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立憲民主党 参議院議員 青木愛 Official Website

議会議事録JOURNAL

平成30年4月3日 国土交通委員会

外国人観光旅客の旅行の容易化等の促進による国際観光の振興に関する法律の一部を改正する法律案について質疑




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○青木愛

 希望の会、自由党の青木愛です。よろしくお願いいたします。
 先ほどから、各先生方からこの条文第一条の目的について質問がございました。私も質問をさせていただきます。
 現行法では、外国人観光客が訪日をして、日本固有の文化や歴史の理解、また地域住民との交流を深めることにより、外国人観光客が日本に対する理解を深めることに主眼を置いていましたが、改正案では、観光業を成長戦略として位置付け、日本経済及び地域の活性化に資することが主要な目的となっております。
 大臣には、できればちょっと端的に別の角度からのもし御答弁をいただければ有り難いなと思うんですけれども。
 政治のその究極の目的が世界の平和にあるというふうに思っておりますけれども、こんな考え方もあるようなんですが、国際社会にとっては、外国人との直接的な交流、出会いによって国際的な相互理解を深めることができ、また異なる文化、文明への理解が進むことにより世界平和にも貢献するようになります。このように、観光は単なる余暇を楽しむという次元を超えて、根源的に大変重要な意義を持っているという、こういう考え方がございます。
 先ほども山添委員からも指摘がありました国際相互理解、国際相互理解の増進に寄与という部分を後退をさせて国際競争力の強化というものを前面に押し出しているんですけれども、確かに、国際競争力の強化というか、日本経済の発展、地域の活性化、こういったことは国民生活を維持するためには大事なことだというふうに理解をしていますけれども、何かこの国際競争力ばかりを前面に押し出して、お金もうけというか、そこを前面に押し出した目的というのはいかがなものかなと。
 国際相互理解という、観光が持つ世界平和に貢献をするというその理念をまず打ち出すべきだったのではないかなと思うんですが、その点について一言お願いいたします。


○石井啓一国土交通大臣

 同じ御質問に対しては同じ答えになりますので、御理解をいただきたいと思いますが。
 改正前の国際観光振興法が二十年前でありますから、現在では大きく状況は変化をしまして、本格的な少子高齢化、人口減少を迎える中で、外国人観光旅客の来訪の促進は、我が国に対する理解の増進はもとよりでありますが、我が国の成長戦略と地方創生の大きな柱となってきていると。こういったことから、今回、目的といたしまして、本法案におきましては、外国人観光旅客の来訪を促進するための措置及び国際観光施策の財源に関する措置を講ずることにより、もって我が国の観光、関連産業の国際競争力の強化及び地域経済の活性化等の向上を目的としまして、それらを第一条において明記をしたところでございます。
 なお、先ほども答弁をいたしましたが、国際交流の拡大あるいは国際相互理解の増進というのも重要なことであります。目的規定におきましては、外国人観光旅客の来訪を促進することが我が国に対する理解の増進に資するものであること並びに国際観光旅客の来訪を促進することが国際交流の拡大に資するものであることという点を明記をしておりまして、国際相互理解の増進という点につきましては、引き続き法の趣旨に含まれているものと考えているところでございます。



○青木愛

君 それでは、以下、何点か気になる点について御質問させていただきます。
 この文化財の観光活用ということでありますけれども、それは大変いいことだと思ってはおりますが、一方で文化財保護の観点も両立せねばならぬのではないかというふうに思いますけれども、観光庁の御見解をお伺いをしたいのと、あともう一点、今この急増する観光客によって、地域住民の例えばバスの利用ができないだとかあるいは宿泊の利用がなかなかできなくなっているとか、地域住民の生活環境に負の影響を与えている部分があると思うんですけれども、これらについてどのような御認識、対策を考えているか、併せて御答弁お願いいたします。


○田村明比古観光庁長官

 先生御指摘のとおり、明日の日本を支える観光ビジョンには、文化財を保存優先から観光客目線での理解促進そして活用へという文言が掲載されておりまして、これは、我が国の重要な観光資源である文化財が良好な状態で保存されていることを大前提として、文化財の価値を内外の観光客に理解してもらうことが重要であるとの認識の下、適切で分かりやすい多言語解説の整備充実を推進するとともに、効果的な情報発信等を行い、文化財の観光資源としての魅力を最大限に開花させるという趣旨であるというふうに考えております。
 このため、観光庁といたしましては、これまで、文化庁と連携しながら英語解説の改善充実に当たってのガイドラインの策定等に取り組んできたところでございます。また、今般の国際観光旅客税の税収を充てる施策の一つといたしまして、平成三十年度予算において、地域固有の文化、自然等を活用した観光資源の整備等による地域での体験滞在の満足度向上に係る施策として、文化財や国立公園等に関する多言語解説の整備に取り組むこととしております。
 それから、お尋ねの急増する外国人観光旅客が地域住民の生活環境に影響を生じている状況、これ確かにございます。これに適切に対処していくということは、我が国が観光先進国になるために避けて通れないステップであるというふうに思います。
 それで、先ほど、バスが外国人旅行客によって住民の方に利用しにくくなっているというようなところなどは、例えば京都なんか典型でございますけど、一日乗り放題のバスのパスが五百円で売っていたりしていたわけです。それで、こういうところのプライシングですとか、それから、もちろん規制だとかあるいはほかへ誘導するインセンティブみたいなもの、そういう手法を組み合わせることによりまして観光の量と質のコントロールというのを図る必要があるというふうに考えております。
 それから、一都市だけでなかなか対処できないものについてはもう少し広域的に対処する必要があるというふうに考えておりまして、国といたしましても、持続可能な質の高い観光立国の実現という観点から、今後とも地方自治体と協力して必要な取組について検討してまいりたいと考えております。



○青木愛

君 ありがとうございます。
 その生活環境に負の影響があるということは十分に認識をしていただいているというふうに感じました。また、あらゆる角度からの対策をお願いをしたいというふうに思います。
 次に、この国際観光旅客税の使い道について何点かお尋ねをいたします。
 国際観光旅客税の使途に関する基本方針というものがございますが、それを見ますと、この税収の使途については、観光戦略実行推進タスクフォースにおいて検討を行い、予算編成を行うというふうになっております。
 このタスクフォースの構成員と予算編成の仕組み、タスクフォースにおける観光庁の位置付けと役割についてまずお伺いをいたします。


○田村明比古観光庁長官

 お尋ねの観光戦略実行推進タスクフォースでございますけれども、観光ビジョンに係る毎年の実行計画策定に向けた議論を行いまして、関係行政機関の緊密な連携協力の確保と総合的かつ効果的な取組の推進を図るために設置されております。
 このタスクフォースの議長は内閣官房副長官補でございまして、各省庁の局長級職員が構成員となっておりますけれども、私、観光庁長官が副議長を担っておりまして、また実質的な事務局は観光庁が担っているところでございます。
 国際観光旅客税を充てる具体の施策事業は政府予算の一部でございまして、国会の御審議をいただくものでございますけれども、この観光戦略実行推進タスクフォースにおきまして、民間有識者の意見も聞きながら中身をしっかりと精査して案を作ってまいりたいと考えております。



○青木愛

君 このタスクフォースで予算編成が行われるということで、観光庁の役割も大変重要だというふうに思っています。是非、公正な行政であってほしいと思いますし、この予算編成のプロセスにおいてはその透明性をしっかりと確保していただきたいと思いますし、また説明責任ですね、これがしっかりと果たせるように、その点について長官に期待をするものでございますが、この公正な行政、プロセスの透明性、説明責任が果たせると、この点について一言いただけませんでしょうか。


○田村明比古観光庁長官

 当然、この国際観光旅客税の使途というものにつきましては、先ほどから御説明申し上げておりますように、受益と負担の関係から負担者の納得が得られるようにするものでありますとか、それから費用対効果が高くて先進性のあるものに使っていくとか、そういう基本的な考え方の下で、しかも無駄遣いのないようにちゃんとPDCAサイクルを回してレビューをしていくというようなこと、いろいろ定められております。
 こういったことをしっかり実行することによりまして、適切な執行、そして透明性が確保された意思決定というものをしてまいりたいというふうに考えております。



○青木愛

君 ありがとうございます。是非長官には主体的なお取組ということで御期待を申し上げたいというふうに思います。
 それでは、次の質問に移らせていただきます。
 従来の観光関連施策、各省庁におきまして既に七百億円程度、一般財源として存在をしておりますが、二〇二〇年の目標値、外国人観光客が四千万人、日本人が二千万人という、その計算の下でございますけれども、見込まれる新財源六百億円程度ということでございますが、これが既存の観光施策に付け替えて使われるというようなことはありますでしょうか。


○田村明比古観光庁長官

 国際観光旅客税の税収につきましては、本法案におきまして、訪日外国人旅行者数二〇二〇年四千万人等の目標達成に向けて、先ほどからいろいろ出ておりますけれども、ストレスフリーで快適に旅行できる環境の整備、それから、我が国の多様な魅力に関する情報入手の容易化、地域固有の文化、自然等を活用した観光資源の整備等による地域での体験滞在の満足度向上の三つの分野に充当する旨規定しておりまして、観光庁として取り組むべき課題、非常に山積していると考えております。
 また、この昨年十二月の観光立国推進閣僚会議決定におきまして、税収を充てる施策は既存施策の財源の単なる穴埋めをするのではないこととされておりまして、また、平成三十一年度予算以降は、硬直的な予算配分とならず、毎年度洗い替えが行えるよう、観光戦略実行推進タスクフォースにおいて民間有識者の意見も踏まえつつ予算編成をすることとされておりまして、単なる付け替えに使われることのないようにしてまいりたいと考えております。



○青木愛

 その点は、観光庁においての役割として、付け替えに使われることがないように努めていかれることというふうに思います。
 この出入国のストレスフリーというものが一旦整備されますと、今後、この税収額、多額の税収額が使い切れないという事態にもなるのではないかというふうに想像するわけですが、この税収額に応じてまた新たな仕事をつくっていくようになるのかどうなのか。あるいは、今の付け替えの考え方とちょっと逆になってしまいますけれども、例えばこの新税に関して、将来的にですけれども、しかも国民の理解が得られればのことでありますけれども、今、日本が直面している例えば社会保障関係費ですとか、そういったものに充当するなんということは今後考えられるのかどうか。あるいは、先ほど大臣の御答弁にあったかと思うんですけど、特に学生さんのアウトバウンドが大事だというような御答弁あったと思うんですが、こういった海外での教育の支援とか、これは受益者負担の考えにも即しているのかなというふうにも思ったんですけれども、こういった社会保障とか教育とか、こういった分野に充てられるということは、将来的にこういうことは考えられ得るんでしょうか。


○田村明比古観光庁長官

 先ほど申し上げましたように、三つの分野に充当するということでございますけれども、これはもちろん、CIQを始めとする空港や港湾周りのいろいろな受入れ環境整備、それから国の中の受入れ環境整備というのも非常に重要でありますし、やはりいわゆる観光先進国と言われますヨーロッパの国などは、もう百年も前からこのインバウンドの受入れについてちゃんと施策を講じてしっかりとした観光地づくりというものをやってきているわけでございます。そういう意味では、数年でその差が埋まるような、そういう簡単なものではなくて、やるべきことは本当に山積しているというふうに考えております。
 ということで、目標の達成に向けまして、高次元の観光施策を実施するために政府全体として必要となる財政需要というものは十分に大きく見込まれるというふうに考えております。ただ、もちろん使い切るという発想ではなくて、ちゃんと必要な施策を着実に実行していくということで使っていきたいというふうに考えております。
 ということで、済みません、社会保障費というのはちょっと現時点で全く想定されないわけであります。先ほどの若者のアウトバウンドの話というのは、もちろん基本的な考え方に照らして、必要であれば今後十分精査していきたいということだと思います。



○青木愛

 大変御丁寧な御答弁、ありがとうございます。
 まだまだやることがあるということなんですけれども、そういう意味において、あと一点、先ほど増子先生からも質問がございましたけれども、外国人観光客あるいは日本人海外旅行客が増加しますと、やはり犯罪の増加ですとかあるいは病原菌の流入、こういったことも懸念されるわけですけれども、国際観光旅客税の使い道として、CIQのストレスフリーということも大事なんですが、それとともにこの水際対策という観点から使っていくということについては、やはり受益と負担の関係から見ても適切であると思いますし、また日本の利用客の理解も得やすいのではないかというふうにも考えるんですが、その点についてはいかがでしょうか。


○田村明比古観光庁長官

 先生御指摘のとおり、この水際の対策しっかりやるということは非常に重要だと思いますし、訪日客が急増する中で、テロの未然防止を含む厳格な入国管理と観光立国推進に向けた円滑な入国審査というものを高度な次元で両立させることは重要であると考えております。これまでも関係省庁と連携の下、物的、人的体制の整備に取り組んできたところでございます。
 こうしたことを踏まえて、今年度予算における新しい財源による総額六十億円の歳入につきましては、最新技術を活用した顔認証ゲートや税関検査場電子化ゲートの整備等によるCIQ体制の整備など、新規性、緊急性の高い施策に充てることとしているわけでございまして、今後十分この中身については精査をしていく必要があると思いますけれども、CIQ体制の充実等というのは非常に重要な施策としてこの検討の対象になってくると思います。



○青木愛

 ありがとうございます。
 それでは、最後の質問となります。
 大臣に御答弁をお願いしたいと思いますが、地方創生の観点から訪日客の地方分散というのを進めていく必要があると思いますし、私などはそこに大きな期待を寄せているわけでございますけれども、今後のお取組、また御決意などございましたら併せてお願いをいたします。


○石井啓一国土交通大臣

 観光は我が国の地方創生の柱でありまして、明日の日本を支える観光ビジョンにおきましても、観光先進国への三つの視点の一つとして、観光資源の魅力を極め、地方創生の礎にと明記をされております。観光ビジョンに盛り込まれました文化財を観光資源として開花させる、国立公園をナショナルパークとしてブランド化する等について政府一丸となって取り組んできた結果、昨年の三大都市圏以外の地方部における外国人延べ宿泊者数は三千百八十八万人泊と対前年比一五・八%増となっておりまして、三大都市圏の対前年比一〇・二%増を上回り、着実に地方への誘客が進んでいると考えております。
 他方、観光ビジョンに掲げました二〇二〇年地方部における外国人延べ宿泊者数七千万人泊の目標の達成を通じて訪日外国人旅行者の地方誘客を進め、その経済効果を全国に波及させていくためには、これまで以上に訪日外国人旅行者の地方への来訪、滞在拡大につながる取組を強化していく必要がございます。
 そのためには、各地域においてDMOが中心となり、多様な関係者が広域的に連携した上で取組を進めることが重要であります。地域固有の自然や生活文化を活用しながら各地域における体験型観光の充実を図るとともに、広域連携DMO、地域単位のDMO、地方公共団体等の多様な関係者による広域的な連携に向けた取組を支援をしているところであります。本法案におきましても、海外への情報発信等について広域的な取組が促進されるよう、DMOや自治体等から構成される協議会制度を創設することとしております。
 また、今般創設される見込みである国際観光旅客税の税収を充てる分野の一つとして、地域固有の文化、自然、その他の特性を活用した観光資源の開発及び活用による当該地域の体験及び滞在の質の向上に関する施策と規定をしておりまして、今後は国際観光旅客税の税収も活用しながら、訪日外国旅行者の地方への来訪、滞在の促進をより一層進めてまいりたいと考えております。



○青木愛

 是非、公正な予算編成で地方創生に資するよう御期待申し上げ、質問を終わります。ありがとうございました。




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