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立憲民主党 参議院議員 青木愛 Official Website

議会議事録JOURNAL

令和4年5月19日 参議院環境委員会

地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案について参考人質疑


○青木愛

 立憲民主党の青木愛と申します。
 今日は、三名の参考人の皆様から大変貴重な御意見をいただいて、参考になりました。ありがとうございます。
 まず、真庭市の太田市長にお伺いをさせていただきたいと思います。
 ゼロカーボンシティまにわということで今回の環境省の第一回の脱炭素先行地域に選定されたわけでございまして、今お話を伺いましても、再エネ、また発電と省エネとか、様々な角度からお取り組みいただいていることはすごくよく分かりました。
 今後、真庭市としてこのカーボンニュートラル、収支ゼロとするというのをいつ頃に設定されておられるのか、そしてそれに向かう更なる課題は何なのかというところをお聞かせいただければと思います。お願いします。


○太田昇 真庭市長

 脱炭素の計画は確実でないと駄目だと思いましたので、説明しましたように、公共施設全体について、真庭市の、二〇三〇年までにプラスマイナスゼロにするということで取り組んでいます。ただ、それは確実にやれることで、それプラス先ほど申し上げました三つ目の発電所を造っていく。そして、その生ごみの関係も、もちろんこれはできますけれども。
 そういうことで、発電所をもう一基造ると、今再生可能エネルギー自給率が六二%で、先ほど申しましたように、あと三〇%ぐらい上がりますから、そうすると九十何%、それで省エネをしていけばということで、そういうことを重ねていくと、二〇五〇年よりもうちょっと早い段階で真庭市単独ではゼロカーボンができるのかなと。
 ただ、課題は、そのバイオマス発電所の材料供給の安定性とそれから電気の製造原価。先ほども申し上げていますように、広葉樹がほとんど使われていませんから、それをいかに使うかということ。そして、先ほど申し上げましたように、ずっとそのサプライチェーンのコストダウンを図っていくということで、十六、七円ぐらいまで、一キロワット、できないのかなと。今、石炭火電等で大体十二円ぐらいだと思っています。十二円というのは結構しんどいのかなと思いますけれども、エネルギー価格全体が少し上がった社会を想定せざるを得ないと私は思います。
 そういう意味で、FIT制度は今非常に貴重な制度で、私は堅持すべきだと思いますけれども、一方、それがなくてもやれるようなものをどうつくっていくかということが課題であります。そのために、その早生樹の関係、これは農水省の方とかもやっていますけれども、是非もっとその支援いただきたいんですけれども、そういう木を、燃料を作っていくというような、そういう観点が必要だろうと思います。これ、日本全国同じようなところならできるだろうと思いますので、是非、一番電力供給の安定したバイオマス、輸入に頼るわけじゃなくて、日本の山の木をうまく使ったバイオマスをもっと普及するように、私どもとしまして支援もお願いしたいと思います。


○青木愛

 地方の金融機関との関わり方の中で何か御意見とかもしあれば伺わせていただきたいと思います。


○太田昇 真庭市長

 もう御存じのとおり、金融機関というのは経済の血液ですから、資金提供なりが円滑にいくというのは大事なことだと思っていますし、それからまた金融機関はいろんな企業への影響力も持って、金融機関もそういう意味じゃ単にお金を貸すとかだけじゃなしに姿を変えようとしていますから、そういう意味で金融機関が地域のこういう再生可能エネルギーあるいはゼロカーボンにどんどん積極的になっていくという、まあ今既にかなりそうなりつつありますけれども、それは是非期待をしておりますし、私どもも結び付いて一緒になってやろうとしております。金融機関の人材というのも結構大きいものがありますので、そういう人材活用というのも大事だと思っております。そういう意味でもこの法律というのは非常に有り難いわけであります。


○青木愛

 ありがとうございます。
 次に、山下参考人にお伺いをさせていただきます。
 山下参考人の著作を読ませていただきますと、再エネ導入の取組の成功事例と失敗事例は紙一重かつ表裏一体であるという、そんな表現をされているんですけれども、成功事例と言われたものが数年後に失敗事例となる場合もあるということなんですけれども、これからこの取組を進めるに当たって、着手する段階で失敗を回避できるというか、成功に導くための最初のスタートの仕方という何かアドバイスがあればお願いいたします。


○山下紀明 特定非営利活動法人環境エネルギー政策研究所主任研究員

 著作をお読みいただいたということで、ありがとうございます。
 私がいつも申し上げているのは、まず再エネを考えるのはやめましょうと、むしろ町の未来像を最初に考えましょうということを申し上げさせていただいています。ともすると、こういう太陽光はどうだろうかとか、市民参加型の風車ってどうやってやるんですかという質問がまずは来るんですけれども、そこではなくて、じゃ、再エネ型って町はどう良くなるのと。であれば、例えば町の総合計画ですね、そういうところにエネルギーってどう反映されていくんですかということをまず考えていただきたいと。その上で、制度と実行体制ですね、未来像、制度、実行体制、これをそろえていただくのが迂遠なようでいて一番近道であり、王道だと思っております。
 以上です。


○青木愛

 ありがとうございます。大変参考になります。
 特に地方の小さな自治体等では、やはり人材が足りないという声があります。山下参考人は、これまで地元との再エネ導入に向けての利害調整ということで大変実績を積まれていらっしゃるわけですけれども、こうした地域トラブルを回避をするための人材育成といいますか、人材を確保するといいますか、その点について御意見があればお願いしたいと存じます。


○山下紀明 特定非営利活動法人環境エネルギー政策研究所主任研究員

 まず、トラブルが起こるということは、やはりきっかけは何かあったとしても、信頼関係が壊れてしまうというところが長く続いてしまう大きな理由だと思っているんですね。ただ、そういったのは新聞には出てきませんし、実際いろんな方の話を聞いて、やはり信頼が大事と。
 また、ドイツのKNEという組織をインタビューした際も、そのメディエーターという方々は、事業者がお金を出していたり市がお金を出していたり、いろんな立場があるんですね。そうすると、反対側の立場にとっては向こうの回し者というような形になってしまうおそれがある。そこを、メディエーターというのは、自身の態度であったりいろんな方との意見調整における透明性ですね、そういったものを確保して、自分自身で信頼性を示していくということを言っていました。
 ですので、これは必ずしも行政の中でそういうものをできる人が育つ必要はないと思うんですけれども、民間でも、そういったファシリテーションですとか弁護士の方だとか、そういった方いらっしゃいます。ですので、外部の人材も使いつつ、ただ、あくまで地元の信頼されている方々と一緒に話していただく、こういったところがトラブルの回避には重要なのかなと思っております。


○青木愛

 ありがとうございます。
 それでは、桃井参考人にお伺いしたいと思います。二点ほどお伺いをさせていただきます。
 一つは、エネルギー基本計画、二〇三〇年度、石炭火力発電、電源構成一九%という資料もお見せいただきまして、二〇三一年は更に高くなるのではないかということでございました。この石炭火力発電を活用しなくても、再生エネルギーでこの発電量を賄えるというその具体策についてお聞かせをいただきたいということが一つと、もう一つは、先ほどお話にございました、各電力管内で再エネの出力制御が今結構多く発生しているという状況の中で、送電において再エネをやはり優先をさせていくということも必要ではないかなというふうに思うんですけれど、環境省の資料ですと、発電量は、既に再エネで今の需要の高いときでもう二倍ぐらい発電量を賄えているという資料もあるんですけれども、ただ、やはり天気で左右されるとか、様々な課題も指摘をされるところではあるんですけれども、蓄電池であったり、送電におけるこの再エネの優先ですね、この点について何か具体的なアドバイスがあれば助かりますけれども。よろしくお願いいたします。


○桃井貴子 特定非営利活動法人気候ネットワーク東京事務所長 

ありがとうございます。
 石炭から脱却するための具体策ということについてですが、非常に一般論にまずなりますが、省エネを徹底するということがまず第一に必要だと思っています。私たちの試算では、かなり、現時点でも、そのエネルギーの浪費や、無駄に使っているというか無駄に捨てられてしまっているようなエネルギーがたくさんあって、工場などでも古い機械をそのまま動かしていたり、断熱性能が非常に低いところでエネルギーが大量に使われていたりというようなことがありますので、これをまずは徹底して省エネをやっていくということで、エネルギーの消費量を大幅に減らすということが第一に必要かと思います。
 その次に、再生可能エネルギーを増やすということが今日の論点にもなっていますが、再エネを増やすための仕組み、制度、まだまだ非常に不十分であり、むしろ石炭などが優先的に様々な措置が講じられて、再エネにはむしろ足かせになっているような状況が生まれていると思いますので、こうした制度の見直しをすることによって、再エネの拡大を今以上に図っていくということが必要だと思います。
 LNGに関しましては、今後新規での建設については私たちは必要ないと思っていまして、当面、その再生可能エネルギー一〇〇%に向かう道筋の中で、今あるものを活用し、CO2をできるだけ全体で減らしていくということで、調整電源として、再エネが発電しない時間のところではLNGを活用するということが必要なのかなと思います。
 優先接続に関しては、やはりその再生可能エネルギーを優先的に活用するということが必要で、例えば、今、九州電力の中では、原子力が動いている中で再エネを止めなければいけないというようなことが起きていますので、それはやはり見直しが必要なのではないかと思っていますし、再エネとの親和性ということを考えますと、やはり二十四時間フル稼働させておかなきゃいけないような原発や石炭火力というのは親和性がないというふうに思います。
 ですので、むしろその再エネを優先し、これから最も増やしていかなければいけないという政府の方針にも基づくと、やはり石炭とか原発というのはやめて、そして再エネを優先し、それに伴って、送電網を様々な形で、きちんと電力システムを変えていくということが必要なのではないかと思います。


○青木愛

 ありがとうございました。以上で終わります。

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