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立憲民主党 参議院議員 青木愛 Official Website

議会議事録JOURNAL

平成30年5月17日 国土交通委員会

高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律の一部を改正する法律案について
(参考人質疑)




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○青木愛

 今日は、三名の参考人の皆様、貴重な御意見とまた資料も添えていただきまして、ありがとうございます。
 まず、秋山参考人にお伺いをさせていただきたいと思います。
 先ほども指摘がございました地方におけるバリアフリーについて、もう一度お聞かせいただきたいと思います。
 今回の法案はオリパラを契機としておりますのでどうしても大都市圏を設定したものとなっておりますが、やはりこれから高齢化を迎える地方においてこそ、この駅舎、また駅舎を含めた周辺のこのバリアフリー化というのを今から進めていかないともう間に合わないだろうという問題意識を持っております。
 駅舎についていうと、今、三千人以上の乗降客数のある駅については、バリアフリー化を進めるべく国としての制度があり、着実に進んでいるというふうに聞いておりますけれども、地方にはやはり三千人に至らない駅がたくさんありまして、そうした駅についても是非バリアフリー化を国としても、また秋山先生にも御指導いただきながら進めていくべきではないかなというふうに思っておりまして、先ほど秋山先生からは、一つの駅舎にまず特化して、そのバリアフリー化を徹底して進めるべきではないかというお話もございましたが、やはりもう一点といいますか、出発地点とまた到着地点とありまして、一つの駅だけではなく、やはりつなぐことが大事だろうというふうに思いますし、取っかかりとしてはそういったことも必要なんですが、広くこの地方の駅においてバリアフリー化を進めていくにおいて、課題でありますとか先生のお考えをここで是非お聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。


○秋山哲男 中央大学研究開発機構教授

 秋山です。
 非常に難しい問題で、地方のそういうバリアフリーを進めるに当たって、実は駅がこれからなくなっていったらバリアフリーもできないんですよという議論が一つと、それから、駅まで行く交通手段がなければバリアフリーをやった駅も使えないですよという議論をどうやってカバーするかというところが全然議論されていないんです。だから、大事なことは、地域のモビリティーニーズをどうやってプランニングして、その地域をどうやって移動できるようにし、かつ乗り換えてバリアフリーの駅舎にたどり着くにはどうしたらいいかというのが一つと、そして乗り換えてどこかに行くという、その大きな流れが今考えられていないというふうに思います。
 例えば、北海道は今廃止をあちこちされていますけれども、鉄道だけの議論をやっても無意味だろうという。これは、やはり一番大事なのは、鉄道とその地域に住む人たちが、二次交通とかそういった交通との組立てをどうするかということを一つも考えていなかったら全く前に進まないんですね。
 そして、網形成計画というのがあるんですが、これは国土交通省の交通計画はやっていますけれども、網形成計画も小さな町や村には及ばないんですよね。人口が少ないと意味がないんです。たった一本しか道路がないようなところに網形成計画もないでしょうと。そうすると、人口が少ないところに対してどうするかという議論が抜け落ちていて、少なければ少ないほどバリアフリーも深刻になってくるという。そこは、モビリティーでの救済とバリアフリーでの救済と、両方をどういう形でやるかを一つも議論していないから問題で、ここは二十年前から私はずっと感じていて、バリアフリー法の範囲はあくまでも都市だよと、だから人口の少ないところはモビリティーで考えた方がよろしいでしょうというのが私の基本的なスタンスです。
 そのための努力をするために地方をあちこち調査に今歩いている最中で、くまなく調査はできませんので、どういう戦略があるかというのをこれから考えるという、そういう段階に入っていますので、こうすべきだとかということはなかなか言えない。ただ、思い付きはたくさん言えますけれども、なかなか地域によって違いますので、それぞれの地域をどうするかは研究者十人ぐらいで議論をしている最中ですけれども、それぞれが持ち寄って議論をするという段階が今の状況です。



○青木愛

 今、秋山先生おっしゃった、地方はモビリティーで考えた方がいいということは具体的にはどういうことをお指しになっているのか、もう一度お願いします。


○秋山哲男 中央大学研究開発機構教授

 秋山です。
 具体的には、ある町の、バスも一日三便とか四便とかしかないようなところで、行きたいところに行くのにそのバスは相手にできないんですよね、ないんですよ。具体的には、中頓別とかあるいはニセコもそうだし、いろいろなところで、みんなバスに合わせてやると一日仕事になってしまうと。そして、免許を持たない人は全く外出が本当に不便で、タクシーに乗ると一回数千円からというようなところで、そんなにめったに乗れなくなるという、ここのところがやはり問題になっているなというふうに思っていまして、これをどういう形で政策として作り替えるかというところが今腐心しているところです。



○青木愛

 ありがとうございます。
 やはり地方の駅をなくしてはなりませんし、やはり町の要でありますから、また無人化も阻止していかなければなりませんし、また、JRであったり、いろいろな事業者とも協議の場も必要になってくるのかなというふうに思いますが、是非、地方におけるバリアフリー化ということについて、また秋山先生にも引き続きよろしくお願いしたいというふうに思っております。ありがとうございます。
 続きまして、國島市長にお伺いをいたしますけれども、これから各市町村におきましてマスタープランの作成が進んでいくという仕組みが導入されるわけですけれども、國島市長は先ほど自由度を確保してほしいという御意見がございまして、それはそれで踏まえさせていただく上で、各市町村においては、高山市ほど意識がまだそこまで高まっていない自治体もたくさんあろうかというふうに思っております。
 これからそのマスタープランを作るに当たって、まず、どのようなところから手掛けていったらいいのか、あるいはどのようなところを目標にしていったらいいのか、あるいは障害をお持ちの方々の御意見聞くに当たってどのようなところを配慮していったらいいとか、その辺のちょっと具体的なところで御示唆をいただければというふうに思います。


○國島芳明 高山市長

 まずは地域の実情を調査をするというところが一番大事だと僕は思っています。先ほど御報告をさせていただきましたように、この施策を進めていく段階でまず現実を理解するということをしなければならないということで、モニターツアーというのをさせていただいたと御報告させていただきました。このことによって、通常住んでみえる方が意識しないところがほかの方々、いわゆる違う方々によって見ていただいたことによって顕在化していくということが起きました。それによって、じゃ、それをどう直していくのかということについて議論をしていく場を設けることができました。そういう意味において、それぞれ全国の市町村は実情が違うと思いますので、そのことについてまず進めていただけるような国の方向性を示していただけると有り難いと思います。
 もう一つ、先ほど室井先生からも言われたときにちょっと言い忘れてしまったんですが、全国の過疎地と言われる市町村は豪雪地帯が多うございます。雪というものは、幾らバリアフリーの道路整備をしても全てそれを隠してしまいます。この克雪といいますか除雪といいますか、雪対策ということを基本的に今のバリアフリーにも入れていただくということが必要ではないかなと思っています。これは余分な話になりましたけれども。その意味において、現状を知るような活動から進められることが一番の大事なことでないかなというふうに思っています。
 以上です。



○青木愛

 分かりました。またいろいろと御示唆をいただければというふうに思います。
 時間が来てしまいまして、先ほど田中参考人からも御指摘がございました。今回の法案については、身体の機能上の制限を受ける者というふうになっておりまして、今後、知的障害ですとか精神障害、また発達障害をお持ちの方、また難病を抱えていらっしゃる方々のそうした視点も必要だというふうに思っております。
 貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。





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