拠点を形成することができるよう、旅客ターミナルビル等への投資を行うクルーズ船社に岸壁の優先的な利用を認める新しい仕組みを創設することとしたものでございます。
 また、本年一月に選定をいたしました六港につきましては、有識者により構成される官民連携によるクルーズ拠点形成検討委員会におきまして、各港湾から提出をされました計画が、いずれも港湾管理者とクルーズ船社が緊密に連携し、連名で作成された計画である、クルーズ船社の寄港計画や投資内容が明確であることなどの観点から、これらの港湾が官民連携による国際クルーズ拠点を形成する港湾として選定することが適当と評価を受けたことを踏まえ、国交省として選定したものでございます。
 さらに、省令に関しましてでございますが、本法案の施行に際し港湾法施行規則を改正し、国際旅客船拠点形成港湾の指定に当たっては、埠頭が満たすべき規模その他の要件として、一定規模以上の船舶が入港可能な係留施設を有すること、官民連携国際旅客船受入促進協定の対象となる港湾施設として旅客ターミナルビルのほか駐車場や緑地等とすること、協定の内容の基準として国際旅客船拠点形成計画に適合することなどを定める予定としております。
 本法案につきましては、早急に国際クルーズ拠点の形成を図る必要があることから、公布の日から一か月以内に施行することと規定しており、省令につきましても同時期に施行する予定としてございます。



○青木愛

 法改正の趣旨は理解しておりますけれども、やはりちょっと準備不足かなという感じは否めないのかなというふうに思っております。
 以下、ちょっと懸念される点について順次お伺いをしたいと思いますけれども、経済効果ばかりを急いで大変なことにならないように、一方でしっかりとした対策を講じていく必要があろうかと思っております。
 まず、この民間事業者、船社が立派な旅客施設を整備したとして、順調に維持管理されている間はよいのですけれども、万が一その事業者が撤退をしたり倒産をしたりといったことが考えられなくはないのですけれども、そうした場合この施設はどうなっていくのか、そういうことも想定をして拠点の形成を進めるべきだというふうに考えております。
 その後、この管理者、都道府県等に負担のしわ寄せが行くのではないかという心配をしているわけでありますけれども、その点についてお聞かせください。


○菊地身智雄 港湾局長

 お答えいたします。
 今回の仕組みでは、協定の有効期間中であるにもかかわらずクルーズ船社が撤退をしたり倒産したりするような事態に備えまして、必要な規定を措置することとしております。
 まず、新たな事業者が現行の協定を引き継ぐ場合を想定し、クルーズ拠点としての機能が切れ目なく継続されるよう、新たなクルーズ船社が旅客ターミナルビルの所有者等となった時点で協定の効力が及ぶよう措置することとしております。
 また、協定を引き継ぐ者が現れず、有効期間中であるにもかかわらず協定を廃止しなければならない場合を想定し、港湾の適正な運営に支障が生じることがないよう、協定に廃止等の場合の手続を記載させることとしております。この場合におきましては、協定が廃止された後、旅客ターミナルビルとして使用されていた建物が適切でない用途に利用された場合、港湾の適正な運営を妨げることにもなりかねないことから、協定を廃止する場合の建物の取扱いについて、例えば港湾管理者が買い取るなどの内容をあらかじめ協定において定めておく必要があると考えております。
 国土交通省といたしましては、協定の締結に当たり適切な対応がなされるよう、港湾管理者及びクルーズ船社に対しまして必要な指導、助言を行ってまいりたいと考えております。



○青木愛

 ありがとうございます。
 その後、港湾管理者の買取りも考えられるということでの御答弁でありましたけれども、その際、過度な負担にならないように、国としてもしっかりとしたお取組をお願いしたいというふうに思います。
 次に、この六港、横浜、清水、佐世保、八代、本部、平良において、岸壁の優先利用や旅客施設の整備、これをするのは郵船クルーズを除いて全て外国クルーズ船社ということでありまして、この国際旅客船拠点形成港湾が外国の企業の影響を受けるということについて、日本の経済活動、また港湾の公共性、また国際テロ、こうした水際対策の観点から大変心配をしているところでありますが、この国際クルーズ船港湾に設置される税関、出入国管理、また検疫、これらのCIQ施設を、旅客ターミナルビル、この中に設置をするということで、外国クルーズ船社が整備をするということになるんだと思いますけれども、セキュリティー上の問題はないのでしょうか。


○菊地身智雄 港湾局長

 お答えいたします。
 民間事業者が旅客ターミナルビルの整備を行う場合には、一般的にその施設の設計段階から港湾管理者や関係省庁と十分に協議した上で整備がなされることとなります。その際には、港湾における入国者のチェック等のセキュリティーの観点から、適切な規模や動線となるように協議することとなります。
 国土交通省といたしましては、今回の制度に基づき、クルーズ船社が旅客ターミナルビルを整備する場合にも事前の協議が確実かつ適切に行われるよう、クルーズ船社への指導等を行ってまいりたいと考えております。



○青木愛

 続いて、法務省に御答弁をお願いしたいと思います。
 この大型の国際クルーズ船は、一度に何千人もの乗客を移送できるということが飛行機とも違う特徴だというふうに思っております。したがって、入出国の手続が大変混雑するというふうに予想されます。
 この手続をスムーズに進めるためにどのように対処をするのか、快適な観光の妨げになってはならないというふうに考えるのが一点と、またその一方で、密入国、薬物、銃器の持込み、テロ対策などが大丈夫なのかというふうに思うわけですけれども、実際これまでクルーズ船で入国した乗客が出港までに船に帰らずそのまま不法残留になったというケースも少なくないというふうに伺っておりまして、この場合、犯罪者は当然なんですけれども、クルーズ船社ですとか旅行会社のまた責任といったものはどのように考えられているのか、その点についてお聞かせください。


○佐々木聖子 法務大臣官房審議官

 お答えいたします。
 訪日クルーズ旅客を二〇二〇年に五百万人とするという政府目標に向けまして、法務省といたしましては、問題のない方に対しては可能な限り円滑な入国審査を行い、観光立国の実現に資すると同時に、今委員から御指摘ありましたように、厳格な入国審査の実施によって治安の維持に努めることも極めて重要と認識をしております。
 取組状況を御報告いたしますが、法務省におきまして、クルーズ船旅客の増加に対応するため、まず円滑化の方ですが、平成二十七年一月から船舶観光上陸許可という新たな上陸許可制度を導入し、個人識別情報の取得やいわゆるEDカードの記載内容等を簡素化することによりまして円滑な入国審査を実施しています。他方で、水際対策やテロ対策に万全を期するため、事前に入手した乗客名簿を厳格にチェックするなどし、加えまして、CIQ関係機関とも連携の上、対応しているところです。
 また、船舶観光上陸許可制度は、乗客の乗下船時の本人確認等が適切に行われていると認められるクルーズ船に限って適用することとしています。過去に不法残留者が発生したクルーズ船に関しては、再発防止策が適切に講じられているか否かを審査し、講じられていなければ船舶観光上陸許可利用の対象から除外することなども検討し、制度が適切に運用されるように努めてまいります。



○青木愛

 御答弁ありがとうございました。
 この点が最も懸念される、今回の法改正の中で一番懸念される点でございますので、是非、国交省、法務省、連携をしてしっかりとした水際対策をお願いをさせていただきます。
 それでは、質問が変わることでもないんですけれども、ちょっとまた地元のお話をさせていただきまして恐縮でございますが、せんだって木更津港に、外からちょっと見てきたんですけれども、仮ナンバーの中古車が次々と港に搬入をされておりました。警備員の方のお話によりますと、アフリカ、またニュージーランド向けへの輸出だということでありまして、日本で使い古された車も海外でまた再利用されるという、そういう現場を見させてもらって、初めて見る光景だったので大変勉強になったのですが、その際、木更津港のクルーズ船の対応についての整備も若干ちょっと見てみたんですけれども、まだ進んでいる状況が見られませんでした。
 千葉県でも、木更津港あるいは館山港などでもクルーズ船の誘致に向けた取組が熱心に行われているかというふうに思っておりますけれども、千葉県におけるクルーズ船、この受入れ状況、環境整備に向けた国の取組状況についてお聞かせいただきたいと思います。


○菊地身智雄 港湾局長

 お答えをいたします。
 千葉県内の港湾におきましては、これまで館山港においてクルーズ船を受け入れており、平成二十八年の寄港実績は二回、今年は四回の寄港が見込まれており、全て日本船社が運航するクルーズ船となっています。
 一方、木更津港におきましては、外国船社が運航する大型クルーズ船の誘致を推進するため、平成二十八年に行政や民間企業等の地元関係者で構成する協議会が設立をされ、熱心な誘致の取組が行われているところであります。
 このような状況を踏まえまして、国土交通省では、平成二十八年度から木更津港におきまして、十六万トン級のクルーズ船の寄港に対応するための既存岸壁の防舷材や係船柱の改良を進めており、平成三十年度中の完成を目指し整備を進めているところでございます。
 このほか千葉県内では、千葉港においてクルーズ船の寄港を実現するため、千葉県などが中心となってクルーズ船の受入れ環境の改善に向けた方策について検討が進められていると聞いております。
 国土交通省といたしましては、引き続き、寄港需要の動向を踏まえながら、クルーズ船の受入れ環境整備に取り組んでまいりたいと考えております。



○青木愛

 海からのアプローチは半島振興にとりまして大変効果が高いので、是非今後とも積極的な御支援のほどをよろしくお願い申し上げます。
 最後の質問となりますけれども、石井大臣に一言お願いできればというふうに思っております。
 今年の一月に、参議院の調査団で、私、マレーシア、シンガポールを訪れさせていただきました際に、マレーシアの日本大使の宮川大使から、日・マレーシアの経済関係をお伺いした中で、横浜港のLNG、液化天然ガスのバンカリング拠点の整備を進めることが大事だというふうなお話を伺いまして、それ以来、私、この点について関心を持ってきたわけでございますけれども、実は千葉県の袖ケ浦市と富津市にLNGの基地が既に立地をしております。こうした既存ストックを有効活用しながらバンカリング拠点を整備をすることによって、また近隣諸国に対するコスト競争力の高いバンカリングが可能になるのではないかというふうに考えておりますけれども、石井大臣もこれまで様々な取組をされてきたと思いますけれども、一言御答弁をいただければと思います。


○石井啓一 国土交通大臣

 世界に先駆けましてLNGのバンカリング拠点を形成することは、我が国港湾の国際競争力の強化につながるものと認識をしております。
 このため、昨年十月、LNGバンカリング推進に関する覚書を七か国の港湾当局と署名をいたしまして、本年四月にはLNGバンカリング国際シンポジウムイン横浜を開催するなど、LNGバンカリング港湾の国際的なネットワーク構築を我が国が主導して加速をしております。
 一方、国内では、昨年六月に横浜港をモデルケースとして官民の関係者による検討会を設置し、LNGバンカリング拠点の整備方策を昨年十二月に策定をしたところであります。この整備方策では、三つのフェーズに分けて推進することとしておりまして、大型船への対応を開始する第二フェーズでは、既存ストックを有効活用する観点から、委員の御地元の袖ケ浦LNG基地を利用いたしましたシップ・ツー・シップによるLNGバンカリングを実現することとしております。
 国土交通省といたしましては、我が国がアジアで先駆けてLNGバンカリング拠点を形成することで国際競争力の強化を図ってまいりたいと考えております。



○青木愛

 ありがとうございました。質問を終わります。










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