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立憲民主党 参議院議員 青木愛 Official Website

議会議事録JOURNAL

平成31年3月20日 国土交通委員会

平成31年度一般会計予算について(国土交通省所管)




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○青木愛

 国民民主党・新緑風会の青木愛です。
 社会資本整備についてお伺いをいたします。
 社会資本整備、いわゆるインフラ整備に関しまして、戦後から今日までを概観しますと、三つの時期に区分できると考えます。
 第一段階は、敗戦で荒廃した国土を立て直すため、全国の道路網や鉄道網や電力網や港湾など産業基盤を整備した時代です。基幹産業に資金や資材を傾斜配分をして、経済成長率実質一〇%前後の高度経済成長を成し遂げました。
 第二段階は、生活基盤の整備に重点を移した時代です。高度経済成長は、国民の生活を豊かにした反面、大気汚染、水質汚濁、自然破壊、騒音、振動問題など環境破壊や公害問題を深刻化させました。その対策として、廃棄物処理や上下水道など環境関連の施設整備、また、学校、病院、公営住宅、公園などの生活関連の整備に重点を置いて整備が進められました。
 第三が現在です。高度成長時代に整備したインフラが老朽化し、その更新時期を迎えていることと、近年、特に自然災害が巨大化し、国民と国土の安全を強化する整備が求められております。
 こうした歴史的経緯も踏まえた中で、今日直面いたしますインフラ整備に関して、石井大臣の御所見をまずお伺いをさせてください。


○石井啓一国土交通大臣

 社会資本の整備は未来への投資であり、これまでも国民の暮らしや我が国の経済成長を支えてまいりました。
 まず、気候変動の影響により更なる頻発、激甚化が懸念をされます自然災害等から国民の安全、安心を確保することは国土交通行政の最も重要な使命の一つであり、ソフト対策、ハード対策を総動員した防災・減災対策を進めていくことが必要であります。また、高度経済成長期以降に整備をいたしました社会資本が今後一斉に老朽化していく中、社会資本の維持管理、更新を計画的に行っていくことも重要な課題であります。さらに、人口減少や高齢化が進む中におきまして、生産性を向上させる社会資本を重点整備することで、地域経済の産業、雇用を支え、経済成長を実現することも重要であります。
 今後とも、国民の安全、安心の確保や活力ある経済社会の構築が図られるよう、必要な社会資本整備をしっかりと進めてまいりたいと考えております。


○青木愛

 ありがとうございます。
 そして、問題は、平成初期におけるインフラへの投資であります。平成三年頃にバブルが崩壊し、その後、景気浮揚策として長年にわたって多額の国債を発行し、公共事業が実施されました。しかし、期待した景気浮揚効果は得られず、借金が大幅に拡大をいたしました。地方でも、肝煎りで建造されたいわゆる箱物は、一時の人気取りとして効果があったかもしれませんが、その後の維持費がかさばり、財政を悪化させ、住民に無用な負担を負わせる結果となりました。原因は、高度成長時代に発揮をしていた公共事業による景気浮揚効果、いわゆるフロー効果がその後は小さくなっていたからだと考えております。
 そして、この度も防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策が消費税対策の一つとして位置付けられており、再び景気浮揚対策として無駄な事業が含まれているのではないかと懸念をいたすわけであります。
 国土交通省としてのインフラ整備は、こうしたフロー効果よりも、継続的かつ中長期にわたって得られる安全、安心の効果、生活の質の向上の効果、生産性向上の効果といった、無駄のない、質の高いストック効果を重視して取り組むべきであると考えますが、大臣は先ほども、また所信でも触れられておられますが、改めて石井大臣の御見解をお伺いいたします。


○石井啓一国土交通大臣

 社会資本は、安全、安心の確保や生産性の向上といったストック効果を通じまして、災害から国民の生命、財産を守るとともに、我が国の経済成長に貢献するものであります。こうしたストック効果の高い社会資本の整備を計画的、重点的に進めているところであります。
 三か年緊急対策につきましても、総点検の結果等を踏まえまして、重要インフラ等の機能維持の観点から特に緊急に実施すべき対策につきまして、十分精査の上で取りまとめられたものでありまして、被害の防止、最小化等の面でのストック効果が高いものであると認識をしております。
 今後とも、ストック効果が最大限発揮されるよう、必要な社会資本整備をしっかりと進めていきたいと考えております。


○青木愛

 ありがとうございます。
 国土交通省の役割としては、あくまでも安全、安心を守ること、安全、安心を最優先して、豊かさやまた成長を実感できる社会、そのためのインフラ整備だということで、石井大臣とそうした認識は共有をさせていただいたと受け止めさせていただきます。
 次に、現在の課題でございますインフラの更新についてお伺いをさせていただきます。
 このインフラの老朽化問題が衝撃的な形でクローズアップいたしましたのは、二〇一二年十二月の山梨県大月市の中央自動車道上り線笹子トンネルでの天井のコンクリート板の落下事故でありました。その後、定期点検が法律に盛り込まれたとのことであります。
 道路橋、トンネル、河川管理施設、下水道、港湾岸壁、それらにつきましての定期点検の状況をお聞かせください。


○池田豊人 国土交通省道路局長

 道路の老朽化対策につきましては、国が定める統一的な基準によりまして、五年に一度の頻度で、施設に近接して目視による点検を行うこととしております。
 平成二十九年度までに、橋梁は八〇%、トンネルは七一%の点検が完了しております。平成三十年度で一巡目の点検が完了する見込みでございます。


○塚原浩一 国土交通省水管理・国土保全局長

 河川管理施設につきましては、平成二十五年の河川法改正によりまして、ダム、堤防、堤防が存する区間に設置された可動堰及び水門等につきましては年に一回以上の点検を実施するよう定められたところでございます。これに基づきまして、毎年度、対象となる全ての施設の点検を実施しております。
 また、下水道につきましては、平成二十七年の下水道法改正によりまして、腐食のおそれの大きい下水道管渠については五年に一回以上の点検を実施するよう定められたところでございます。これに基づきまして、定期的な点検が行われております。
 引き続きまして、これら関係法令に基づきまして点検等を実施し、適切な維持管理に努めてまいります。


○下司弘之 国土交通省港湾局長

 港湾における岸壁の老朽化対策につきましては、平成二十五年六月の港湾法改正により、定期点検の実施を規定するとともに、関係告示を改正し、少なくとも五年に一回の頻度で点検を行うこととしてございます。
 平成二十九年度末現在でございますが、点検対象の岸壁、一万三千七百七十九施設ございますが、実施率は七一%になってございます。
 点検未了の施設はいずれも港湾管理者の管理施設でありますことから、引き続き、港湾管理者に対して早期に点検を行うよう指導するとともに、適切な維持管理に努めてまいります。


○青木愛

 五年に一度の定期点検が義務付けられ、およそ七割から八割方終了しているのかなというふうに受け止めました。
 そして、この点検についてなんですが、国土交通省道路局が平成三十年八月に報告しております道路メンテナンス年報にこうした点検の結果がまとめられております。その中で一点、ちょっと不自然に思われた点がありましたので、御質問させていただきます。
 その中で、高速道路会社が管理するトンネルなんですが、早期措置段階、この早期措置段階の割合が、三十一年から四十年にピークがございます。一般的に、建設から年数がたてばたつほど劣化が進むと考えるのですが、この高速道路会社が管理するトンネルにおいては、その早期措置段階の割合が、その途中の経過年数三十一年から四十年にピークがあり、不自然に感じております。この時期の工事に何か手抜きがあったのか、あるいは工法が簡素化されたのか、その辺をお伺いをしたいと思っています。
 この当時、トンネル建設時は一九七八年から一九八七年に当たると思いますが、その当時は日本経済がどんどん伸びている時期で、しばらくしてバブルがはじけていきます。この時期の工事に何か原因があったのか、その辺の御事情をお聞かせいただきたいと思います。


○池田豊人 国土交通省道路局長

 委員御指摘の平成二十九年度の高速道路会社が管理いたしますトンネルの点検につきまして、早期に対策が必要になりました判定区分三の割合が、建設経過年数三十一年から四十年のトンネルが最も高く約六割になっているということについて、国交省としても承知をしております。
 今後、高速道路会社に対しまして、対策の計画的な実施と併せまして、この御指摘のありました点検結果の傾向について分析をするように指導してまいりたいと考えております。
 国交省としましては、引き続き、高速道路会社と連携し、老朽化対策の取組を進めてまいります。


○青木愛


 真摯な御答弁をいただきまして、本当にありがとうございます。
 是非、点検結果を踏まえて、また不自然な、また不明な点があれば、何が原因なのかということを徹底的に検証してまとめていただきたいということをお願いをさせていただきます。
 次に、地方に関してお伺いをさせていただきたいと思います。
 この点検の結果、区分三の早期措置段階及び区分四の緊急措置段階に関しましては危険性が高いので早急に修繕しなければなりませんが、その修繕計画についてお伺いをいたします。
 特に、都道府県、政令市、また市町村など、自治体では修繕の着手が低い状況と聞いております。対策支援についても併せてお伺いをさせてください。


○池田豊人 国土交通省道路局長

 国土交通省や地方公共団体で、橋梁やトンネルの点検結果に応じて必要な修繕を実施しているところでございます。
 地方公共団体においては、平成二十八年度末までに先ほどの判定区分三又は四と診断された施設につきまして、修繕に着手した施設数が、橋梁では約四万橋のうちの約一二%に当たる四千五百橋、トンネルについては約一千四百か所のうちの約一九%に当たる約二百八十か所になっております。
 国交省としては、今後、地方公共団体の老朽化が計画的により進みますように、大規模修繕・更新補助制度を拡充すること、防災・安全交付金によります支援の重点配分をすること及び公共施設等適正管理推進事業債の拡充をすることなどの財政的な支援を行ってまいりたいと考えております。
 また、市町村の多くで技術者が少ない状況を踏まえまして、都道府県などによります市町村の点検診断業務の一括発注をする取組及び地方公共団体向けの研修の実施などを進めてまいりたいと考えております。


○青木愛

 丁寧な御答弁、ありがとうございます。
 様々な手を尽くしていただきまして、万全の対策を引き続きお願いをいたします。
 そして、地元の千葉県の安全対策について、ここで是非伺わせてください。
 千葉県房総半島西岸の東京湾、いわゆる内房に沿って走る国道百二十七号線についてなんですが、途中、幅員が狭いトンネルが多く、集落部では急な直角カーブや幅員の狭い区間もたくさんございます。地元からトンネルや橋梁が危険との声をいただいています。修繕の現状及び今後の見通しについてお伺いをいたします。
 あわせまして、並走する館山自動車道の四車線化工事及び第三千倉街道踏切の安全整備についてもお尋ねいたします。
 館山自動車道は、曜日や時間によって交通量が多く、渋滞が発生し、死亡事故も多発しております。また、第三千倉街道踏切は、児童が通学で使用しておりますが、歩道が区分けされておらず、地元から危険との声をいただいております。かつて事故もあります。この点について、今後の見通しを是非お聞かせいただきたいと存じます。


○池田豊人 国土交通省道路局長

 まず、国道百二十七号線でございます。
 国道百二十七号は、千葉県の館山市から木更津市に至ります約五十五キロの直轄国道でございまして、二十四か所のトンネルと五十四の橋梁があります。一部は幅員が狭いなどの課題があると認識しております。このため、十七のトンネルと四つの橋梁につきまして拡幅の対策を進めることとしております。
 現在までに、久保トンネル、坂下トンネル、この二つのトンネルについて拡幅の対策が完了しております。引き続き、残るトンネルや橋梁の拡幅等についても進めてまいりたいと考えております。
 それから、百二十七号の老朽化対策でございますけれども、平成二十九年度末までにトンネルの約八三%に当たります二十か所で点検が完了しておりまして、対策が必要とされました四か所のうち二か所で修繕が完了をしております。残る二か所についても現在修繕を行っております。
 一方、橋梁につきましては、約七八%に当たる四十二橋の点検が完了しております。対策が必要と判定されました二つの橋につきまして、現在修繕を行っているところでございます。
 引き続き、定期的な点検、診断を行いまして、老朽化対策の取組を進めてまいります。
 次に、館山自動車道の件でございます。
 館山自動車道は、千葉市から富津市に至る、総延長は約五十一キロの路線でございます。現在、君津インターチェンジから富津竹岡インターチェンジ間におきます四車線化の事業を進めております。
 君津インターチェンジから富津中央インターチェンジにつきましては、今年度末までに完成をする予定でございます。また、富津中央インターチェンジから富津竹岡インターチェンジにつきましては、平成三十一年内の開通に向けて現在工事を実施しております。
 引き続き、早期の全線の四車線化に向けまして工事を推進していきたいと思っております。
 最後に、踏切の関係でございます。
 踏切につきましては、交通安全対策として、一般的には歩道の拡幅やカラー舗装などの実施をしているところでございます。
 委員御指摘の第三千倉街道踏切につきましては、通学路に指定されておりますけれども、現時点では歩道の整備やカラー舗装などが実施されておりません。今後、道路管理者であります千葉県におきまして当該踏切への対策が検討されるというふうに聞いております。
 国交省としても、踏切の安全対策につきまして、道路管理者の千葉県と連携して対応していきたいと考えております。


○青木愛

 ありがとうございます。
 地域住民のためにも、また訪れる方々のためにも、また安全対策といたしまして引き続きの御尽力をお願い申し上げます。ありがとうございます。
 それでは、大臣に最後、お尋ねをさせていただきます。二問併せてお尋ねをさせていただきます。
 公共事業の平準化についてでございます。
 毎年、年度末に公共事業が集中をしております。その原因の一つは予算の単年度主義にあると言われています。工事の繁忙期と閑散期が二極化いたしますと、建設現場の生産性が低下をしたり、現場で働く労働者に過度の負担を強いたり、労働者の人材不足を更に深刻化させます。また、住民の生活にも迷惑を掛けることになります。公共事業の平準化対策についての取組をお聞きいたします。
 そして、あわせて、自治体では技術者を始めとする人材不足に悩まされております。こうした人材不足の解消には、日本人労働者であれ外国人労働者であれ、現場で働く労働者の処遇改善とそして安全確保、重要だと考えますが、今回の予算措置も踏まえて御答弁をお願い申し上げます。


○石井啓一国土交通大臣

 施工時期の平準化は、建設現場の生産性向上や建設業の働き方改革に資するものであり、その取組を促進していくことは極めて重要であります。
 このため、国土交通省の直轄工事では、適正な工期を設定するとともに、国庫債務負担行為の活用等によりまして平準化の取組を進めているところであります。また、地方公共団体につきましては、目標の設定や国及び地方公共団体の発注見通しの統合、公表、先進的な取組をまとめた事例集の作成、周知等に取り組んでおります。さらに、今国会におきまして建設業法及び入札契約適正化法の改正案を提出しておりまして、その中で平準化の取組を規定をし、特に地方公共団体の取組を推進することとしております。
 国土交通省といたしましては、引き続き、平準化に積極的に取り組むとともに、様々な場面を通じまして地方公共団体にも働きかけてまいりたいと存じます。
 続きまして、担い手の確保ということでありますが、建設業におきましては他産業を上回る高齢化が進んでおり、近い将来、高齢者の大量離職による担い手の減少が見込まれていることから、建設業を希望する入職者を増やす取組が重要な課題であります。
 このため、業界とも連携をいたしながら、適切な賃金水準の確保や長時間労働の是正、技能者の就業履歴や保有資格を蓄積をし適正な評価と処遇につなげる建設キャリアアップシステムの構築など、誰もが安心して働き続けられる環境整備に向けた必要な予算確保を行いながら、技能者の処遇改善の取組を推進をしております。
 また、技能者が建設現場において安全に安心して働くことができるよう、安全衛生経費の確保等に向けた取組につきまして、必要な予算を確保し、実態把握等も踏まえながら取組を進めているところであります。
 将来の建設業を担える支え手の、担い手の確保を図るためには、日本人、外国人にかかわらず、働きやすくやりがいを持って安全に仕事ができるような労働環境を整備することが重要と考えております。
 国土交通省といたしましては、これらの政策を通じまして、建設業がいわゆる新3K、給与がよく、休暇が取れ、希望が持てるような魅力ある産業へ変えていけるよう、取組を進めてまいりたいと考えております。


○青木愛

 ありがとうございました。是非よろしくお願いいたします。
 石井大臣は、インフラ整備や安全、安心の確保を最優先にして、ストック効果の高いものに重点的に取り組んでおられると理解をさせていただきました。
 近年の異常な自然災害から国民を守るための防災・減災対策にもしっかりと取り組んでいただき、また、高度経済成長時代に敷設いたしましたインフラの老朽化にも適切に対処していただくことをお願い申し上げて、質問を終わります。
 ありがとうございました。









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