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立憲民主党 参議院議員 青木愛 Official Website

議会議事録JOURNAL

令和3年5月13日 国土交通委員会

海事産業の基盤強化のための海上運送法等の一部を改正する法律案について


造船分野の競争力強化について

○青木愛

 立憲民主・社民の青木愛です。
 海事産業の基盤強化のための海上運送法等の一部を改正する法律案について、早速質問に入らせていただきます。
 日本は、四方を海に囲まれた島国、海洋国家です。そのような地理的条件の中で、日本の造船業は、戦後長い期間建造量世界一を誇り、日本経済と貿易を担い、また地域に根差した裾野の広い産業として地方の経済と雇用を支えてきました。造船業は、まさに日本の基幹産業です。また、海運業は、日本の輸出入を支え、国民経済の基盤となっております。
 一九八〇年代から韓国が、一九九〇年代から中国が新規の造船施設を次々に建設し、稼働させ、建造量を急速に伸ばしました。二〇〇〇年になりますと日本の一位の座は韓国に奪われ、二〇一〇年には中国が一位となり、日本は中国と韓国に次ぐ第三位になりました。
 現在、造船業、海運業も世界から厳しい課題を受けています。それは地球環境問題です。世界がカーボンニュートラル達成に向かう中、ゼロエミッションエンジン船の開発やデジタル化により、質の高い船舶の建造が求められています。このときこそ、技術大国日本が時代の最先端の要請に応え、世界をリードすべきだと考えます。
 このような観点から順次質問をいたしてまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 まず、造船分野の競争力強化についてです。
 日本の造船業は、中国、韓国に建造量で抜かれ、世界全体の新造船建造量は、二〇〇八年リーマン・ショックの後、二〇一一年をピークに落ち込んでおります。日本の造船業の現状と今後の建造量の見通しについてまずお伺いをいたします。


○大坪新一郎 海事局長

 近年の世界の造船市場は、リーマン・ショック前に需要を超えた新造船の大量発注があり、ピークである二〇一一年の世界の建造量は総トン数一億トンを超えました。その後の発注低迷により、現在の世界の建造量は六千万トン程度にとどまり、船舶の供給能力の過剰が続いております。
 現在の日本の建造量のシェアは二二%ですが、船舶の供給能力過剰により船価水準が低いということに加えて、新型コロナの影響で船主の発注意欲が減退したこともあり、通常二年分を有することが一般的な手持ち工事量が約一年分になるなど、我が国造船業は危機的状況にあります。
 一方で、中長期的に造船市場を見通しますと、新興国を中心とする世界経済の成長に伴って、海上荷動き量は増加を続けています。また、リーマン・ショック前後に大量建造された船舶の代替建造の需要も発生すると予想しておりますので、二〇二五年以降、順次、新造船需要、世界全体の新造船需要の回復は期待されると認識しております。


○青木愛

 期待もあり、見通しは暗くないという御答弁だったと思います。
 日本が建造量で韓国、中国に追い越された原因について、国際要因、国内要因、それぞれについてお伺いをいたします。


○大坪新一郎 海事局長

 我が国造船業は、約二十年前までは世界全体の建造量シェアのトップを占めておりましたが、その後、韓国、中国に追い抜かれましたものの、依然として高い技術力や一定の生産規模は維持してきたところです。
 もう先ほど述べましたが、供給能力の過剰が続いている中で、韓国、中国は自国造船業への公的支援を行い、また造船事業者の規模の拡大、それから統合を進めており、我が国造船業は熾烈な競争にさらされています。加えて、我が国造船業の内部的な要因でもありますが、歴史的に造船所が各地に点在しておりまして、技術開発のための技術者のリソースの集約が進んでいないということがあります。
 また、韓国、中国に比べて一つ一つの造船所の規模は小さいので、近年の傾向となっている大規模発注、短い期間で多数の船舶を発注するということですが、こういった対応に不利な面があります。こうした我が国造船業固有の事情も現在の状況に至る要因になっているものと認識しております。


○青木愛

 韓国、中国は、大規模な国の支え、国の支援があるということで、それに対して今後日本はどうしていったらよいのかということだと思います。
 海事生産性革命との関係でお伺いいたしますが、これまで国土交通省は、二〇一六年を生産性革命元年と位置付けて、船舶の開発、建造から運航に至る全てのフェーズで生産性向上を目指すというi―Shippingと、そして海洋開発市場の成長を我が国海事産業が獲得することを目指すj―Ocean、これを両輪とする海事生産性革命を強力に推進をしてきたと思います。
 この海事産業生産性革命と位置付けたi―Shippingとj―Oceanについて、その効果をお聞きしたいと思います。また、今回新たな支援策を打ち出したその背景、また更なる必要性は何なのか、その点について明確に御答弁お願い申し上げます。


○大坪新一郎 海事局長

 海事産業の生産性革命は、船舶の開発、設計、それから建造、運航に至る全てのフェーズにおける情報技術の活用や、それから海洋資源開発における付加価値の高い製品、サービスの技術開発によって、主として個々の事業者の生産性の向上を図る取組であります。
 具体例を挙げますと、IoTを使った遠隔モニタリングによりエンジンの状況把握を行って、ビッグデータの活用によって故障の未然防止を可能とする技術が開発されておりますし、また船舶の性能を事前に正確に予測して新船形の開発期間を短くするといった取組も行われまして、これによって我が国の海事産業の生産性の向上には寄与してきたと認識しております。
 一方で、中韓の造船業、非常に生産規模を拡大しておりまして、こういう厳しい国際競争の中で、本法案においては個々の事業者の生産性向上を一層進めるだけではなくて、事業者間の協業や統合等によって複数の事業者が一体となって行う次世代技術の共同開発や、それから、造船所だけではなくて部品メーカーも含めたサプライチェーン全体の最適化、さらには、短い納期で多数の船舶建造を行う大規模発注への対応を複数企業が連携して行うと、こういったことを行えるように支援していくということを考えております。加えて、造船事業者、舶用メーカーの基盤強化のみならず、海運事業者に対しても高性能な新造船の発注意欲を喚起するための措置を同時に講じることにより、造船、海運の好循環を創出することを狙っております。


○青木愛

 これまでも様々な支援策を打ち出してこられたということですが、なかなかそれでは中国、韓国にまだまだ追い付き、追い越すことができないという状況なんだろうと思いますが、今回のこの法改正で、事業基盤強化計画認定制度、これが導入されるわけであります。
 中国、韓国、日本、これまで厳しい国際競争を勝ち抜くために、会社の合併や分割、株式交換などを通して事業を再編し、また新たな生産方式や新たな原材料の使用により生産性を向上させるなどして事業基盤の強化を図ってまいりました。実際、韓国では二〇一九年三月に国内二位の大宇造船海洋が一位の現代重工業に合併され、中国では二〇一九年十一月に国内一位の中国船舶工業集団、CSSCと二位の中国船舶重工集団、CSICが統合し、新会社中国船舶集団を設立をしています。そして、我が国においても、生き残りを懸けた受注競争に挑むため、国内一位の今治造船と二位のジャパンマリンユナイテッド、JMUが二〇二〇年三月に資本業務提携を公表し、今年一月に新会社日本シップヤードが始動したところです。ほかにも再編の動きが激しくなっております。
 本法案で創設される事業基盤強化計画認定制度、これを通じて促進しようとする事業基盤強化の取組内容と造船業の成長に向けた更なる戦略についてお伺いをしたいと思います。


○赤羽一嘉 国土交通大臣

 我が国の造船業、先ほど局長からも答弁させていただいておりますが、かつては世界に冠たる造船業でありましたが、構造不況的なところもあるし、造船業だけではなくて、鉄鋼もそうですし、先ほどの港湾なんかも似たようなところございますが、中国、韓国が、安い労働力から始まって、加えて、独禁法ですとか国際社会の出資の在り方というある意味ではルールを我々が守っている中で、ちょっと語弊がありますけれども、そうしたことがないがしろにされている中で、相対的な日本の競争力を失ってきたというのが現実だというふうに思っております。
 そうした制約がありますが、やはり業界からは、どうしてもやっぱり集約をするから国としても支援をしていただきたいというような強い要望があり、造船業、海運業の重要さというのは、先ほどからるる答弁させていただいておりますように、島国である我々にとっては生命線だということでございまして、今回の法案の提出をさせていただいたところでございます。
 事業基盤強化計画認定制度というのは、もうまさに、一つはコスト競争力の強化、もう一つは世界最先端の技術力の磨き上げと、この二つの柱を進めていこうということでの新しい制度だというふうに御理解をいただきたいと思うわけでございますが、コスト競争力につきましては、この法案のこの制度とともに、予算、税制、財政投融資等の支援措置の活用によりまして、造船事業者の事業再編、生産性向上を通してコスト面の競争力を図っていきたい、強化を図っていきたいと。今治造船がJMUとの資本提携をしながら、自動溶接ロボット等の導入に加えまして、今治造船とJMUが共同設計をするとか生産の分担をするということで競争力を向上させるという狙いがございます。
 また、後者の技術力の磨き上げにつきましては、海運の脱炭素化ですとか自動運航の船の実用化等の重要な技術開発分野につきまして、この本法案によりまして、国としても技術開発支援を行うとともに、国際海事機関でございますIMOの国際基準の策定も国としてリードしていくと、そうしたことで我が国の技術力の優位性を確保してまいりたいと、こう思っております。
 具体的には、例えば、燃費性能が劣る既存の船舶から優れた新しい新造船への代替建造が促進されるように、我が国の主導でIMOでの温室効果ガス排出削減ルールの策定に取り組むなど、我が国の技術面での競争力強化につなげてまいりたいと、こう考えているところでございます。
 いずれにしても、今回のこの法案の提出と、予算、税制等の支援措置によりまして、我が国造船業が世界屈指の競争力を有する産業として成長していけるように、我々は成長する可能性があるというふうに考えておりますので、全力で取り組んでまいりたいと、こう考えております。


中小の造船事業者への支援について

○青木愛

 赤羽大臣の御丁寧な答弁で、国としての考え方、よく分かりました。ありがとうございます。
 これからこうした大企業、事業再編とか生産性向上が図られていくと思うんですが、中小の造船事業者への支援ということについて伺わせていただきたいと思います。
 この厳しい国際競争の中で、この上位の企業は合併や資本提携などで競争力強化を図っていきますけれども、中小の造船事業者についても事業基盤強化、これが必要だと考えます。中小の造船事業者への支援についてお聞かせください。


○大坪新一郎 海事局長

 中小の造船事業者は、我が国の物流や離島航路などを支える内航船を主として建造しておりまして、我が国経済活動や地域住民の生活に重要な役割を果たしています。
 本法案では、外航船を建造する造船事業者のみならず、こうした中小の造船事業者も対象としております。本法案に基づく事業基盤強化計画制度を通じて、設備投資などにより生産性を向上を図ると。この場合、必ずしも合併するとかそういうことは必要ではないんですが、単独であっても生産性向上を図る取組について、この基盤強化計画制度を通じて中小造船事業者を支援してまいります。
 また、あわせて、特定船舶導入計画に基づきまして、高品質な内航船を導入しようとする海運事業者に対しては、鉄道建設・運輸施設整備支援機構、JRTTの船舶共有建造制度を活用した内航船舶の建造支援を強化することとしております。
 国交省としては、本法案と予算、税制、財政投融資などの施策を総動員して、大手の造船事業者と同様に、中小造船事業者の事業基盤の強化を支援してまいります。


本法案とWTOとの関連について

○青木愛

 ありがとうございます。
 事業の再編が難しくても、生産性向上のみでの事業基盤強化によるそのメリットを得られるということを確認をさせていただきました。
 次に、先ほど来話が出ておりますWTOとの関連について伺わせてください。
 中国や韓国では国が造船業界に過度の支援を行っているということで、我が国は韓国造船業をWTO違反として提訴しました。今後の対応について、また、この度の本法案はWTO違反には当たらないのか、その点について確認をさせていただきたいと思います。


○大坪新一郎 海事局長

 韓国においては、二〇一五年頃から特定の造船事業者に対して一兆円を超える巨額の公的支援が行われたほか、信用力の低い造船事業者への市場で得られないような公的な保証の付与による受注支援も行われています。このような支援措置が市場を歪曲し、我が国造船業に著しい損害を及ぼしているということは大変ゆゆしき事態でありますので、日本政府としては、二〇一八年に韓国政府を国際貿易機関、WTOに提訴し、日本の立場を表明しているところです。今後も、引き続き、我が国の立場を主張し、韓国政府による不当な支援が是正されるように取り組んでまいる所存です。
 また、本法案とそれに基づく支援措置については、支援制度については、あくまでWTO協定と整合する形において、我が国の海運造船業に対してその範囲内で最大限の支援を行おうとするものであり、WTO協定違反に当たるとは考えておりません。


従業員の地位の保全について

○青木愛

 あともう一点、造船業の事業基盤強化に際しての雇用関係についても伺っておきます。
 本法律案の事業基盤強化には、合併や会社分割など、事業構造の変更が含まれております。その際の従業員の地位について、事業基盤強化計画の認定基準には、従業員の地位を不当に害するものでないことと盛り込まれています。ほかにも、認定事業基盤強化事業者に対する雇用の安定等に関する努力義務規定や、労働者の雇用に関する事項について、国土交通大臣が厚生労働大臣と緊密に連絡をし、協力するとの規定が盛り込まれています。
 事業基盤強化において、従業員の地位が脅かされないよう、認定事業者をどのように監督をしていくのか、また厚生労働省とどのように連携をするのかお聞きをいたします。


○大坪新一郎 海事局長

 御指摘のとおり、事業基盤強化計画については、本法案において当該計画が従業員の地位を不当に害するものではないということが認定要件の一つとして規定されております。
 具体的には、厚生労働省と緊密に連絡、協力しまして、従業員の推移の見込みに係る事業基盤計画の記載内容や、それから事業再編に関する労使間での協議内容などを両省において共有し、当該計画が従業員の地位を不当に害さないということを確認した上で計画の認定を行うこととしております。
 また、計画の認定後は、計画の実施状況を毎年確認するとともに、当初の計画と異なり従業員の地位が不当に害されている場合には計画の変更指示や認定取消しなどの対応を行い得ることとなっています。
 また、計画の実施段階においても、国や都道府県が失業の予防、就職のあっせん、職業訓練の実施などの措置を講じるよう努める旨、条文上明確にしております。


洋上風力発電に関する作業船の建造について

○青木愛

 ありがとうございます。
 この事業基盤強化において、従業員の地位が不当に害されることのないようにしっかりとした御対応をお願いをしておきたいと思います。
 造船についてもう一点伺わせてください。洋上風力発電に関連する作業船についてでございます。
 今後、再生可能エネルギーの活用拡大に向けて洋上風力発電の推進に期待が高まっております。その際、SEP船を始めとする洋上風力発電に関する作業船の建造、造船業にとっての新規需要創出の観点からも重要と考えます。
 洋上風力発電に関連する作業船の建造に関する現状と今後の見通しについてお聞かせいただきたいと思います。


○大坪新一郎 海事局長

 洋上風力発電につきましては、国として、昨年十二月のグリーン成長戦略において、二〇三〇年までに一千万キロワット、二〇四〇年までに三千から四千五百万キロワットという高い導入目標が提示されており、今後の導入拡大が期待されます。
 これにより、洋上風力発電設備の設置工事に用いられるジャッキアップ可能な船舶、いわゆるSEP船と呼ばれる作業船や、これ以外にも建設工事やメンテナンスのための作業員輸送に用いられる小型の船舶など、洋上風力発電に関連する多様な船舶の需要が喚起されて、我が国造船業にとっても新たな建造需要の創出につながることが期待されます。現に、我が国の造船事業者においても、洋上風力発電の計画の具体化に伴ってSEP船の建造が進みつつあります。
 本法案に盛り込まれた造船事業者による事業基盤強化計画の策定においても、洋上風力を含む新たな事業分野に取り組もうとする場合を対象としています。本計画を国土交通大臣が認定した場合には、関連予算、税制、財政投融資を活用し、洋上風力等の新分野への進出のために必要な設備投資などの取組を支援することとしています。また、国土交通省としては、SEP船の建造が円滑に進むように、適用される安全環境基準についての技術的な助言などを行ってきているところです。
 このような取組によって、洋上風力発電の導入拡大、それから造船業を始めとする海事産業がこの新しい分野に参入できるよう、その支援にしっかり取り組んでまいります。


特定船舶導入計画認定制度について

○青木愛

 ありがとうございます。
 次に、海運分野の競争力強化についてお伺いします。
 特定船舶導入計画認定制度というものが導入されます。本法案では、供給側である造船分野においては造船事業者が作成する生産性向上や事業再編等に係る計画の認定支援制度を創出し、他方、需要側である海運分野においては海運事業者が作成する安全、低環境負荷で船員の省力化に資する高品質な船舶、すなわち特定船舶の導入に係る計画の認定支援制度を創設します。船舶の供給側と需要側の両面からの総合的な施策により好循環を創出しようというものです。そして、日本政策金融公庫等による長期低金利の融資、いわゆるツーステップローンや税制上の特例措置などの支援措置を受けることができるというものです。
 本法案で創設される特定船舶導入計画認定制度について、この特定船舶に求められる技術的な要件、ツーステップローンによる金融支援の対象となる案件及び今後の需要見込みについて、併せてお聞かせください。


○大坪新一郎 海事局長

 本法案においては、海運事業者等が特定船舶を導入する計画を国土交通大臣が認定する仕組みを創設することとしております。
 特定船舶については、まず事業基盤強化計画の認定を受けた造船所において建造され、また環境負荷の低減、航行の安全、航海、荷役作業等の省力化に資する装置等を有する高性能、高品質な船舶であるということを要件としております。
 特定船舶のうち外航の船舶については、認定した計画に基づいて特定船舶を導入するに当たって、日本政策金融公庫を活用した長期低利融資や、日本籍船の場合は固定資産税の軽減措置の拡充などの措置を講じることとしています。日本政策金融公庫を活用した長期低利融資につきましては、大規模かつ中長期の資金が必要な案件であって、民間金融機関だけでは対応が困難と想定されるものを対象とすることを検討しております。
 現在のところ、国内造船所で建造された船舶のうち特定船舶の要件を満たす船は約二割となっておりますが、今般の支援措置で特定船舶の導入を促進し、二〇二五年をめどに約三割の普及を目指してまいりたいと考えています。
 また、特定船舶のうち内航の船舶については、この船舶を導入する場合に鉄道建設・運輸施設整備支援機構の船舶共有建造制度における共有分担率の引上げ及び利率の引下げ措置による支援を講じることとしています。現在、内航については特定船舶の要件を満たすものは約八%となっておりますが、今般の支援措置を通じて二〇二五年をめどに約一五%の普及を目指してまいりたいと考えております。


海運分野の環境対策について

○青木愛

 次に、海運分野の環境対策について質問をさせていただきます。
 造船業、海運業が厳しい国際競争の中で生き延びる、さらには世界をリードするためには、デジタル化の推進とゼロエミッション船の建造が鍵を握ると考えます。CO2削減についての国際ルールの状況や我が国の国際競争力強化を見据えた新技術開発、具体的には水素またアンモニアを燃料とするエンジン開発、またCO2回収技術などについて取組状況をまずお伺いをさせてください。


○大坪新一郎 海事局長

 国際海運からのCO2を含む温室効果ガス排出削減に関しては、二〇一八年に国際海事機関、IMOにおきまして、二〇三〇年までに船舶の平均燃費を二〇〇八年比で四〇%以上改善する、二〇五〇年までにガス排出総量を二〇〇八年比で五〇%以上削減させる、今世紀中早期に船舶からの温室効果ガス排出量をゼロにする、この三つの目標が国際的に合意されているところです。
 この目標の達成に向けて、国土交通省は、我が国の海運、造船、舶用工業といった関係業界、それから大学や公的研究機関と連携しまして、国際海運のゼロエミッションに向けたロードマップを二〇二〇年三月に策定しました。現在はこのロードマップにより、民間において水素やアンモニアを燃料とする船舶用のエンジンの開発が進みつつあります。また、国土交通省も船舶からのCO2回収技術の開発を支援しているところです。
 特に、水素、アンモニアを燃料とするゼロエミッション船については、関係省庁と連携しまして、グリーンイノベーション基金の活用も検討しつつ、エンジンや燃料タンク、燃料供給システムに関する技術開発や実証を支援し、世界に先駆けて二〇二八年までの商業運航実現を目指しているところです。


○青木愛

 こうした新技術開発に当たっては、国際ルールの動向が鍵となります。IMO、国際海事機関の主要なポストで日本人が働いていると伺っています。国際的なルール作りに向けた日本の取組方針についてお伺いいたします。


○赤羽一嘉 国土交通大臣

 今お話ございましたように、IMOでの交渉ですとかルール作り、日本が主導するというのは非常に重要だというふうに考えております。日本が主導して性能が正しく評価される合理的な国際ルールを構築していく、これは我が国の海事産業の国際競争力強化の観点から極めて重要だということを重ねて申し上げたいと思います。
 まず、IMOでの国際交渉につきましては、これまでも国交省と業界が連携をして綿密な準備を行った上で合理的な提案を行ってまいりました。IMOへの国別の提案文書数は日本が一位となっておるところでございます。また、IMOの事務局長ですとか、それぞれの委員会の議長等の主要ポストも日本人が獲得をして、円滑な審議に貢献していくということも重要な戦略というふうに考えておりまして、この事務局ポストにつきましては、日本の費用負担による若手職員の派遣も含めた形で人材育成を行っておりまして、幹部も含めたポストの獲得をしているところでございます。
 委員会の議長ポスト、これ各国の、加盟国の選挙で選ばれるわけでございますが、現在、国交省の職員が海洋環境保護委員会の議長を務めさせていただいておりまして、CO2削減などの主要な国際ルール作りも牽引させていただいているところでございます。
 いずれにいたしましても、この海の、海上の一つのルールを作っていく、主体的に我が国が頑張っていかなければいけないというふうに思っておりますので、こうした方針は継続して取り組んでまいりたいと考えております。


国際クルーズ船に対する水際対策について

○青木愛

 国交省の職員の方が国際機関で重要なポストで御活躍いただいているということは本当に心強く思いますし、また御活躍を心から御期待申し上げております。
 次に、外国法人等のクルーズ事業者等に対する報告徴収の方をまず伺わせていただきたいと思います。
 昨年、船内で新型コロナ感染が発症したダイヤモンド・プリンセス号事案やコスタ・アトランティカ号事案で外国法人等のクルーズ船の抱える問題があらわになりました。
 本法案では、外国法人等のクルーズ事業者等に対する報告徴収規定を創設することとしています。今後の国際クルーズ船の運航再開に当たっては、本法案の位置付けと国土交通省の取組、非常に重要になってくると思います。また、感染症対策について、クルーズ船の安全確保に向けた国際的なこちらもルール作りについて進めていかなければならないと思いますが、国交省としてどのように対応していくのか、お聞かせください。


○大坪新一郎 海事局長

 これまで国際クルーズ船は、インバウンド旅客の増加、それから寄港地における経済活性化といった効果を我が国にもたらしてきました。
 今般のコロナ禍の中で世界中のクルーズ船が運航停止を余儀なくされたことは誠に残念なことでありますが、安全、安心な運航のための環境整備を行った上で、国際クルーズ船の運航再開への取組を適切に進めていく必要があると認識しています。
 今後は、国内外の感染状況、それから水際対策の動向を踏まえて、関係省庁と連携し感染症対策について検討を進め、国際クルーズ用のガイドラインの整備に取り組むなど、必要な措置を講じてまいる所存です。
 さらに、中長期的には、関係国、国際クルーズの場合、様々な国が関係しますが、関係国やクルーズ船事業者が果たすべき役割を明確化する、そういった国際ルールについても外務省と関係省庁と連携して検討してまいります。
 御指摘のあった報告徴収ですが、これはまず第一歩としてやるべきことでありますが、本法案の中で、我が国に寄港する外国法人のクルーズ船事業者に対して国土交通大臣による報告徴収を可能とする制度を盛り込んでおります。実際にクルーズ船内で感染症が拡大した場合など、確実に情報を集めることができるように体制整備を図りたいと考えております。


○青木愛

 今クルーズ船の方はほぼ止まっていますけれども、貨物の方はそれなりに動いているという関係者の話ですけれども、コロナ対策について伺うんですが、外航船舶が日本港に到着し、その時点で外国人の船員が任務を終え交代する場合、その船員が下船して、航空機でそれぞれの国に戻るということを伺いました。また、日本からも、その船にまた乗り込むために日本に航空機でいらっしゃるというふうに伺いまして、この際のコロナ対策どうなっているのか、大変今、水際対策気になりますので、この点についてお聞かせください。


○大坪新一郎 海事局長

 今般、コロナウイルス変異株の流行に伴い、船員の水際対策が強化されておりますが、我が国に入国する船員のコロナ対策につきましては、検疫当局などから求められている入国時及び入国後の検査、それから自主隔離の実施、また、入ってくる場合には、空港から入ってくる場合には、入国後に公共交通機関を使用せずに移動、ほかの人と接触せずに船に直接行って船がそのまま出ていくと、また、船で入ってきた場合には、これも同じように、公共交通機関を使用せずに空港までに移動して飛行機で出国すると、このように徹底した対応を行っておりまして、それを前提に我が国における船員交代が可能となっているところです。
 円滑な船員交代を行うというのは、これは世界の海運全体の問題でありまして、日本だけではなく各国の協調的な取組も重要です。海事機関、IMOにおいては、この船員が下船した後飛行機で本国へ帰っていくという、そういう途中の感染防止等の措置について各加盟国が適切に実施することを求める決議も採択されています。
 国交省としては、この決議を踏まえて、引き続き、船員交代が円滑に行われるように、関係省庁と連携して取り組んでいくとともに、IMOなどにおける国際的な議論にも積極的に参画してまいります。


内航海運の生産性向上について

○青木愛

 ここはしっかりとよろしくお願い申し上げます。
 次に、内航海運の生産性向上について伺っていきます。荷主勧告制度の運用です。
 本法律案では、内航海運業者の違反行為が荷主の行為に起因するものであると認められ、内航海運業者に対する命令又は処分のみによっては違反行為の再発防止が困難と認められるときなどにおける荷主に対する勧告・公表制度を設けることとしています。内航海運業者の違反行為のうちで、どのような場合がこの荷主の行為に起因するとして勧告、公表の対象になるのか、その内容についてお聞かせください。


○大坪新一郎 海事局長

 具体例を申し上げますと、例えば、荷主が過密な運航の事実を認識しながらも内航海運業者に追加の運送指示を出して、その結果、内航海運業者が船員の過労防止のために必要な措置をとれず、輸送の安全の確保に関する命令、我々が出す命令ですが、これらの処分を受けた場合などが挙げられます。実際に荷主に対して勧告、公表を行うに当たっては、内航海運業者への監査によって得た情報、それから荷主との契約書、それから航海日誌等から荷主の行為を把握することとしております。
 いずれにしても、勧告、公表自体が目的ではなくて、内航海運業者の法令遵守の必要性について荷主に理解と協力をいただくということが重要と考えておりまして、荷主の理解醸成にしっかり国も取り組んでまいります。


○青木愛

 それに関連しまして、船員の方々の働き方改革についてでありますが、二〇一九年の船員数は六万三千七百九十六人で、ピーク時の一九七四年の約二十七万八千人に比べて大幅に減少しています。年齢構成を見ますと、特に内航船員について、五十歳以上が約半数近くの四六・四%に上っており、三十歳未満の若年層が一九・二%で、高齢化が課題となっています。また、新人の内航船員の定着率は、二〇一五年の八五・〇%から二〇一九年の七八・九%へと減少する傾向が見られます。
 本法案で選任が義務付けられる労務管理責任者の具体的な役割について、また、新人内航船員の定着率に関する現状とその向上策についてお聞かせください。


○赤羽一嘉 国土交通大臣

 内航船員の従業員の状況等、今お話があったとおりでございますが、ただ、新規就業者数は実は増加傾向にあるのです。ただ、それに対して、若手船員の定着率がこの五年間で八五%から七九%への低下傾向があるというのは、これはまさに喫緊の課題だというふうに考えております。
 内航船員、言わずもがなでございますが、船内という閉鎖空間で二十四時間、少人数で労働と生活というのを繰り返す極めて特殊な労働環境でありまして、なかなか、そうした中での人間関係の維持ですとかが離職の原因になっているというふうに我々は分析をしているところでございます。
 こうしたことを何とか改善をしていきたいということで、今回提出させていただきました法案におきまして、適切な労務管理を行う体制をしっかり構築をすると、そうした上で労働環境の改善を図るということを考えて、使用者側で労務管理責任者の選任を義務付けるということでございます。今までは、多分、ややもすると、船長若しくは船長のそばの方がそうしたことを担いながら、なかなか難しい部分があったということで、陸側から労務管理を責任を持ってやっていただくと、そして船員一人一人の労働時間帯をしっかりと一元的に把握をしながら、船員の皆さんの健康状態にも考慮して、様々な相談にも乗れる対応ができるような体制をつくっていきたいと、こう考えておるところでございます。
 まさに船員、現下のコロナ禍におきましてはエッセンシャルワーカーそのものでございますし、先ほどからるる申し上げておりますように、大変重要な産業を担う、将来の担い手である若手の船員の皆様が離職することなく活躍できるような労働環境づくりをするということは非常に重要なことだと考えておりますので、今回の法案、是非成立をさせていただきたいと、こう思うわけでございます。


カボタージュ規制について

○青木愛

 ありがとうございます。
 船の上という特殊な環境でありますので、是非安心して働ける環境を整えていただきたいと思っております。
 それでは、もう一点、カボタージュ規制について確認をさせてください。
 国内における人や貨物の輸送を自国船籍に限るというカボタージュ規制に関して、安全規則の緩い外国籍船によって国内の安全が脅かされる危険性が、国内海運業者の保護の観点から多くの国々で採用されているところでございます。このカボタージュ規制に関して、国土交通省の御見解をお伺いいたします。


○大坪新一郎 海事局長

 カボタージュ規制は、国家主権、安全保障の観点から、自国内の貨物又は旅客の輸送は自国の管轄権の及ぶ自国籍船に委ねるという国際的な慣行として確立した制度です。我が国においても、船舶法に基づいて、外国籍船による国内輸送は原則として禁止されております。平成三十年五月に閣議決定された海洋基本計画においても、安定的な国内海上輸送を確保するため、国際的な慣行であるカボタージュ規制を維持する旨記載されております。
 船舶法に基づいて国土交通大臣の特許を受けた場合には例外的に外国籍船による国内輸送も可能となりますが、この特許につきましては、まず、我が国における安定輸送の確保等の観点から支障を生じるものではないこと、第二に、日本の海上運送事業者による物品又は旅客の輸送に支障を生じるものではないことなどの審査基準に照らして、個別の事案ごとに慎重に判断を行うこととしております。
 このように、カボタージュ規制につきましては今後とも堅持してまいる所存です。


○青木愛

 よろしくお願いいたします。
 様々な視点から質問させていただきましたが、やはり今全ての分野でカーボンニュートラルが要請されている中で、やはり日本は新技術の開発で世界に貢献、リードすべきだと思います。その点におきまして、是非、赤羽大臣には予算の使い道とともに、やはりその本体となる予算をしっかりと取っていただくように、我々も応援をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げて、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。


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